聖ジャスミン学園物語―女子と共に甲子園へ―   作:パワプロ大好き男

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5回終了時点で1―0と稲城実業高校がリードのままであった。
苦しむ稲城実業に対して文武は明るかった。
異様なムードの中、後半戦が始まるのであった。


第30章 稲城VS文武(後編)

『6回の表、文武高校の攻撃は、4番ピッチャー神高君』

 

神高が右打席に入った。

マウンドには成宮が続投していた。

 

(へっ、成宮め、投げるもんなら投げてみろや。)

 

神高が嘲笑うかのように成宮を見た。

 

(コイツ、何で笑ってやがる。)

 

成宮が不思議そうに神高を見た。

 

(鳴さん、初球は低めに行きましょう。)

 

多田野が思った。

 

シュ、カキーン

 

神高が初級を打った。

レフト前ヒットで出塁。

神高が拳を突き上げた。

 

『5番ファースト武君』

 

武が右打席に入った。

 

シュ、スパーン

 

ストライクを取った次の瞬間、神高が盗塁した。

 

『へい!』

 

神高が上機嫌に言った。

 

(ナイス盗塁、だけど無理すんなよ。)

 

武が思った。

 

(へっ、大丈夫だよ、任せろ。)

 

神高が思った。

 

(鳴さん、バッターに集中しましょう。)

 

多田野が思った。

 

(分かってるよ樹、野球は点数を取られなきゃ負けないんだ。)

 

成宮が思った。

 

(あんだけ凄いピッチャーがマウンドにいたら、そりゃ心強いよな、でも、いつか成宮だって疲労がたまれば甘い球だって来るんだから、そいつを打ち返して、貴様をマウンドから引きずり下ろしてやる。)

 

神高が二塁ベース上で思った。

 

シュ、スパーン

 

2ストライクを追い込んだが、また神高が盗塁した。

ノーアウト三塁となった。

多田野も懸命に三塁へ投げたものの、セーフだった。

 

「あのピッチャー凄いでやんす。」

 

「神高のことか?」

 

「うん、ピッチャーなのに盗塁出来るなんて、しかも二盗と三盗の両方を決めたんだもん!」

 

「確かにな、彼は運動神経の塊だな。」

 

俺と矢部君がスタンドで言った。

 

シュ、カキーン

 

武が打ったが、ライトフライで1アウト。

神高がタッチアップした。

 

「ライトー!!」

 

成宮が叫んだ。

ライト福井健斗が本塁へダイレクトで刺した。

多田野は懸命に止めようとしたが、ミットが神高の体を触れなかった。

しかし、判定は、

 

【アウトー!!】

 

となった。

 

「ウソー!?」

 

神高が懸命にセーフとアピールするも、判定は覆らず、2アウトとなった。

ランナーはなくなった。

 

「ケッ、上手く掻い潜ったと思ったのに。」

 

そう言うと、神高は多田野を詰め寄り、

 

「今、ミットが俺様に触れてなかったよな、ナイスだぜ、空タッチ野郎め。」

 

と多田野に向かって言った。

結局、この回は無得点。

その裏は三者凡退に終わった。

――――――――――――――――――――――

気がつけば、9回まで進んだ。

1―0で稲城リードのままだった。

 

『9回の表、文武高校の攻撃は、1番センター矢部吾君』

 

矢部吾が右打席に入った。

彼が出塁すると、すぐさま盗塁した。

 

『2番セカンド鎌刈君』

 

鎌刈が今度は右打席に入ったが、フォアボールで出塁。

ノーアウトー、二塁となった。

 

『3番サード古長君』

 

古長が送りバントを決め、1アウト二、三塁。

 

『4番ピッチャー神高君』

 

神高が右打席に立った。

ここで長打が出れば逆転であった。

 

「打てー龍ちゃん!」

 

ベンチが盛り上がった。

 

(必ず抑えてやる、コイツだけは打たせない!)

 

成宮はマウンドで思った。

 

シュ、スパーン

 

【ストライク!】

 

神高が思いっきり空振りした。

チェンジアップだった。

 

(ウホホ、これがチェンジアップか、スゲェ、キレてるじゃんよ!)

 

神高が笑いながら思った。

 

シュ、スパーン

 

【ストライク!】

 

今度はスライダーがインコースに来た。

さすがに神高も手が出なかった。

 

(へっ、やるじゃねぇか、成宮、だがな、オメェの決め球なんて知ってるんだよコッチは。)

 

神高はストレートを待っていた。

 

(この人はストレートを狙っている、鳴さん、ここはチェンジアップで!)

 

多田野は感づいたのか、成宮にチェンジアップを要求した。

しかし、成宮は首を振った。

次はフォークを要求したが、これも首を振った。

 

(大丈夫、ストレートで押せる!樹、俺を信じろ!!)

 

成宮が多田野に向かって思いをぶつけた。

 

(鳴さん…分かりました、インコースに厳しくストレート行きましょう。)

 

多田野は仕方なく、ストレートを要求した。

 

(どうした成宮、俺は待つのが死ぬほどイヤなんだよ、さっさと投げろよ、ストレートを!)

 

神高が若干イラついた。

 

(絶対にコイツだけは打たせない!)

 

成宮が投げた。

 

シュ

 

(キター!ストレートだ!!)

 

カキーン!!!

 

打球は左中間を破った。

カルロスがセカンドに中継するも、矢部吾は既にホームイン、鎌刈が三塁蹴って本塁へ向かった。

セカンドから多田野へ渡したが、多田野はこぼしてしまい、鎌刈がホームイン。

2―1と逆転した。

 

「ヨッシャァー!!」

 

「龍ちゃんスゲェー!!」

 

「ヤッタァー!!」

 

ベンチが盛り上がった。

 

「ウォッシャァー!!!」

 

神高が二塁ベース上でガッツポーズをした。

 

「ナイスバッティング、神高。」

 

文武高校の監督、神高燐が言った。

 

「お前は息子として、誇りに思う。」

 

父でもある監督は息子を称えた。

 

「逆転したでやんす!」

 

矢部君が驚いた。

――――――――――――――――――――――

9回裏、3番と4番を打ち取り、5番成宮に回った。

 

「鳴ー!!打てー!!」

 

ベンチから懸命に成宮を応援する。

 

カキーン

 

打ち上げてしまった。

そして、ファーストの武秀英が掴んだ。

稲城実業高校がここで散った。

聖ジャスミン学園高校の相手は文武高校となった。

 

「ヨッシャァー!!」

 

「勝ったー!!」

 

「ウォッシャァー!!!」

 

神高も含め、文武高校は大喜びだった。

 

「カッコよかったよ、神高君。」

 

文武高校の記録員、守神悠羽が言った。

決勝戦の相手は文武高校に決まった。




長くなってしまい、申し訳ありません。
30章達成ですwwwww
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