【AC4】インフィニット・ストラトス 〜主を失った召使い〜   作:消毒済みの汚物

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作者のご都合設定が遺憾なく発揮されるの回。


#5 マンネリの解消

 

 

 

 

 

「・・・さて、全員揃ったところで始めようか」

 

 

ある男性がそう切り出す。

 

 

暗い、暗い室内。第2ヨーロッパ支部の大会議室と似た雰囲気だが、ここはさらに暗かった。かろうじて会議に参加している人間がいることが分かるくらいだ。

 

 

始めに口を開いた男性を含め、参加者は十数名。

 

 

「現在の時点で判明している事項は?第2支部長」

 

 

「・・・副長の話では、まずあのISの搭乗者は男だったらしい。本人は『逆光で顔までは確認出来なかった』と抜かしていたが、支部まで送迎した者は皆『男だった』と供述していたそうだ」

 

 

第2支部長と指された男の言葉に、他の参加者は若干だがざわめく。

 

 

「・・・単にそういう外見の女性だったという可能性は?」

 

 

「それも有り得るが・・・その可能性は低いだろうな」

 

 

「低いですって?ISは女性にしか扱えない物なのに?」

 

 

「もしや、『性転換して男になった元女』かもしれないな。聞いたことのない事例だが、否定し得ることも出来ないぞ」

 

 

様々な意見が出てくるが、皆“ISは純粋な男性には扱えない”という認識は共通しているらしい。

 

 

「そもそも、その男性が搭乗している機体自体がISではないのかもしれんが」

 

 

その1人の言葉に、ほとんどの者が沈黙する。何を馬鹿なと口をはさむ者もいたが、司会進行役の男性がそれを遮った。

 

 

「ふむ、第2支部長。それで、その者が搭乗していたISと思われる機体について教えて頂きたい」

 

 

「ああ、分かっている」

 

 

第2支部長の声は、少々苛立っている様に皆は聞こえた。まだ公にはしていないが、当支部が保有しているIS部隊を総動員した結果“ああなった”ことを考えると、さすがに来るものがあったのだろう。

 

 

「これも、私自身直接見たわけではない。副長から聞いた話だが・・・それは全身装甲の機体だったそうだ。そして、脚部が“鳥の脚”の様な・・・逆関節の脚だったらしい。それ以外に搭乗者の足が収まる様なものは無かったうえ、脚の付け根から上ーー上半身は、歪なシルエットだが人型だったと聞いている。人型と言っても、まるでロボットの様だったらしいが・・・」

 

 

言い終えたところで、第2支部長は黙り込んだ。

 

 

「ロボットの様だっただと?同じ全身装甲の白騎士とはどう違うと言うのだ?」

 

 

「だから、私自身は直に見ていないと言っているだろう」

 

 

「お二人とも落ち着きなさい。そうね・・・白騎士は全身装甲と言いつつも、搭乗者自身の体格なら見て取れる様な外観をしている。しかし第2支部に出現したそれは、人間そのもののシルエットには全く見えない。こういうことかしら、第2支部長?」

 

 

「・・・ああ。まあそんな感じだ。SFやアニメに出てくる様な人型ロボットそのものだな」

 

 

「なるほど・・・して、そのロボットの戦闘力については何か判明していますかな?」

 

 

この問い掛けに、第2支部長はギリッと歯軋りした。

 

 

「第2支部長、何か知っているのなら、是非教えて欲しい。何もあなただけで背負い込む問題ではない筈だ」

 

 

その通りだと、ある者の要求に周りが賛同し始めた。

 

 

「静かに。第2支部長、私からもお願いしたい。その様子だと、何かしら存じ上げているのだろう?」

 

 

司会進行役の男性も解答を促すと、第2支部長は舌打ちして話し始めた。

 

 

「・・・会議室にてその男がISモドキになり、ビルの外壁を破壊して逃走しようとしたそうだ。副長は支部で保有しているIS全機を以って阻止・拘束させようとした。だが・・・」

 

 

そこまで言うと一呼吸し、続けた。

 

 

「投入したISは全て戦闘不能に陥った。8機のラファールが、たった1機のISモドキに敗北を喫したのだ!幸いパイロットに死者は出なかったが、当事者達は口を揃えてこう言った!“バケモノだった”と!」

 

 

感情的になり、最後は声を荒げて、事の有り様を吐き出した。他の参加者は、表情こそ見て取れないが驚愕している様に感じた。

 

 

「・・・第2支部長、戦闘不能に陥ったのは8機のみか?」

 

 

ふと、1人の男性参加者が問い掛けた。ああ、そうだが。と、第2支部長は返したが、その男性はどうも腑に落ちないといった様子で更に聞いた。

 

 

「ふむ・・・アルペンヌ基地から第2支部にIS4機が増援として向かった筈なんだが、その事はご存知で?」

 

 

「増援か?要請はしたと副長は言っていたが、第2支部まで来てはいなかったぞ?戦闘後に救護班から受けた報告でも、回収したパイロットは全部で8名だったそうだが・・・」

 

 

バカな・・・と、その男性は呟く。

 

 

「どうかしたのか?第3支部長?」

 

 

「いや、アルペンヌ基地から出撃したIS4機の消息が掴めないと、基地司令からここに来る直前に言われて・・・第2支部長なら何かご存知かと思ったんだが・・・ん、失礼」

 

 

電話がかかってきたらしく、第3支部長が話を切り上げる。

 

 

「私だ・・・何?本当かそれは⁉︎何てことだ・・・分かった・・・詳細が判明次第追って伝えてくれ。切るぞ」

 

 

第3支部長は電話を懐にしまい、席に戻ると同時に話し始めた。

 

 

「悪い知らせだ・・・増援として派遣したIS4機が、第2支部の北北東190キロ付近の位置で何かに撃墜されたと。パイロットは・・・全員死亡。全て、無惨な遺体で発見されたらしい」

 

 

この旨を聞いた、会議参加者全員が凍りついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「お待たせしました。チャーリー・チャップリンでございます」

 

 

ここはパリのとあるBAR。人気店だそうで、店内はほぼ満席状態だ。一昨日雑誌に掲載され、それが原因で来店者が大幅に増えたらしい。

 

 

「んん〜美味しい♪お兄さん若いのにいい腕してるわぁ〜♪」

 

 

「お褒めに頂き恐縮です、マダム。こちらの店にはよく来られるのですか?」

 

 

「ええ。常連と言ってもいい程よ〜。最後に来たのは丁度1週間前ね。でもその時はまだあなた居なかったでしょ?」

 

 

「はい。5日前からこちらで働かさせて頂いております」

 

 

「へえ〜♪」

 

 

「おーいザンニ君、ボウモアダブル、オン•ザ•ロックで」

 

 

「了解」

 

 

あの後、住まわせて貰っていた基地にはさすがに帰れなくなった為、どこか寝床を提供させてくれる(&出来れば働かせてくれる)ところを探してほっつき歩いていたら、ここに辿り着いたワケだ。

 

 

生前、ベルリオーズの執事としてカクテルやらを作っていたが、コレが突き詰めると意外と面白いもので、独学ながらも腕を磨いていたものだ。まさか、こんな所で役に立つとは思っていなかったがね。

 

 

「お待たせしました。こちら、ボウモアロックです」

 

 

オーナーは初老の男性で、ずっと1人で営業していたらしい。以前も中々繁盛していたそうだが、年々体力的に辛くなってきているらしく、今後も1人で切り盛りし続けるのは大変だそうで店員を募集し始めたんだと。

 

 

そんなこんなで、今はこの店に居させて貰っている。営業後は一緒に食事を取って、カウンターの裏に簡易ベッドを置いて寝ているのだ。

 

 

「すいませ〜ん、ファジーネーブル2つお願いします」

 

 

「ファジーネーブル2つですね。かしこまりました」

 

 

店自体は小さく、クラシカルなデザイン。にも関わらず、そこそこ若い客(中でも20代の女性客)も比較的多く見かけるところが珍しい。オーナーに聞いたら、何でも、雑誌の掲載内容に『熟練オーナーとイケメンバーテンダーのいる隠れ家』なんて書かれてたからだとか。あんまり自覚はないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ〜っ、いや〜疲れたわい。やはり週末ともなると、いつも以上に混みよる」

 

 

「ええ。でも、奇妙なものですね。出て行く時はほぼ一斉に帰って行くものですから」

 

 

まあ週末はそんなもんさ。そう言いつつタバコに火をつけるオーナー。

 

 

時刻は午前3時半。これから新たに客が来るのは稀だろう。私も少々眠気を感じるようになってきた。

 

 

カランカランッ

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

と思ってたら来た。さすがにフラグだったか?

 

 

来店したのは、20代半ばと見られる黒髪の女性。東洋人の様だ。珍しい客もあったものだ。

 

 

「一杯目は何にいたしましょう」

 

 

「ウォッカ・マティーニを」

 

 

「かしこまりました」

 

 

後方の棚からウォッカとベルモットを取る。ミキシンググラスに氷を入れ、そこに水を、氷が完全に浸かるまで入れてステアし、グラスを冷やす。中の水を捨て、ウォッカ、ベルモットを測り入れ、ステア。頃合いを見てステアを止め、ストレーナーを被せて、あらかじめ冷やしておいたカクテルグラスに静かに注ぐ。そして、レモンピールを絞り、オリーブを飾る。

 

 

「ウォッカ・マティーニです」

 

 

「ありがとう」

 

 

グラスを受け取った女性は、ゆっくりと味わう様にカクテルを口にした。顔を見た感じだと、まだそれほど飲んでいる様には見えない。遅出だろうか。

 

 

「こちらにお住いの方ですか?」

 

 

「いや、ISの国際大会に参加するから、こっちに来ているだけだ」

 

 

ISの国際大会?あのパワードスーツで大会?確かに、攻撃してもパイロットが死傷する可能性が兵器としては低いから、その様なことも出来そうではあるが・・・。

 

 

「明日、準決勝以降の試合があるから、もし良ければ見に来るといい。会場はここからも見える巨大なドームだ。北に見えるヤツさ」

 

 

そう言うと、カクテルの残りを一気に流し込み、会計を済ませて帰って行った。それにしても、ISの国際大会か・・・少し興味が湧いたな。

 

 

「明日は定休日だ。楽しんでくるといい。今日は終いだ。飯にしよう」

 

 

「・・・ありがとうございます、オーナー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(着いたか。さて、入場口は・・・)

 

 

翌日、オーナーの晩酌に付き合った結果盛大に寝坊した。酒を飲むのがあまりに久々だったからだろうか。元々そこまで強くないのもあるが・・・

 

 

そして、観戦のためのチケットは完売しているときた。まあ、既に昼過ぎだ。さすがに残っているワケはないか。

 

 

(やれやれ・・・無駄足だったな)

 

 

とりあえずタバコだ。そして、その為に喫煙所を探さねばならん。差し当たり、このドームの周りにないものか・・・

 

 

(・・・ん?)

 

 

トボトボ歩いていると、何やら黒服の男が数人、あれは・・・子供か?縛られ、目隠しに口枷をされた少年が、車に無理やり乗せられている。

 

 

(誘拐か・・・全く、こういう場所ほど治安が良くないと言うが、その通りだな)

 

 

まあいい。平和な日常も良かったが、平和ボケしてしまうのはダメだ。少しは刺激を味わおうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小型発信器を内蔵した特殊弾を車に撃ち込み、追跡すること約20分。たどり着いたのは、人気の全くない路地だった。

 

 

更に歩くと、周囲の建物より頭ひとつ低い大型倉庫の前に、先程少年を誘拐した一味の1人(と思われる男)が立っていた。側から見たら怪しいことこの上無い。

 

 

(道を尋ねるフリしてみるか・・・)

 

 

「おい、こんなトコで何してんだ兄ちゃん」

 

 

向こうから来たか。手間が省けた。

 

 

「丁度いい、この辺の土地勘が全くなくてね、大通りに出たいんだが」

 

 

「それならなぁ・・・歩いて来た道をそのまま引き返しな」

 

 

バレてたか。その上、男はナイフを取り出し、こちらに歩いてくる。

 

 

「死にたいみてぇだな。もう逃げらんねぇぜ」

 

 

チャキッ

 

 

「ッ⁉︎ちょ・・・、待っ・・・」パンッ

 

 

乾いた銃声が響いた。相手が悪人なら、容赦する必要はあるまい。

 

 

(ISを使えるヤツがいればいいがな・・・この世界にはそう言うイレギュラーはいるのだろうか)

 

 

まあいい。殺すのは久しぶりだ。存分に楽しむとしよう。




最後の一文、あの人とは関係ないですよ〜。


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