なるべく早めに次も投稿できるよう頑張ります。
グルト入団試験
「よく来たなルーキー!!」
威勢のいい声が、討也達を迎える。
赤い、ゴツい鎧を装備した槍使いである。
こういう熱いキャラ嫌いじゃないんだよなぁ…と思いながら、討也はその人物に軽く会釈した。
後ろからは3人の仲間達もついてくる。
1人、というか一体と数えるべきか、討也がこのロードラの世界に転生してきてから長年(6000年位)相棒を勤めている魂だけの存在、ベリタスである。
もう一人は、真っ白なワンピースに、真っ白なショートヘアーの、この世界では割と見かけることも多い《よりしろ》。
手に、星の形をした石を持っているところや、フワフワと浮かんでいるのも特徴だ。
もっとも、今討也達の仲間であるこのよりしろは、他の個体とは違い、黒いカチューシャを付けている。
正確には《寄り代》というらしい。
最後の一人は、名を《宝条まゆ》という。
未来から送り込まれた機械兵士だったのだが、闇の時代にあったある事件のせいで、今は肉体的な構造は人間と変わらないものになっている。
※但し強度は機械の時のまま。
光の時代から関わりが有ったが、行動を共にするようになったのは、闇の時代の終わりからである。
既に、討也がこの世界に来てからかなりの時間が経過しているが、今日に至までにどんな事が有ったかは、また別の機会に。
とにかく、そんななんともちぐはぐなパーティーがやってきたのは、竜討伐組織グルトのキャンプであった。
討也達がグルトに接触したのは、3日ほど前のこと。それから、今日になってようやく、実力を見せてもらいたいとグルトからの連絡が有ったのでこうして指定された場所に来たのだ。
討也達がグルトに接触した理由は、今から役一週間ほど前に出くわした一体の竜が関係する。
討也達は基本的には、王都トライエルのような都市ではなく、その付近にある小さな村などを転々としている。
一週間程前に居たその村の付近には、かなり広い森があり、その森の中には小さな遺跡があったのだ。
特に、ドラゴンや敵性種の巣になっていることもないその遺跡は、村の子ども達の遊び場になっていたとか。
森の中にもこれといった危険もなく、自分達も子供の頃よくそこで遊んだことがある経験からか、大人達も子ども達が遺跡に行くのを特に止めることは無かったらしい。
が、一週間程前、その遺跡に出かけていったはずの子ども達が戻ってこなかったとか。
遺跡で何かあったのでは無いか?と、村の大人達はすぐに思い、王都の騎士を呼ぶことになったらしい。
数日後に王都から派遣された腕利きの騎士が村に到着する。このときになっても、子ども達は行方不明のままだった。
当然、到着した騎士は村の大人を案内につけすぐに遺跡に向かったらしい。
戻ってきたのは、案内役の村民と、行きより半分以下に数を減らした騎士達だった。
遺跡に居たのは、一体のニーズヘッグ(燐竜種)だった。
ニーズヘッグは、ドラゴンの中では比較的弱い部類(※討也達の感覚で)に入るドラゴンである。
少なくとも、王都から派遣されるほどの騎士達が後れを取るような相手ではない。
その話がなんとなく気になった討也達は、村人に遺跡まで案内してもらった。
村人に遺跡の外で待っていること、30分経って戻らなかったら村に戻るようにと告げ、討也達は遺跡内へ足を踏み入れる。
情報通り、遺跡に居たのはニーズヘッグだったのだが……。はっきり言って討也達が知っているニーズヘッグの強さでは無かったのだ。
外見の特徴と言えば、血まみれであったことだろうか。
最初は、騎士や子ども達の物だと思っていたのだが、血が生乾きであったことから、また別に理由があると討也達は考えた。
結局、そのニーズヘッグ自体は倒すのに苦労しなかった討也達だったが、誰も今まであんなドラゴンは見たことがないということで、そのドラゴンについて調べて見ることにしたのだ。
竜の情報がありそうなところといえば、討也達が思いついたのは3箇所だった。
それが、王都の騎士団・帝国・グルトの三つだっのだ。
一つ目の王都の騎士団は、定期的に募集を掛けている。もしかしたら例外もあるかもしれないが。とにかく騎士団に正式採用されるのを待っていられないという意見で纏まった。
二つ目の帝国……は論外。
そうして残った選択肢がグルトだったわけである。
「ここでおまえ達の実力を試させてもらう!私はいつでも見張っているから覚悟しろ!」
赤い鎧の槍使いに連れられやってきたのはキャンプの近くにある平原だった。
見ると、ちらほらとスクイルなどがうろちょろしているのが見える。
「あー、スクイルを相手にするっていうことで良いんですかね?」
実力を試すならドラゴンを相手にするものだと考えていた討也からすれば拍子抜けだ。
が、槍使いは首を振り平原の奥を指す。そこは林になっていて、ちょうどその林から、タイミング良くヒドラ(稚竜種)より少し大きい緑色のドラゴンが出てくるところだった。
「何だっけあのドラゴン?確かちゃんと名前があったような…」
『疾風竜:ムシュフシュな』
「ああ、確かそんな名前だ」
「キツければ逃げ出しても良いんだぞ?」
槍使いが、からかうような声音でそう言うが、討也は楽しげに笑みを浮かべた。
「あれを倒せば良いんだよな?」
確認を取りながら、背中の鞘に納めていた大振りのマチェットを抜き放つ。
このマチェットは火の時代に、朱竜を討伐したときの眼を埋め込んでいて、その眼が振れている物に与える熱量で、刀身の部分はオレンジ色に輝いている。
討也の特典の一つ、ダークマター能力で作った、熱をよく通すが、決して溶けない性質を持った金属が刀身の部分に使われている。
持ち手の方まで熱いと困るので、柄の方は決して熱量を通さない性質を持った金属にしている。
本来なら、自分の影なりどこからとでも、武器を製造すれば良いのだが、そんな事をすればまず普通の人間で無いことがバレてしまう。
説明とかも特に面倒なので、こうして一つはすぐに使える武器を携帯しているのだ。
「ああ、あれを倒せば晴れて試験合格だ!」
「俺が行くぜ」
槍使いの言葉を聞いてから、討也は姿勢を低くして3人(と数えて良いのだろうか?)に言う。
「了解です」
『まあ、俺は戦闘要員じゃないから好きにしてくれ』
「かんばれー」
3人の返事を聞き、ムシュフシュがまだこちらに気づいていないことを確認してから、討也は地面を蹴り、目で追えない程の速度でムシュフシュとの距離を殺す。
一瞬で、ムシュフシュに接近した討也は、既に地面を蹴る前に振りかぶっていたマチェットをこれまた目では追えない速度で振り下ろした。
「ナイスファイトだ!実に素晴らしい戦いぶりだったな!まさかあれを一撃でしとめるとは……それにあの速さ…!」
槍使いは討也の実力に満足そうに賞賛を送る。
そいつはどーも。と討也が苦笑しながら返すも、槍使いの興奮は収まらぬようで……。
「………っと、いけないけない!つい熱くなってしまった!」
タップリ数分はいろいろ言ってから、やっと槍使いは話を先に進める。
「まずは、自己紹介をしておかないとな!ハハハッ!私の名は、ヴァッシュ・ザ・ストレンジア!ヴァッシュさんと呼んでくれ!」
「俺は神無討也だ」
『オレはベリタス。どっかの言葉で真理って意味だそうだ。よろしくな』
「よりしろ~」
「宝条まゆといいます。よろしくお願いします」
自己紹介の仕方からも分かるが、基本的にこの4人の中で、一番コミュニケーション能力に優れているのはベリタスとまゆである。
というわけで、交渉事とかももっぱら彼女らが担当する。
寄り代はムードメーカーというかマスコットてき立ち位置で、討也は完全に戦闘要員だ。
まあ、なんだかんだでバランスは取れているのかもしれない。
「うむ、グルトはおまえ達を歓迎する!これからしばらくの間よろしくたのむ!」
こうして、討也達はグルトの一員となったのだった。
え?なんで仲間が寄り代と宝条まゆなのかって?
ファウストパでこの二人にはものすごくお世話になっているからです!