戦姫絶唱シンフォギア~歌わない決闘者系ノイズ目録~   作:特撮仮面

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彼と日だまりの少女と、

 衝撃の出会いから数分後。人気の無い寂れた公園には、頭を抱えてベンチに座り込むノイズと、そのノイズに優しく声をかける少女と言うあまりにも奇妙な風景が出来上がっていた。

 

「あの、落ち着きました?」

 

 ああ、うん。取り乱して申し訳ない。

 

 言葉が通じるわけではないが、ボディランゲージで彼女とコミュニケーションを取る彼。頷く彼を見て、小日向未来と言う名の少女は胸を撫で下ろした。

 

 

「クスッ」

「……?」

 

 何を笑っているんだ? 彼が首をかしげれば、彼女はクスクスと笑いながら言った。

 

 

「いや、特殊災害のノイズと話してるなんて――って思ったら何だか面白くて」

 

 

 ああ、なるほどね。わかるわー。俺も何で一般人と話してるんだろって思うもん。

 

 言葉は通じないし、発するつもりはない。だが、何故だか二人は通じあっていて、普通ではあり得ない穏やかな時間を過ごしていた。

 

 と、唐突に未来の表情が曇るのを見て、彼がどうしたのかと視線を送る。暫くジッと見つめていると彼の視線に気付いたのだろう、彼女は苦笑した。

 

 

「いえ、何でもありませ――…ふぅ、その、友達のことなんです」

 

 

 何でもないと誤魔化そうとしたのだが、彼の一言も聞き逃さないと言わんばかりの姿勢に、親友と、あの人の影を感じてしまい、これは誤魔化せないなと考えると、彼に相談を始めた。

 

 

「その、私には親友って呼べる子が一人居るんですよ。その子は何時も誰かのために一生懸命で、目を離したら何処かへ飛んでいっちゃいそうな子なんです」

 

 

 …あ、あれ? ……これ、嫌な予感しかしないんですけど。

 

 身を凍らせる彼のことに気付かずに、彼女は話を続ける。

 

 

「その子、最近付き合いが凄く悪いんです。寮で同じ部屋なんですけど、帰りの時間も遅くて。この間なんて、私にお守りを預けて出ていっちゃうんですよ?」

 

 

 そういって彼女が胸ポケットから取り出したのは、小さなケースに入った一枚のカード。

 

 まだ、大切にしてくれてんのか…。

 

 思わず苦笑してしまう。彼女が持っていたのは、外枠が白い一枚のカード。

 

 デュエルモンスターズにおいて、メインデッキではなく、EXデッキに入れることが出来る一枚のカード

であり、彼が出会ったとある決闘者に譲ってもらった物。

 

 絆の力でどこまでも強くなる。その右腕で数多の敵を倒してきた青き闘士。その名を、ジャンク・ウォリアー。

 

 不動遊星のエースモンスター。また、彼にとっても特別な意味を持つカードであり、この世界に来て立花響に御守りとして渡したカード。

 

 あれから何年も経ったと言うのに、傷一つ、埃一つ付いていないカードを見て、彼女がどれだけこのカードを大切にしていたか良くわかる。

 

 つまり、響はそれほど大切なものを親友に預けてまで、何かを成そうと考えているのだろう。それが悪いことで無ければ良いのだが…。

 

 

「こんな大切なものを置いてくなんて……本当に消えちゃうんじゃないかって」

 

 

 積み重なっていく約束、しかしそれらは叶うことはない。ドンドンと離れていく親友を思い肩を震わせる彼女。俺はどうすれば良い? どうすれば彼女に大丈夫だと伝えられる。

 

 いや、大丈夫。消えやしねぇ。否、俺が消させたりなんかしねえ。

 

 

「ふぇ? あ、あの?」

 

 

 彼が安心させるようにと彼女の頭を撫でる。

 

 本来、ノイズが人間に触れてしまえばその身体は瞬時に炭化し、崩壊する。その筈なのに、何故彼が触れても炭化しないのか。

 

 彼は長年のノイズ生活で、とある仮説を作り上げていた。

 

 ノイズとは、世界に対する雑音である。そして同時に、フォニックゲインの吸収に長けた生きた兵器である。

 

 フォニックゲインとは、簡単に言えば生命エネルギーのようなものであり、自然界に溢れているのだが、フォニックゲインを発生させるのが一番得意なのが人間なのだ。

 

 故に、ノイズはフォニックゲインで人間を判断し、襲う。彼もそうだが、ノイズにとってフォニックゲインは正しく生命力。失われれば炭化してしまう。

 

 一般的なノイズには、一定時間の活動用フォニックゲインしか持てないようになっているのだ。だから、ノイズ達は生存本能に従い、自動的にフォニックゲインを多く持つ人間を襲う。

 

 しかし、対象のフォニックゲインを吸収したところで、ノイズが自身を維持するためのフォニックゲインを補えるはずもなく、共鳴反応を起こしてどちらも炭化してしまうのだ。

 

 大型ノイズはこの限りではないが、それでもいつかはフォニックゲインを使いきって消滅してしまう。

 

 彼は、元々人間であったこともあり、助けるために使用した魂。その残りカスであるノイズとして生きる最低限の魂を利用してある程度のフォニックゲインを生産することが出来る他、ノイズや物体のフォニックゲイン――彼が独自に見つけた特殊な波長、レベルを調整することで、フォニックゲインを増幅、シンクロを可能としているのだ。

 

 また、この彼なりのフォニックゲインの理論を応用すると、雑音と雑音を重ねることでその間に混沌という未知のエネルギーを発生させ、エクシーズを行うことも可能となるのである。

 

 つまり、フォニックゲインのちょっとした応用で対象物をチューニングさえすれば、こうした人間とのふれあいも可能であるということだ。

 

 ま、あくまでも短時間なんだけどなー。

 

 

「…もしかして今の」

 

 

 彼女の耳に一瞬だが男性の声が聞こえてくる。チューニングは、彼の波長に対象の波長を合わせるということ。その為、普通なら聞こえることの無い彼の言葉が聞こえたのだ。

 

 手を離した彼は、その事に気付かずにベンチから立ち上がると彼女の方へと振り返る。

 

 安心しろ。絶対に響が帰ってくるように俺も手伝うから、未来は信じて待っててくれ。そんで、あいつが帰ってきたら笑ってお帰りって言ってやってくれ。

 

 

「はい!」

 

 

 笑顔で頷く彼女を見て満足そうに頷く彼だったが――爆発音と共に地面が揺れ、音の方を見る。

 

 

「ひゃっ!?」

 

 

 戦闘かッ!?

 

 遠くから聞こえる断続的な爆発音と共に、遠くで火山の噴火のごとく土煙が舞い上がる。

 

 戦闘。ノイズとの戦闘にしては警報も鳴っていない、となれば考えられる可能性は一つ。シンフォギア奏者達による戦闘。

 

 原則として、異端技術を機密としているため、シンフォギア奏者は日本にしか存在しない。

 

 ならば、考えられるのは翼と響の戦闘のはずだが、最悪なのは、シンフォギア、又は何かしらの聖遺物を利用する技術を持っている敵との交戦。

 

 日本側のシンフォギア奏者は、一人が外に出られないこともあり、現在戦えるのは響と翼の二人のみ。

 

 だが、響は毛頭戦えてもノイズ限定。対人戦闘なんてもっての他だ。ならば翼は――と言えば、あまりにも己を律し過ぎており、下手をすればやられかねないような危険な状態だ。

 

 さて、ちょっと行ってくるか。

 

 チューニングの効果も終わり、最早彼が何を言っているのかいないのか分からないが、肩を回して柔軟運動を行う彼の背中を見て、彼女はギュッと手を握って言った。

 

 

「あ、あの……頑張ってください!!」

 

 

 返答の代わりに拳を突き上げ、彼は走り出す。

 

 その背中が見えなくなるまで見送った未来は、はぁ、と息を吐くと手元のジャンク・ウォリアーを軽く額に当てて祈った。

 

 どうか、私の親友の響と、相変わらずヘンテコな遊吾さんが無事に帰ってきますように、と。

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 立花響は焦った。彼女の目の前で行われているのは、人と人との争い。殺し合いだ。

 

 それは彼女が最も憎み、怖れ、破壊しなければならないモノ。憧れの女性である翼が一撃を受ける度、ネフシュタンの鎧を纏う少女が手に持った鞭のような武器を、高笑いしながら振るう度に、そして、それらがぶつかり合って雑音と光を撒き散らす度に、彼女のなかに言い様の無い感情が蓄積されていき、それが焦りとなって彼女は必死に動かそうとする。

 

 

「くっ、こんなので! 私にもアームドギアはあるはずなのに!? 奏さんの代わりにならなきゃいけないのに!」

 

 

 ヤドカリのような、柱のような、何とも形容し難いノイズの吐いた白いドロドロした白濁液によって全身を絡め取られ、端から見ると何とも卑猥な姿になりながら彼女は必死に腕を振る。

 

 アームドギア。シンフォギアが作り出す己の象徴のようなものであり、無双の武器。翼の天羽々斬ならば刀、そして、奏と言う彼女の命の恩人でもある少女ならば槍。

 

 そう、奏のシンフォギアであったガングニールならばそれを象徴する槍があるはずなのだ。

 

 だが、彼女がいくら望もうが叫ぼうが、その手に刃が宿ることはない。当然だ。彼女はまだ戦場を生き抜くだけの強い想いを持ってないし、何よりも彼女は既にアームドギアを持っているのだから。

 

 アームドギアはそのシンフォギアの象徴。そしてシンフォギアとは、聖遺物であるが、それを身に纏う者の歌によって生み出されるモノ。であるならば、アームドギアとは同時に奏者の象徴、想いの形であるのだ。

 

 だが、焦りによって心を乱す彼女はそれに気づくことができない。

 

 自分はこのまま何も出来ないのか…そう肩を落としたとき、突如としてノイズが叫び声を上げる。

 

 

「あ……ノイズ、さん?」

 

 

 極彩色の人型ノイズ。彼だ。

 

 彼女を拘束していたノイズの一体の懐に飛び込んだ彼は、その勢いのまま身体を回転。震脚を用いて衝撃を大地から足へ、それは身体を伝い身体の回転によるエネルギーと重なりあって新たな破壊力として拳へと伝播する。

 

 ダッシャア!!

 

 ノイズの胴体に拳が文字通り突き刺さる、と同時に炸裂音とともにノイズが弾かれたボウリングのピンのように弾け飛ぶ。

 

 響を拘束していたノイズたちが新たな敵に意識を向けようとするが、それよりも彼の方が速い。

 

 満足――ラリアットォ!!

 

 満足、その心を力へと変えることによって攻撃の威力を上げるという高等技術の一つ。裏拳を放った勢いを活かし、そこに満足したいと言う超絶たる想いを込める。

 

 ノイズの身体がくの字に曲がる。想いを乗せた重い腕がそのままノイズをぶんまわし、残るノイズを巻き込んで投げ飛ばす。

 

 こんなもんか、と掌を叩く彼。突然の乱入者に戦っていた二人も気づく。

 

 

「貴様…」

「テメェ…」

 

 

 あらら、モテる男は辛いねぇ。とりあえず肩を竦めつつ、響の方を振り返る。

 

 女の子座りでペタンと地面に座り込む姿は、本当に只の女の子だ。

 

 決闘もそうだが、こうして何か危険なことに年下を巻き込ませることは本当に嫌だ。何より、笑顔で居てほしい人々が悲しみに顔を歪めているのは本当に悲しい。未来に言ったこと、言われたこともある、だが、何よりも自分が今響に出来ることはなんだ?

 

 俺は、吹き飛ばしたレベル2のノイズ一体とレベル3の俺自身をチューニング!! 傷だらけの戦士よ、数多の傷を塞ぐ為に今立ち上がれ!! シンクロ!!

 

 レベル5、スカー・ウォリアー!!

 

 

 光が輪となり彼を包み込む。その中から現れるのは白い巨人。否、傷だらけの屈強なる戦士。

 

 浅黒い肌には真新しい物から古いものまで多種多様、数多の傷跡があり、右足は義足。頭部も包帯が巻かれ、片目は義眼。右腕は包帯でぐるぐる巻きになっているが、その手の甲からは鋭く分厚い刃が抜き放たれている。

 

 少女を背に立つ姿は、正しく戦士。鋭い眼光が二人を睨み付ける。

 

 

「はっ、今度こそ捕まえ――」

「ハァアアア!!」

 

 

 クリスが言うよりも先に、翼が動いた。

 

 脚部のスラスターが展開され、即座に刃を展開する。両刃となった刃をバトンのように高速回転させる。それは炎を纏いそれは輪となり敵を切り裂く一陣の風となる。

 

 風 輪 火 斬!!

 

 歌と共に撃ち放たれた必殺の一撃。だが、それは恐ろしく冷静に対処される。

 目にも止まらぬ回転の間、一瞬の刃の隙間にスカー・ウォリアーの刃が突き刺さる。

 

 スカー・ウォリアーの効果、一ターンに一度、戦闘による破壊を無効とする。これと彼の眼の良さが合わさることで出来上がる、熟練の戦士をも上回る先読み。身体の傷は伊達ではない。スカー・ウォリアー自身に刻まれた記憶が、彼と連動して彼女の攻撃を防ぐ。

 

 

「ぐぅッ!? 貴様ッ!!」

 

 

 スラスターを吹かして彼を押し込もうとするも、彼の巨体は揺らぎもしない。むしろ、大地に根を張る大樹の如く微動たりともしない。

 

 スカー・ウォリアーの効果。相手は他の戦士族モンスターを攻撃することが出来ない。

 

 響と言う守るべき存在が背後に存在することで、スカー・ウォリアーの全ての能力が解放されているのだ。

 

 

「邪魔だぁああ!!」

 

 

 ネフシュタンの鎧に搭載された鋸状の鞭がスカー・ウォリアーに迫る。

 

 だが、今の彼にとってその程度の攻撃など問題は無い。冷静に刃を左腕で掴み取る。どれだけ鋭い刃であっても、刃が立たなければ切ることは出来ない。力比べならば問題は無い。一瞬の攻防の後、場は硬直する。

 

 

「ぐ、ぐぐぐ」

「くっ、いい加減、離しやがれェ!!」

 

 

 完全聖遺物とシンフォギア、二つの力を受けて尚山の如く動かない彼。

 

 彼の意図が全く理解できない二人。舐めてんのか!! と激昂するクリスに対し、翼は静かに、だがその奥に激情を隠すこと無く彼に問いかける。

 

 

「貴様……奏を何処へやった?」

「え? 奏さん?」

 

 

 何故、死んだはずの奏の名前が出てくるのか。困惑する響の前で、翼が彼に問いかける。

 

 

「二年前、杖を持った女性が現れ、奏に治療を施し、彼女を連れて何処かへ消えた。あれは貴様なのだろう?」

 

 

 あー、そういやそんなこともあったなぁ…。

 

 二年前、立花響が瀕死の重傷を負い、その身にガングニールを宿すこととなった。そして、風鳴翼が相棒を失い、ツヴァイウィングと言う存在が伝説となったその日。彼もまた、その会場に居たのだ。

 

 彼は元の世界ではサイコデュエリストと呼ばれる存在であった。いや、正確に言えばサイコデュエリストとも違う、超常のデュエリストだった。

 

 カードの力を実体化させるだけではなく、己に憑依させることで同様の力を任意に行使する。それが彼の持つ唯一無二の能力。彼はソレを用いて会場の避難の手助けや、けが人の治療などを行っていたのだ。

 

 そしてあの日、彼女が絶唱したあの時。彼は己の全てを彼女に注ぎ込んで治療を施し、程無くしてノイズとなった。

 

 

「だんまりを決め込むか…ならばっ!!」

 

 

 刃を弾き、大きく距離を取る翼。大技が来ることが予想され、彼はネフシュタンの刃から手を離し次なる攻撃に備える。

 

 

「どうして…」

 

 

 背後で声が聞こえる。だが、彼は振り返らない。彼女の生き方はとても険しいものだ。彼女のような生き方をした、いや、今でもきっとし続けているであろう親友が居るから分かる。彼女は彼と同じ人種である、と。

 

 ならば、彼女にその生き方の一端を見せねばなるまい。何度でも受け止めて、それでも信じ、友になろうとする姿勢を。とは言え、彼の場合は親友ほど出来ないため必要ならボコボコにする覚悟なわけなのだが。

 

 歌が響き渡る。ああ、前から思ってたけど敵対したら改めて思った。防人さんマジで歌に殺意込め過ぎてませんかねぇ? どこぞの希望一族思い浮かべちまうぜ、まったく。そんなことを考えながらも彼は体勢を低く、受け止める姿勢を整える。

 

 

「奏の居場所、その口から吐いてもらおうか!!」

 

 

 天ノ逆鱗。アームドギアを肥大化、その柄を己とすることで圧倒的な推進力と共に相手を貫く文字通りの必殺の一撃。当たれば如何なシンクロモンスターとて耐えきれるものではないだろう。だが、スカー・ウォリアーには破壊耐性がある。ノイズ状態のことを思えば多少は問題ない。

 

 剣が加速する。狙うは一点、彼の心臓部。心臓部と言っても刃が大きすぎて最早胴体を丸ごと貫くしかないわけだが、むしろそれくらい大雑把な方が彼にとっては都合が良い。

 

 勇敢なる刃ぁああああああああ!!

 

 目の前に迫る刃。腰を一瞬低くした彼は、瞬時に踏み込み、大地を抉り飛ばしながら右腕を突き出す。飛び込み突き。互いの刃の先端が正面からぶつかり火花を散らす。

 

 

「くっ!?」

「oo…oOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

 

 

 スカー・ウォリアーの攻撃力は彼女の天ノ逆鱗の攻撃力を下回っている。幾ら戦闘破壊耐性を持っているとしてもここまで拮抗すると言うのは異常なことであった。

 

 雄叫びと共に彼が脚を思い切り踏み込む。瞬間、翼の脳裏に稲妻のような感覚が走り、それに従って連結した脚部を解除、刃から飛び退く。

 

 連結が解除されたことで刃が空中分解されると同時に、スカー・ウォリアーを中心に地面が弾け飛ぶ。

 

 

「それは叔父様の!?」

 

 

 風鳴指令と同じ、発剄と震脚を用いた衝撃の受け逃がしだ。スカー・ウォリアーの身体スペックを利用したそれは、彼の目論見通り衝撃を受け流すことに成功するも、流石に素人であることもあり衝撃を完全に逃すことは出来ず、彼の身体に並々ならぬダメージを残す。

 

 思わずよろける彼。その隙を逃すほど彼の相対する敵は優しくは無かった。

 

 

「もらったぜぇええええええ!!」

 

 

 クリスの雄叫びと共にネフティスの刃が唸り、稲妻のような軌跡を描いて彼に迫り――そして、

 

 

「ノイズさああああああああん!?」

 

 

 彼の身体を貫いた。

 

 ゆっくりと崩れ落ちる身体。そして、その内側より極彩色の光が溢れ出すも、それはすぐに漆黒に染まり新たな影を作りだすのであった。

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