とある科学の多重能力   作:とある初春の電脳花弁

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第6話です。今回は黒子とサンガの能力バトルを書きました。戦闘描写はほぼ初なのでわかりにくいところなどあると思いますが読んでいただけると嬉しいです。また、不明な点などありましたら感想の部分でご指摘をお願いします。それでは第6話、どうぞ。








電撃使い

サンガは身体に青い光を帯びたまま、黒子に突進する。負傷している右手の甲と太ももは痛覚の電気信号を操り、痛みを感じないようにしている。ただ、長くは戦えない。痛みを感じないということは、身体から送られる危険信号に気がつけないということ。人間は痛みを感じることで、さらなる危険を回避し、さらに治癒力を高める。実際、怪我や手術をした際、痛み止めや麻酔を使わない方が傷の治りが早いという。人間が生きていく上でとても重要である、痛覚を切り離して戦うということはサンガにとって、とてつもなく大きなリスクだった。

 

(もって10分程度カナ。結構血出てるし。)

 

「はっ!」

 

黒子は空間移動(テレポート)を使って、サンガの後ろに飛ぶ。背後を取った黒子は鉄矢を撃ち込もうとする。しかし、

 

「おっせぇぇぇ!」

 

サンガは急ブレーキをかけ、身体を反転させ黒子へ向かい、蹴りを入れようとする。黒子は避けきれず、腕で防御し、地面を転がりながら蹴りの衝撃を去なす。

 

(流石に疾いですわね。普通にテレポートしても追いつけ

ませんわ。敵の動きを先読みしてそこに鉄矢を撃ち込む。

通常の演算と、相手の軌道を読む演算2つ同時に行わなけ

ればなりませんわ。ですが…)

 

「その程度、私にかかれば楽勝ですの!」

 

「ナニが楽勝だってぇぇ⁉︎」

 

反射速度を限界まで高めたサンガの速攻。それを全て避けきるのは、テレポートを擁する黒子でも至難の技である。黒子はサンガの頭上へ飛び、数本の鉄矢を撃ち込んだ。サンガはその全てを避け、黒子と同じ高さまで、すぐさま跳び上がる。

 

「かかりましたわね!」

 

黒子はもう一度テレポートし、今度は地面に足をつける。

 

「いくらスピードが速くとも、空中では身動きが取れない

はずですわ!」

 

サンガの両足のつま先に向かって、鉄矢を撃ち込む。

 

「ガッ!…なーんてネ!」

 

サンガは突き刺さった鉄矢を気にすることなく、空中に浮いたまま腰のテスラボムを素早く抜き取り、黒子へ向かって投げつけた。

 

「くっ!」

 

黒子はテスラボムの爆発範囲からテレポートし、遠ざかった。しかしそこには、

 

「ハァイ。」

 

着地後すぐに走り出し、黒子の先回りをしていたサンガが立っていた。

 

(しまっ…⁉︎)

 

黒子は驚き、一瞬演算が遅れる。サンガはその隙を見逃さず、左拳を黒子の腹部に突き入れた。

 

「ゴッハァ…‼︎」

 

黒子の華奢な身体が後方へ飛び、そのままゴロゴロと地面を転がる。

 

「白井さん!」

 

初春が叫ぶが、黒子は返事をしない。サンガの拳は正確に黒子の鳩尾を捉え、黒子はその激痛に悶絶し、喋ることはおろか、息をするのさえ困難であった。

 

グチ、グチャチュ、と不快な音を立てながら、サンガがつま先に刺さった鉄矢を抜き取る。そして倒れ伏している黒子に向かって歩み寄ってくる。

 

(まさか、全身の痛覚を遮断していましたの…?)

 

薄れゆく意識をなんとか保ちながら白井は考えていた。なぜこの女はこんな危険な戦い方をしているのか、と。強力な爆弾を操り、自らの身体までも操作して、超人並みのスピードを出せる能力。黒子の知る御坂 美琴とはまた違った発電系能力者(エレクトロマスター)。だが、これだけのスペックがありながら、どうしてこんな戦い方をするのか。腰につけた爆弾をばら撒き、そのスピードで遠くへ逃げてしまう方が、効率が良いはずだ。わざわざ危険を冒して、黒子と真っ向勝負する必要などないはずだ。

 

「何でこんな無茶してるんだ、って顔してんな。アンタ。

図星だろう?」

 

「‼︎」

 

サンガは倒れている黒子の顔のそばにすわりこんで、一方的に喋り始めた。

 

「アタシにも色々とあるんだよ。こんなナリでも、昔はそ

こそこエリートとして通ってた。でも足りなかった。何時

までたってもアタシはLevel4にはなれない。何かがアタシ

には足りなかった。そんな時、あの方に出会ったんだ。」

 

(あの方…?)

 

「あの方はアタシに言ってくれた。君の能力は素晴らし

い。実戦的な能力調整を行っていけば、Level4どころか、

あの御坂 美琴を超える、Level5になれると!」

 

サンガは興奮した状態で話し続ける。

 

「だからアタシはここのスキルアウトのクズ共と手を組ん

だ。なんと言うか、スキルアウトってのも使いようなんだ

ね。最初 は能力者狩りについていくだけだったけど、アイ

ツらは殺 しもやる。初めて人を殺した時、アタシは思った

よ。これ こそ、レベルアップの近道だってねぇ!」

 

サンガは黒子の顔を覗き込んで、囁くようにしゃべる。

 

「あの感覚は今でも忘れられない。生命の駆け引き。血に

濡れた手。そして相手が絶命した時の身体中を心地よい電

気が駆け巡るようなあの感じ!真っ向から相手と向き合っ

て、そして徹底的に叩き潰さなきゃ味わえないんだよ。」

 

そして顔を上げ、天を仰いで叫んだ。

 

「だからアンタとも危険な戦いをした!アタシのLevelを上

げるために!アタシをバカにしたゴミ共を見返してやるた

めに!生命をかけて!」

 

「……りですわ。」

 

黒子がかすれた声で言う。

 

「ハァ?なんて?」

 

「無理ですわよ。」

 

黒子はキッ、とサンガを睨みつける。

 

「あなたのような下衆がお姉さまを超えるLevel5になれ

る?とんだ思い上がりですの。お姉さまはLevel1から、そ

れこそ血のにじむような努力に努力を重ね、やっとの思い

でLevel5になったんですのよ。それを、他人を踏み台に

し、人の生命さえも踏みにじるようなあなたでは何百年か

かろうと超えることなんて出来ないに決まっています

わ!」

 

「ふーん。あっそう。言いたいことはそれだけかナ?」

 

サンガは呆れたようにため息まじりに言う。

 

「アンタ、超電磁砲と仲良しなんだよね?アンタをぶっ殺

せば超電磁砲と戦えるかな?」

 

サンガは不気味な笑みを浮かべてそう言った。

 

「まぁ、わかんないけど、取り敢えずアンタはぶっ殺す

わ。超電磁砲はアンタが心酔するほどスバラシイ人格をお

持ちなんでございましょう?それだったら、アンタの仇討

ちに来てくれるかもね。」

 

「白井さん!逃げてください!」

 

初春がサンガの身体を後ろから押さえ込もうとする。しかし、サンガは初春の腕を振りほどくと、初春を投げ飛ばした。

 

「きゃっ!」

 

「あらあら。ウツクシイ友情だこと。見てると虫酸がはし

るくらいにね。」

 

黒子は目をつむる。もうテレポートの演算をおこなえるほどの気力も体力残っていない。黒子は諦めた。

 

(お姉さま。申し訳ございませんの。黒子はお別れも言え

ず、先に逝ってしまうようですわ。短い間でしたけれど、

御坂 美琴お姉さまと一緒に、過ごすことが出来て、私は本

当に幸せで…)

 

 

ゴッパァァァ!!

 

 

 

物凄い音が聞こえた。黒子は恐る恐る目を開けるそこには左の頬を赤く腫れ上がらせ、地面に倒れて気絶している茶髪の女と、それを見下ろすようにして、右拳を握りしめて立っている一人の少年。

 

(類人猿…?)

 

黒子はその姿をあのツンツン頭の高校生と照らし合わせていた。

 

(また、たすけられてしまった様ですわ…ね…)

 

そこで、白井 黒子の意識は事切れた。




第6話いかがだったでしょうか?今回、白井さんには申し訳ないですが、結構ボコボコにやられていただきました。Level3に負けちゃうの?と思うでしょうが、そこは戦略的にサンガが勝っていた…?ということにしていただきたいと思います。やっぱりLevel4にしとけばよかったかな、と思う今日この頃です。今回も読んでいただき、ありがとうございました。
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