AtoZの所持者≪改≫   作:GENERAL

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タイトルに偽り無し。
いやまぁ、うん。説明回です。
多分。


第5話 説明

 私の名はクラリッサ・ハルフォーフ。

 17歳だが、こう見えてドイツ軍特殊部隊の隊長を務めている。

 階級は中尉だ。

 

 17年生きてきた私だが――

 

「あゝ……此処が天国か……」

 

 空から男の子が降ってきたのは初めての経験だ。

 

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

 話は数時間前に遡る。

 私は部屋で書類を片付けていた。

 隊長に任命されたのは最近な上に、そもそもシュヴァルツェ・ハーゼ(この部隊)自体発足して1年も経っていないのだ。

 訓練以前に片付けなければいけない仕事は山ほど残っていた。

 そんな時だ。

 

「親方!空から男の子が!」

 

 部屋に飛び込んできたのは、臙脂色のショートカットがよく似合う活発な少女、ヴァネッサ・アウデンリートだった。

 彼女はこの部隊のムードメーカーであり、いつも笑顔でいる。

 この明るさはある意味才能と言えるだろう。

 

 だが今は訓練中だった筈だ。

 確かに先程の休憩時間にアニメ映画を見せていたが、訓練を放り出してまで台詞を言いに来るとは……

 

「何を馬鹿な……ラ◯ュタを観たばかりでネタを言いたい気持ちは分かるが、現実にそんな事は「良いから早く!お姉様!」分かった分かった……引っ張るんじゃない」

 

 あまりに必死そうな顔に違和感を感じ、手を引かれて外の訓練所に連れて行かれる。

 

 そこでは隊員全員(と言っても私含めて5人しか居ないが)が上を向いて口を開けており、その視線の先には…

 

「……馬鹿な……」

 

 ――男の子が落ちてきていた。

 ……男の子が落ちてきていた。

 何を言っているのか分からないと思うが、私も何が起きているのか分からない。

 

 しかも落下速度が異様に遅く、明らかに重力に従っていない。

 

 と思えば糸が切れたかのように落下速度が増し、隊員の1人に抱きとめられる。

 

「お、お姉様、この子……」

「分かっている。直ちに救護室へ」

「了解」

 

 男の子を抱き抱えて走っていく隊員を見送ると、未だに口を開けっぱなしの隊員に指示を出す。

 

「今見たことは私達だけの秘密だ。いいな?」

「「り、了解」」

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

 訓練終了の時間になると、書類仕事をキリのいいところで終えて救護室に向かった。

そして部屋に入ったところで……

 

「あゝ……此処が天国か……」

 

 冒頭に戻る、という訳だ。

 どうやら日本語で寝言を言っているらしい。

 

「様子はどうだ?」

「見た所怪我も無く健康体そのものでした。先程からからずっと寝たままです」

「ふむ……」

 

 考えられる可能性としては……スパイ、手の込んだ育児放棄、只の悪戯……スパイと考えるのが一番現実的だが、それにしては無防備すぎる。

 

 そもそも空から男の子が落ちてくるって何だ。

 冷静に考えて色々おかしいだろ。

 

 とりあえず今はこの子が起きるのを待つ他無いようなので、椅子に座って寝顔を見つめ続ける。

 

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

 ――茅野咲は悩んでいた。

 落下中に気を失いはしたものの抱きとめられた時点で目を覚ましていたのだが、起きるタイミングを完全に見失ったのだ。

 そもそも日本語で話していなかったというのも起きる事が出来ない理由の一つである。

 

 薄目で確認した二次元初の人の顔はとても美しく、元の世界に存在すればどんな女優も霞んで見えるに違いないと確信できるほどだった。

 思わず変な事呟いちゃったし。

 

 だがここで一つの疑問が生じる。

 何故自分は二次元を認識できている?

 確かに自分は二次元の世界に来た筈なのだが、先程の人の顔や建物などは明らかに三次元として捉えられていた。

 

『知りたい?』

『突然話しかけてこないでくれよ飛び起きるだろ……』

 

 寝ていると頭の中に神様の声が響いてきた。

 脳内会話が出来るのは便利だが、いきなり話しかけられるとかなり驚く。

 

『いやー色々説明不足だったのを忘れててさ……とりあえず順を追って話すよ』

『……了解』

 

言いたい事はあるが、一先ず黙って話を聞く事にする。

 

『まず何で死なずに済んだかだけど……これは僕が助けた。人間が高い所から落ちたら死んじゃう事をすっかり忘れててさ』

『それうっかりミスじゃ済まないと思うんですが』

『まぁ助けたからいいじゃないか。じゃあ次、認識についてだけど……』

 

 この話が馬鹿みたいに長かったので、省略。

 

 要約すると、あくまで「二次元の世界」なのであって、物質やら何やらは普通に三次元として存在しているらしい。

 要するに世界観だけが二次元なわけだ。

 人の顔などは俺の居た元の世界を基準に、所々変わっているらしい。目とか鼻とか唇とか輪郭とか。

 通りで綺麗なわけだ。

 

『さて、とりあえず一通り話したけど、他に質問はあるかい?』

『えーと……魔力的な何某が使えなかったんだけど?』

『そんなの僕が知るわけないだろう?』

『待てやゴルァ』

 

 やれやれといった雰囲気が漏れているのが実に気に食わない。

 

『使い方は自分で学べって言ったじゃないか。第一"何某"って付いてるように定義が曖昧だし、僕は使えるようにしただけだ。知りようがない』

『マジかよ……』

 

 とりあえず力むだけでは使えない事しか分かっていない。

 これからどうすれば良いのか。

 

『心配しなくてもそのうち使えるようになるさ。じゃ、僕はこの辺で……』

『……ありがとうございました』

 

 一応礼を言うと、神様の気配が消える。

 

 落下時の精神的疲労と今の話によるストレスのせいか、今寝ているベッドの柔らかさからか、狸寝入りは完全な熟睡へと移行していった。




話の進みが遅い…
あ、ちなみに私はドイツ語知りません。
御了承ください。
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