AtoZの所持者≪改≫   作:GENERAL

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UA40000、お気に入り300件越えありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!
そして遅れて申し訳ありませんでした!
……幻想戦艦を沈める仕事なんてしてませんよ?


第40話 赤と黒が合わさり最強に見える

「――さて、今日は二組との合同授業だが……」

「先生、織斑くんたちが……」

「「滑り込みセェェェェフ!!!」」

「……今来ました」

「チッ、早く並べ」

「生徒に舌打ちってどうなんスか」

「何のことだかな」

 

 無事に先輩方の追っ手を振り切り、授業である。

 ちなみに更衣室でも一悶着あり、無駄にコミュ力のある一夏がデュノアさんに話しかけまくったせいで少し遅れてしまった。とりあえず一発入れて大人しくさせたが、あのままいったらセクハラで捕まってたぞコイツ。

 あれ?今はデュノアさん男扱いだから大丈夫なのか?

 いやそれはそれでお腐れ様の餌食になるな。

 

「ごめんね、僕のせいで遅れそうになっちゃって……」

「いやアレは一夏のせいだろ。な?」

「わ、分かった分かった、俺が悪かったって……」

「ほら本人もそう言ってる」

「う、うん……」

 

 申し訳ございません。このような主人公で。

 ニーサンはお帰り下さい。

 まぁとりあえずこの子は放っておいて大丈夫だろう。

 どうやら胸部装甲はほとんど無いらしく、まぁ言ってしまえばぺたん娘だ。

 これならバレることもあるまい。

 下半身は知らんが。

 

 出席簿の記入がまだ終わっていないらしい先生を尻目に、ラウラに声をかける。

 

「ラウラ、何か変なことされなかったか?」

「む?特に何もなかったぞ?ここは人の良い生徒が多いようだ」

「あー、茅野くんひどーい」

「あんたらは普通におもちゃにしかねないでしょうが」

「くっ、確かにモフモフさせてもらったけど……」

「おいコラ」

 

 しっかり手出しされてた。

 まぁラウラの言う通りこのクラスは良い人が多い。

 と言うか全員(・・)善人(・・)なまである。

 ……そこ、寒いとか言わない。

 

「よし。ではまず、専用機持ちに戦闘を実演してもらう」

「えぇ……」

「何だ茅野、不満か?」

「別荘もございません」

 

 実際俺は別荘なんて持っていない。

 いやそんな事はどうでもよくて。

 

「専用機持ちっつってもこの場には……あれ、デュノアさんそれ……?」

 

 さっきまであまり気にしていなかったが、そういえばデュノアさんはネックレス……ペンダント?とりあえず首にかけるタイプの待機状態の専用機を持っているようだ。

 

「うん、一応僕の専用機だよ。と言っても、ラファールのカスタム機なんだけどね」

 

 他の女子たちからどよめきが起こる。

 専用機持ちってのはそれだけでかなりのステータスになるからな。

 

「んじゃあデュノアさん含めて六人か」

「え?俺と咲と……五人じゃないのか?」

 

 そういえばコイツは知らないんだったか。

 

「ラウラも専用機持ちなんだよ。ドイツ軍IS部隊って言っただろ?」

「そういうことだ」

「へぇ……一度手合わせしてみたいもんだな」

「やめとけ、負けるぞ」

「なっ、やってみなくちゃ分からないだろ!?」

「仮にお前がラウラにダメージを与えたら、その時は俺がお前を倒しに行く」

「えぇ……」

「話を続けるぞ」

 

 スパパァン、と二連続で音が響く。

 俺と一夏だけで何故デュノアさんは叩かれないのか。コレガワカラナイ

 

「専用機持ち全員ではない。そうだな……ではボーデヴィッヒ、茅野」

「はっ」

「うっす」

「二人にはこれから山田先生と……」

 

 そこまで喋った先生が口を閉じ、上を見上げる。

 釣られて俺たちも見ると、青い空から何かが落ちてきていた。

 

「あ、あれは何だ!」

「鳥か!」

「飛行機か!」

「いや、山田先生だ!」

「ギャグやってないで避けなさいよアンタ達!」

 

 同志たちといつものようなやりとりをしていると、すでに退避済みの鈴から鋭いツッコミが入る。

 とは言えアレは受け止めないとマズいだろう?

 

「ラウラ、サポート頼む」

「了解した」

 

【Cyclone!Joker!】

 

 俺とラウラは一秒足らずで装着を終え、俺は空へと飛び上がる。

 そのまま落ちてくる先生をキャッチして……

 

「ラウラ!」

「はァッ!」

 

 ラウラが俺の方向に手をかざすと、落下の勢いが弱まり、そのまま止まった。

 ゆっくりと地上に下ろすと、山田先生にぺこぺこと頭を下げられる。

 

「すいません、すいません……」

「いや、礼ならラウラに言ってください」

「ボーデヴィッヒさん、ありがとうございます!」

「いえ、大したことでは」

 

 そんな俺たちの事を、1組と2組の生徒たちはぽけーっと眺めていた。

 

「何あの空気……」

「これが夫婦か……」

「勝てない(絶望)」

 

 最後の方はともかく、俺とラウラの連携に皆驚いているようだ。

 伊達に何年も一緒に訓練しているわけではないのだよ。

 と言うか二人の連携能力を高めないと閣下に指一本触れられなかった。

 今でも不意打ちくらいしかマトモに当たらない。

 

「静かに!山田先生、お話は後でじっくりとさせていただきますので、授業を」

「は、はいぃ……」

 

 なぜだろう、織斑先生の背後に白い悪魔が見えた気がする。

 ついでに魔法少女の服を着た先生の姿も想像してしまったが、一瞬でかき消した。

 

「さて、では今から実演してもらうわけだが……茅野はワンオフ無しで戦ってもらう」

「……分かりました」

 

 そりゃあそうか、既存のISとかけ離れた姿じゃ参考にならないものな。

 

「山田先生はこれでも元代表候補生だ。油断はしないように」

「あの操縦で……?」

「さ、さっきのは事故です!」

 

 事故なら仕方がないな。

 

「では、始め!」

 

 織斑先生の一言で、俺たちは一斉に空へ飛び上がる。

 ラウラは山田先生の後ろに、俺は前に。

 地上に目をやると、どうやらデュノアさんがISについての解説をしているらしい。

 流石は社長令嬢というべきか。

 

「余所見してていいんですか?」

「ええ、優秀な味方がついてるんで!」

 

 山田先生はサブマシンガンを取り出し、牽制のように撃ってくる。

 軽くかわすと、ラウラにプライベート・チャネルを……いや、ここは普通に話すか。

 

「ラウラ!生身じゃないがプランCで行こう!」

「アレを先生相手にISでか……?まぁ良い、了解した」

「ぶ、プランCってなんですか!?」

 

 どうやらご存知ないらしい。

 某ペットな彼女が言っていたのを知らないのだろうか?

 

「作戦コード『屠る』……始めようか」

『了解』

 

【Accel!Bird!】

 

 メモリを交換し、全身が真っ赤なボディへと変わる。

 左右で若干の違いはあるものの、まぁ真っ赤と言っていい。

 

「な、何だか怖いですけど、そう簡単にやられませんよ!」

 

 そう言い放つと、山田先生は両手に銃を持ち、俺に向かって更に追撃を始めた。

 何発か当たったが大したダメージではないので、続行。

 

「さて、行きますかね!」

 

 右手にエンジンブレード、左手にはバードメモリの固有武装、バードスラッシャーを構える。

 片方だけのメカメカしい翼のような形をした高周波ブレードで、かなり使い勝手の良い武器だ。

 マキシマムスロットが付いていないのが残念なポイントだが。

 

「二刀流ですか……っと!」

「ふむ、やはり躱されるか。流石は教員といったところか?」

「ワイヤーブレードは避けられるのに地面は避けられない、と」

「も、もう忘れてください……」

 

 流石は元代表候補生。

 背後からのラウラの攻撃にもしっかり反応して見せた。

 だがもう遅い。

 ラウラのこの攻撃はただの合図に過ぎないのだから。

 

「いっ……」

「せぇ……」

「「のっ!」」

「わわっ、二人同時!?」

 

 前と後ろから同時に攻め込む。

 山田先生は言葉では慌てているが体はしっかりと動き、銃口が俺たち二人を同時にを狙っている。

 そう、それでいい。

 

「今だ!」

 

【Accel! Maximum Drive!】

 

 アクセルメモリをマキシマムスロットに叩き込み、全身に紅蓮のオーラを纏う。

 音速に耐えるためか、身体が若干変質したような気がした。

 とりあえず今は気にせず、超高速で山田先生の周りを飛び続ける。

 黒い砲身が自身を狙っていることに先生は気付いていない。

 

「あ、あれ?攻撃してこな……!しまっ――」

「もう遅い!」

「破ァッ!」

 

 レーゲンの大型レールカノンから放たれた弾丸は確実に山田先生を捉えた――

 かと思いきや、先生は持っていた銃を犠牲にして弾丸を弾いて見せた。

 確かにあれならIS本体へのダメージにはならない。

 しかしあの速さの弾を弾くか……

 

「……まぁ、そこも織り込んでますけど、ねっ!」

「へ?きゃあっ!」

 

 俺が高速で飛び回っていたのは、この弾丸をまた弾き返すためだ。

 蹴り返し、弾かれ、蹴り返し、弾かれ。

 6回ほど繰り返したところで、とうとう先生の武装が尽きた。

 弾丸を思い切り蹴り飛ばし、その後に二刀を構えて追従する。

 

「さぁ……振り切るぜ!」

『「シュヴァルツェアエース!」』

 

 レールカノンをモロに食らって仰け反った先生を、「A」を描くように斬りつける。

 若干涙目になっていた先生を斬るのは抵抗があったものの、勢いは全く弱めなかった。

 合体技って気分が高揚するじゃないですか。

 

「あー……そこまで。二人とも降りてこい」

「「了解」」

「うぅ……生徒相手に完封されるなんて……あの子がいれば……」

 

 何はともあれ実演は終了だ。

 若干呆れ気味の先生に呼ばれ、俺とラウラは地上へと降りていった。

 




お気に入り300件突破ということで、番外編のネタとか募集しています。
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投稿ペースに関しては……努力します。

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