【AC4】インフィニット・ストラトス 〜主を失った召使い〜   作:消毒済みの汚物

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#2 現実を知る時

(全く以ってどういうことだ・・・)

 

私はずっと困惑していた。死んでからというもの、余りにも可笑しなことが立て続けに起きている。

 

あの妙なパワードスーツに襲われたこともそうだが、何よりも不可解なのが、“私自身がラフカットになれる”ということだ。

 

どうやら、“ラフカットの姿を強く念じる”ことでそれを身に纏うことが出来る様なのだ。

 

先程までのパワードスーツとの小競り合いの後ーー先導させている女性パイロットの片割れは精神的に大丈夫かどうか分からんがーーに、何度か生身の人間の姿とネクストの姿を繰り返し交互に入れ替えてみた。

 

人間の姿に戻る際は、その逆、“人間の時の姿を強く念じる”ことで元に戻る。

 

兵装については、これまた同様。“装備したいパーツを、どこに装備したいか強く念じる”だけであった。また、ブースト移動については、“移動したい方向に吹っ飛ばされる”感覚である。

 

・・・なんだかおかしい気がするが突っ込まないことにした。

 

あと、私が攻撃したパワードスーツのパイロットは、気を失ってはいたものの、命に別条はないそうだ。まあ、もし死んでいたら今頃ここの連中からの視線に何か別の感情が乗っかって重苦しくなっているだろう。空気がな。

 

私自身、国家解体戦争に企業側の一戦力として参戦して以来、それなりの敵を死に追いやっていたものだ。

 

殺人行為を行うとしても、何の抵抗もなく銃の引き金を引ける。先程のパワードスーツの戦闘力からしても、単身でこの施設一帯を制圧するのも苦にはならん。賊紛いの生き方もある意味新鮮かもしれんしな。

 

だが、今はこの世界に関する知識が欲しい。

 

何もわからないまま右往左往したところで、ロクなことに合わないのが世の常だ。それに、相手が軍人なら相応の知識は備えているはず。

 

(それにしても、周りの目線が・・・気にするだけ無駄か)

 

やはり、軍服まみれの中をスーツが歩くのは注目を集めるな。

 

こちらは前にいる女の後頭部に瞳を向け続けているが、それでもこちらをチラリと見てくる軍人共の顔が嫌が応にも視野に入る。

 

更に、己の耳は周囲のひそひそ声を意思とは無関係に拾ってしまう。否、拾っているのではなく入ってくるのだが。

 

「誰あれ?VIP?」

 

「ナターシャ少尉を倒した人だったはず・・・」

 

「何でも、男なのにISを扱える例外らしいぞ?」

 

「それ本当⁉︎私でさえ適正無かったのに、なんで⁉︎」

 

(・・・やかましい。今すぐMARVEで薙ぎ払いたい)

 

こういう環境は苦手だ。

 

生前はベルリオーズの補佐的な仕事がメインで、表舞台に出ることなどネクストを駆って任務に就く時しかなかったものだ。

 

(・・・ベルリオーズ、お前は今、どうしている?)

 

国家解体戦争が始まる七年ほど前だったか・・・まだ私が幼い子供だった頃に、お前に拾われたのは。

 

親が警察の誤捜査により、犯罪人として電気椅子に座らされる羽目になった。後に真の犯人はすぐに逮捕されて同じ目にあって死亡したのだが、それで二人が帰って来る訳がない。

 

余りのショックに精神に異常をきたし、病院送りにもなった。その過程で、自分の名前を忘れてしまった。身分を証明出来る類のものなど何一つ無かったから、孤児として扱われた程だった。

 

私は警察を恨んだ。そして、その捜査内容を鵜呑みにした裁判官を恨んだ。更に、こんな目に遭った私を救おうともしなかった国家そのものを恨んだ。

 

そしてベルリオーズに拾われ、彼の元で育てられた。拾った理由を物心ついた頃に聞いたところ、「子供が欲しかった」と言っていたな。

 

結婚して、子を身篭った妻を殺人鬼に殺され、その犯人は懲役刑に処されたらしい。幾ら死刑を推しても、そうはならなかったそうだ。

 

(お前も、私と同じだったな・・・)

 

そして、私にもAMS適正があることが判明すると、お前は喜んでこう言ってくれたな。

 

「我々で、世界を変えよう。統治力の無い国家など、何の存在意義もない」

 

それから、ネクストの操縦訓練が始まった。AMSによる精神負荷こそ、始めはホントに応えたものだ。

 

だが、機体を自在に操ることが出来る様になると、その感覚すらもどこか心地よく感じてくる。成長を体感したからか・・・。

 

開戦後は基本的にお前のサポートだったが、時には単独での戦闘行動もあった。復讐心に駆られていた私にとって、国家側の人間を殺害することなど何の抵抗も無かったな。

 

パックス・エコノミカが始まってからも、新パーツの試験運用によく出撃させてもらったものだ。フレームと内装以外はコロコロ変わっていたものだから、機体名がそうなってしまったが・・・。

 

「つ、着きました」

 

(おっと、着いたか・・・)

 

思い出に浸っていたら、いつの間にやら目的の場に着いた様だ。木製のドアとは・・・自然が残っているこの世界らしいな。

 

案内人のパイロットが、コンコンとドアをノックする。

 

「リディア=ボイル少尉、入ります!」

 

ボイル少尉に続いて、基地司令室に入室する。中にいたのは、女性の司令官だった。女性がトップとは珍しい。生前の世界ではレオーネ社のみだったな。

 

司令官は、まるで私が来るのを待っていたと言わんばかりの表情をしていた。三十代ほどだろうか?司令官を名乗るには随分と若く見える。

 

「御苦労、ボイル少尉。すまないが、君は外してくれ。彼と二人きりで話がしたい」

 

「え⁉︎は、はい!かしこまりました!失礼します!」

 

開口一番、ここまで案内した部下を帰す司令官。室内を見回したところ、警備の者もカメラも存在しない。怪しい人間がいるというのに、少々不用心ではなかろうか。

 

少尉が退室すると、司令官はデスクから立ち、前に置かれた向かい合ったソファーの一方に掛ける。

 

「どうぞ。お掛けになって」

 

「・・・・・・失礼」

 

少々警戒していたが、ここは応じよう。警戒心を維持するのは大事だが、肩の力も相応に抜いておかねば。

 

司令官の向かい側のソファーに腰掛ける。かなりの高級品なのだろう。尻が飲み込まれそうだった。

 

「この基地の司令官を務めております、オリヴィアと申します。よろしくお願いしますね」

 

「・・・ええ、よろしく」

 

相手は笑顔でいるが、こういう人間ほど裏がありそうで油断ならんな。いざとなったら、すぐネクストを纏ってここからおさらばするつもりだが、それまでにどれだけ情報を入手出来るか・・・。

 

「・・・もしよろしければ、お名前の方を教えて頂いても良いかしら?」

 

「・・・ザンニだ」

 

「ザンニさんね。失礼ですが、苗字の方は?」

 

「無い」

 

即答で返すと、相手は少し呆気にとられた顔をした。なんだ?苗字が無いのがそんなに不思議なのかね?ある奴の方が珍しかったが。

 

「・・・補足するなら、本名を覚えていないだけだ。相当昔からな」

 

「・・・そうでしたか、失礼しました」

 

謝罪されたが、気にしなくていいと返す。仕方の無いことなのだ。不自由もしていないし。

 

すると彼女は軽く咳払いし、話を続けた。

 

「あなたが先程身に纏っていたISについて、我々はお聞きしたいのです。アレは一体?」

 

また出てきた“IS”という単語。皆がその言葉を口にするが故に、私自身も気になっていたのだ。今なら事細かく聞けるだろう。

 

「質問に質問で返す様で悪いが、その“IS”とはなんだ?少なくとも、軍事関係者なら知っていると思うが、良ければ教えて頂きたい」

 

そう言うと、今度は目を丸くしてこちらを見てくる。なんだ?知らない方がおかしいとでも?

 

「え?ISをご存知無いと?」

 

「ああ、その通りだ」

 

そんなに、その“IS”というのは常識的な知識なのか?私は生まれてこの方、そんな単語は一度も聞いたことが無い。

 

「ええと、そうですねぇ・・・簡単に言うと、女性にしか扱えないパワードスーツの一種、とでも言いますか。とにかくそういうものです」

 

パワードスーツ・・・では、あの時のあの機体がそうなのだな。兵器の名称だったのか。我々が言う“AC”と同じか。

 

「戦車、艦船、戦闘機・・・これまでの全ての兵器を軽々と凌駕する、まさに最強の兵器ですね」

 

アレで最強の兵器だと?MARVE数発で沈黙したアレがか?

 

「・・・質問しても良いか?」

 

聞くと、ええ、どうぞと承諾して貰えた。知りたいこともあるが、聞かねばならんこともあるのだ。

 

「アーマードコア、アーマードコア・ネクスト、国家解体戦争、レイレナード、MT、ノーマル・・・これらの単語で、なにか知っているものは?」

 

「アーマードコア?さあ、何か兵器の類ですか?国家解体戦争なんて、歴史上存在しませんし・・・」

 

全て知らないらしい。やはりこれは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

世界が違うというのが、正しいのだな。

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか支離滅裂になりつつあリそうダ・・・どウしたラいイもノカ・・・

学園入学はまだまだ先になりますな。これでは。
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