ロード・トゥ・ドラゴンの世界に転生Remake   作:錯也

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とある因縁から、殺し合を幾年も続ける事になるフェンリスとグリムドア、そこにもし、両者をほんのすこしだけ知る、第三者がいたとしたら?そんなもしもの物語。

結構日が経ってしまいましたが、取り合えず火の時代編その一を。グルトの続きもこれから更新します。


火の時代編
1・獣王と猟王


「ところでベリタス君」

『なんだね?討也君』

「ここはどこ?」

『どっか山の上』

 ベリタスの回答に、討也は疲れたように溜め息をついた。

 つまり、ここがどこかは分からないらしい。

 転生して早々、討也は現在地が分からず立ち往生していた。

 アドレナクもなんでこんな所に?もっと街中とかあるでしょう?と、あの姿が曖昧な自称神様に、心の中で文句を言う討也だったが、別に文句を言ったからといってどうにかなるわけではないと思い直し、とりあえず移動を開始することにした。

「さて、とりあえずどっちの方向にどのくらい進めば良いと思う?」

 移動する方向などは他人(ベリタス)任せのようである。

『そうだな、確実に、とはいえないが、地形的に人が住める可能性がある場所がここから4キロ程先にある。もっとも高さとかは計算に入れてないから、それも考えると距離はさらに増えると思うが………討也、おまえオレの案内があれば森の中移動出来る自信ある?』

 返ってきた答えは思いのほかまともだった。

「あー、時間かければいけるだろうと思うけど……ところで地形的にとかってどういうことだよ?」

 もしや目視だけでそういうのがわかるものなのだろうか?自分には出来ないだろうけど、とベリタスの発言に疑問を持ちきいてみることにする討也。

『あーオレも一応特典を貰ってるんだ。そうだな、名付けるなら《超感覚》ってところかな?漠然とした感情や気配。あとは空間的な認識能力を引き上げる特典だ。ほら、オレには眼がないから物を見て空間的な奥行きや高さを確認することが出来ない。ついでに、人の表情から感情とかを判断することもな、まあつまりこの特典は、それを補うための感覚器官。オレは魂だから物理的な干渉能力を持たない。だからちょっと強い特典を貰ったんだ』

  なるほど、どうやら戦闘は出来ないけどサポートキャラとして優秀なベリタス君のようである。

『今なんか、そこはかとなくバカにされたような気がしたぞ?』

「おい、ニュータイプかよおまえ?」

『もしくはイノベイターとかでも良いぞ?でどうする?いつまでもここに居ても仕方ねぇんだし、どの方向に行くにせよとりあえず移動する事をお勧めするぜ?』

「それもそうだな、んじゃあ案内役頼めるかい?」

 どうせ移動しなければいけないのだから、ベリタスの言う、人がいる可能性がある方に向かった方が良いだろうと、討也はベリタスに案内してもらうことにした。

『構わねぇよ。ただ、移動する前にさっき手鏡を作った特典で武器を作っておかなくて良いのか?』

「大丈夫大丈夫。使ったのはさっきが初めてだったけど、一瞬で作れたからな」

『……そうか。それじゃなるべく移動しやすい道を選んだからついてきてくれ』

 

 

 

 そんな感じで移動しだした討也だったが、結局、その日は目的地に到着できず、道中で遭遇したバハムートン(猪竜種)を狩り倒しそれをダークマター能力で作った火で程よく焼いて食べた。

「へぇ、ユニットのストーリーとかでバハムートンは旨いって知ってたけど確かにコレは旨いな」

『そうかい、体があったら是非食ってみたいね』

 案外、討也はこの世界に適応するのが早かった。

 あまり、討也は実感が無いとはいえ、既に一度自分が死んでいるという認識故の余裕かもしれない。

 その後は、ベリタスに見張りを任せ、討也はダークマター能力で作った寝袋で寝ることにした。

 

 

 次の日、朝早々に移動しだした討也達は、結局昼を過ぎてから山の上から小さな集落のような物が有るのを確認した。

 

「おおー、本当にあったよ!凄いなぁお前」

『まあな、実はスカじゃないかとビクビクしてたのは秘密だ』

 そんな会話をしながら、道中で出てきたヒドラ(稚竜種)を倒しつつ集落へ接近したのだが……。

 

『アレ?』

「どうした?」

 突然、隣をフワフワ浮かびながらついてきていた相棒が、疑問符を浮かべて静止したのを疑問に思い、討也も立ち止まった。

『…………』

 そのまま黙ってしまったベリタスに眉を顰めていると。

『やっぱり、人の気配が……というか生き物の気配も何もしないな』

 「はぁ?なんだ、廃墟だってのかよ?この先の集落は」

 討也も気配を探って見るものの、残念ながら何も分からない。

 ベリタスの言うことが本当か確かめるためにも、とりあえず集落に立ち寄ってみることにした。

 獣道と言っても良いレベルで整備もされていない道無き道を進んでいると、視界が開けて小さな村が見えた。

「……うわ、マジで誰も居ないよ」

 時間的にまだ昼も過ぎていない。それ程大きい村では無いので、誰か居ればすぐに分かるはずなのだが、それが見えないということは、おそらくこの村には誰も住んでいないのだろう。

  まあ、それでも調べてみれば、村の名前くらいなら分かるかもしれないと思い直した討也だったが、結局ロードラの世界の地名など分からないと言うことを思い出した。

 それでも、一応調べておくべきだと討也は村に入ろうと足を踏み出したとき、ベリタスが警告を発した。

『ちょい待ち討也、何かくる!』

「?」

 ベリタスの言葉に辺りを見回してみたが、特に何か居るということはない。

 どうせ気配など探れないからと、耳を澄ましてみると……聞こえた。

 「右か」

 何かが右側の森から近づいてくるのを聞いて、討也はすぐに自分の足元の地面、正確には影に手を当て、そこから真っ黒な大鎌を抜き出した。

 ダークマター能力で作ったのである。

 森の中故に、真っ直ぐではないが、確実にこちらに接近してくる音。

『すぐそこだ』

 ベリタスがそう言った瞬間、目の前に影が飛び出してきて、討也は反射的に鎌を振るう。

 返ってきたのは、何かを切り裂く手応えではなく、金属同士がぶつかり合う澄んだ音だった。

 そのまま、相手は討也の鎌を蹴り飛ばして、村への道を塞ぐように着地した。

 鎌を蹴飛ばされた衝撃で数歩よろめいた討也だったが、すぐに体勢を立て直し着地した相手を見る。

 朱色に近い赤い髪は、特に手入れをしているわけでは無いのか所々がはねていて、伸びた髪は後ろで纏められていた。

 ちなみに、討也も後ろ髪が延びているのでゴム(ダークマター製)で纏めている。

腕や膝、胸部や腰などは銀色の鎧で覆われていてるが、ほとんど動きを邪魔しないような形をしていた。

 顔つきや、胸部の鎧の膨らみなどから女性であることが伺える。

「というかフェンリスだった」

『誰に言ってんだお前?』

 

[獣王]フェンリス。簡単に説明すると、メジャーなロードラのユニットである。なんでも、獣などと意思疎通をする事が出来る(喋れる?)らしいが、ロードラの世界の七つの月が同時に空に浮かぶ《神月》の夜になると、その間記憶を失うというキャラである。確か、フェンリス本人が記憶を失っているその間は、別の人格が表に現れている。これがまた攻撃的というかなんというか厄介なのだ。

 

「で、多分ちなみに今その人格が入れ替わった状態だ」

『だから誰に言ってるんだよ?』

 自分で言ってから、気になって討也は空を見上げる。当然、今は夜ではないのだが、それなら月は7つでているのだろうか?と疑問に思ったのだ。

 結果から言うと。

「おい、曇ってんじゃん、しかもあの雲真っ黒だよ?雨雲?」

 そんな感じで、討也は目の前のフェンリスから視線を外してしまったのだ。

 真剣な殺し合いなど、討也は当然生前したことはない。それ故の行動だったのだが、目の前の野生の狩人相手にそれは通じない。

 一緒になって空を見上げてくれたりなんて断じてしない。

 フェンリスの行動は単純だった、気を抜いて空を見上げている獲物に向かって、歪な形状の巨大な両手剣を叩きつけようと距離を詰める。

『余所見してんな!』

 ベリタスの警告とフェンリスの動き出しはほぼ同時、討也は反射的に自分の影からナイフ形のダークマターを製作して、こちらに向かってくるフェンリスに投擲。

 

 足止めくらいにはなるだろうと討也は思ったのだが、予想に反して、フェンリスは速度を落とさずナイフを叩き落としてさらに距離を詰める。

 そして振りかぶった両手剣を討也に振り下ろしす直前、二人の間を突然、黒い何かが埋めた。

 討也が瞬時に作ったダークマター製の壁である。

「さすが自称神様がくれた特典、壁の厚さは紙っぺら並なのにコレを防げるとはな」

 なんて軽口を言う討也だったが、内心では危なかったとヒヤヒヤしている。

 さて、反撃を、と影に手を伸ばした途端、フェンリスはとっとと来た方向とは反対の森の中に走っていってしまった。

『別にオレたちを攻撃しに来たって訳じゃなさそうだな』

 特典でそういうことも分かるのだろうか、ベリタスがフワフワ揺れながら言った。

「……そうかい、まあ、あのまま戦っても確実に勝てた自信は無いし良かったけど」

 じゃあ何で森の中を走ってきたんだ?と疑問に思った討也だったが、ポツリと頬に水滴が当たって思い出す。

「やべ、マジで雨降ってきた!ベリタスどっか屋根のある建物探せ!」

 段々強くなってくる雨に、慌てて影から黒いフード付マントを製作して身につける。

 ちなみに相棒は、『濡れても困らなくね?』などと言いつつも、村の中に飛んでいったのだった。

 

 

 

昼を過ぎてからも、一向に止む気配の無い雨の音を聞きながら、討也は暖炉に火をつけそこでぬくぬくしていた。

 ちなみに、火は即席で覚えたフレイム・アタックでつけている。

 別にダークマター能力でも良かったのだが、どうせならアクティブ・スキルを何か習得しておこうと考えたのである。

 まだ雨止まないのかなー?でも止んでも特にすること無いよなぁとか考えながら、討也が雨宿りの場所として選んだ家を捜索しだしてしばらくした頃だった。

『おい、討也誰かこっちに来る』

 今までフワフワ浮かんでだんまりだったベリタスが急に真面目な声で言う。

 そんなことを言われて討也も気配を探る真似事をしてみるが全く何も感じない。

 が、今はコレだけは確認しておかねばならないだろう。

「フェンリスか?」

 もしそうなら、この雨の中外にでて迎え撃たねばならないだろう。狭い部屋の中で戦うのは、フェンリスとて得意ではないだろうが、戦い慣れしてない討也としては広い場所の方が安心できるのだ。

何より、この家の中ではせっかく覚えたフレイム・アタックは使えない。

『いや、フェンリスとは違うみたいだな……どうする?』

 どうすると言われても困るのだが、と思いつつも、討也はなんとなく近づいてくる相手に心当たりがあった。いや、きっとベリタスでも分からない勘というか、物語でいう話の流れ的な物を討也は感じ取っていたのだ。

 つまりアレである。何となくアニメをみていて、話の流れ的にここでコイツが出てくるんじゃないかな?とか、こうなりそうだな…と思ってたら本当に予想していた人物が出て来たり、予想通りの展開になったりするアレだ。

 もっとわかりやすく言うなら、推理小説を呼んでいる途中でコイツが犯人ポイと思ってたら本当に犯人だったとかそういう感じである。

  フェンリスが現れたのなら、もう一人、フェンリスと殺し合いを現在進行形で続けて居るであろうあの少女も居ないとおかしい。

「その近づいてくる奴、こっちに気付いてる様子は?」

『は?何でそんな事……ないけど?』

 だろうな、と討也は返す。

 ベリタスはさらに首(無いけど)を傾げたが、討也はそれを無視して考える。

 今こちらに近づいてきている気配は多分自分が予想した通りの人物のはずだ。

 では、その人物は友好的かと聞かれるとソレは頷けない。

  今の自我のないであろうフェンリスよりは話の分かる相手ではあるだろうが、そうでなかった場合、下手したらフェンリスよりも厄介なのだ。

 なんせ討也の予想しているその人物の武器は機械銃なのである。問答無用で攻撃でもされた場合、この家に止まっていれば不利になるのは確実に自分の方である。

『おい、もうすぐそこまで来たぞ、10メートルも無い』

 コイツの索敵能力具体的な距離まで分かんのか、と呆れつつも、討也はとりあえずいざという時の為に、いつでもダークマターで壁を作れるようにしておく。

 いや、実際に準備するものなど特にはない。あるとすればせいぜい心の準備か。

 やがて、討也が雨宿りしている家のドアがカチャリと小さな音を立て開き、外から入ってきたのは、予想通り、物語で言う赤ずきんのような格好(但しずぶ濡れ)をした少女[猟王]グリムドアであった。

 

 というかメッチャ寒そうに震えていた。

 

 その少女、グリムドアとたっぷり数秒睨み(見つめ)あってから、とりあえずいきなり攻撃される事は無くて良かったと討也は安堵する。

 ちなみに睨んでいたのが討也で、ぼーっと見つめていたのがグリムドアだ。

 というか、フェンリスと戦闘中のグリムドアに出くわしたとかならともかく、グリムドア自身は別に狂人では無いのだからいきなり攻撃される可能性は無いに等しいのだ。

 が、ゲーム中のカットイン(戦闘狂)のイメージがあったため、討也が警戒しすぎたのである。

 

『まあ、「もっと命のやりとりを!」なんて戦闘狂丸出しのカットインだけどなぁ』

 

 ベリタスが誰にもきこえないように呟いてからしばらく、グリムドアがやっと口を開く。

「君…誰?というか、男の子?女の子?」

「………あー、俺は神無討也っていうんだ。……ねぇベリタス、俺って女に見えるの?」

 性別確認をされたのが意外で、討也は思わずベリタスに確認をとる。まさか、こいつにまで女とか思われてないよな?とか思ったのだが、よく考えれば、生前の夏に妹と花火大会に行ったとき女の子にまちがわれたなとイヤなことを思い出す。完全に妹がピンクのパーカーなど着せたせいだ。

 暑い上に女に間違われるとか最悪だろ、と思ったのを覚えている。

『あー、その格好が初見だったらオレも確認したかも』

 そういわれて、ふと討也は自分の格好を再確認する。

 ここに来るまでに着ていた黒いフード付マントやコート、ズボンについては、濡れて気持ち悪いので暖炉で乾かし中。

 そのため、今はダークマター能力で作った服をきている。

 いろいろマークとか英語とかでプリントされた赤い長袖Tシャツの上に、フード付の白いパーカー、ズボンはちょうど膝あたりまである黒い物だ。

「特に違和感は無くね?」

 部屋着だし、と付け足してから、ベリタスの方を見ると、グリムドアが何故か言いにくそうにしながらも、教えてくれた。

「じゃなくて…僕が言った理由はその髪…」

 プルプル震えながら仰られる。

 この世界に来る前から、討也は学校でも周りより髪をのばしてはいる方だったが、コチラに来てからは、前髪はともかく後ろ髪がかなり伸びていた。これで最初からゴムで括ってなかったら軽くアドレナクの悪意を疑うほどである。

 さて、当然だが急に降り出した雨のせいで、服にとどまらず髪も濡れている。

 コチラも当然、気持ちが悪いのでゴムを取って乾かしている最中だ。

「…………あー、この髪だと女に見える?」

 うんざりと、討也はこの場にいる二人に聞いてみる。

「見える……というか迷う」

 成る程。今度からは気をつけよう。

と心の中で誓いつつ、ソロソロ乾いてきたかなぁと確認してから、さっさと髪を纏めた。

「えー、別にさっきのままでも良かったじゃん…可愛かったのに」

 正直可愛いとかも言われたくない。

『いっそ本当に女になっちゃえば?メタモル・フォーゼでも覚えてさ』

 ベリタスが茶化す様に言うのを軽く睨んで黙らせながら、討也はこの微妙な状況をどうしようかと考える。

 

 ちなみに、メタモル・フォーゼとはロードラに存在するスキルの一つで肉体を変化させる効果を持つ。

 イザナギというキャラが、鳥の頭なのも、イザナミというキャラにこのメタモル・フォーゼを使われたせいだろう。

 まあ、人間を鳥人間に変えられるなら、男を女に変える方が簡単かもしれない。

 

 さて、と討也はグリムドアの様子を見る。濡れた服が冷たくなって寒いのか、プルプル震えていた。

  とりあえず、今の状況ならいきなり攻撃されることも無いだろうと判断し、初対面なので名乗っておくことにした。

「俺は神無討也だ、そっちにいるのがペットのベリタス」

『誰がペットだ!』

「変わったペットだね~、ええと、トウヤか君もその名前変わってるね」

 そういえば、確かにこの世界では自分名前は和名だから変わっているかもしれないと討也は思う。

 ワノクニにもこんな名前の奴は居ないかもしれないが。

「あ、僕はグリムドアだよ!」

 まあ、知ってたのだが。

「グリムドアか、ここってもしかして君の家?だとしたら勝手に上がって悪いな、なんせ突然雨が降ってきたもんでさ」

「いや、別に僕の家じゃないよ。気にしないで」

 と、そんなやりとりをしてから、グリムドアがいまだに震えているのに討也は気付く。

「……着替えとか…する?なんならその間俺外に出てるよ?」

 いつまでも震えさせておくのは可哀想なので、討也はグリムドアの後ろにあるドアを指差しながら言った。

 しばらくキョトンとしていたグリムドアは何かに納得したような顔をして。

「逸れじゃあ、お願いしようかな」

 と返してきたので、討也はさっさと黒いマントを羽織ってフードをかぶり、家の外に出た。

 

『あのガキ……』

 しばらく、雨が降り続けている空を壁に寄りかかって眺めていると、何故かベリタスが悪態をつきながら、すぐとなりの壁からぬっと現れた。

「なんかあったのか?というか…………お前壁ぬけ出来んの?」

『ん?まあそもそもオレは魂だけの存在だからな、物体に干渉出来ない、逆に言えばされないって事でもある。壁にぶつかりたくてもぶつかれないのさ』

 ふぅんと納得したようなしないようなで討也は返事をしておく。

 結局、なんかあったのか?という質問にはベリタスは答えないままだった。

「フェンリスとグリムドアと会ってやっと本当に異世界に来たって実感がわいたぜ」

 アドレナクに神を倒して来い、なんて言われたが、未だにこの世界でどう立ち回るかゆっくりと考える事も出来ていない。

『ま、確かにそうかもな…で?これからどうする?』

「……どうって言われてもねぇ、とりあえず……この時代に王都があるのか知らないけど、まずはそこから探すくらいしか出来ないだろ」

『ああ、そんな長い目線で見た話の事じゃなくてな、この一件、フェンリスとグリムドアの二人とはどう関わるかってきいてんだよ?』

「あー、そういうことか」

 ベリタスにそういわれてから、討也は二人の事について思い出してみる。

 基本的に、ロードラのユニットの事を把握するにあたって重要な情報源がキャラごとのストーリーだ。

 あとは攻略本もあるのだが、それは全部のユニットが載っているわけではない。

 二人のストーリーによると、フェンリスは一年に一度、空に7個のつきが浮かぶ《神月》の夜になると、元の人格が狂暴な別人格に入れ替わる。その間、元々の人格には記憶がない。

 ある年、この入れ替わり後フェンリスに、グリムドアが住んでいた村は襲われ、確かグリムドア以外全員が殺されているはずだ。

 フェンリスとグリムドアの因縁はこうして生まれたわけである。

 ついでに、先ほどいきなり攻撃されたことも考えると、今のフェンリスは入れ替わり後だろう。

 本来のフェンリスの人格はとても優しい少女だったはずなのだ。

 実は討也自身ユニットのストーリーの丸暗記しているわけではないので、ちょっとあやふやな所が有ったりするのだが。

「さっきのフェンリス、朝なのに人格がチェンジしてたって事は、グリムドアの純血も飲んだってことかね?」

  確か、グリムドアの村を滅ぼしたのとはまた別の神月の夜に、フェンリスは再びグリムドアと出会い、彼女を襲撃し純血を飲んだことが原因で、入れ替わり前の人格が消失してしまっているはずだ。

 それならば、朝にもかかわらずフェンリスが入れ替わり後の人格であったことにも納得できる。

『かもしれねぇし、あるいは神月は「一年に一度」であっても「一年に1日」では無い可能性だな』

 ベリタスの考えは少し言い訳っぽいが、確かにあり得ない話ではないと討也も思った。

 もっとも、それだと朝なのに入れ替わり後の人格だった理由は分からないのだが。

 そこまで話していると、ドアが少しだけ開いて、グリムドアが顔を出し「もう良いよ~」と言ってくれた。

 パタパタと家の中に引き返していくグリムドアの後について行きつつ。

「とりあえず、グリムドアにはフェンリスについて俺らが知ってることを教えてやるべきだろ」

 とベリタスに小声で言う。

 その言葉が聞こえたかどうかの確認は討也には出来なかったが、

 その言葉と同時にフワリと離れていったベリタスは、そのまま、部屋の端でフワフワと無言で浮かび続けていた。

 暖炉の前を陣取って、温かそうに目を細める少女を見ながら討也は考える。

 きっと、入れ替わり前のフェンリスはグリムドアの事を知らないし、グリムドアは入れ替わり後のフェンリスのことしか知らないだろう。

 そもそも、グリムドアがフェンリスの細かな詳細を知ったところで、村を滅ぼされた恨みが消えることはないだろう。

 それでも、なんとなくグリムドアにはフェンリスの事を知っておいてほしいと思った。せっかく、両方の事をほんの少しだけ知る自分が今、偶然であろうとここに確かに居るのだから。

 

 

 

to be continued・・・




途中までになってしまいましたが(^-^;
最後の一行ロードラのイベントみたいに青文字にできないだろうか?
フェンリスとグリムドア編は次の話で書き切りたいと思っています

参考までに討也君

【挿絵表示】

手書きだから期待はしないでね♪
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