大丈夫明日は休みだし明後日の科目は……
……これ死んだんじゃね?(白目)
そんなこんなでクラス対抗戦当日。
1組から4組までのクラス代表は一箇所に集められ、クジを引かされていた。
箱の中には1〜4までの数字が書かれた紙が入っており、それによって短いトーナメント方式を組むのだという。
全員が引き終わると結果が発表され、アリーナのモニターと目の前にあるモニターの両方にトーナメント表が表示される。
俺の相手は……って嘘ぉ……
「まさか初っ端から当たるとはな……」
「決勝戦で当たったら面白かったのに、ツイてないわね」
「……」
俺と鈴の隣では、3組と4組の代表の子たちが互いに何か話し合っていた……というより3組の子が一方的に話しかけてるだけか。あれは。
つか4組の子よく見たら派手……いや地味……?
纏う雰囲気は落ち着いた感じで、図書館に居そうな眼鏡っ子なのだが……髪が水色だ。
まぁ紺色の髪の人だっているわけだし、水色がいてもおかしくはないだろう。
それにしてもあの髪の色どっかで見たような……
「……駄目だ、思い出せん」
「どうかした?」
「いや、大したことじゃねえよ」
駄弁っていると山田先生から声がかかる。
「お二人とも、そろそろピットに移動してくださいね」
「ウイッス。じゃあまた、アリーナで」
「この前みたいにはいかないわ!」
鈴と拳を合わせ、互いにニヤリと笑う。
趣味が合うこともあってか俺と鈴の関係はかなり良好だ。
もちろん友達として。
◆ ◆ ◆
「……さてジャーヴィス、今日の作戦は分かってるな?」
『問題ありません』
「よぉし……目にもの見せてやろうぜ。【Luna!】」
『了解。【◯◯◯◯◯!】』
「『変身』」
今日は最初から変身を使うわけではないが、お約束として口に出して装着する。
左右で若干の違いはあるもののほぼ黄色で統一されており、ショルダーアーマーや
「さて……装着も完了したところでそろそろ突っ込んでいいか?」
「どうした咲?」
「どうしたじゃねえよ!なんでお前がここに居んだ一夏!」
このピットって関係者以外立ち入り禁止じゃなかったか?
どうやって入り込んだんだコイツ。
「しかもさり気なくセシリアも箒さんも居るし……」
「わ、私は一夏に着いてきただけだ!」
「セシリアは?」
「わ、わたくしは……その……勉強ですわ!咲さんのISについては分からないことだらけですし!」
「お、おう……そうか……」
若干顔を赤くして叫ぶセシリア。
勉強熱心なのがバレるのが恥ずかしいんだろうか?
『……唐変木』
「何か言ったかジャーヴィス?」
『いいえ、何も』
「……?」
「全く、見当たらないから何処にいるかと思えば……」
「げっ」
通用口から鬼……いやちっひ……間違えたちっふ
「茅野、後で職員室に来い」
「謹んでご遠慮させていただきます、サー」
なに?中国だけじゃなくて日本でも読心術が流行り始めたの?
俺が時代に取り残されてるの?
「ピットは立ち入り禁止だ。職員用の部屋に特例として入れてやるからついて来い」
「あ、ありがとう千冬姉!」
「織斑先生だ」
箒さんもセシリアも怒られるのが怖いのか、素直に先生についていく。
「まぁ、その……負けるな、茅野」
「応援していますわ、咲さん」
「鈴も応援したいけど……同じ1組として、俺の分まで戦ってきてくれ!咲!」
「……あぁ、行ってくる!」
これぞ青春よ。
3人の心強い応援を受けた俺は、カタパルトによって勢いよくアリーナへ飛び出していく。
上空にはすでに鈴が待ち構えていた。
「女の子を待たせるなんていい度胸してるじゃない!」
「ハッ、ヒーローは遅れてやって来るんだよ!」
「自分でヒーローって言ってるようじゃ底が知れるわ!」
試合開始のコールが鳴る。
と同時に鈴が空気砲を撃ってくる……ここまでは想定通りだ。
急上昇することで初撃を躱し、アリーナの周囲に貼られているシールドが衝撃で揺れる。
「へぇ、見えないのに回避するなんてやるじゃない」
「この前のアレで大分痛めつけられたからな……今度はこっちから行かせてもらうぜ!」
【Luna!】
「え?ちょ、まさか……」
「そのまさかだ!」
【Luna!Maximum Drive!】
ベルトからルナメモリを引き抜き、マキシマムスロットへ叩き込む。
これも作戦のうちだ。
「初っ端から必殺技ってわけね……燃えるじゃない!」
「(計画通り)」
『咲様、顔が』
自分の思っていた通りの鈴のリアクションに、思わず某新世界の神のような笑みがこぼれる。
だがここからが本番なのだ。慎重に行こう。
「合わせろよジャーヴィス!」
『了解』
「二人の息を合わせた必殺技って……〜〜〜ッ、ますます燃えるじゃない!受けて立つわ!」
「その意気や良し!でもって食らいな!」
マキシマムスロットのスイッチを叩き、エネルギーを腕に集中させていく。
両手首を合わせた、某野菜人の王子の必殺技のポーズを取り、凝縮された光弾を放つ。
必殺技名は事前にジャーヴィスと相談済みだ。
「『ルナティック・ファンタズマ!』」
「何だか知らないけど、その程度のエネルギー弾があたしに通……用……?」
獲物を構えた鈴を他所に、光弾は見当違いの方向へと飛んで行く。
黄色い光の軌跡を残しながら、俺と鈴の頭上10m程度のところでピタリと止まった。
「な……何のつもりよ!まさか失敗とか言わないでしょうね!」
「とんでもない、大成功だ。そしてこれで……」
『仕上げです』
ジャーヴィスが右手を操作し指を鳴らすと、光弾が弾け光の粒が辺り一面に降り注ぐ。
「さぁ、ショータイムだ……精々足掻いて見せよ、雑種!」
「何処の金ぴかと魔法使いよあんた……って、え?」
しっかりとネタには突っ込んだ後で自分の周囲を見渡すが、もう遅い。
アリーナには大量の俺の分身体が生まれ、全員が鈴の方を向いて構えているのだ。
予算は大丈夫なのかって?この世界にそんな縛りは無い。
「なっ……で、でもこのタイプの分身は攻撃すれば消えるか、本体へのダメージがとんでもなくなる筈……」
「あぁ、確かに一発でも攻撃を食らうか、少しでも擦れば消えちまう。だが――」
『当たるまでは実体があります。ご理解いただけましたか?』
「……冗談よね?」
まぁ弱点はしっかりあって、増やせば増やすだけ消費SEと俺の体力消費量が増えるんだが……黙っておこう。
「生憎だがこれが現実だ。さぁ、一人ライダー大戦開幕と行こうか!俺の数を数えろ!」
「いっ…………やーーーーーー!!!!」
無数の俺の手から放たれる光弾の波に鈴が飲まれる、その瞬間。
ガラスの割れるような音と共に、空から黒い何かがアリーナの地面へ激突し、分身体を光弾もろとも吹き飛ばした。
あまりにも唐突すぎたその光景に一瞬思考が止まるが、直ぐに再起動して鈴を探す。
「鈴!無事か!」
「な、何とかね……て言うか今あたしやられる寸前だったし、ある意味吹き飛ばされて助かったわ」
「お前、なんつーか……
「お喋りは後にしましょう。――来るわ」
◆ ◆ ◆
アリーナの制御室内で彼らを見守る一夏たちは、突然の出来事に動揺を隠せずにいた。
「な、何だ今のは……」
「咲さん!鈴さん!」
「咲!」
友の名を呼ぶが、モニターには砂嵐しか映らない。
「お、織斑先生!アリーナのシステムがハックされています!内部に干渉できません!」
「何……?くっ、とにかく山田先生は観客席へ避難警告を。私は上級生部隊に招集をかける」
「はい!」
目の前では大人達が忙しなく動いているのに、自分はただ固まっている。
このままで良いのか……?いや、良い筈がない。
気付いた時には一夏は走り出していた。
「一夏!」
「一夏さん!」
「戻れ織斑!」
引き止める声は歩みを止めるには至らず、一夏はアリーナへと繋がる廊下を走って行く。
「頼む二人とも……無事でいてくれ……!」
後に世界最大の事件とも呼ばれるようになるその発端が、今、動き出そうとしていた。
さて、ここから原作ともリメイク前とも大幅に違った展開になる……筈です。多分。
乞うご期待。
次回は多分一週間と少し後くらいになると思います。頑張ります。