AtoZの所持者≪改≫   作:GENERAL

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進行速度が遅すぎる(白目


第6話 弟になりました

 翌日。

 空腹感で目を覚ますと、部屋には赤……いや臙脂色と呼んだ方が良いだろう。

 臙脂色の髪の美少女が側で座って寝ていた。

 “美”少女だ。本当にこの世界は美人じゃない人間の方が少ないのかとさえ思う。

 それにしても、だ。

 

「起こした方が良いのかねぇ……」

 

 幸せそうに寝ているのを起こすのは忍びない。

 かと言ってこのままでは飯が食えない。

 そもそもここが何処なのかとかそういうのは置いておいて。

 

「……外に出てみるか」

 

 幸い扉はスライド式で、音を立てず外に出る事ができた。

 視線が低いのが物悲しい。

 

 それにしても――

 

「殺風景な場所だな…」

 

 壁は白く、無駄な色が一切無い。

 窓はあるが身長の問題で外は見えなかった。

 今後の成長に期待しよう。

 

「っと、行き止まり……いや扉か」

 

 しばらく歩くと、これまた白い扉の前に辿り着いた。

 鍵はかかっているが若干の隙間は開いているため、中を覗いてみる。

 

「んー……み、見え…あ、見えた……?」

 

 隙間から辛うじて見えた物は、パワードスーツ……の様な物だった。

 確かここは軍だった筈(さっきの人の服装が明らかにソレだった)なので、これを使って戦争でもしているのだろうか。

 随分とSFチックな世界である。

 まぁ二次元だから仕方ない。

 

 暫くの間見つめていると、

 

「〜〜〜〜!!」

「うぉおう!?」

 

 突然後ろから声がかかる。

 振り返って見ると先程の美少女だった。

 俺がいない事に気付いて慌てて飛び出してきたのか。

 

「〜〜〜〜?〜〜〜〜!」

「いやあの、何言ってるのか分からないんですけど……」

 

 少なくとも英語ではない事は分かったが、一体どこの国の言葉なのだろうか。

 そもそも地球では無い可能性もある。

 

「〜〜〜。〜〜?」

 

 手を引っ張られる。

 まぁ連れ戻すんだろう。

 大人しく従い、手を繋いで歩く。

 ……美少女と手繋ぐとかもう最高ですわ。

 柔らかいし柔らかいしよく見たらっていうかよく見なくてもスタイル良いし可愛いし。

 ショタボディ万歳。

 

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

 しばらく歩くと外に出る……が靴が無い。

 今更ながらその事に気付いたのか、向こうの建物から靴を持ってきてくれた。

 若干煤けているようだがサイズはピッタリだったので、有難く使わせてもらう。

 

 その“向こうの建物”に入ると、どうやら寮になっているようで、食堂のようなものがあった。

 だがしかしスルー。

 若干涙目になった。

 一体何時になったらこの空腹を満たせるのか。

 

 寮といっても部屋数は少なく、あっという間に目的地と思しき場所に到着した。

 誰かの部屋なんだろうか?

 

「〜〜〜!」

 

 何やら叫びながら乱暴にノックする美少女。

 中の人寝てるんじゃないのか?

 

「〜〜……〜〜〜!?」

 

 案の定というか何というか、若干寝癖のついた美少女…少女?俺と同い年くらいだろうか。まぁ美少女でいいだろう。

 髪型は……あの、ホラ、何ていうか。

 後ろ髪だけパッツンな奴。

 兎に角そんな髪型で、色はかなり暗めの紺色だった。

 普通の黒髪が居ないあたり流石二次元と言えるだろう。

 

 そんな事を考えていると、寝癖を手で押さえつつ話しかけてきたが……

 

「あの、言葉がわからないんですけど…」

 

 通じたのだろうか。

 臙脂美少女は頭に?マークを浮かべ、紺色美少女は!マークを浮かべる。

 

「あぁ、これは失礼……日本人の方でしたね」

 

 言葉通じたヤッターー!!!

 本当に良かった…転生早々詰むところだった。

 

「に、日本語分かるんですか?」

「ええ、日本の漫画は……」

「「世界一イイイイィィ!!!」

 

 見事にハモった。

 

「貴女とは仲良くなれそうです……」

「いえいえこちらこそ。ところで……」

 

 ……一瞬で目つきが変わる。

 

「貴方は一体何者ですか?」

 

 ――きた。

 そのうち来るだろうと思ってはいたが、ここで何と答えるかによって今後の俺の生活が決まるだろう。慎重に考えて答えなければいけない。

 

「えーっと………………強いて言うなら…………」

「強いて、言うなら?」

 

 よし、考えはまとまった。

 

「分かりません!記憶喪失です!ここに置いてください何でもしますから!」

「ん?今何でもすると…」

 

 クソッ、世界が違ってもホモネタ好きは居るのか。

 まぁ今はこれしか方法が無い。

 異世界から来たなんて信じてもらえないだろうし、この方が何かと都合が良い。

 

「しかし記憶喪失ですか……名前は覚えていますか?」

「咲です。茅野咲」

 

 こっちは黒猫の…いや何でもない。

 

「ふむ…………では咲、貴方の身柄はドイツ軍IS部隊で預かります」

 

 IS……ってさっきのパワードスーツか?

 てかそれよりも、

 

「……良いんですか?こんな怪しい奴をいきなり軍に入れちゃって」

「見たところ大した筋力もなく、何か武器を隠し持っている様子もありませんし、何より……」

「何より?」

 

 若干嫌な気配のする笑みを浮かべて、紺色美少女はこう告げた。

 

「念願の弟が手に入りました」

 

 精神年齢的には同い年、もしくは年下の子達に弟扱いされるのか、俺は。

 まぁ居場所は確保できたので良しとする。

 

 

 

 

            ◆    ◆    ◆

 

 

 

 

 その日の夜の事。

 とりあえずあの2人の名前を聞いた。

 臙脂色の方がヴァネッサさん、紺色の方はクラリッサさんと言うらしい。

 さん付けなのは一応目上の人だからだ。

 精神年齢的にはまぁ以下略だが。

 

 ドイツ語も少しだけ教えてもらい、なんとか挨拶と自己紹介だけはできるようになった。

 3ヶ月もあればそれなりに話せるようにはなるだろう。多分。

 

 そして軍での俺の扱いだが、どうも上の人には内緒で匿ってくれるらしい。

 皆弟が欲しかったのです、と言われた時は若干拍子抜けしたが、まぁ二次元だしと強制的に自分を納得させた。

 “上の人”にバレたらどうなるかとかは考えない。

 考えてはいけない。

 

 明日は他の隊員との顔合わせをすると言われ、飯を食って今に至る。すっげえ美味かったです。

 ちなみに部屋は空き部屋があったらしく、そこにとりあえず住まわせて貰う事になった。

 とは言え手荷物は今着ている服くらいしか無いので部屋はほぼ空っぽだ。

 

「……軍隊生活、かぁ……」

 

 あのパワードスーツっぽいのが着られる日がいつか来るのだろうか?

 だとしたらかなり嬉しいが、その前に……

 

「……体力持つんかなぁ……」

 

 まずは筋トレから始めよう。

 そう決意した咲であった。

 




というわけで主人公、軍に入り弟になりました。
これでやっと話が進む……
進むのかなぁ……
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