AtoZの所持者≪改≫   作:GENERAL

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さ、サブタイのネタが思いつかなかった……
許してヒヤシンス……
あ、今回地味に長いです。


第31話 天丼はお嫌いですか、そうですか

「学年別……」

「クラス対抗戦?」

「そうだよ〜」

 

 あくる日の1組。

 素晴らしき同志達の協力もあって、何とかクラスに馴染むことに成功した俺は今、何と クラスの女子とフツーに話していた。

 まぁ流石にほぼまる一ヶ月も経てば皆男に慣れたのだろう。初日のような目で見てくる人は居なくなった。一安心である。

 

「それぞれのクラスの代表同士で戦うんだよ〜」

「そんなイベントが……っていうかよく知ってるなのほほんさん」

「私〜これでも生徒会役員なんだよ〜」

「……マジ?」

「まじ〜」

 

 今発覚した驚愕の事実。

 あ、のほほんさんっていうのはこの子のあだ名だ。

 本名は布仏本音というらしいが、一夏がのほほんさんと呼んでいたので俺もそれに倣っている。

 

「勝ったクラスは食堂のデザート半年フリーパスが貰えるんだって!」

「茅野君、期待してるよー?」

 

 他のクラスメイトからも声が上がる。

 デザート食べ放題……確かに魅力的だ。

 リー姉には到底敵わないもののここのメシはとても美味い。

 勿論デザートも。

 

「きっと咲さんなら大丈夫ですわ。何せ私を倒したんですもの」

「ぷ、プレッシャーがぱねぇ……」

 

 セシリアにも期待されてしまっている。

 まぁ代表候補生を破ったのは確かだしなぁ……

 ……代表候補生と言えば。

 

「他のクラスにも代表候補生っているんだよな?」

「?ええ、ですが専用機持ちの候補生がクラス代表なのは確か……」

「1組と4組だけ!」

「わ、私のセリフが……」

 

横から入ってきたモブ子さんにセリフを奪われたセシリア。

ドンマイ。

 

「4組か……一夏、知ってるか?」

「いや、なんで俺?」

「何となく専用機持ち繋がりで」

「まだクラスのみんなの名前すら把握してねえよ……」

「あ〜……4組の子はね〜……」

「?知っているのか雷電」

「いや雷電って誰だよ咲」

 少し言い淀むような雰囲気を見せるのほほんさん。珍しい。

 そして一夏よ、お前にはまだまだ色々教え込まねばな。

 と思ったその時。

 

「その情報、古いよ」

「あ、あれは何だ!」

「回鍋肉か!」

「恋女房か!」

「いや、ロリ少女だ!」

「それを言うならロイミュード……って誰がロリ少女よ!」

 

 ノリの良い同志達に感謝しつつ改めて教室の入り口に目を見やると、ツインテールの可愛らしい少女がこちらを睨んでいた。

 あとちっさい。すげえちっさい。身長をはじめとして全体的にちっさい。

 そしてこの声は……あさぽんか?

 んっふっふとか言ってくれないだろうか。

 

「おお、同志ぞ!」

「同志であるぞ!」

「者共道を開けい!」

「え、何このクラス……」

 

 フッ、今このクラスでは同志達の手により特撮の輪が広がっているのだよ。

 故にネタが通じる者は誰でもウェルカム。

 ネタが通じない者には懇切丁寧に教えよう。

 

「……鈴?お前鈴か?」

「知っているのか雷で「そのネタはもういいから」一夏がグレた……」

 

 まぁ要するに幼馴染だったそうな。

 あれ?幼馴染って確か箒さんも……

 

「い、一夏!誰だソイツは!」

「え?……あぁ、箒は知らないんだったな。箒が転校した後、入れ替わりで入ってきたんだよ」

「い、入れ替わり……?」

 

 盛 り 上 が っ て ま い り ま し た

 

 修羅場だよ修羅場。俗に言う三角関係だよ。ちょっと違うけどまぁいいや。

 初めて見たお約束のような展開にオラワクワクすっぞ。

 自分で言うのもなんだがクズだなぁオイ。

 

「だ、誰よアンタ!一夏とどういう関係よ!」

「私は一夏の幼馴染だ!」

「それを言うなら私だって!」

「「ぐぬぬぬぬぬ……」」

 

 デコを突き合わせて睨み合う二人の美少女。

 側から見れば割と微笑ましい光景……あヤッベ。

 

「おーいお二人さん、その辺にしとかないとそろそろ……」

「何だ!」

「何よ!」

「授業だ馬鹿者共」

 

 スパパァン、と二連続で良い音が響いた。

 先生自慢の出席簿アタックを食らった二人は頭を抑えて涙目になっている。

 ……そんなに痛いのだろうか。一度食らってみたい。

 いやそんな趣味は無いけども。興味本位って奴?

 

「痛った……って千冬さん!?」

「織斑先生、だ」

「きゃうっ!」

 

 スパァン、と更にもう一発。

 変な声を上げて鈴さんとやらは撃沈。

 あ、箒さんが嬉しそう。

 

「篠ノ之、お前は早く席に着け」

「あうッ!」

 

 結局二人とも二発食らったな。

 喧嘩両成敗と言うかなんと言うか。

 ちなみに俺をはじめとしたクラスの全員はとっくに席に着いていた。

 危機察知大事。

 

「うぅ……また後で来るから!待ってなさいよ一夏!」

 

 言い終わるとまた叩かれるのを恐れたのか、ダッシュで逃げて行った。

 走る姿美しい。あ、ツインテールの話ね。

 

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

「代表候補生?お前がか?」

「そうよ!驚いた?」

 

 時は流れて昼休み。

 食堂では俺、一夏、箒さん、セシリアといういつものメンバーに鈴さんが加わり、席が賑やかになっていた。

 いつの間にかこの四人で食うのが当たり前になっていたので、若干新鮮だ。

 

「凰鈴音……確かに中国の代表候補生リストに載っていますわ。半年前に見た時は居なかったと思いましたけど……」

「そりゃあそうよ。だってあたしがIS乗り始めたの中三からだし」

「「「「ハァ!?」」」」

 

 え、たったの一年で代表候補生入り?

 うせやろ?

 

「な、貴女、一年で代表候補生になったと言いますの?!」

「結構大変だったけどまぁ、やっぱり才能かしらね?」

 

 ちなみにIS適性はAだそうだ。

 元々の才能に加えて相当な努力をしたのだろう。

 

「なんつーか……さっきはスマンかったな。ネタとは言え初対面の人に」

「別にあれくらい気にしないわよ。と言うか、私としてはあんたの事も聞きたいんだけど」

「あー……」

「うん……」

「な、何よ四人とも。あたし変な事言った?」

「いや、何と言うか……」

「いつも通りの流れだなぁ、と」

「……?良いから話しなさいよ」

「はいはいかくかくしかじか……」

 

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

「えっと……突っ込みたいところはいくつもあるけど黙っとくわ」

「そうして貰えると助かる」

 

 もはや慣れた自分の境遇の説明(ほぼ大嘘)を終えると、まぁ予想通りというかなんというか、微妙な顔をされた。

 いつもの事である。

 

「そういや二年前にそんな事もあったわね……忘れてたけど」

「まぁ顔だけしか報道されてなかったしな。そこは助かった」

「にしても何で咲が疑われたのか未だに謎なんだよな……」

「そこは俺も気になってるんだがなぁ……あ、この話したっけか?この間……」

 

 

 

 

 

 

―回想―

 

「織斑先生、今いいですか?」

「ん?あぁ茅野か。どうかしたか?」

「いや、俺の入学初日の時の事覚えてます?」

「……あぁ、覚えている。本当に「それはもういいですって」……うむ」

 

 一夏との模擬戦の少し前の話だ。

 俺は授業終了後に先生の元へ向かい、少し話をしていた。

 

「あの時言ったことは……覚えてますか?」

「?どの事だ」

「あの場にはお前しか居なかったっていう……ホラ、校門の前で」

「……あぁ、思い出した。確かにそんな話をした記憶が……ある……?」

「?どうかしたんですか?」

「いや、確かに覚えてはいるのだが……妙だ」

「と言いますと?」

 

 その後聞いた内容に不可解な点がいくつもあったのだ。

 まず二年前の事件の時、現場には俺以外の人間が居た痕跡が無かったということ。

 この時点で色々おかしい。俺は確かに奴らを縛っておいたし、1人はストレス発さ……個人的な都合でボコボコにした筈なのだ。

 残党がいたとしたらISに反応が出るだろうし、やはり妙である。

 

 そして次、これが一番おかしいのだが、先生は事件後に一夏と話した内容を覚えていないと言うのだ。

 入学初日に聞いた時に口を濁したのはこれが原因だったらしい。

 本人も何故忘れているのかが分からないと言う。

 記憶操作……この人に効くとは到底思えないんだがなぁ……

 

 そして最後に、あの初日の異様なまでの俺への敵対心。

 今にして思えば、何故お前があそこまで憎かったのかが分からない、との事。

 冷静に考えたら分からない事だらけで、先生も俺も混乱したのだった……

 

―回想終わり―

 

 

 

 

 

 

「……すまん、話がぶっ飛びすぎてて何が何だか……」

「だよなぁ……俺もそう思う……」

 

 ポカンとしている女組はさて置き、この問題についての答えは一応考えている。

 一つ、織斑先生が何者かによる精神攻撃を喰らい、記憶操作を行われた。

 恐らくこれが一番可能性が高いのだろうが……どうしてもあの人に精神攻撃が効くビジョンが湧かない。ダブル本編でも精神攻撃が効かない特異体質の刑事が居たわけだし。

 

 そして二つ、織斑先生が俺を騙し、かつ命を狙っているという可能性。

 まぁこれに関しては完全にネタの域だ。もしこれが当たっていたとしたらとっくに俺は死んでいる。

 

 精神攻撃がもし効くとしても誰が、何の目的で、どんな手段を使ったのかとか色々疑問は尽きないわけだがとりあえず……

 

「おーい、起きろお三方—」

「「「……ハッ!」」」

 

 女組に声をかけると、ようやくポカンとした顔から普段の顔に戻った。

 やれやれである。

 

「……って咲さん!?こんな話私たちにしても良かったのですか!?」

「いやまぁ、ここに居るメンバーで他人に喋るような人いないだろうし」

「ま、周りの連中はどうするのだ……間違いなく聞かれて……あれ?」

「あぁそこは心配いらん。このテーブルの周りの音を遮断するようにしてある」

「魔力的な何某、ねぇ……。まぁ本当に聞こえてないみたいだし、信じるしかないわね」

 

 ちなみにこれは束との修行で身につけた能力だ。魔力的な何某バンザイ。

 応用が利く超能力は本当に便利である。

 もっともこれがどういう理屈なのかは皆目見当もつかないが。

 その内サイコキネシスとか使えるようにならんかね?

 

「さて、とりあえず今の話は覚えておいてくれ。同じ様な事が起こらないとも限らないし」

「え、えぇ……」

「あぁ……」

 

 微妙な空気になってしまったがまぁ、警戒は大事だ。

 何と言ってもここは二次元の世界。敵の組織が居るっていうのがお約束だろう。多分。

 空気を悪くしてしまったことに若干の罪悪感を感じつつ、少し伸びてしまったラーメンを啜るのだった。

 




一先ず今年の投稿はこれで締めとなります。
ここまで読んでくださった方々、どうか来年もよろしくお願い申し上げます。
それでは、良いお年を。
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