AtoZの所持者≪改≫   作:GENERAL

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……次回から原作入りすると言ったな。
あれは嘘だ。

すいませんどうしてもキリのいいとこまでやりたかったんですごめんなさい。


第19話 別れ

「……どうしても、行くのか?」

 

 早朝、寮の前。

 いつになく真剣な表情で咲を見つめるラウラが居た。

 

「ああ。俺はもう……此処には居られない」

「そんな事はない!きっと他にも方法が……」

「……ゴメンな。今まで……楽しかった」

「待て!待ってくれ!咲————!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何やってんの?」

「感動的なお別れごっこ」

「日本のドラマを真似てみたのだ!」

 

 ヴァネッサからのツッコミが入り、中断してしまった。

 ここからがいいとこなのに。

 

「まぁ確かにもうすぐ離れ離れにはなるけどさ……何?ひょっとして練習?」

「その事言わないでくれ憂鬱になる……」

 

 第二回モンドグロッソから既に1年以上が経過し、俺は15歳(精神年齢では23歳)になった。

季節は冬。1月ももうすぐ終わる時期である。

 

 要するに俺はもうすぐIS学園に入らなきゃいけない……というか束に入れと脅されている。許すまじ。

 まぁいつまでも此処で匿ってもらうのにも限界があったので、仕方のない事ではある。

 ちなみに元帥閣下には、

 

「嫁の一人や二人作ってこい」

 

 と、無駄に渋い声でありがたくもなんともないお言葉を頂いた。

 俺はハーレムものは苦手だと何度言ったら分かるのか。

 

 ちなみに俺は直接IS学園に運ばれ、極秘の新入生として処理されるらしい。

 裏口入学染みた方法だと思うと良心が痛むが、そんな事気にしてたらこの先やっていけないとも束に言われた。

 そういえばあの主人公君……もとい一夏君はどうなるのかね?

 なんかの拍子に動かすとか?

 いや仮にも兵器であるISに触れる機会なんてそうそう無いと思うんだが……

 

 ……気にしたら負けだな。うん。これが今後の俺のスタンスになりそう。

 

 

 

 そういえば俺の専用機……ダブルだが、束の解析の結果コアに人格がある事が分かったそうだ。

 AIではなく、一個人としての人格があるらしい。驚いた。

 それがまさか実写版アイアンマンのジャーヴィスになるとはこのリハクの目をもってしても以下略。

 ちなみに神によって作られたためか前世の俺の記憶をある程度持ち、ネタにも対応可能な素敵仕様。

 貴方のボケライフに的確なツッコミをお約束します、と紙に書かれて送られてきた。速攻で破って捨てた。

 

 ガイアメモリに関してはは現時点でサイクロン、ヒート、ルナ、ジョーカー、メタル、トリガー、アクセル、バード、ダミーの計9本が手元にある。

 一応武装として設定されているようで、基本的にはダブルの拡張領域に格納され、必要な時に取り出す感じだ。

 ……なんで基本6本以外を律儀にアルファベット順に送ってくるんだよあの無能神め。

 どうせならゾーンとか欲しかったわ。この感じだと最後になるぞ?

 

「離れ離れとは言っても毎日電話はしていただろう?そう憂鬱になる事でもあるまい」

「気持ちの問題だよ……あぁぁ安請け合いした俺がバカだった……行きたくねぇ……」

 

 だが冒頭で言った通り、いつまでもここに居られないのは動かしようのない事実だ。

 ドイツ軍の結束は固く俺の存在が世間にバレる事はなかったが、新入りが口を滑らしたりする事がないとも限らない。

 実際この前は外部のお偉いさんが抜き打ちで来てかなり危なかったのだ。

 

「ほらほらいつまでも沈んでないで、今日はセリーナが当番だよ?」

「OKすぐ行こう」

「切り替えが早いな……良い事だが」

 

 とりあえずあと二ヶ月、この日常を目一杯楽しもう。

 そしてその後の事は……今は忘れよう。

 

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

「何て言ってる間に二ヶ月経っちまったなぁ……」

 

 四月五日、今日俺はドイツ軍のヘリでIS学園まで送られる。

 同行者はなんと元帥閣下だ。この人いつ仕事してるんだ?

 

「準備完了、いつでも出れます」

「うむ、ご苦労」

 

 操縦士の人と会話を交わしている閣下を横目に見つつ、隊のみんなとの別れを惜しむ。

 

「……やっぱ行きたくねぇ……」

「咲?辛くなったらいつでも帰ってきていいんだからね?」

「ありがとうリー姉……」

 

 実際の年齢は俺の方が上なのに、何だかんだで一番姉らしかったと思う。

 結局料理の腕は敵わないままだったな。頑張らねば。

 

「あぁ兄様……名残惜しい……」

「だから兄様やめろ。同い年だろうが」

 

 クラリッサはいつからこんな残念な子になってしまったのやら。

 過去を話したら何時の間にか兄様呼ばわりされるようになったし。

 

「帰ったら日本のお話、また聞かせてよね!」

「おう、楽しみにしとけ」

 

 前世での事を話す前も後も全く対応が変わらなかったヴァネッサ。

 ある意味才能だな。

 初日に繋いだ手の感触は未だに忘れていない。

 

「そ、その……頑張って……」

「あ、あぁ。頑張ってくる」

 

 作者の都合により全く出番がなかった◯◯◯……名前すら出してもらえないとは……

 内気な子だが、戦闘面での技術は中々のものだった。

 ちなみに黒髪ポニーである。美少女。

 

 そして……

 

「……ラウラ」

 

 隊を一時的にとは言え離れてから既に1年半近く経っている。

 その間になんとラウラはシュヴァルツェ・ハーゼの隊長を務めるようになる程に実力をつけていた。

 階級も少佐に上がっており、余程努力したであろう事が分かる。

 

 ――思えばここに来てからの5年間、かなりの時間をラウラと過ごしていた気がする。

 肉体的には同い年だったから?

 こんな小さい子を放っておけなかったから?

 それとも……いや、分からないが、俺の中ではかなり大きな存在になった。

 

「……咲」

「な、何だ……?」

 

 目の前に立つラウラはいつもと同じ服、いつもと同じ髪型だ。

 それなのに纏う雰囲気だけはまるで違う。

 

「……これ」

「あ、あぁ……これは……お守り、か?」

「そ、その……本当はもっと凝った作りにしたかったのだが……」

 

 渡されたのは黒色の布袋に赤い飾り紐が通されたシンプルな作りのお守りだった。

 裏返すと文字も刺繍してある。

 

「えっと……長寿祈願、か。よくこんな細かいの出来たな……凄ぇぞ」

「に、日本では一般的なお守りと聞いて……その……」

 

 雰囲気が違う、と言ったが、何だか今日のラウラはやけにしおらしい。

 いつもの自信に満ち溢れた態度が嘘のようだ。

 

「……ラウラ?」

「は、ひゃいぃ!?」

「……そんな驚かれるとちょっと悲しいんだけど……」

「す、すまない……何だか、きょ、今日の私はおかしいな!あ、あはははは……」

 

 イカン、本格的におかしかった。

 

「その、さ。俺はその……口下手だから、正直に言うぞ?」

「う、うむ……」

 

 大きく深呼吸して、次に言うセリフを頭に浮かべる。

 ……良し。

 

 

「あー……その、何だ。たとえ離れていても、俺はずっとラウラの事を……じゃなくて!その……とにかく!コレ!受け取ってくれ!」

「あ、ああ……ってえぇぇ!?いや、あの……こんなの受け取れない……」

「だああああああ!ス、スマン!やっぱり嫌だったよなこんな重そうな見た目のは!本当はもっと別の形になる予定だったんだが……束の奴が……」

「ち、違うぞ!?別に嫌とかそんなんじゃなくて……い、良いのか?本当に貰って……」

「いや、むしろ貰ってくれないと俺が困るというか……何と言うか……」

 

 二人してしどろもどろする様子に、隊員一同+αはニヤニヤと擬音でも付きそうな笑みを浮かべる。

 咲とラウラは全く気づいていなかった。

 

「じゃ、じゃあ……有難く……頂戴いたす……」

「う、うむ……苦しゅうない?」

 

 とうとう日本語がおかしくなったが、それにすら気づいていない。

 ちなみにヘリの操縦士の人やらその他の人達も遠目にもわかるレベルでにやけていた。

 

「はいはいごちそーさま。イチャつくのはいいけどもう時間だよ?続きはまた今度ねー」

「「イッ、イチャイチャなんてしてない!」」

「……うん。そうだね。うん」

 

 最終的にヴァネッサによって謎空間は終わった。

 あれ以上続けていたら……考えるのはやめよう。どこぞの警察官もそう言ってる気がする。

 

 

 

 

 

 

「システムオールグリーン!面舵イッパーイ!」

「覚えたての日本語使いたいのは分かるけど普通にお願いします操縦士殿……」

 

 別れの挨拶が済むと閣下と共にヘリに乗り込み、いよいよ出発の時が来た。

 

「それじゃあまぁ……名残惜しいけど、行ってくる!」

 

「「「「「行ってらっしゃい!」」」」」

 

 扉が閉まり、離陸する。

 遠く離れて見えなくなるまで、みんなは手を振り続けてくれていた。

 さぁ、これから始まるは二度目の高校生活。

 どんな事が起こりますやら。

 

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

「……行って、しまわれましたね」

「……あぁ」

「寂しいですか?」

「勿論だ。だが……」

 

 ラウラは手元で何かを動かし、微笑む。

 

「……いつでも一緒だ」

「た、隊長が……大人になられた……」

「失敬な、私はもともと大人だぞ?」

「……えぇ、そういう事にしておきます」

 

 どこか決意したような表情で空を見上げるラウラの右手の小指には、小さな銀色の指輪が輝いていた。




成し遂げたぜ。
これにてプロローグっぽいものは終了。
次回よりいよいよ原作入りします。
右手の小指の意味は……調べてみてくださいな。
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