大丈夫です!エタッてません!!
今回もグルトイベの続きです。もうロードラのアプリの方では配信終わっちゃったけど(^-^;
火の時代の続きも書き溜めてますのでしばしお待ちを!
「ば、馬鹿な……」
目の前で、全身に焦げ後を作り倒れるドラゴンを見ながら、ヴァッシュが呟く。
一方で討也達は、また現れたか、という思いでドラゴンの焼け焦げた死体を見ていた。
ちなみに、ドラゴンが焼け焦げているのは、討也が《朱竜の焔眼》を埋め込んだマチェットを使って、ドラゴンを焼き殺したからなのだが……。
その焼き殺したドラゴンに問題があった。というのも…。
「このドラゴン……そしてこの血の匂い……まさか伝説にある《死血竜》なのか!?……これは……想定外の事態だ」
と、いうわけである。
そもそも、討也達はこの死血竜のことを調べるためにこのグルトに入ったのだ。つまり死血竜の出現自体にはそこまで驚く事もないのだが…。
「クリストフのことも気掛かりだが、しかしあのドラゴンが《死血竜》ならば放っておけば大変な事になるッ!……くっ…まさかこのような事態が重なるとは……」
ヴァッシュの言葉を聞きながら、討也は声には出さずその言葉を否定した。
事態が重なったのではない。
この二つの事態には関連性があるのだ。
クリストフの声が聞こえたので、一応ヴァッシュに報告して、この古城に彼も伴って再び戻ってきたら、そこに死血竜がいて撃破したのだ。
どう考えたって偶然には出来過ぎている。
「ルーキー」
「はい」
「………………あ、ハイ?」
まゆはすぐに反応出来たが、そんな事を考えている時に急に呼ばれたので、討也は少し間をおいてから答えることになった。残りの二人そもそも返事などしなかった。
「私はすぐに本部に戻りこの事を報告しなければならない。すまないがお前達は引き続きクリストフの捜索を頼む」
まだこの二つの事態をそれぞれ別件だと考えているのだろうか?
この死血竜の件にクリストフが関わってる可能性を、ヴァッシュに伝えた方が良いかと討也が迷っていると。
「だがっ!だがもしあの《死血竜》が現れたら間違いなく撤退するんだ!いいな!?…あれは私達だけの手に負えるものでは決して無い……わかったな?」
「了解です」
「私が戻るまで決して無茶をするんじゃないぞ」
結局、討也は言うタイミングを逃したままで、ヴァッシュは本部に戻ってしまった。
ヴァッシュが本部に戻ってから数日、討也は一人でナズナの元へと向かっていた。
ベリタスはギースと行動を共にしていて、まゆと寄り代はキャンプで待機してもらっている。
ナズナは現在北の禁猟区域に居るとか、情報提供はギースである。
それ以外にもギースは様々な情報を持っていた。
ヴァッシュが説得に向かったものの、グルト上層部が重い腰を上げようとしないとか。
実はヴァッシュがグルトのナンバー2だったとか。
野生のポイムを見る限り、徐々に危険が迫っているとか。
……ポイムを見て何がわかるんだ?
まあ、最後のポイム云々についてはよくわからなかったが、とりあえず討也達四人の中で一番単独行動向きな討也が、ナズナのサポートに行くことになったのである。
「あなた……どうしてここへ?」
禁猟区域の森にたどり着いた討也は、今回の件についてあれやこれやと考えながらナズナを探していると、討也が見つける前にナズナの方が討也を見つけたようで、驚きながらも話しかけてくる。
ナズナをサポートする事になったあらましをどう説明するか討也が考えようとすると、何故かナズナは納得したように続けた。
「でもちょうどよかったわ、あなたにも…狩りを手伝ってもらいたいの。こっちよ……きて」
どうやら討也がここに来た理由は彼女にとっては大したことではないらしい。
まあ、説明しなくて良いのなら、それで良いかと、討也は予定通りナズナの狩りをサポートする事にした。
「血の臭いが濃くなってきたわ……どうやらこの奥に元凶が居るみたいね」
「血の臭いはわからないけど……なるほど、確かにそれらしい気配はするね」
ベリタスなら自分達よりはるかに早く気付いたんだろうなぁ……と考えつつ、討也は周囲の気配を探る。
今のところ、先ほどの気配以外は特に反応は無いのを確認しておいた。
もっとも、それもベリタスよりははるかに劣る索敵範囲と精度で有ることを考えたら、無いよりまし程度に考えておいた方が良い。
自分に対して向けられた視線や感情ならベリタス並みに感じ取れんだけドねぇ~。などと考えつつ、視線でナズナに行くのか?と、問うとナズナは黙って頷いた。
戦力としては、たったの二人だが、なんせ討也がいるのだ。はっきりいって討也が普通の《一人》にカウントされないことは、ナズナも以前の任務を共にして理解していた。ここにいるのが討也でなければ、増援でも連れてきた方が確実なのだが、討也がいるのならばさっさと森の奥の気配の主を撃破してしまった方が良いと判断したのだ。
「……そういえば、あなたは何故…グルトのメンバーになったの?」
ナズナが後ろを歩く自分には聞こえる程度の声でそんな事を聞いてきて、一瞬、討也は自分が死血竜の情報を調べるためにここに来た事を感ずかれたのか?と考え、すぐにその可能性を否定した。
おそらく、何気なく聞いただけなのだろう。ならばこちらも当たりさわり無く答えておけばそれで良い。と、討也が口を開きかけたのだが、ナズナは別に本当に理由を聞いたのではなく、自分の話したいことをスムーズに言うためにこの言葉を撰んだに過ぎなかった。
「私はね…獣たちを守るためにハンターになり、そして、グルトに入った」
エ?バンバン狩りまくってたじゃないスか?と出かかった声をギリギリで討也は留める。まゆやベリタスに言うのとは違って、真面目な会話の途中に茶々を入れるほどの親しいわけではない。
「ドラゴンたちは確かに憎むべき相手だけど世間ではそれと同列で獣たちも扱われる」
その言葉をふぅんと、声には出さず黙って聞きながら、討也はこれまで見てきた事を思い出す。
時には、《恐怖》であり。
時には、《畏怖》であり。
珍しいものでは《興味》や《食欲》。
それが長年生きてきた討也が、ドラゴンに対してこの世界に生きる者たちが向ける感情だろう。まあ、人によっては《憎悪》を向けるとこもあるかもしれない。ちなみに討也はドラゴンに憎悪を感じたことはない。
《食欲》っておかしくね?と思うかもしれないが、一部ドラゴンよりも強大な力を持つ者からすれば、比較的遭遇率の高いドラゴンの肉を餌と考えるのはさほどおかしい事ではない。
バハムートンなんて専門の料理人がいるほどだし、実際ドラゴンを餌程度にしか考えていない者を数人見たことがある。
具体的な例で言うなら、水の時代の悪食王《クトゥール》であったり、餌ととらえているかは謎だが、人格変異後のフェンリスなどは狩り倒したドラゴンを生で食べていた。ちなみに討也はちゃんと火を通して食べる。まあつまりドラゴンの肉を食べる事はこの世界ではそこまで珍しくはない。
それでも、それはあくまで一部の、自分のような強大な力を持った者の感覚だ。普通の人間はまずドラゴンよりも自分が上だなんて考えない。
そういう意味では、ナズナもきっとそうなのだ。
そして、彼女の言うとおり、普通の人間にとっては、ドラゴンも獣も対して変わるものではない。
「でも獣たちに、人と戦う明確な意思は……無いわ」
一概にそうとは言い切れないが、確かにグリズリーなどはこちらがちょっかいをかけない限りは基本的には襲ってこない。
「だから私は…人と獣が共存できる世界を作りたい。この志を達するまで…私も獣たちも、死ぬわけにはいかない」
「……目標ってやつかそういえば、俺にもやらなきゃいけないことがあるんだったぜ」
この世界の《神》を倒すこと。
討也は、それを呟くような声で言ったため、ナズナに聞こえたはずは無いのだが、何故かナズナは弾かれたよう討也の方を振り返っていた。
「ん?動き出したぞ」
「…………ええ」
討也に言われ、血の臭いがする方にナズナは振り返る。
「……あ?こっちに向かってきてる?気付かれたか?」
だとすると、討也が何となくでしか気配を感じれていないのだから、敵意を向けられているのがナズナの方である可能性が高い。
討也はマチェットを抜き放つと、一言「先に行くぜ」と告げ、近づいてくる気配を迎え撃つように先行する。
討也の武器はマチェットであり、つまるところ近接格闘がメインだが、ナズナの武器は弓矢。そう言う意味でも討也が先行してナズナが中距離から支援する方が効率がいい。
森の中を縫うように疾走する討也と、それを少し遅れて追跡するナズナ。先に、少し開けた場所にでた討也は、ようやく強烈な血の匂いを感じた。
「へぇ……」
少し先に捉えたその竜の姿を確認して、討也は楽しげに笑った。
「今度はファブニル(覇竜種)の死血竜かよ」
通常存在するドラゴンの中ではヴィーヴィル(竜王種)に次いで強い。
もっとも、ヴィーヴィルと違ってファブニルは飛ばないが。
と、死血竜が木々の間から飛び出してきた討也に気付いたためか、討也は自分に殺気が向けられたのを感じた。
ベリタスより索敵能力に劣る討也だが、こと自分にたいして向けられているものについてはそれは当てはまらない。
自分に向けられている視線なら十数キロ先からの視線だろうと気付くことが出来るのだ。
「さて、悪いが速攻で終わりにさせてもらうぜ」
心の中で、ナズナに追い付かれたら全力が出しにくいからね。と付け加え、討也は自分の影から、刃渡りが2メートル近くある太刀を作り出す。
この世界に来たときに、アドレナクから受け取った特典の一つ、ダークマターを製作する特典で生み出したのだ。
切っ先を真っ直ぐにファブニルに向けた討也は、そのまま、地面を抉れるほどの速度と威力で蹴りつけて一瞬でファブニルとの距離を埋める。
弾丸のような、いや、それ以上の速度でファブニルのいる方へ跳んだ討也は、跳んだままのその勢いで、太刀をファブニルに突き刺すと、マチェットを納刀し、ファブニルに突き刺さったままの太刀を両手に持ち替えると、ほとんど力任せに振り切る。
ナズナはまだ来ない。
それを一瞬だけ自分が来た方に視線をやり確認した討也は、ファブニルの切り裂かれた部分に、スキル《フレイム・カノン》を放つ。
身体を太刀で切り裂かれてもまだ息のあった死血竜も、さすがに傷口から肉体の内部を燃やされて生きているほどタフではなく、断末魔の悲鳴と共に大きな音を立てて地に伏した。
「このドラゴンはッ!?報告にあった死血竜じゃないわ!!」
悲鳴のようなナズナの声を聞いても、討也が思ったのは(ふぅん……そうなんだ?)程度のものだった。
そもそも、討也は死血竜が複数いることを、実際に遭遇しているのだから知っていたのだが、続くナズナの言葉には眉をひそめた。
「まさか、死血竜は……竜から竜へも感染する………ッ!?退くわよ!!この区域はもう…危険すぎる!!」
そう言って慌ただしく走り出したナズナについて行きながら、討也は思った。
「(死血竜って……感染するものなのかよ、そもそも)」
と。
「まさか《死血化》が竜から竜へも感染するなんて!ということは…この区域は既に《死血化》のただ中…ッ!長くいれば私たちも…」
私たちも感染する。かな?と、独り言のようなナズナの言葉を聞きながら、討也は多分自分は感染しないだろうな~と考えていた。
まゆはどうだろうか?とも考える。まあ、もし感染したら《タイム・オブ・ゼロ》で感染前に巻き戻そうと決める。
もっとも、討也は《死血化》がどんなものかも分かっていないのだが。
ナズナがやれ走れだの、こっちだなどと言っているのに適当に従いながらついて行くと、不意に周囲に気配を感じた。
「ありゃりゃ、囲まれたな」
「…くっ!こっちにも死血竜
が!」
姿は見えなくても気配で分かる。だって自分に向けられている気配だから!!
なんて言っている場合ではない。討也はこの状況などどうってことは無いが、ナズナはそうでは無い。その上、討也にはナズナを見捨てる気はさらさらない。
と、なると。討也が全力を出せる環境を作るのが一番だ。討也はダークマター能力などをグルトには隠している。イヤ、と言うよりは、意図的に伝えていない。
まあ、どちらも同じ事だが、要は説明などをするのが面倒なのだ。
それもあって、討也は全力を未だ出していない。
となると…………。
「二手に別れよう」
木々の間から飛び出してきた、血まみれの、おそらく《死血竜》と化した《稚竜種》の頭をを一瞬で抜きはなったマチェットで切り落としながら討也はナズナに提案する。
ナズナが討也の方に振り返った時には、さらにこちらも《死血化》したバハムートンを素早い3連撃で絶命させていた。
いままで見てきた討也とは、別次元の強さに疑問を覚えたナズナだったが、そういえば先ほどの《死血化》したファブニルも討也は自分が到着する前にしとめたのだから、コレくらいは出来るのかも知れない。と納得することにして、討也の提案に答える。
「ここを抜けた先に、ニーズベルトって村があるの、そこで落ち合いましょう」
「おーけーだ、先に行ってくれ、一人の方が戦いやすい」
一瞬、躊躇うように討也を見たナズナだったが、さすがに自分より討也の方が強いのは分かる。頷いて、走り出し様に、木々の間から飛び出してきたヒドラ《稚竜種》に矢を放ち、すぐさまその場を後にした。
矢を食らって、一瞬は怯んだものの、すぐにナズナを追おうとしたヒドラの首を叩き落とした討也はナズナの姿が見えなくなったことを確認して、自分の影にマチェットを持っていない左手を伸ばすそこから取り出したのは、闇の時代、ゼロシキというワノクニの暗殺者の愛刀である《斬竜剣》だ。
彼と組んでとある騎士と戦ったときに折れてしまった物を貰い、討也が修復しておいたものである。
コレは、討也自身の影に沈めてある《空間倉庫》の中に入れておいた物なのだ。
斬竜剣を取り出すと同時に、躍り出てきた計5体の《死血竜》。
しかし、討也はそれを、楽しげな笑みを浮かべ迎え撃った。
僅か数十秒後、討也は5体すべてを倒し、念のため全ての竜の死骸を《フレイム・カノン》で消し炭にしてから、ナズナを追うようにその場を後にした。
「にしても、死血化が病気だとすると、なにになるんだ?ナズナの口振りからすると……空気感染も有り得そうだねぇ~」
なんて言葉を呟きながら。
「神無!無事だったか!!」
森を出てしばらく木の少ない林を歩いていると、知った声が聞こえて討也は足を止めた。
「おう、ギースさんか」
ギース…クロノと隣にはベリタスもいた。
「なんとか間に合ったようだな」
『まあ、そこまで心配はしてなかったけどな』
実際、ベリタスは討也なら大丈夫だと思ったのだが、まゆに念のため様子を見てきて欲しいと言われ、ちょうど良いからとクロノも同行する事になったのだ。
「貴様に伝えておかないといけないことがある」
ん?貴様?ギースは自分のことを君、と呼ぶはずだが…?
と、討也が思っていると、クロノはそれに気付いてか「もうバレている」とベリタスを指し。ベリタスは『最初から気付いていた』と続けた。
相棒の底無しの索敵能力の高さに呆れつつ、討也はクロノに続きを促す。
クロノの話の内容は、先程ヴァッシュから連絡があり、グルトはこの死血竜の一件をSランクと定め、グルトメンバーは総出で死血竜の討伐を行うことになるだろう、という話しだった。
Sランクというのがグルトにおいてどれほどの重さかは討也は分からないが、まあグルトがどうにかするというのならそれはそれで良いかと思う。
『いや、今は俺たちもグルトだけどな?』
「そういやそれもそうだな」
ベリタスの的を得た言葉に苦笑しつつ、討也はこれからどうするかと考えた。すぐに答えは決まる。グルトが死血竜の討伐に乗り出すのなら、それに自分達も便乗すればいい。わざわざグルトを離れ別行動をするまでも無いだろう。
だとすると、まず最初にするべきは……。
「ナズナと合流しないとな」
「ん?どこかで待ち合わせでもしているのか?」
討也の言葉を聞きつけたクロノが先程討也が居た森の方へと顔を向ける。
合流するのはその真逆の方向だったので、討也は苦笑しながら言った。
「ニーズベルトって村で落ち合う予定なんだよ」
そう言いながら、討也はニーズベルト村のある方を指差した。
その言葉を聞いた瞬間、クロノとベリタスはギクリと視線を交わす。
「お、おい神無!それは本当か!?」
『ナズナは!?先に向かったのか?』
「あ?どしたおまえ等?」
急に慌てだした二人に戸惑いつつ、討也はナズナが先に向かった事を伝える。
「何だよ?一体どうした?」
「そのだな、俺はあのニーズベルト村が《死血化》の中心の地だと睨んでる」
突如姿をくらましたクリストフ。
時を同じくして現れた《死血竜》。
『で、当のクリストフが生まれたのが、そのニーズベルト村なわけなんだ』
「オイ、それって」
偶然?……にしては出来過ぎだ。
「かつ、あの地はクリストフの実の母親が永遠に眠る地でもある」
『きな臭さを感じるのは……オレら二人だけじゃねぇだろう?』
討也は、ベリタスとクロノの言葉にニーズベルト村がある方を見て、それから二人に視線を戻して言う。
「急ぐぞ」
そう言って、答えも待たずに地面を蹴る。
「置いてく気か!?」
なんて言いながらクロノもなんとか追いつき、ベリタスもそれに続いた。
なんとなく、急がないと取り返しのつかないことになる気が、三人はしていた。
こんな終わりかたしてるけどナズナ無事フラグとかじゃ別にありません(^-^;
それではまた次話で!
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