ここしばらく行き詰っていました。
若干長くなりましたが、どうぞ。
「模擬戦するわよ!」
「「へ?」」
部長による投げっぱなしジャーマンを食らった次の日、休み時間になると鈴が一組にやってきた。
この光景も見慣れたもので、クラスのみんなは少し注目したくらいで直ぐに元の姿勢に戻っていた。
「だから模擬戦!あたし今日アリーナ取ってあるんだけど、アンタ達もやるでしょ?」
「貴女が神か」
「ひゃっ!?ちょっ、手掴むんじゃないわよ!」
「っと、スマン」
テンションが上がり、つい鈴の手を掴んでしまった。
ここ最近めっきり変身していないのが原因なのか、俺はフラストレーションが溜まりに溜まっているのである。
昨日の部長との組手も中途半端に終わってしまったし、そろそろ暴れた……
「フンッ!」
「ちょっ!何やってんだよ咲!」
「いや、少し自分に嫌気が差した」
「ご、ごめん、あたしそんなつもりじゃ……」
「あぁ鈴は関係無い。気にすんな」
思い切り机に頭を打ち付けると、一夏が慌てたように話しかけてくる。
どうやら自分が手を振り払ったのが原因だと思っているらしい鈴はひたすらオロオロしていた。
タイミングが不味かったな。
(何が暴れたいだよ……この前の事をもう忘れたかこのポンコツ。駄目人間)
心の中で思いっきり自分をこき下ろすと少し落ち着いた。
「ほら、もう休み時間終わるぞ鈴。また出席簿食らいたいのか?」
「ん〜〜……とりあえずまた昼休みに来るから!」
「へいへーい」
「気にしてないからー!」
「わーかったから早く行け」
ドアのところまで行ったところで念を押すように叫ぶ鈴。
お前が原因ではないと言ってもあの様子では聞かないだろうし、もうそのままにしておく。
サッパリした性格の女性というのは良いものだ。
……最近思考がオヤジ臭くなってないか?
「諸君、席に……どうした茅野?」
「え?あ、何でもないッス」
「……?まぁ良い、授業を始める。今日はーー」
◆ ◆ ◆
「……なんでアンタも居るのよ」
「何だ、私が居ては不満か?」
「……まぁ良いけど」
「あいつら何睨み合ってるんだ?」
「さぁな。自分の胸に聞いてみろ」
「……?」
放課後のアリーナでは、俺と一夏、鈴に加え、何故か箒さんとセシリアもISスーツに着替えて立っていた。
というかピンクのISスーツなんてあるのか。
鈴の身長と相まってなんともまぁロリロリしい……
「誰が小学生か!」
「まだ言ってない」
中国では読心術でも流行っているんだろうか?
「で、箒さんとセシリアは何故ここに?」
「あぁ、二人は俺が呼んだんだよ。大勢でやった方が色々経験できるだろ?」
「いやまぁ、セシリアはいいとして……箒さん、打鉄の使用許可は?」
「と、取っていない……」
「あっ」
「……誘うのはいいが、もう少し考えたほうが良かったな。一夏」
「す、スマン箒……」
まぁ見学だけでも学べる事はあるだろう。
箒さんはアリーナの端っこの安産な場所に移動し、俺たちは一斉にISを装着する。
一瞬で装着を完了した三人に対し、俺は大幅に遅れていた。
仕様上仕方のないこととはいえ、何か対策を考えないとコレはマズいかもしれない。
装着に手間取ってやられたー、なんてシャレにならん。
「あんたのISって変わってるわね……て言うか面倒臭くないの?いちいち着けたり入れたりして」
「ろ、ロマンだよロマン……行くぞジャーヴィス」
『了解』
【Cyclone!】
【Joker!】
『「変身」』
【Cyclone!Joker!】
肉体の変化する感覚と共に変身完了。
久しぶりだからか若干体が動かしづらいが、じきに戻るだろう。
「……ねぇ、それってもしかしなくても仮面ライダー……よね?」
「流石鈴ちゃんお目が高い。確かにモチーフは仮面ライダーだ。初代リスペクトのな」
「いや普通に放送されてても違和感無いわよコレ……」
「?お二人とも一体何の話を……」
「放っておこうぜ。ところでこの前のリベンジがしたいんだけど……」
「あら、奇遇ですわね。わたくしも貴方ともう一度戦いたかったんですの!」
特撮談義を続ける俺と鈴をよそに、一夏とセシリアは上空でバトルを始めてしまった。
偶にレーザーが飛んできて少し危ない。
「っと、話はまた後にしようぜ。今は……」
「ええ、見せてもらうとするわ……仮面ライダーの力!」
こちらも戦闘開始だ。
とはいえ今日は模擬戦、後日あるクラス対抗戦の事もあるし、お互いの能力確認が主になるだろう。
だから流石に最初っから本気では来な……
「ラァッ!」
「うおぉう?!」
いと思っていた俺が甘かった。
二振りの大型の青龍刀、双天牙月と表示されているそれの攻撃を紙一重で躱し、大慌てで距離を取る。
「ちょっ、いきなり飛ばしすぎだろ!?」
「あら、悪い?」
「いや悪かねぇが……それならこっちも全力で行かせてもらうぜ!ジャーヴィス!」
『了解』
【Cyclone!Trigger!】
ボディサイドをトリガーに変更し、風の弾丸を連射しつつ接近する。
――が。
「生憎だけど……それはアタシの専売特許よ!」
「何を……ぐあッ!」
何をされたか分からなかった。
俺が撃った弾丸が何故か全て叩き落とされ、俺自身も謎の攻撃で後方に吹き飛ばされる。
「ジャーヴィス、アレは何だ!?」
『解析完了、固有名称、龍砲。空間を圧縮する事で不可視の砲身と砲弾を作り出しています。更にハイパーセンサーに感知されないような仕組みになっているようです』
「それなんてチート……?」
戸惑っている間にも不可視の砲弾は絶え間なく俺を襲い、とにかく逃げる事に手一杯になった。
「クッソ……何か手は…………!アレだ!」
『……了解。ご武運を』
作戦を決定すると即座に急降下し、地面スレスレを飛び続ける。
後ろから地面を抉る空気砲の音が聞こえてくる中、メモリを交換しある武器とメモリを構える。
「土煙を上げて身を隠そうったってそうは……」
【Steam!】
「?今の声って……ってハイパーセンサーが……!」
「貰ったァ!」
【Electric!】
「なっ……キャアッ!」
突如起こったISの不具合に困惑している隙に、赤と銀で彩られた剣の一撃を決める。
電気を纏った剣はそれなりのダメージを向こうに与えてくれたようだ。
「よっし作戦成功!」
『お見事です』
「ちょ、ちょっと待って!何よ今の!てかいつの間にか色も変わってるし!」
「……聞きたいか?」
「聞きたい!」
まぁ秘密にするほどの事でもないので、素直に教える。
「まずこの色が変わったのはメモリを変えたからなんだが……今回使ったのはコレだ」
【Accel!】
「アクセル……加速?」
「そう、アクセルメモリは加速の記憶を内包している……そんな顔すんなよ」
「いや記憶の内包とかいきなり言われても……」
「ま、まぁとにかく、コレで飛行速度を底上げして、コッチを使った」
【Engine!】
「エンジンって……まさかそれはエンジンの記憶がー、とか言わないでしょうね」
「コイツはギジメモリっつってまた別のモンだ。で、コイツは三つの能力を使えて……」
長くなったので割愛。
要するにスチームによって発生させた蒸気で認識を撹乱させ、土煙と合わせて俺の居場所を感知されないようにしたのだ。
あとは目にも留まらぬスピードで突っ込んで斬るだけ。
アクセルの武装としてエンジンメモリとエンジンブレードが有る事は事前に知っていたが、スチームを使った際に出る蒸気にジャミング能力があるのは最近知った事だったので試しにやってみたら大成功、というわけだ。
「それなんてチートよ……」
「敵の妨害は基本だ。古事記にもそう書いてある」
「ぐぬぬぬ……悔しいからもう一回!今度は食らわないわ!」
「オーケィ!」
「「START,YOUR ENGINE!」」
俺がペプラーさんボイスで言うと案の定乗ってきた。
やはりコイツとは良い友達になれそうだ。
◆ ◆ ◆
「ハァ……ハァ……も、もう無理……」
「き、今日はこの辺にしといてあげるわ……って言いたいけどアタシも限界……」
およそ一時間ぶっ続けで戦い続けた頃、体力とSEが同時に尽きた俺たちはアリーナに倒れこんだ。
辺りは俺の飛ばした斬撃や鈴の飛ばした砲弾で荒れまくり、この後に片付けをしなければいけない事を思い出して軽くげんなりした。
「二人とも何やってんだよ……」
「いやぁ、脳細胞がトップギアで……」
「訳わかんないこと言ってないで片付けようぜ。俺も手伝うから」
「わたくしも手伝いますわ」
「二人ともサンキュー……」
「ありがと……」
そういえば一夏とセシリアは上空で戦っていたが、決着はついたんだろうか?
とりあえず今は寮の門限に間に合わせるべく、大急ぎでアリーナの穴埋めをする俺たちだった。
エンジンメモリのジャミング能力は何となく思いついたのを書いてみました。
対ISで目くらましは通用しないので。
そしてまたしばらく更新が滞るかもしれません。
これも全部学年末テストって奴の仕業なんだ……