聖ジャスミン学園物語―女子と共に甲子園へ― 作:パワプロ大好き男
秋季大会がまもなく始まり、優勝すれば春の甲子園に出場出来るのだが、果たして行けるだろうか……
「はぁ~今日も疲れた~」
部屋に戻ると鈴本と八尺がいた。
「お疲れ様です。」
と鈴本が言うと、八尺も続けていった。
「センパ~イ、お疲れ様でぇ~す!」
相変わらずテンションが高い女だ。
「キャプテンってこんなに辛いとは思わなかった……」
俺はクタクタになった体をベッドの上に乗せた。
正直いって、辞めたい。
俺は投手だ。
投手はピッチング練習するわけだが、球速・コントロール・スタミナ・変化球の4種類をこなすだけでも精一杯だった。
さらに守備練習で投内連係などをやるわけだから尚更しんどい。
それなのに、キャプテンだなんて、高城先輩どうかしてると思った。
どうせあの人の性格だったら、俺のこと好きだからという理由で推したんでしょ、と思った。
あの人やたら俺にくっついてきたからな~イヤになっちゃう。
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秋季大会も近くなり、本格的にチームもまとまってきた。
でも俺は投手だけど皆のことを考えて、自分の練習はどうでもいいからチームのことを優先しようと率先して動いた。
出来れば俺もプルペンに入りたかったが、そんな余地は俺にはない。
あ~あ、キャプテンは辛いよ。
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秋季大会が始まった。
勝森監督が言った。
「高城の代がいなくなってから2ヶ月間、この新チームで戦うわけだが、全身全霊、死に物狂いで戦え、分かったな?」
「はい!!!」
聖ジャスミン学園のスタメンは以下の通り。
1(中)矢部明雄
2(一)川星ほむら
3(右)オレ
4(三)大空美代子
5(左)美藤千尋
6(投)太刀川広巳
7(二)夏野向日葵
8(捕)小鷹美麗
9(遊)小山雅
エースナンバーはヒロピーに託された。
悔しいが適切だと思った。
何故なら俺はキャプテンの仕事で忙しすぎてまともに練習出来なかったからである。
マジで笑えるwwwww
ちなみにヒロピーとは太刀川のニックネームである。
そのヒロピーを支えるのは、中学までバッテリー組んでいたタカである。
2人とも練習の時から仲良かったから適切だ。
タカとは小鷹のニックネームである。
ファーストは足が速いほむほむ、セカンドは守備が上手いナッチ、サードはパワーヒッターのミヨちゃん、ショートは名手といっても過言ではないミヤビンである。
俺の中では、ベストメンバーだと思う。
外野はレフトから順に、ちーちゃん・矢部君・俺。
秋はこの3人が守ることになった。
「締まっていくぞー!!」
「オー!!!」
俺の掛け声に皆が叫んだ。
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1回戦の相手は二子玉川学園(にこたまがわがくえん)。
不良高校ではあるが、かなり強い。
人数は少ないものの、チームワークはかなりいい。
(怖いな~この人たち…)
俺はライトを守りながら思った。
[プレイボール!!]
試合が始まった。
<1回の表、二子玉川学園高校の攻撃は、1番センター関川君>
関川が右打席に入った。
ヒロピーが投げた。
シュ、カキーン
1球目なのに、いきなりレフト前ヒット。
ヤバッと思った。
<2番セカンド御子柴君>
御子柴が右打席に入った。
彼がキャプテンである。
シュ、コン
また初球に送りバントを決めた。
1アウト2塁。
<3番キャッチャー若菜君>
若菜が右打席に入った。
女みたいな苗字で笑えた。
シュ、バーン
[フォアボール]
歩かせてしまった。
1アウト1、2塁。
フルカウントまで持ってきていただけにもったいなかった。
<4番ピッチャー安仁屋君>
安仁屋が右打席に入った。
つうか、どんだけ右打席多いねんって思った。
まぁ、うちも人のこと言えないけどね。
シュ、カッキーン!
嘘だろと思った。
レフト方向に打球が飛んでいく。
そしてそのままスタンドに入ってしまった。
スリーランホームラン。
<5番サード新庄君>
新庄が左打席に入った。
ここでやっと左打席に入ったわけだが、この人はホームランバッターであるとミーティングで聞いたので、あらかじめ深めに守った。
シュ、カッキーン!!
打球が俺に飛んできた。
しかし、かなり速い。
結局、入ってしまった。
ソロホームラン。
この回だけで4点入れられた。
<6番ショート桧山君>
桧山が右打席に入った。
シュ、カキーン!
あっさり出塁。
<7番ライト岡田君>
岡田が左打席に入った。
彼は元々、左投げ左打ちの投手だったが、ミーティングによると、打撃を活かすために投手を安仁屋に譲り、外野にコンバートされたという。
彼が左投げということもあり、主にライトを守らせている。
投手やっていただけに肩はかなり強い。
あと何気に選球眼が良いらしい。
シュ、コン
送りバント成功。
確実に点を取る気だ。
2アウト2塁。
<8番ファースト湯舟君>
湯舟が右打席に入った。
シュ、カキーン!
以外とレフト方向に打球が伸びていく。
すると、ギリギリ入ってしまった。
まさかのツーランホームラン。
2点追加された。
<9番レフト今岡君>
今岡が左打席に入った。
ちなみに彼はスイッチヒッター、すなわち、右投げ両打ちだ。
右投手のときは左打席、左投手のときは右打席に入る。
ヒロピーは右投げだから左打席に入っている。
シュ、スパーン
[バッターアウト]
ようやく長い攻撃が終わった。
6ー0だなんて最悪だった。
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俺達は安仁屋を相手に完全試合を献上(けんじょう)してしまった。
全くといっていいほど、手足が出なかった。
ストレートは速いし、変化球はキレがあるし、もう何もかもが最悪だった。
聖ジャスミン学園高校は秋季大会1回戦負けに終わってしまった。
「これが俺達の実力だ、この敗戦を糧に夏まで仕上げていこう、皆、下を向かずに前を向いて歩こう、いいな?」
「はい!!!」
皆、泣いていた。
矢部君も、ヒロピーも、タカも、ほむほむも、ナッチも、ミヨちゃんも、ミヤビンも、ちーちゃんも、泣いていた。
俺は泣かなかったが、キャプテンとしての責任を感じていた。
すると監督が俺に言った。
「土屋は悪くない、敗戦したのは監督である俺に責任がある。」
俺は、しょんぼりしていた。
「キャプテンとして素晴らしいまとめをしてくれた、そんな土屋に感謝してる、誰もお前に責めたりはしないからな。」
俺は少し嬉しかった。
「土屋も下を向かずに前を向いて歩こう、お前が暗いと皆、暗くなる、キャプテンの仕事も大事だが、お前自信がプレーで引っ張っていけ。」
俺はハッとした。
高橋みなみキャプテンと高城れにキャプテンが言っていた言葉と全く一緒だった。
「お前はチームをまとめるのに神経が集中していて、練習を全くしていない、上手くまとめる必要はない、大事なのは、お前が皆の見本、あるいは手本になれるようなプレーをすればよい。」
「監督………」
「お前が頑張れば皆、必ずお前の背中を見てくれる、お前自信もしっかり練習に参加してくれ。」
「ありがとうございます。」
「お前の160㎞/hのストレート、見せてくれ。」
監督が期待をこめて俺の肩を叩いて言った。
俺も練習に参加しようと思った。
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寮に戻ると、俺は皆に言った。
「皆、秋季大会1回戦負けしてしまって、キャプテンとして本当に申し訳ない。」
俺は深々と頭を下げた。
「こんな結果になってしまったこと、本当に申し訳ないと思っている、キャプテンとしてチームをまとめるのに神経が集中していて、練習を全くしていない状態で大会に臨んでしまった、キャプテンがこんな調子でやっているから皆に悪影響を与えてしまった、だからこそ俺自身、積極的に練習に参加して強くなって、必ず皆の見本になれるようなプレーをしていきたいと思う、これからも、こんな頼りない俺だけど、どうかよろしく頼む。」
俺はそういって土下座した。
「申し訳ない。」
俺の目には涙が流れた。
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ある日、食堂で夕食を摂っていたら、矢部君とタカが来た。
「土屋君」
「矢部、それに小鷹まで」
「オイラ、副キャプテンなのに土屋君をサポートしてやれなくてゴメンでやんす。」
「ゴメン…ね…土屋…君…私…失格…だよ…ね」
矢部君は申し訳なさそうな顔で言った。
タカは泣きながら言った。
「気にするなよ、この失敗を次に活かせばいいんだから、タカ泣くなよ。」
俺はタカの頭を撫でながら言った。
矢部君もタカも元気が出た。
次の夏が正念場、なんとしてでも勝たなければ!!!
今までの中で1番長くなってしまいました。
申し訳ありません。