ロード・トゥ・ドラゴンの世界に転生Remake   作:錯也

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グルトイベ続きです!

このペースだとあと一話でなんとかグルトは終わるかな?



終わりの彼方

「ここが…ニーズベルト村だ」

「まあ、見るからに廃村って感じだな」

 クロノに案内されてたどり着いたその村を見渡しながら、討也は顔をしかめた。

『気配は……感じ取れねぇがな』

「まだここにたどり着いてないって事か?後からナズナを追ってきた俺たちが着いたのに?」

『そこは分らねぇな……途中でくたばったとも考えにくい』

「神無達は村の右手から回ってみてくれ、隠れられるようなところがあったらそこを探すんだ。これだけ広いんだ、ナズナはきっとどこかに隠れているはずだ。彼女がそう簡単にやられるとは思えない」

「……りょーかい。行くぞベリタス」

『OK』

 こうして、討也とクロノは二手に別れてナズナを探すことにした。

 

 

同時刻:墓地地下

「はぁはぁ……なんとか……逃げ切った…みたいね」

 息を整えながら、手近の岩に背を預け、周囲に敵がいないのを確認する。

 討也と別行動をとって、それぞれニーズベルト村に向かったのは良かったのだが、その場に残った討也に限らず、彼女もまた、竜に追われなんとかここまで逃げてきたのだ。

 ちなみに、彼女を追っていたその竜は、討也達がニーズベルト村にくる前に出くわし、倒されているのだがそれをナズナが知るはずはない。

 故に、こうして周りに気を配りながら、竜の体のサイズでは入ってこれない場所を見つけ出して逃げ込んだのだ。

 もっとも、その逃げ込んだのが墓地地下というのはあまり気分の良いものではないのだが。

 

 息を整え終わり、いったん落ち着く。どうせここならば竜は入ってこれないし、ここで待っていればいずれ討也もたどり着くはずだ。

 一応、これで一安心できる。

 そう、思ったのがいけなかった。

 

「あ、亜、阿はハ刃はハはは歯!」

 

 そんな奇妙な笑い声が聞こえて、思わずナズナは身を竦めた。

 こんな所に、人が居るはずがない。きっと今の声は気のせいかなんかで……。

 そんなことを考えながら、彼女は先ほどの笑い声の音源を探ろうと、声が聞こえてきた背後を振り返る。

 本心では、そこには何もなくて、なんだかホントに気のせいだった。と思いたかった。

 だから。

 

 振り返った先に居た人物を見て、彼女はたっぷり数秒は思考停止した。

「うそ……なんで、あなたがここに…」

 ここが、その人物が生まれ育った地だと知っていたら、或いは、彼女は何かに気付いただろうか?

 どちらにしろ、彼女は気付くことはなかった。

 自分の腕に、急に激痛が走るまで。

 

 目 の 前 の 人 物 に よ っ て 自 分 の 腕 が 引 き 千 切 ら れ た 事 に

 

「ッ!!!!」

急に腕に走った激痛に、顔を強ばらせながら恐る恐る痛みの根本を彼女は見る。

「……え……あ……あ、あ、あ…う……で……わた…し、の…」

 見れば、いつの間にかその人物は、自分の腕をその手に掴んでいる。

 いや、よくよく思い返せば、自分が振り返った時からもう掴んでいた。

 一歩、その人物が足を踏み出したのを見て、「こ、こないで」と譫言のように呟いた。恐怖で足が竦んで動かない。

 さらに、もう一歩。

「いや………助け…あ゛っ……か……!!」

 その自分の手がナズナの首へと伸ばされ掴む。

 掴んだまま持ち上げられたため地に足がつかず、バタバタと足を振り、千切られていない方の手を自分の首を絞めてくる手に伸ばす。

「や、やめ゛…じにだぐ……な……い」

 気道が絞められているせいでうまく声がでない。

「あ゛あ゛……あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!…………………ッ……!………………」

 

 

 クロノが、墓地地下への入り口を見つけたのは、ちょうどその頃だった。まだ討也達と別れさほど時間がたっていないため、一度声をかけに戻ろうかと考えてから、クロノはすぐに単身、墓地地下の入口へと続く小さな階段を降りていった。

 

「クソッ……!!……間に……合わなかった」

 階段を降り、しばらくして、クロノは事切れたナズナを発見した。

 誰がやったかなど、もはや考えるまでもなかった。

「それだけじゃあない……死血の力が更に強まってきている……このままでは……ん?」

 討也はあまり感じないという死血特有の気配を察知して、周りを見回したクロノは、こちらを岩影から覗く者の視線に気付いた。

「あれは……あの人影は……まさか…」

 討也が探し終わってここに来たにしては早すぎる。ならば、こんな所にいる人物など、一人しかいない。

「クリストフッ!!!?待て!!」

 走り出そうとすると、その人影はゆらりと姿を消す。

 思わず舌打ちをしながら、クロノは追うのを止めた。

 とりあえずクリストフの無事は確認できたのだ。だが、それでもクリストフがここで死んでいるナズナの件も含め、何かを知っているのは間違いない。

 こんな事になるのなら、事前に討也に、ナズナに《リザレクション》を掛けておいてもらうべきだったかもしれないと後悔しつつ、クロノは討也と合流する事にした。

 

「ここに留まるのは危険だが、しかし何か手がかりを見つけないと」

『クリストフがうろついてるかもしれないこの場所で?』

 そう言いながら、ナズナの遺体を見下ろすベリタスは、言外にコレをやったのはクリストフだと断定しているかのような口調である。

 が、ナズナを手に掛けたのがクリストフだというのについては、クリストフを見たという、クロノの証言を合わせタイミング的に考えても、討也は同意を示している。

「ここで何か見つかるなら、とっくに見つかってるだろう?お前らだって今回の死血の原因がグルトメンバーの中にいるかもしれないって思った時点で、そのグルトメンバーの生まれ育った場所で、尚且つ誰も寄りつかなくなったこんな怪しい村を事前に調べなかった訳じゃねぇんだろ?」

 討也は、ここに残って調べ事をするのには反対だった。

 そんなことをする暇があるなら、クリストフをとっとと捕まえて今回の件についての全部を吐かせれば(情報的)いいのである。

『()の中身が物理的じゃなくて良かったぜ』

「メタ発言してんじゃねぇよ、お前………ところでクロノ、お前が見たときクリストフの様子はどうだった?」

「はっきりと見たわけでは無いが……奴は自我を失っているようには見えなかったな…」

 そのクロノの言葉に、討也とベリタスは一瞬だけ視線を交えた。

 たったそれだけで、お互いの考えを相手に伝えている。

『だったらなおのこと、事態が更に悪くなる前にクリストフを確保すべきだ』

「同感だな」

「わかった。確かに、事態が悪化する前にここから撤退しないといけないのは確かだ」 

 

森の中を駆けながら、クロノはあることを討也とベリタスに話していた。

「昔、愚かな科学者が居た

 科学者には妻が居た

 とてもやさしい妻だった

 

 科学者には息子も居た

 科学者に似て賢く

 妻に似てやさしい子だった

 

 だが、ある時息子は死んでしまった

 家の階段から落ちたんだ

 妻はとても悲しんだ

 科学者もとても悲しんだ

 だが、科学者はやがて喜んだ

 ……なぜか?

 

 ……っと…今はここまでだな。またいつか物語の続きを聞かせてやるよ」

「そういう事じゃないんだがなぁ…」

 討也の何もわかっていない反応にクロノはため息をつく。その後ろでは討也がベリタスに『宝条にチクっといてやるぜ』なんて言われている。まあ、このメンバーに《緊張感》とか求めるのがそもそも間違いなのだ。それでいてここぞという時にはすぐに真面目モードに切り替わるのだからたいしたものである。

「恐らく今、此処の周囲の獣やドラゴンは瘴気によって正気を失っている」

「『下れねぇダジャレ言ってんじゃねぇよ』」

 二人は声をそろえて言った。コレ真面目な話なのだが?とクロノは思う。

「違う!わざとじゃあない!」

『天然ボケかよ』

「で?それで、だからなんだっていうんだよ?」

「……ともかく俺たちはこの現象を一刻も早く止めなくてはいけない」

 自分で話に茶々を入れたのに、で?と話を先に促す赤目の人外に、若干の理不尽さを感じながらも、現状のことを話す。

 ベリタスの表情(というか顔がそもそも無いだけ)は分からないが、討也の半目でこちらを見てくる表情からは、「そんな事言われるまでもない」という意味合いを感じる。

「グルトの増援がたどり着いたとき、全てが手遅れでは元も子もない」

「正直増援には期待してないんだけど?」

 ケロッとそういう討也に、クロノは唖然とした。まさかこの状況を二人でどうにかする気なのだろうか?

「いや、だが二人で出来る事なんて限られてるぞ?」

 クロノ本人も、そしてそれよりもなお討也は強い。が、やはりそれでも、いくら強くたって体は一つしか無いのだ。どうやっても無理なことはある。

『オレがいる。これで三人だ』

「お前には見せてないけど、ベリタスが使える器を用意してるんだよ」

『まあ、こういういざという時のためにな。もっとも、使う事なんて滅多にないけどな』

 多分ベリタスが人間だったら、今のセリフはどや顔で言ってそうだ。なんて二人は思う。

 ベリタスが使える体が有るというのはクロノも初耳だったが、なるほど、確かに二人と三人では訳が違うのは確かだった。

 ベリタスが体を使ってどれほどの働きが出来るかはわからないが、まさか人並みということは無いだろうとクロノは判断する。

 どちらにせよ、ベリタスが戦えてマイナスになることは何もない。

「なるほど。……まあ、いずれにせよここは死血の真っ只中……無理矢理にでも道を切り拓かねばお前らはともかく俺はいつまで持つかわからん。………そして…何より、やはり……業は…《咎》は元からたたねばなるまい」

「やっぱり、お前が動いてるからそうだとは思ってたけど、《咎人》関連か、今回の案件は」

 納得したように討也がつぶやく。

 そこに、タイミング良くベリタスからの声がかかった。

『ビッグニュースだ。クリストフを見つけたぜ、移動中だ』

「追うぞ」

「ああ」

 ベリタスのナビゲーションに従って、三人はクリストフへと迫った。

 

『この先だ!このペースならすぐに追いつけるぞ!』

 そう言ったベリタスは、未だに体を使ってはいない。というよりも、その体は討也が自分の影の中に《ダークマター》の特典で作り出した広大な《空間倉庫》の中に有るのだ。ベリタスの意志で、取り出せるものではない。

 が、今の状況はその必要すらなかった。

 クリストフへと迫る最中、足止めのつもりか、或いは死血に影響された結果か、数十にも及ぶ獣の群が三人の行く手を阻む。……否、阻もうとする。

 道を塞ごうと立ちはだかる獣は、クロノが手にした槍で吹き飛ばす。

 左右後方から襲い来る獣は、討也が時にマチェットで凪払い、ダークマターで作ったナイフを投げつけ、そして炎や光や闇など色とりどりのスキルで叩き潰していく。

 ペースが少し落ちこそすれ、三人が足を止めることはない。

「この血の匂い……やはりさすがと言うべきか………居たッ!!」

 一番前を走るクロノが、ようやくクリストフ視認する。

 よし、このまま追いつける…!そう思ったとき。新たな敵が三人の道を塞いだ。

「死血竜……ッ待て、クリストフ!!…………チッ!!」

「先行け、クロノ!」

 道を塞いだ三体の《ファブニル》の死血竜を相手に、一人で相手をすると宣言した討也はクロノにクリストフを追わせる。

『手伝うか?』

「くハハッ!そんな必要は無ねぇよ!」

 マチェットを肩に吊した鞘に納め、自分の影からダークマター能力で作製した巨大なタルワールを2本取り出す。

「時間掛けられないからな。ちょっとごり押しで行くぜ?」

 ゆらりとまるで影を振り切るかのような速度で討也は《ファブニル》に向かって駆け出した。

 

 

 

 

「そう…

真理は常に一定なんだ

 

世界は常に平等で

壊れた物は…

壊れた者は…

壊れたモノは…

こわれたものは…

子割レたもノは…

 

壊れた物は壊れた者は壊れたモノはこわれ

子割レたもノは子割レたもノは子割レたも

乞わレタモノわあ亜あアァ飽アああ阿呼あ

唖々あァ阿呼あアああ亜飽あああ在ァァあ

弐、二度ト、ワ元ニ、似ににに……戻らない

 

だから…

 

ボクガ世界ヲ壊シテ終ワル 」

 

 

 

「そうか、そっちにもクリストフは居なかったか」

 結局、クロノがクリストフを追うも途中で見失ってしまっていた。ベリタスも気配を探ってはいるのだが、い如何せん…。

『こう気配が飽和してるとなかなか遠くまで探れないんだよな』

 討也達は先程よりも多くの獣に囲まれていた。

 ここに来て、ようやく討也はベリタスにこの世界の《四兵器》にも似たデザインの体を空間倉庫から持ち出していた。

 左腕の射撃兵器と、右手に持った刀で次々と獣をなぎ倒しているのだが、なんせ数が多いのである。

「獣たちは軒並み死血化か……」

「まあ、別に危機的状況では無いけどな?」

「いや、俺をお前らと一緒にするな人外」

 涼しい顔で敵を葬り続ける討也に、槍を振るいながら思わずクロノはツッコんだ。

 が、確かに討也にとっては実はこの状況はとても危機的と言えるような状態ではない。それについては、実はベリタスにも言えることなのだが。

 討也とベリタスはまず死血化の影響を受けない。

 

 片や神《アドレナク》が創った肉体を使用しているが故に。

 

 片や人外《神無討也》がダークマター能力で作製した器を用いているために。

 

 同様の理由で、二人の身体はとんでもないスペックを持っている。

 クロノの《不死身》とは訳が違う。

 今襲いかかってきているグリズリーやウルフ程度の牙や爪なら、例えモロに喰らったとしてもかすり傷にすらならないほどなのだ。

 ではなぜその二人が武器を手に襲い来る獣たちに応戦しているのかといえば、その方が早く突破できるからというものである。

「討也、こうなったら、この事態を止められるのは最早俺たちしかいない」

「まあ、そうだろうな」

「そして、お前が死ぬには百年早いと、俺は思う」

「うん?このままの状況だとくたばるのはお前だけだぞ?」

「……チッ!」

「え!?何で俺今舌打ちされたよ!?」

 素手やってんのかよコイツ?と思いながら、クロノは話を無理矢理先に進める。

 本当は「確かにここで死にたくは無いねぇ」とかいう回答を期待してたのだが。

「だから、何としても此処から抜け出し《死血化》の拡大を止めてくれ。《死血竜》たちを討伐すればこの事態は沈静化するはずだ………獣は止める、ポイムも止める。死血以外の全てを止める。だから…必ず…頼んだぞ」

「全く、言いたいことだけ言って面倒な役目押しつけやがって……ベリタス!お前は残ってクロノを援護しろ」

『いいぜ』

「ああ、正直助かる。……頼んだぞ神無。なんとしてもこの事態を………《死血》の悪夢を止めてくれ!!」

 そう言い、討也がこの場を突破するだけの血路を拓く。

 楽しげに、笑みを浮かべた討也は、別れ際に一言。

「お前もお前のやることをしっかりな」

 と言い残して素早くその場を突破していった。

「何から何までお見通しか?全く、計り知れん奴だな………」

『いやぁ、ただの長年の感だろ?』

 討也が掛けても、獣を倒し進みながら会話する余裕があるのだから、この二人たいしたものである。

『さて、此処まで巻き込まれたんだ、最後まで巻き込まれてやるよ《ギース》』

「お前ら、揃って変わり者だな」

 器の額についた、赤い宝石のような目に、楽しげに揺れる光を灯したベリタスを見て、クロノは呆れたように苦笑した。




見てくれてる方いるのだろうか(;^ω^)

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