「おっっっそい!」
もう15分も待っているのに。戒人は支部のソファに寝転がって叫ぶ。黒子が自らの空間移動(テレポート)で初春と共に支部を出発してから、すでに約15分。黒子がタクシーを拾うよりも、自分2往復した方が早いと言うので、戒人は大人しく支部で迎えを待っていた。
「遅すぎじゃないですか?固法先輩。俺、初春たちの番号
知らないんで、先輩から連絡してみてくれませんか?」
「ええ。いいわよ。あら?そういえば御坂さんは?」
固法が支部の中を見渡すと、さっきまでそこにいた美琴がいない。
「御坂さんならさっき電話がかかってきて、アンタとかロ
シアとかあのバカとか言いながら、すごい勢いで出て行き
ましたよ。」
固法先輩気づかなかったんですか?と佐天が続ける。
「誰からの電話だったんだろうな。」
「もしかしたら、大覇聖祭の時の彼氏さんだったりし
て〜!」
「え⁉︎美琴嬢、彼氏いんの⁉︎」
佐天と戒人がこんなやり取りをしている中、固法は顔を曇らせる。
「おかしいわね…」
「どうしたんですか?固法先輩。」
「電話がつながらないの。初春さんも白井さんも。佐天さ
ん、悪いけどあなたも二人に電話してみてくれる?」
「はい。わかりました。」
佐天は初春と黒子に電話をかける。だが、
「…出ませんね。二人とも。」
固法は不安そうな顔をした。
「どうしたのかしら。もしかして何かトラブルが発生した
とか…?」
「警備員のサポートに入ったんですよね?だったら警備員
に連絡して聞いてみればいいんじゃないですか?」
「それが、さっき警備員にも電話をしたんだけれど、警備
員の方も現場の人たちと連絡が取れなくなっているみたい
なの。」
戒人は少し考えてハッとする。
「まさか…、通信妨害?」
「その可能性は十分にあるわね。」
「そんな…。初春や白井さんが危ないですよ!」
佐天は慌てて、固法に言う。
「俺がいく。」
「え?」
「固法先輩。俺が行きます。」
戒人は固法の目を真っ直ぐみて言った。
「俺が現場まで行って、状況を他の警備員や、固法先輩に
伝えます。それくらいだったら、ド素人の俺でもできるは
ずです。」
「わかったわ。私も支部を離れるわけにはいかないし。あ
なたにその仕事をお願いします。ただし、危険だと思った
ら迷わず、自分の身を守ることだけを考えること。それだ
けは忘れないで。」
「はい。じゃあ行ってきます!」
戒人はソファにかけてあった自分の制服を羽織り、支部から飛び出していった。
(まただ。)
佐天はその姿を見て、唇を噛み締めた。
(私はまた何もできないんだ。)
友人の危機に、何もできない無能力者。
(違う。私は違う。)
右手で、左手首を強く握る。
「ちょっと!佐天さん、どこいくの⁉︎」
佐天は走り出した。
「白井さん!」
「人の心配してる場合じゃないよー。」
疾すぎて何が起きたか理解な追いつかない。初春は混乱していた。自分の目の前で自分をかばうような形で、立っていた黒子が一瞬のうちに真横へ吹っ飛び、黒子が立っていたところに、今度は茶髪の少女が座り込んでいる初春を、見下ろすように立っている。
「高速移動ができるんですか?あなたは。」
初春はサンガに尋ねる。
「だから爆発範囲の広い雷撃爆弾(テスラボム)を使って
も怪我をしていないんですね。」
テスラボムが爆発する寸前に高速移動で爆発範囲から離れる、というのが初春の推理である。先程の黒子の奇襲の被害を右手の甲だけにできたのはそれがあったから、と考えれば筋道は通る。だが、確信には至らない。何故なら、サンガはテスラボムを自分の能力で強化していると言っていた。肉体強化系の能力者ではそんな芸当はできない。
「うーん。オシイ!70点ってとこか。」
サンガは笑いながら答える。
「アタシの能力は電雷制御(オールシステム)って言うら
しいんだけどサ、Level3の発電系能力だから電撃の出力は
大した ことはないんだ。」
でもね、とサンガは喋り続ける。
「アタシは特殊らしくてネ、体内の生体電気を操るのが得
意なんだよ。身体中の末梢神経に電気を直接流し込むこと
によって、常人の約6倍の反射行動ができるようにな
る。」
サンガはこの能力を使い、一瞬にして黒子との距離を詰め、物凄いスピードで黒子を蹴り飛ばしたのである。サンガは腰からテスラボムを引き抜き、初春に見せる。
「コレもその原理を応用したものらしいよ。ま、アタシに
にはよくわからないけど。」
「そんなに自分の能力をペラペラと喋っていいんです
の?」
その声と同時に、サンガの両足の太ももに鉄矢が突き刺さる。
「グッ!」
「何が、グッ!ですの。まったく。ド三流もいいとこです
わ。スキがありすぎて、罠なんじゃないかと思うくらいで
すわよ。」
「白井さん!大丈夫なんですか?」
黒子は脇腹をさすりながら答える。
「えぇ。思いっきり蹴っ飛ばされましたけれど。ですが、
あの程度で私が倒れるとでも思っていましたの?三流さ
ん。」
「アッハハ。結構エゲツなく蹴りれたと思ったんだけど
なぁ。痛っつー。」
サンガは依然、ふざけたような態度を取り続け、たちあがろうとする。
「動かないでくださいまし。動いたら今度はこの鉄矢を体
内に直接テレポートさせますわよ。と、言っても痛みで動
けないでしょうけど。」
その格好お似合いですわ。と黒子は勝ち誇ったように言う。だが、
「アッハハ。アハ、アハハ。アーッハッハッハッハッ
ハ!」
サンガが突然、大声で笑いだした。
「な、何がおかしいんですの⁉︎」
「体内に直接テレポート?痛みで動けない?このアタシ
が?ウケる〜。」
サンガは口元に巻いた大きなスカーフを取り払う。彼女は口角を目一杯上げて、恐ろしい笑みを浮かべていた。
「痛みってのは刺激だろう?刺激ってのは結局は電気信号
だ。アタシはその電気信号すら操ることができるんだ
よ!」
サンガは立ち上がり、身体からビリビリと青い光を発生させる。
「それにアタシは一般ピーポーより何倍も早く動けるんだ
よ。アンタのそのチャチな能力なんかで、アタシを倒せる
と思うなよ。」
「チャチな能力?」
黒子の眉間に青筋が入る。太もものホルダーから取り出した鉄矢を指の間に挟み、サンガを睨みつける。
「聞き捨てなりませんわね。その言葉。良いでしょう。常
盤台中学のエース、最強無敵の電撃姫の"露払い"。この白
井 黒子がお相手させていただきますの。」
第5話いかがだったでしょか。この回で白井とサンガとの決着をつけようと思ったのですが、自分は文才がないので、どんどんと長引かせているような気がします。また、美琴さんには申し訳ないですが、これから彼女は上条を追ってロシアへ行くこととなるので、あまり出番はないと思われます。美琴の助けを借りずに、超電磁砲メンバーがどのようにスキルアウトたちと戦うのか、そういうところにも注目して読んでいただけるととても嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。