大分間が開いてしまい申し訳ありません……
決してCSMディエンドライバーが届いて浮かれてたりクロスやりまくったりなんてしてません。
ワタシウソツカナイ。
というわけで突貫で書き上げたクリスマスエピソードをどうぞ。
時系列的には咲が中一の頃になります。
――12月25日。
世間一般ではクリスマスと呼ばれるこの日の朝、シュヴァルツェ・ハーゼの隊員寮敷地内にて、怪しげな影が動き回っていた。
赤い外套に身を包み、しっかりと付け髭までつけたこの人物は言わずもがな、咲である。
「良い子のみんなにプレゼントをお届け……ってな」
背中にはこれまたお約束通りの大きな袋を背負い、隊の皆を驚かせようとわざわざ窓の外から届けようとしているのである。
煙突?んなもんは無い。
まず最初に選んだのはセリーナの部屋だ。
とは言え窓はキッチリ鍵が掛かっている。さてどうするか。
「……アレを試してみるか」
昔よく読んでいたヴァンパイアの物語の一場面に、とある髪の薄いヴァンパイアが静電気を使って鍵を開けるシーンがあった。
もっとも静電気でどうやって開けるのかなど皆目見当もつかないので、毎度おなじみ魔力的な何某の出番である。
「念糸の応用で良い感じに…………良し、いけたな」
窓を開けて、閣下に教わった隠密潜入術をフル活用し、スルリと部屋に忍び込む。
そういえばリー姉の部屋に入るのは初めての事だ。
「うぉ、これ全部料理本か……?こっちはレシピ集か……」
本棚にはぎっしりと料理に関する本が詰まっており、余程勉強したのであろうことが伺える。
他には普通の小説などもあったが、知らないものばかりだったのでとりあえずスルー。
「置き場所は……ここが良さそうだな、っと」
枕元の棚の上に丁度いいスペースがあった為、そこにラッピングされたプレゼントを置く。
ちなみに中身は最新鋭の調理器具一式だ。
「これで良し……メリークリスマス、リー姉」
規則正しい寝息を立てるセリーナに別れ(?)を告げ、次の部屋に向かう。
当然鍵を閉めるのも忘れずに。
次に向かった部屋はヴァネッサの部屋だ。
先程と同様に鍵を開け、忍び込んでプレゼントを置いた……その時。
「ん……ん~……?」
「!?」
「……うへへ……でっかいシュトーレン……」
「ね、寝言か……びっくりした……」
余談だが、ドイツのクリスマスではシュトーレンと呼ばれるケーキを食べるのが一般的らしい。
レーズンやレモンピールなどが入ったケーキにたっぷりの粉砂糖が掛かっていて、とても美味しいんだとか。
作者は食ったことが無いので味が分からないのです。ご了承ください。
「意外と部屋は綺麗にしてるんだな……というかぬいぐるみ多くね?」
結構女の子らしい一面もあるようだ。
まぁそれは前情報で知っていた為、プレゼントのビッグサイズテディベアを枕元に置き、さらに次の部屋へと向かう。
「お次はニコ姉か……よっと」
ついに発覚した最後の隊員。
名前はニコル・ブラーシュ。隊の中では珍しい黒髪の持ち主で、長い髪をポニーテールに纏めている。
戦闘センスはクラリッサとほぼ互角という中々の実力の持ち主だ。
そんなニコ姉へのプレゼントは……
「……本当にこれで合ってんのかねぇ……?」
前情報を参考にし選んだのは、なんと日本の木刀である。
……今更変更も効かないのでとりあえず枕元に置いたが、大丈夫なのだろうか?
「……悩んでても仕方がない。きっと大丈夫だ。俺は俺を信じる」
某幽霊なライダーもそう言っていた。
「ほい次、クラ姉のお部屋は……」
二階に行くため木に登り、音を立てないよう慎重に窓に飛び移る。
手慣れた手つきで鍵を開け、袋からプレゼントを取り出す。
「……まぁ、偶にはこういうのもアリ……だよな?」
そう言って取り出したのは、ラッピングされた小さな箱だった。
中に入っているのはなんとG-SH○CKの最新モデルである。
伏字?はて何の事やら。
とりあえずこれも前情報に従っている為、間違いは無い筈だ。
女性に贈るプレゼントがゴツい腕時計ってどうなのかと思うだろうが、本人がネットの記事をみて頬を緩ませていたのを咲は知っている。
「……うし、ラスト行きますか」
最後に向かったのはラウラの部屋だ。
若干緊張しつつもしっかりと音無し潜入を決めて、いざプレゼント……
と思ったのだが。
「……居ない?」
ベッドはもぬけの殻だった。
慌ててドアを確認したが閉まっている。
つまり廊下に出ているわけではない、と。
「……まさか、いやそんなまさか……ねぇ?」
妙な予感がし、窓を開けてすぐ下にある自分の部屋に戻る。
閉めていた筈の窓が――開いていた。
「……えぇっと……」
「あ……」
部屋に忍び込んでいたのは、自分と同じ赤い外套を身に纏った美しい銀髪の少女……まぁ、うん。要するにサンタコスのラウラである。可愛い。
「そ、その、これはだな!決して疾しい事をしようとしていたわけでは……」
「っと、静かに。みんなが起きちまう」
「あ、あぁ……そうだな……」
「……」
「……」
――沈黙が流れる。
「え、っと……その……お互い、一気に出しちゃうか?」
「……あぁ、そうだな。黙っていても仕方ない」
ラウラの言う通りいつまでも黙っていても埒が明かない。
二人とも同時に袋に手を突っ込み、そして……
「一……」
「二の……」
「「さんッ!」」
ラウラは黒色の小さな箱を、咲は白色の小さな箱を同時に取り出し、互いに差し出す。
「……似てるな」
「……だな」
そしてそれをお互いに受け取ると、また沈黙。
もはやいつものと言うか、お約束の光景である。
「その……ありがとうな」
「い、いや、こちらこそ……ありがとう」
「…………お?ラウラ、外見てみ」
「ん?あぁ、雪か……」
窓の外を見れば、はらはらと風に舞う雪が朝陽を反射し、眩しく輝いていた。
「……メリークリスマス、ラウラ」
「む、違うぞ咲?ドイツではFröhliche Weihnachten、だ」
「ふ、ふろ?」
「フローリッヒェ、ヴァイナハテン、だ」
「……やっぱメリークリスマスの方が言いやすいだろ?」
「……それもそうだな……メリークリスマス、咲」
小さな二人のサンタクロースの笑い声は、クリスマスの朝陽の中に溶けていくのだった。
◆ ◆ ◆
――おまけ
「こっ、これ!ずっと欲しかった調理器具!」
「でっかいクマさんだ~~~ッッ!!」
「……やっぱり日本製は、良い」
「ああ……この無骨なフォルム……おっと、涎が……」
「……まさかとは思ってたけど……」
「……被るとは、な……」
それぞれの部屋に戻った咲とラウラの手の中では、黒と白のブレスレットが輝いていたのだった。
((……大事にしよう……))
本編も年内中に更新する予定です。
多分一話だけですが……
あ、メリークリスマスです。