戦姫絶唱シンフォギア~歌わない決闘者系ノイズ目録~   作:特撮仮面

6 / 24
彼とopa――雪の音。時々ラスボス

 何が起こったし…。

 

 謎対話空間を抜け出して数秒後。彼が目を覚ましたらそこは森の中。で、森の中かと思えば銀髪の眩しい美少女が一人。

 

 その顔に覚えがありすぎるので思わず叫んでしまったが、流石にopaiは拙かった。気づけば彼女は魔弓イチイバルに蜂の巣にされそうになった。

 

 雪音クリス。雪の名の通りの綺麗な銀髪、勝ち気に光る瞳。年齢に対してよく育っている身体を、赤いドレスのような子供っぽい服で覆い隠した、ちぐはぐな印象を受ける少女。

 

 彼はふと思いだした。この、雪音クリスと言う少女、彼女はアニメの中で主人公である立花響の仲間になる前はフィーネと言うラスボスに保護され、彼女の命令で動いていた。現在をアニメに例えると、仲間になる前、つまり彼女はラスボスと共にいる状態なのだ。

 

 これが何を意味するのか。簡単だ。この近辺にラスボスが潜んでいる可能性があるということ。ラスボスが身に纏うのは完全聖遺物。試したことしかないが、ようやくレベル8まで対応可能になったばかりの彼では決して通用しない。と言うか、下手すればシンクロすらできずに炭化させられる可能性すらある。

 

 故に、彼が選ぶべきは本来逃走のはずなのだが――

 

 

「でよぉ……酷いと思わねぇ?」

 

 

 お、おう、そうだな…。

 

 何故か湖畔に二人して並んで座り、愚痴を聞いていた。

 

 

 と、言うのもだ。先程まで争っていた彼らなのだが、彼が何をトチ狂ったのかキングは一人、この俺だ!(右腕を天に伸ばし人差し指を立てる)ポーズや、俺とデュエルしろぉおおお!!(膝をつき天に向かって吠えるように)ポーズ、ファンサービスポーズなど、変則的すぎて気持ち悪い不真面目な避け方をし続けた結果、戦闘自体がどうでもよくなったらしい。

 

 実際、彼女のモチベーションも物凄い低く、途中から歌はテンポダウン、彼女の歌声もまるで世界の全てを呪ってやると言わんばかりに低く遅くなっており、果ては目元が隠れて尚変な笑い声を上げながらイチイバルをぶっ放していた時点で何かがおかしいと気づくべきだったのだ。

 

 

「何であの人部屋で全裸なんだよッ!! その癖靴下とブーツだけはしっかりはいてるんだぞ? 何なの? 痴女なの? 死ぬの?」

 

 

 あー、はいはい。落ち着いて落ち着いて。と言うか、その手に持ったイチバル元に戻しなさい。湖の魚全部死んじゃうから。

 

 彼女の口から出てくるのは、全て現在の彼女の保護者であるフィーネに対する愚痴である。

 

 どうやら、何かと彼女をからかうために使用していた、opaaaaaaaaaaiやtundereeeee、ftmomooooと言う雄叫びと逃走前のメッセージが効いていたらしく、徐々に涙目になる彼女を見て急に優しくなったと言うのだ。

 

 特に、翼が絶唱した日の少し前に戦ったときのメッセージは致命的だったらしい。

 

 最悪の人なのに、時々凄い優しかったりするから生きるのが辛い、彼女がそう言ってイチバルをしまうと、また膝頭に顔を埋めておいおいと泣き始める。

 

 …流石に、その程度で俺を倒すなんて――!! とか、素晴らしいよぉ!! とかファンサービスごっこは駄目だったらしいな…。と言うか、ラスボスが憐れに思うとか、クリスちゃん苦労しすぎ…。

 

 自分が原因であるのに、それを棚に上げて憐れむ彼に、彼女がチラリと目元だけ見えるように顔を挙げていった。

 

 

「それにだぞ? この服だって――って、よく考えてみれば全部テメェのせいじゃねえか」

 

 

 あ、ばれた~? ごっめーん、てへぺろ☆

 

 小一時間ほど愚痴を言ってようやく彼が全ての原因だということに気づいたのだろう、拳を握りしめて彼を殴ろうとするクリスだが、すぐに思いとどまる。

 

 相手はノイズ。シンフォギアを身に纏えば話は別だが、先程は反射、冷静になればシンフォギアを纏うために歌うと言う行為を強いられる以上、彼を殴ることが出来ない。

 

 別に纏えないわけではないのだが、こんな下らないところで嫌いな歌を歌いたいわけではないのだ。

 

 ぐぬぬ、と拳を震わせる彼女に、後頭部に手を置いて小首を傾げる彼。何がしたいのか彼女には理解できないが、煽られていると言うことはわかるので、やはりイチイバル抜いてやろうか? と本気で考え始める。

 

 でー、ここどこよ?

 

 

「隠れ家近くの湖畔。あんたが湖に浮かんでたときは本気で驚いたよ」

 

 

 キョロキョロと辺りを見回す彼を見て、大体言いたいことを察したのだろう。ノイズ使って引き上げるのは疲れたよ、と溜め息を吐く彼女。 そりゃすまんかったなぁ、彼がそう苦笑する。

 

 やれやれと彼女が首を振る。訪れる静寂。本来なら敵対している者同士このまま戦闘が起こってもおかしく無いモノなのだが、どうやら互いにそんな気分ではないらしい。

 

 と、彼はふと疑問に思った。なぜ自分がこの世界に居るのか、と。彼の体感であるが、存在するのにフォニックゲインがほとんど消費されていないのだ。

 

 先の戦闘の絶唱、受け切ったのは良いがあの戦闘の前に溜めた分のフォニックゲインは全て使い切ったし、貯め込んでおいたフォニックゲインも結構消費してしまった。謎空間で多少なりとフォニックゲインを補給することが可能であることを加味しても、この自分の状況は不可解なものだ。

 

 しかも、それがクリスと出会ってからむしろフォニックゲインが増加しているような気がしてくるものだからおかしい。これは一体どういうことなのか、彼が考え始めたところで聞こえる草を踏みしめる音と、圧倒的な威圧感。

 

 二人して慌てて振り返る。

 

 

「クリス……貴女、何をしているのかしら?」

「ふぃ、フィーネ…」

 

 

 モデルのような美しい金髪美女。だが、その嫌に嗜虐的な目と、何よりもその身体を見て彼はまたもや反射的に叫んだ。

 

 

「yo…yosouizyounihentaidaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?」

「ブフッ!? ちょ、バッ!? お、お前何言ってんだ!?」

 

 

 本当に靴くらいしか履いていないその姿。雑音交じりだがしっかりと聞こえた「予想以上に犯罪者だ!?」と言う彼の雄叫びに、笑いを堪え切れずに吹き出してしまうクリス。

 

 だが、流石にこれは拙いと彼を諌めようとするのだが、それよりも先に響き渡る笑い声。二人がギョッとして笑い声の方を見れば、愉快そうに笑うフィーネの姿――

 

 

「ははは!! 言いたいことはそれだけか?」

((本気で怒っとるぅううううううううううううう!?))

 

 

 統一言語なんて必要ない。こうして自分たちは分かり合えているのだから。なぜかそんなことを一瞬脳裏で考えた彼は、クリスとフィーネを怒らせたのお前だろと言う醜い責任の押し付け合いをしながらもしっかりと土下座を行うのであった。

 

 あまり頭を下げるのが好きではないと言っても、ラスボス相手に下げない頭は無い。これで生き残れるのならば儲け物だよこん畜生!! 内心悔し涙を流しながら彼はそうつぶやくのであった。

 

 

 

 

※※※※※※

 

 

 

「さて、あの子が居なくなったし、話を続けましょうか? 遊吾・アトラス君?」

「な、テメェ何で俺の名前を――ッ!? 何で俺の言葉が!?」

 

 

 その後、何とか機嫌取りに成功した彼は、彼女に連れられて隠れ家であると言う屋敷に案内され現在その広間で対峙していた。

 

 クリスはいない。何かしらの任務を受けて何処かへ行ったのだろうか? そして広間に居るのはフィーネとノイズのみ。だが、その空間に響き渡った男の声に、ノイズが一歩引き下がる。

 

 それは記憶している声とほぼ同じな彼の肉声。一体何が起こっているのだ、困惑する彼に、フィーネが笑う。

 

 

「これは、貴方の波長を音として感知できるようにしてるの。あれでね?」

「あれ……あの馬鹿デカいスピーカーか」

「ええ。結構大変だったのよ? 貴方を解析するの。響ちゃんの言葉から、貴方が言語を話しているって聞いたから、貴方の波長の解析を行って、その波長からそれを言語として取り出す、とか」

 

 

 部屋の奥に設置された巨大な黒い箱。どうやらあれから音が出ているらしい。

 

 彼女は続ける。彼の――遊吾のノイズとしての能力であるチューナー、あらゆる物質のフォニックゲインの波長を一定の数値に固定することで行うシンクロの技術のことを。そして、彼の扱うシンクロモンスターとしての姿のことを。

 

 

「どんな物質も、それこそノイズや石ころ、果ては人間の持つフォニックゲインの波長を自分のモノと合わせることで行う融合。それがあの変態の正体ね?」

「…ああ」

「そして、あの姿は全てナニカをモチーフにしている。あの、天刑王ブラック・ハイランダーとか言うネフシュタンを破壊した姿も、フォニックゲインの波長を利用した装備破壊の効果って言うの? あの能力も、全て明確なモチーフがあることで可能な、限りなく現実に近い能力の再現。でも、能力を使用するにはそれだけ多くのフォニックゲインが必要になる。だから能力の連発は出来ない。何故なら、貴方が炭化してしまうから。生存のためにノイズからフォニックゲインを回収しているのだものね?」

 

 

 彼女の言葉を聞いて、彼は舌を巻いた。まさか、自分の使用する能力が全て言い当てられているどころか、自分がノイズとして活動している目的すらも言い当てられているとは。

 

 確かに、フィーネの言う通り彼のシンクロはあくまでも彼の生業でもあったデュエルモンスターズと言うカードゲームに登場する、特殊なモンスターであるシンクロモンスターをモチーフにした姿。

 

 むしろ、モチーフが無ければ彼がいくらシンクロしたところで完成するのは大型ノイズ。あれだけ別の存在になれると言うのは、彼の強力なイメージ力と、身体に沁みついたモチーフの影響が大きい。

 

 また、翼との一戦でブラック・ハイランダーの能力を使用しなかった理由――フォニックゲイン残量を気にしての自分の動きもどうやら見切られているらしい。

 

 流石はシンフォギアを開発し、異端技術研究の基盤となる理論である櫻井理論の提唱者。櫻井了子でもあるフィーネ。伊達や酔狂で何千年生きているわけではないらしい。

 

 永続罠の正々堂々で手札を公開しているに等しい、いやむしろ罠カード、マインドクラッシュで手札を開示して捨てさせられているようなモノか。彼女のいうことは全て正解である為、最早隠すことは出来やしない。ため息を吐くと、降参だと両手を挙げる。投了、降参、サレンダー。彼女が自分を解剖すると言うのであれば、自分は抵抗せず解剖されよう。流石に勝ち目がない。

 

 

「あら、別に私は貴方を解剖したくて屋敷に招待したわけではないわよ?」

「なんだと? なら、何で…」

「解剖するためなら、態々会話できる装置なんて作ろうとしないわよ」

「なるほど…。で、何が要求なんだ? 自慢じゃないが、個人資産は一つも無いし、ノイズの状態じゃ町にすらおちおち出ていけないんだぞ?」

 

 

 彼は言う。自分に利点は見られないと。だが、彼女は笑う。

 

 

「貴方の命、かしら? いえ、正確に言えば貴方の能力ね」

「能力……チューナーとしてのチューニング能力か?」

「ええ。アレは月の――バラルの呪詛を超えることのできる可能性を持つ物!! 何より、統一言語と同じ、音を通わせる力がある。貴方のシンクロと、立花響のシンフォギアとの融合、この二つを解析すれば、私は――」

「バラルの呪詛? 一体何を言っているんだ、まるで意味が分からんぞ!! てか、響に何か酷いことしてみろ! 許さねえぞ!」

 

 

 フィーネの言葉に語気を荒げる彼。自分はノイズであり、同時に異端者。多少のダメージは構いはしないが、立花響だけは駄目だ。彼女だけは犠牲にしてはならない。

 

 必要ならば、アレを使ってでもこいつを此処で仕留める。並々ならぬ覚悟を決め、フィーネを睨み付ける。ノイズとしての姿に目は無い。だが、確かに感じる眼光が彼の意志を物語っていた。

 

 

「そう警戒しないで。別に酷いことをしようってわけじゃないわ。あくまでも彼女の力を解析したいだけよ」

「…どうだろうな」

「物凄い嫌われようね。私何かしたかしら?」

 

 

 くすくすと笑う彼女。

 

 若い。立花響もそうだが、このノイズである少年も大概若い。どこか微笑ましいものを見るように目を細めながら彼女は続けた。

 

 

「まあ、冗談はここまでにしましょう。それに、私に協力してくれたら貴方にも良いことはあるのよ?」

「良いこと? さっきの話からはメリットが欠片も感じられなかったんだが」

「フォニックゲイン、それを供給できるわ」

「なんだと!?」

 

 

 フォニックゲインは、体内で生産されているエネルギーではあるが、それの活用法は世界中どこを見ても確立されていない。当然だ。フォニックゲインと呼ばれるエネルギーは、櫻井理論によってその存在が確認されたエネルギーであり、実用レベルにまでフォニックゲインを活用することはまず不可能だからだ。

 

 人間のフォニックゲインは、感情の変化などでより強力に発生する。が、その放出量とエネルギーの波形は個体差が激いのだ。その為、現在シンフォギア適合者が少ない理由には、適合する聖遺物が無いと言う理由以外にも、聖遺物を起動するだけのフォニックゲインが放出できない。仮にフォニックゲインが放出できたとしても、波形が合致しなければ聖遺物が稼働する際に身体に多大な負荷がかかると言った問題が発生するのだ。

 

 このような不安定なエネルギーであるフォニックゲインは、世界の研究者からは不良品のようなモノとされ、それを誰かに譲渡する手段も、それを貯蔵する手段もほとんど確立していない、いや確立していないと断言しても良いものだ。

 

 いくら櫻井理論の提唱者であるとしても、フォニックゲインを貯蔵、運用するなんてことができるとも思えない。と言うか自分はノイズなのだ。それにフォニックゲインを送るなんてこと、出来るはずが無い。フォニックゲインの供給なんて夢でしかないと切り捨てる彼に、フィーネは笑う。

 

 

「あら、シンフォギアの開発者である私に随分な言い方ね。…まあ、貴方の言う通りまだフォニックゲインを貯蔵供給するシステムは確立していないわ」

「なら、何故――」

「シンフォギア奏者の歌からは、フォニックゲインが発生するわ。それこそ、湯水の如く」

「歌――まさか!?」

 

 

 彼は仮定する。ノイズはフォニックゲインを求める。だが、フォニックゲインを活用し戦うシンフォギア奏者には無力、それはなぜか?

 

 許容容量が足りないのだ。シンフォギア奏者の放つフォニックゲインに対し、ノイズのフォニックゲインを吸収、処理能力が追いついていない。だから溢れかえったフォニックゲインで自壊する。無論、破壊的指向のあるエネルギーとなっているのでそれで壊されている可能性の方が高いわけだが。

 

 しかし、だ。そうであるならばフォニックゲインの貯蔵量が無尽蔵かつ、シンクロによりフォニックゲインの扱いに長けている自分がフォニックゲインのある歌を聞けばどうなるか?

 

 放出されるフォニックゲインを吸収するということだ。…これならば、自分のフォニックゲインがそこまで減少していないことも説明がつく。

 

 絶唱により放たれたフォニックゲインを吸収していたのだ。これならば、仮に絶唱の破壊力に押し負けたとしても、身体を構成するフォニックゲインは絶唱に使用されたフォニックゲインの一部で賄うことが出来る。これなら、その場で吸収した分のフォニックゲインを利用することで本来貯め込んでいるフォニックゲインの消耗を抑えることが出来る。

 

 

「そうよ? 貴方を知能あるノイズとして特別災害対策機動部二課で保護、研究対象として観察しつつ、貴方を奏者たちと同じ戦場(いくさば)に立たせることで、確実なフォニックゲイン供給を可能とするわ。これなら、貴方は存在を保つために一々位相空間に隠れなくても済むし、他のノイズを吸収できる。更に響ちゃんたちとコミュニケーションが取れる。一石三鳥、良い案だと思わない?」

 

 

 彼女の言う通りだ。フォニックゲインを回収さえできれば、自分が人間に戻れる可能性もある。その研究を協力してもらえれば俺が人間に戻ることも可能になるのではないだろうか? 響たちの様子は確認したいし、奏がどうなっているか把握したい。そう考えると、彼女の提案はとても魅力的だ。

 

 

「良い案だ。それこそ、俺にとってはこれ以上ないほどに」

「でしょう? なら――」

「だが断る」

 

 

 彼は一蹴する。これを蹴ればきっと後で後悔するだろう。もしかしたら人間に戻る術が見つから無くなるかもしれない。だが、彼はそれでも断る。

 

 満足できないじゃないか、それじゃあ。

 

 

「俺は響が笑っているのが見られたらそれで満足なんだよ。守ってる筈がねえ。でも、守っている気になってるだけで十分なんだよ。触れることすら叶わない太陽なんだ。俺はそれで満足するしかねえじゃねえか。だから断らせてもらう。ついでに言や、俺がノイズになった原因を知られて翼とか他の連中にまで暗くなられたら、それこそ俺が満足できなくなっちまう」

「…なるほどね」

 

 

 交渉決裂。本来ならこのまま戦闘に入っても良い筈なのだが――意外なことに、フィーネはこれはフラれちゃったわ、と笑うだけ。戦闘に入る気満々だった彼は、そんな彼女の様子を見て拍子抜けしてしまう。

 

 

「仕方がないわね。今日のところは引き下がらせてもらうわ。ほら、帰って構わないわよ?」

「…良いのか?」

「ええ」

「本当に良いんだな? 俺帰るって言ったら本当に帰るからな?」

「しつこい男は嫌われるわよ?」

 

 

 彼女が本気で言っていることを感じ、彼は警戒を解くと素直に扉から屋敷を出ていこうとする、とそんな彼に彼女が声をかけた。

 

 

「帰りにクリスを護衛につけるわ。それと、ノイズも何体か上げる」

「アフターケアばっちりだなおい」

「これでも、フォローの了子と呼ばれていた時期があったのよ?」

 

 

 知らんがな。最後にそう残して去っていく彼。

 

 フィーネ――櫻井了子は大きくため息を吐くと、一つの端末を起動する。

 

 それは、最初に説明した彼の音声を発するスピーカーに接続されている端末。そして、その中のデータファイルを一つ展開した。

 

 そこには、こう記入されていた。

 

 

『天羽奏。筋力低下などは見られるが、身体、精神共に正常。しかし、原因不明の言語障害を確認。対象の言語は人間の放つ音域を遥かに超えており、発生する波長は件のD-Noiseが定期的に放っている波長と同一の物であると判明。発声の際にこの波長が確認されており、天羽奏と同じくD-Noiseもまた何かしらの言語を発している可能性が高い。』

 

 

「さて、これからどうしようかしら?」

 

 

 彼女が笑う。この会合が後々どのような影響を及ぼすのか。それは誰も想像の付かぬことであった。

 

 

 

 

「え? 歌う? …………分かったよ。でも、それだけの凄いもんが本当に見せてもらえるんだろうな?」

 

「うぉぉおおお!? すっげぇ!! 何だよその姿! カッケェ!! 何? ハイパーサイコガンナーって言うのか? 凄い!!」

「ほかにもある? 本当か!? 見せて見せて!! ふぉおお!? 騎士とかカッケェ!! 大地の騎士ガイアナイトって言うのかそれ!」

「他にどんなのになれるんだ!! 見せてくれよ、な、な!!」

 

 

 フィーネが笑っている頃、話の流れで娯楽に飢えていると言う話をクリスから聞いた彼は、ソロモンの杖を持った彼女に時折歌ってもらいつつソロモンの杖でノイズを召喚してもらいつつ、ファッションショーならぬ、シンクロモンスターショーで彼女にエンターテインメントを提供しているのであった。

 

 後々彼はこの時のことを思い出してこう語る。

 

 シンクロ状態の彼ならば人間でも触れられると分かってから、何かとボディタッチしながら上目遣いでおねだりしてくるクリスちゃんがすごく可愛いと思いました。てか、おねだりの時に揺れる胸部とか、しっかり見えちゃう谷間とか、最早犯罪級――いや、日本国憲法や国際法に抵触しかねないのではないかと思いました。てか、マジでクリスちゃんがおねだりすれば世界から争いが無くなるんじゃないかと本気で思うわけなんですがみなさんそこのところ――




主人公が時々変態になってしまうのは何故なのか…。感想とかアドバイス、誤字報告などありましたらよろしくお願いします! 評価、してもええんやで?(チラチラ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。