いやー結構長くなった…
「こっちだルーキー!!うおおおおお!!」
その声とともに、討也の周りを囲んでいた獣の数匹が吹き飛ばされた。
もはや、いちいち丁寧に斬るのもめんどくさくなり、素手で空中を高速で殴りつけ、その衝撃で迫り来る竜や獣を凪散らしていた討也は、その様子を見て作業と化した攻撃の手を一度止めた。
「チョーベリー…バルカン!!」
可愛らしい少女の叫び声と共に、断続的な銃声と閃光が走り、さらに周りの獣を吹き散らす。
それでもなお倒れぬ竜は、雄叫びと共に振るわれた赤い槍が、拳が、上空から叩きつけられる光柱が叩き潰した。
「待たせたな!!」
そう言って豪快に笑いながら、赤い鎧の大柄な騎士が姿を現す。
「討也ー!心配したぞ、このやろ~!」
ぼふりと、そう言いながら、ツインテールの少女が抱きついてきた。
「おまたせー」
さらに、よりしろまでもがフワフワと姿を見せる。
とりあえず抱きついてきたツインテールの少女、宝条まゆをナデナデしながら、討也は疑問に思っていた事を聞く。
「良くここがわかったなぁ?」
討也は、人が寄り付きそうにない場所を選んで戦っていたのだ。
一応、この世界に来てから気配の消し方だけでなく、気配の出し方も身に付けていたいたため、それで死血竜を呼び寄せていたのだ。人が居るところでこんな事をしたのでは迷惑極まりない。
「いや、だってものすごい音してたからね?」
「あ、空中殴った時の音か。確かに結構うるさいよなぁ」
「まあ、そのおかげで我々は気付けたのだ!それより良く今まで耐えぬいてくれたなルーキー!」
顔は見えないが、ヴァッシュは仲間の無事を確認して嬉しそうである。
しかし、それから少し声を沈めて言った。
「…他のハンターの事は聞いている、本当に残念だ。グルトの決断が…いや、私の決断がもっと早ければこんな事にはならなかった……私は、また、してはならない失敗をしてしまったな。…ハハハ…」
そう言い、地に視線を下ろしたヴァッシュにまゆが声をかける。
「仲間の死を悼み、悔やむのは後ですよヴァッシュさん。まだ死血化の影響は収まってません」
「そうだぜ、死んだ仲間の事を思うなら、さっさとこの一件を鎮めなくちゃだ。今もベリタス達は別行動中、これ以上死人を出すわけにはいかないし、死んでいった者の命を無駄には出来ない」
討也は、ナズナの最期を思い浮かべながら言った。
ありきたりな、月並みな言い方ではあったが、それでもヴァッシュは頷く。
「今グルトは、全勢力をあげ各地に広がった《死血竜》を討伐している。じきに、この悪夢のような感染拡大もおさまるだろう」
グルトのメンバーがどれほどの人数かは知らないが、ヴァッシュがそう言うならそうなのだろうと討也は納得しておく。
「いや、私もいつまでも皆の力に頼っているわけにはいかない!必ずこの手で《死血化》を止めてみせる!グルトの名にかけて!!」
やはりヴァッシュさんはこう熱い方が似合っていると思う。
「くハハッ!その意気だぜ。そんじゃあ次の獲物を探しますか」
「この近くには殆どいないみたいだし…少し移動する?」
討也とまゆがそんな会話をしていると、ヴァッシュが驚いたようなこえを出した。
「ん!?ルーキー、お前は休んでて良いんだぞ!」
「いや、元凶もどうにかしないといけないからね」
恐らく、あんたじゃあ迷わず倒すことが出来ないから、という言葉はさすがに飲み込んだ。
「元凶?オイ、ルーキーお前……《死血化》が広まりだしたきっかけを知っているのか!?」
「そもそも、私たちは《死血竜》の事を調べるためにグルトに来たようなものなんですよ」
「…!?……つまり、騒ぎになる前から《死血竜》の存在に気付いていたのか?言われてみれば確かに、古城で《死血竜》に出くわしたとき、またコイツか、なんて言っていたな」
「それで、討也元凶って誰なの?」
わざわざ、誰、なんて言い方をしたのだから、もうまゆも気付いている。よりしろは先ほどからぼーっとしていてわからない。
討也は一瞬だけヴァッシュを一瞥してから、元凶の名を告げた。
「クリストフだ、クロ…ギースとベリタスも、もう知ってる」
ヴァッシュが、息を呑む声が聞こえた。
「そ、そんな…ならば例の報告は本当だった……ということか、あのクリストフが………止めねば…ならないな」
「出来るのか?」
仲間だった者を?迷いもなく殺せるのか?
「……ルーキー、一つ、頼みを聞いてもらいたい。これは私の…いや、私たちグルトからの最重要依頼だ」
討也には、もうヴァッシュが頼みたい内容など分かっていた、そして、討也が頼みの内容を理解してる事も、ヴァッシュには分かっていた。だからこれはただの覚悟、それを確認するための、いわば確認作業。
「もしあいつを…クリストフを見つけたその時に…もう取り返しのつかない所まで
その精神が変貌していたのなら…私はためらわず奴の心臓を穿つなぜならそれはもはや
「狩る者」の覚悟だけで無く
「狩られる者」の覚悟も忘れ去ったただの血に飢える獣でしか…無いからな。しかし…仮にも彼のハンターの端くれ、もし「死血」に侵されながらも
その自我を保ち続けているならば…まだ一片の「覚悟」を持っているのなら私の槍には…迷いが生まれるかもしれない、なぜならそれこそグルトのハンターたる…仲間たる証…だからだ…それは恐らく、どの団員でも同じだろう。だからこれは…」
お前にしか頼めない。
「どうか…何があっても躊躇わずクリストフを狩ってくれ。それが私の、そしてグルトからのお前への依頼だ…頼む」
そう言いながら、ヴァッシュはしっかりと頭を下げた。
故に、討也はその言葉に頷く。
「分かった。アンタがクリストフを殺せなかったら、その時は……俺が迷わず奴を殺す」
この手で終わらせる。
それから、討也たちは先ほどクリストフを見つけた場所へと移動し、そこからクリストフの足取りを追跡していた。主に、というか完全にまゆが追跡している。ベリタスと違って、足跡とか臭いとか、そういうのをまゆは識別できるのだ。ちなみに、よりしろは本部に戻ってもらった。
やがて、まゆがすぐ近くにいると告げると共に、ヴァッシュも血の臭いに気付いた。
「……この道の先に、クリストフはいる」
槍を握り締め、ゆっくりと、ヴァッシュ達は先日討也たちが発見していた古代遺跡の地下へと降りた。
「し、し、真理とは…す、全ての、か解が…み、み、導き、だ、出されたという事です
ぼ、僕は、や、やっと…そこに、た、辿りついたと、思っていた…でも……それは違っていた解を求めて彷徨う者は…いずれ求める解に達するだろう。しかし…「解」にとっての解とはなんだろうか?元より解であるモノが…解とは何かと問い探し続ける。求めたモノは既に在り
まさに滑稽な道化として踊り続ける。最初から解は此処にあった即ち僕こそ…父さんが生み出した僕こそが…僕が求めた「解」だった」
一人語りの口調もだんだんとクリストフの口調から離れていく。
「そう…僕は…一度壊れた存在なんだ…否、正確には壊れて直って…別ノ何かに成っタ僕……そゥ。世界に捨てラレ、拾わレた存在。そウダ…僕こソ…死ノ血ニ染リシ業ノ者。即チ」
死血者。
「ルーキー」
狂ったように話すクリストフから目を背けたヴァッシュに替わり、討也が前に出る。
その手に暗殺者の刀をぶら下げて。
「分かってる。今、楽にしてやる」
いくら、クリストフが《死血化》していても、神無討也との実力差は明白である。
トン、と軽く地面を蹴り古代遺跡内部の大きな部屋の中央に立つクリストフとの距離を一瞬で殺した討也は、手にした刀を斜めに振り落とす。
「あ、…ぎ……が……ッ………だ」
血を吹き出しながらも、いまだに倒れないクリストフを見て、討也は「ん?」とまゆを顰める。
「マだ………だ………マダだまだダまダダマッ……」
壊れたように「まだだ」と繰り返すクリストフをしたから容赦なく切り上げ、左右交互に斬りつけ、刺し、切り裂き、切り崩し、切り捨て、切り殺す。斬り殺す。それでも、クリストフはそこに立ち続けていた。
「こ…これは……ッ!」「俺が言うのも変だけど……コイツおかしいぞ?」
いくら切っても、斬っても死なない。
「……死ノ…血ヲ……ケガ…レ…ヲ……あ。アァアあアああァア!!」
「雰囲気が……変わった?」
まゆが呟き、それにヴァッシュが頷いて前に出る。
「オイ…」
ヴァッシュをサポートするために、それに続こうとした討也をまゆが手で制す。
それから、少しだけ討也の方を振り返って頷いて。
「あの人は一人で出来るよ」
と言って微笑んだ。
そのまゆの言葉に、討也は苦笑する。
「俺より人間の事分かってるんだな。お前」
「んふふー、誰かに連れ回されたおかげで、いろんな人と関わる機会があったからね~」
「くハハッ…なるほどね」
他愛の無い会話をして、視線をクリストフへと二人は戻す。
「あの人は、ただ討たれるべき人に討たれるだけだよ」
「ついに…獣に落ち果てたか……ならば…すまないクリストフ」
赤い戦士の槍が、死血化したクリストフを引き裂いた。
「…アァ……血……白…階段……蝶に…火ノ香リ…遺跡……手中…紐トく…小瓶が……皮ノ色…片腕…赤……朱イ………四方ヲ……血海…杖……食器…眼の…奥ニ……白イ布……眩シき灯リ…
…星ノ位置…揺ラギ意志……塔ノ頂…羽…手記……黒イ水……金ノ器…業ノ…大キな木……水ノ音…潰れテ……匂う……懐かシイ
……潰死タ……匂い………母さン……アァ…あ、はは…
あは、はは…はは
ご、ご…めん…よ
か、かあ…さ…………」
死の間際、何かを呟くクリストフを討也たちはただ見守っていた。
「よく来たなルーキー!!これからお前たちの実力を試させてもらう!……ハハハ…なんてな。そんな具合で私が初めて面倒を見たのが…クリストフだった」
《死血化》が収束してから、2日が経っていた。
だが、討也の中では、まだ疑問がいくつか残っていた。
一つは、クリストフが死血化した原因。もう一つが、クリストフが本当に死んだのだろうか?という疑問。それを確かめるために、クリストフの墓に来たところ、ヴァッシュとばったり出くわしたのである。
ちなみに、討也はグルトを脱退する届けをだし、ヴァッシュはそれを上へ伝えたそうだ。あと数日も立てば脱退の承認を知らせる通知が届くだろう。
「もっとも、あいつの両親もグルトメンバーだったからな、幼い頃からあいつのことは知っていた。昔から何にでも興味を示す子だったよ。だが…母親が死んで…クリストフは少し変わった。人とあまり喋らなくなったし、研究以外への興味が無くなった。今にして思えば…」
彼の墓を眺めながら、思い出すように語るヴァッシュだったが、一度話を区切りこう告げた。
「いや、やめておこう。これ以上お前を危険な状況に巻き込むわけにもいかないからな!ハハハ!」
そう言って豪快に笑うヴァッシュに討也が苦笑していると、彼は急に何かを思い出したように首を傾げた。
「そういえば、ルーキー。お前が私たちと合流したとき、そっちの…ベリタスはどこにいたんだ?確かあの時別行動を取っているとか言っていたが…」
「ん?そう言えばお前ギースの奴と何してたんだ?」
ヴァッシュにそう聞かれても、討也だってベリタスの行動を把握していたわけではない。
『や、普通に喋りながら安全な場所に移動しようと奮闘してたぜ?』
今のベリタスは、器に入っておらず、元の紫色の光球といった外見である。
なぁんだ、結局たいしたことをしていたわけじゃあ無いのか、と思う討也に対し、さらに首を傾げたのがヴァッシュである。
「んん?そのギースというのは誰だ?」
「……は?グルトのメンバーでしょう?」
『あいつグルトのマーク入った槍持ってたぜ?』
討也の言葉に、同調するベリタスに対し、ヴァッシュは首を振った。
「いや、誰の事だ?ギースなんて名前のハンターは…グルトに居ないぞ?」
ん?と思わず視線を合わせる討也とベリタス。
「おい!」
『こっちだ!』
さすがに長いつきあい、だったその言葉だけで、二人は互いの意志を確認して、ベリタスは索敵でギースの位置を確認し案内しだした。
「ああ、状況終了だ。クリストフは回収した。…そうだ…恐らくまだ終わりじゃない。これで釣られてくれれば良いが…ん?…おっと「ボク」に客が来たようだ」
ギース……クロノはそう言いながら通話の魔術を切りこちらに近付いてくる人外に視線を向けた。
「やぁ、来ると思っていたよ」
「やっほークロノ君。通話の相手誰さ?」
「ぶっといお注射持ってるあの方だよ」
その回答に、うへぇと言わんばかりに顔をしかめる討也。
「お前グルトメンバーじゃあ無かったのな?」
「まぁね」
『クリストフを回収ねぇ……道理で、あの墓からはクリストフの気配がしないわけだ』
「………オイ神無、死体の気配まで探れるお前の相棒は何者なんだ?」
ギ、ギ、ギ、と首を動かし、引きつった声を出すクロノ。
その質問に、討也は楽しげな笑みを浮かべ答えてやった。
「くハハッ…死体じゃあ無いだろう?」
と。ひょいと肩を竦め、クロノは言う。
「いや、でもあれを生きているとは俺は思わないがな?」
まぁ、確かに《死血者》を生きていると表現するのが適当かはわからない。
例えるなら、死にながら生きているかのような…。
「そういえば、あの話の続き、聞かせてくれよ?」
ん?と一瞬何のことを言っているのかクロノは考えたが、すぐにそれらしい物に思い至った。
「ああ、あの話か……」
と、思い出しながら語り出す。
…昔、愚かな科学者が居た
或る時、科学者の子が
死んでしまった
科学者は泣いた
科学者の妻も泣いた
しかし、科学者はやがて喜んだ
それは子どもが「直った」からだ
壊れて直して元通り
科学者は喜んだ
科学者の妻も喜んだ
しかし、妻はやがて恐れを抱いた
己の両の腕の中
その中で嘲笑う、其れは何か
夜眠らない
食事もしない
瞬きすらもしていない
其れは一体
何なのか、と
「ルーキー!おーい!どこだー!?」と声が聞こえ、チラリと三人はそちらへと視線をやった。
「この話はここまでさ。またいつか…会えると良いな。その時は、また別の物語を聞かせてやろう」
「くハハッ!そいつは楽しみだぜ」
『たっしゃでな』
だんだんと近付いてくるヴァッシュの声に、三人は手早く別れを済ます。
「ああそうだ、「其れ」は貴様にくれてやる。じゃあな」
そういって、二枚のメモ用紙を渡し、クロノ…ギースは颯爽と森の中へと姿を消した。
こうして、《死血》をめぐる物語は一端の収束を見る。
だが、これはまだ終わりではない。《死血》も、グルトやクロノ達咎人の物語も…。
そして、神無討也達の物語だって。
即ち、道は続いてく。
to be continued…?
一枚目
[PASS]
2 3 5 6 8 9 12 14 17 19 20
二枚目
在ウー在アか宇らシエュ生火プき苦リケッツ古※
刺ェへし咎か巣ら生セま蘇汰れち吊しテクリ徒※
無ストにフの脱回収ネに野歯成ひ負功へした放※
魔。「み死血夢」にメつ喪羅いり流てレこれ炉※
矢以上い被害湯が拡エ散夜和すい雨るエことヲん
魔を避みけた夢い。メ至喪羅急り流「レ保存炉※
無」のに処理脱を頼ネむ野歯。ひ負尚へこち放※
刺らはし更に巣オリセヴ蘇汰ァち吊一テの動徒※
在向をい監視宇するエ。生火以き苦上ケ定時古※
報告を終わる。
次は和の國大合戦でしたかな?
ただ、このイベントAST《アクティブトークシステム》導入前のイベントだから、リメイク来るかも知れないんですよねぇ……。
どうしましょう……。
これにてグルトイベントは終わりです!感想お待ちしています!