戦姫絶唱シンフォギア~歌わない決闘者系ノイズ目録~ 作:特撮仮面
武装組織フィーネの決起、そしてフロンティア事変からいくらか時が経った。某合衆国の軍部や各国機関に多大なダメージを与えたあの事件。
そんなフロンティア事変の後、フロンティアと呼ばれた場所と、フロンティア事変の際に切り離され宇宙へと射出されたフロンティアの一部は研究対象となり、各国機関が研究を開始。
この日、そこに存在する異端技術、そして長期間宇宙空間に居たにも関わらず、眠りながら生命活動を続けているマム、ナスターシャ教授の身体。それらを回収したシャトルが、地球への帰還の際にマシントラブルに見舞われてしまい、墜落の危機に瀕していたのだ。
このままでは市街地に墜落してしまう。パイロットたちの必死の抵抗を嘲笑うかのように加速するシャトル。パイロットの一人が気づいた。
レーダーに反応。ミサイルだ。仕方がない。このままでは人口密集地に墜落してしまい、多くの人命が犠牲となってしまう。自分たちだって死にたくはない、しかし、自分たちのためだけに更なる人命を失うのなら、そう考えるがそれでも悔しさに言葉を漏らす彼らの耳に、女性の声が響いた。
「平気、へっちゃらです! だから、生きることを諦めないで!!」
歌が聞こえる。それは年若い、女の子たちの声。自分たちを撃墜するためのミサイルと思われていた物が展開、そこから三人の少女が飛び出す。
ふと、パイロットの一人がとある噂話を思いだす。
それは、何かしらの人命を揺るがす災害が発生した場合に突如として現れ、勇猛な歌と共に人々を助ける戦乙女の話。そして、彼女たちは三人居り、国連に存在するSONGなる組織に所属しているという噂話。
なるほど、これが噂の――日本が世界に誇る災害対策部隊、SONGと言う奴か…。嗚呼、何と、何と美しく力強い歌声だろうか!
諦めかけていた心に灯が灯る。彼女たち、自分たちよりも遥かに年下の女性がシャトルに取り付き、必死に減速を行っている。命懸けだ。これだけのことをしているのに大人の自分たちが何もせずに指を咥えてみているのか? それが正しいスペースマンか? 否、断じて否だ。
「機体を安定させろ! 戦乙女を振り落すなよ!」
「分かってますよ!!」
奏者だけではない。本部でのオペレーターのサポート、そしてシャトル乗組員たちの連携、OTONAたちによる神がかりの連携、それが歌を更なる段階へ昇華する。
「K2――カリコルム山脈にある山の名前、世界で二番目に大きい――への直撃、避けられません!!」
オペレーターの軌道計算。墜落するシャトルは体勢こそ整え、市街地への墜落を防いだものの未だピンチは続く。彼女たちが歌う。歌は力に、不可能を可能とする。
「いっけええええええええ!!」
「K2を世界第三位へ下方修正!」
「っくー、私もシンフォギアを纏えたらあんなこと出来るのに!」
「奏君、君が行くとK2が3どころかワーストになるからな?」
世界最高峰の一角である山を砕く。それでも終わらない危機。
「シャトル進行方向に開拓予定地!」
「大丈夫! 森林伐採の許可は出てます!」
「でかした!!」
拳が山を砕き、剣が森を刈り取る。シャトルの進行上に存在するあらゆる存在を振り切って突き進むシャトル。その姿はさながら全てをなぎ倒して突き進む暴走列車といった姿。
「ヤバい!? 村だ!!」
「ッ!? でぇえええええええええ!!」
「馬鹿!?」
山脈麓の村。この速度で村に侵入すれば大参事は免れない。少女は跳び、シャトルの前に立つ。少女の身体と比べてもあまりにも大きすぎるシャトル。止めんと踏ん張る少女ごと地面を抉り村へ迫るシャトル。彼女が吠えた。
「高々シャトルの一つ! 私の――」
「俺のフィールで押し返してやる!!」
村から飛び出してきた一台のバイク。その搭乗者が吠える。
「俺は、レッド・デーモンズ・ドラゴンを召喚!! 行くぜ! ヒビキ・クロス・フィィイイイイイル!!」
「でぇええええええええ!!」
シャトルは停止し、彼は彼女たちの前に再び現れる。
「よ! お前ら元気にしてたか?」
「お、お前はアトラス!? 何故アトラスが此処に? 帰ってきたのか? 自力でこの世界に!?」
「遊吾さあああああん!!」
「あ、お前ずる――ったく、帰ってきてるんなら帰ってきてるって言えよな!」
続く平和。少々騒がしいながらも平穏な日々が帰ってきた。暖かな響、穏やかな雪の音は共に日常という世界へ、蒼い翼は力強く世界と言う舞台へと羽ばたいていった。
優しい少女もまた、その舞台へと不死鳥の如く舞い戻った。
『さーきっもり!! さーきっもり!!』
『つーばーさ! つーばーさ!!』
「奏さんと響一郎さん会場に行ってる!?」
「「「マジで!?」」」
彼女たちの新たな舞台が始まる。
「マーリア! はい! マーリア!! はい!」
「よぉおおお、ハイ! マ、リ、ア!! はい! マ、リ、ア!!」
「遊吾お前うるさい! て、ナスターシャ教授も自重しろ!?」
「「新しいマリアの初舞台、テンションを上げずにいられようか!!」」
「誰かこの二人とめろぉおおお!?」
騒がしい日々、だがそれは新たなる敵の登場で打ち砕かれる。
「私たちは――オートスコアラー」
「オートスコアラー、だと?」
「オートス、コアラ?(新種のコアラの名前かしら?)」
現れる強大な敵。だが、戦乙女たちは果敢に戦い――そして新たな敵に敗北する。
「只のノイズではない…だと?」
「僕だ!」
「遊吾、お前だったか!?」
「ノイズだと 高を括った そうさせる」
「何するものぞ! シンフォヴィァアアアアアアアアア! けほっ、けほっ」
「キャロル、無理しない」
オートスコアラー、そしてアルカノイズ。新たなる強敵を前に劣勢に立たされる少女たち。そして、時を同じくして優しき少女に新たなる過去がのしかかる。
「貴様にも、父に託されたものがあるだろうに…」
「私…わたしには――」
「父に託されるどころか、日常から義理の父親と王の座の奪い合い、命の削り合いでそんな暇ないんですけどそれは…」
「え?」
そして、その重みは彼女から歌を奪い去る。
「胸に聖詠が浮かばない…ガングニールが答えてくれないんだ!?」
「音響戦士、ギータス、ベーシス、ドラムス、マイクスをペンデュラム召喚!! 歌う環境は整えたぞ!! ついでに聖詠も録音済みだ!!」
「本格的にカラオケ装置だ!?」
奪われる彼。
「ふぅん、そう言うのはいただけませんよー?」
「あ? 何だ――!?」
「ぁん。んむ……んちゅっ、んぐ!? ん、ぁ!? ぁぁ…」
「あ、あれ? …おーい、青色のどうしたー?」
「大丈夫ですかゆう――……」
「ちょ、ちょっと待て!? 俺が襲った訳じゃなくて俺が被害者な訳であってだな! まて、話せばわかる! 人間は分かり合える生き物じゃないか!? アッー!?」
シンフォギアの破壊。危機に陥るSONGに、一人の少女が現れる。
「ボクの名前は、エルフナインと言います」
「何だ、表情が暗いぞ! ほら、高い高い! そんなんじゃ満足できねえぞ? ほーら、満足になーれ!」
「うひゃあ!? ちょ、離して――というかちょっとどこ触ってるんですか!?」
エルフナイン、そう名乗る子はホムンクルス。性別を持たない存在だった。
「エルフナイン、ちゃんには、その、性器がついてないんです」
「ついてるとか、ついてないとか、両方あるとか、そう言うのが問題じゃない。そんなのは些細な問題なんだよ。あの子結構可愛いし。てか、そう、愛の前ではそんなもの関係ないんだよなぁ(遠い目)」
「何故そこで愛ッ!?」
彼女が持ち出してきた新たなる武器。彼女たちは新たなる力を持って立ち上がる。その胸にある歌が、後に更なる悲劇の引き金になるとも知らずに――。
「エルシャドールだと!? まさか、融合とは即ち錬金術と同じということか!? クソッたれが!!」
「遊吾さん!? いやぁあああああああああ!?」
「エルフナイン。俺はそんなことどうでもいいんだよ。俺がお前と一緒に居たい、それじゃ駄目か?」
「遊吾さん…」
「だからよ、俺たちで満足しようぜ?」
「はい!!」
そして彼もまた、新たな誓いを持って戦場へ現れる。王者として、決闘者として、何より、彼女たちの仲間として。
「いくぞ、エルフナイン!! 俺たちの奇跡の錬金術を見せてやろうぜ!!」
「はい!! ボクたちなら砂を黄金に、いや、世界すらも変えてみせます!!」
「俺と――」
「ボクで――」
「超 融 合 ! !」
戦姫絶唱シンフォギアGX~歌が苦手な決闘者黙示録~20XX年XX月XX日公開予定!
「見せてやるよ! 錬金術を、俺の、俺たちの融合、世界を守るHEROたちの戦いを!!」
「括目せよ! これが奇跡の融合!! ミラクル・コンタクト・フュージョン!!」
「現れろ、希望の光! ゴッドネオス!!」
すまない。また、なんだ。また宇宙から謎の電波を受信してしまった非力な私を許してくれ。
ワクワクヲオモイダスンダ