歳を違える女の人を好きになった主人公。でも、それが、何を示すのか。それは、もう次がないこと…。
来年には先輩は高校を卒業してしまう。今を逃したらもう、会うことはできない。ここで思いを告げなくては。そう心に誓ったが、勇気を出せない。

果たしてこの恋は叶うのか。

誕生日に贈る愛の告白。

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今回は読み切りの短編小説(?)です。

珍しくただの純情な感じのスクールラブ?を書いてみようと思い、書いてみましたー(って言っても、出してる物語これ含め2個しかないけどw)
ってことで、もしよければ読んでみてください!お願いしますです!


『手汗』〜Confession of the Birth Day〜

「あ、そういえば先輩、今日誕生日っすよね?」

帰り道、話が途切れたその時に、今思い出したかのように突然話を振る。もちろん、ずっと覚えていたが。

 

「ん?ああ、そういえばそうだね。なに?覚えててくれたの?」

「よかった、あってた!はい!まあ、うろ覚えだったんすけどね....はは。おめでとうございます!」

 

え、自分が忘れてたのかよ!とツッコミそうになるのを我慢し、苦笑交じりに俺は言葉を続けた。

 

「うん、ありがと!でも、これでまたおばあちゃんに近づいちゃったな〜」

 

はっはっはー、年はとりたくないんだけどなぁ〜。先輩はそう言って無邪気に笑う。

 

「そういう後輩君はどうなのさ〜?私知らないよぅ?」

「あ、興味あるんすか?」

「そりゃ、祝ってくれたから、祝い返さないとねっ」

「え、そんな理由?でもまあ、祝ってくれるんすか?それなら嬉しいなぁ〜!でも、3ヶ月前の19日だから、来年まで待たなきゃですよ?その時には先輩、卒業しちゃってるから、無理ですよね〜」

先輩は「むむっ」っと顔をしかめた。が

 

「するもん!絶対する!会えなくてもSNSがあるもん!」

 

流石は現代っ子、そうなるよな。

 

***

 

その後も他愛のない会話は続いた。

そして俺たちは、いつも解散する池袋駅の山手線と有楽町線がほぼ向かい合うようになっている改札についた。

 

「じゃっ、ここでお別れだね!また明日!」

 

俺が乗る山手線等がある改札の方を先に通るため、先輩は挨拶をして有楽町線の方に歩き出した。

俺は先輩のその背中を見ていた。

 

(また、機会を逃すのか?)

(しょうがないじゃないか。俺には、そんな勇気はないんだから)

(それは甘えじゃないのか?)

(....うるさい。そんな事、わかってる!でも、それで、それでこれから気まずくなったらどうするんだ!)

(そんなの知るか)

(....っ!!てっめ....!)

(でも、お前は本当にそれでいいのか?あいつの隣で、ただあいつの笑っている顔を眺めているだけで、本当楽しいのか?)

(そ、それは....)

(ならここで気持ちをうち開けろよ。それにこの機会を失ったら、もう二度とこんなチャンス、ねぇぞ?)

(....そう、だな)

 

自分の中での自分との会話の末、俺は決心をした。

脚は立つのもままならないほど震えている。

冷や汗が止まらない。

それでも、ここで言わなきゃ、俺は一生後悔するだろう。 だから、

 

 

( 俺は今。一番青春してるんだな。)

 

 

恐怖はあっても、戸惑いはない!

 

「先輩!止まってください!」

 

喉がはちきれそうなほど、大きな声で叫んだ。

通行人も駅員も、皆が僕を凝視した。それもここは池袋。数人や数十人なんて比じゃない。数百、いや、千人に及ぶかもしれない。でも、そんな事今は気にしていられない。

 

「....え?」

 

先輩は定期を片手に、少しキョトンとした顔でこっちを見て止まった。

先輩、こんな表情もするのか。可愛いな。と、こんな時に不本意ながら、思ってしまう。

 

「少し、話があります。ついてきて、くれませんか」

 

さっきの声とは比べ物にならないほど弱々しい声でそう言った。それこそ、先輩に届いているかどうか不安になるようなか細い声で。

 

「う、うん....」

 

よかった。届いてた。

 

先輩の顔は、知り合いが叫んだせいで、『見てるこっちが恥ずかしい。』的なやつか、頬が少し紅潮して見えた。

それが本当に今の理論なのか、ただの電気の反射なのか、それとも単なる勘違いか、俺にはわからない。

 

***

 

俺たちは流石にいたたまれなくなり、逃げるようにその場を立ち去り、地上へと戻っていた。

 

「えっと、それで....、話って、なに?」

「あ、えっと、その....」

 

ここに来てテンパる自分が情けない。

そんな僕を見て首を傾げる先輩。どうやらさっきのことはもう気にしていないらしい。なんて優しいお方なんだ。

 

「今日、誕生日ですよね?」

「うん。って、さっきも言ったよね!?」

「はい、言われましたし言いました」

「じゃ、じゃあなんだよ!?」

「だから、その....誕生日なので....」

 

そこまで言って言いよどむ。この後の言葉が思いつかない。誕生日なので、と言った時点で詰んだ気がした。う

ん、これもう無理だ。

 

 

(「なら、私と一緒に来ない?ウチの部に来なよ!歓迎するよ!」)

 

 

ふと、記憶が蘇る。

あの日、一人だった自分に手を差し伸べてくれた、そしてその瞬間、俺は恋に落ちた。そんな過去の記憶が。

不意にポケットに入れた左手に力がこもる。

 

(そうだ、言うって、決めたんだ。ここでやめるわけにはいかない!)

 

と、その時

 

「えっと....大丈夫?体調悪いの?」

 

冷や汗をかき小刻みに震えながら何も言わない僕を不審に思ったのか、心配してくれた様だ。

でも、そんな言葉を無視し、俺は言葉を発した。

 

「誕生日なんて、関係ない。本当は誕生日プレゼントとして渡すつもりだったんですけど、やっぱり、この気持ちに嘘はつきたくないんです。だから、今ここで、全てをうちあけます....!」

 

俺はそこで一度呼吸のために言葉を止めた。鼓動の速さがわかる。

相手に聞こえてしまうのではないかというぐらいにバクバクしている。

そして大きく息を吸い、言葉を続けた。

 

「僕は先輩が大好きです!あの日声をかけてくれた先輩に、感謝とともに、好意が芽生えてしまったらしいです。ありきたりでも、ロマンチックじゃないと言われてもイイです!俺は先輩と付き合いたい!いや、結婚したい!こんなにも優しい人に、俺は今まで一度も出会ったことがない!生きる意味を、希望を、価値を与えてくれた、そんなあなたに、俺は全てを尽くしたいんです!」

 

もう一度、大きく息を吸う。そしてポケットの中で握りしめた左手を外に出す。

 

「これが僕の、言葉にできる中では全てです!僕には、こんなことしか言えなくてすみません。でも、もしよければ、僕の気持ちとして、受け取っていただけませんか!?」

 

そして、頭を下げながら両手を前に出した。

今さっき外に出したその手には、白い包装紙に包まれた一つの小さな箱が掴まれていた。

そうして何秒経ったのだろうか。何かが怖くて、俺は今、目をつぶっている。

でも、そのせいで手の感覚は、よりいっそう聡明に感じられる。

つまりそれは、差し出したその箱が、

 

『受け取られていないことを意味した。』

 

俺は下を向いたまま、恐る恐る目を開ける。そこには、....その地面には、濡れたような跡がついていた。てっきり俺は、雨が降り出したのかと思い、フられた男にはちょうどいい仕打ちだな。そう思った。

そこに先輩が、追い打ちをかけるかのように僕に言葉をかけた。

 

「....素敵な、誕生日プレゼント、だね....」

先輩の声は、震えていた。

そして、その言葉の指す意味は、プロポーズではなく、誕生日プレゼントとして受け止められた。つまり、俺は極力傷つけないように振られた。ということだ。

女の人にそんな気遣いをさせてしまったことをあいまって、余計心が苦しくなる。できることなら今すぐに立ち去ってしまいたい。

なにより、自分が好きになった人に不快な思いをさせてしまった事に腹がたつ。

謝ろうとして俺はゆっくり顔を上げた。が、その瞬間、俺は自分の勘違いに気づかされた。そこには、

 

「....こんなの、酷いよ....!ずるいよ....!受け取るに、受け取れない、じゃん....!」

手で口元を覆い、涙を大量に流し泣きじゃくっている先輩の姿があった。

受け取ってもらえなかったのではない、受け取れなかったのだ。地面の水の跡は、先輩の零した涙だったんだ。

でも、なぜ誕生日プレゼントと言われたのか。その答えも、すぐ知ることになる。それは、

 

「....プロポーズを…誕生日プレゼントにするなんて....、ふざけてるよ....!受け取らないわけいかないじゃん!ロマンチックじゃない?そんなこと、ないよ....!十分ロマンチックだよ!こんな日に....!それに、女の子にとっては、プロポーズってだけでも、十分にロマンチックなものなんだよ....!」

 

と、いうことだった。

 

「後輩君の....ばかぁ....」

 

先輩はそう言うと、涙で濡れた手で俺の胸をポカポカ、というよりバシバシ叩いてきた。

ちょっ、痛いんですけど!?

 

「先輩....それ、流石に痛い....」

 

さっきまでの自分はどこへやら、苦笑交じりに呟いた。

 

「....あっ、ごめん....でも、本当に、嬉しくって....」

 

と、思ったら、

 

「あっ....あれ....?」

 

極度の緊張が安心と安堵、そして喜びに変わり、俺は腰が抜けて地面にへたりこんでしまった。

立ち上がれない。脚に力が入らない。

そんな時、

 

「....後輩君、汚っ」

 

ええ!?

突然、突き放すような、見下す目で自分をゴミのように見てきた。

き、嫌われた!それもこんなことで!?不可抗力なのに!

思ったのも束の間、先輩は盛大に噴き出した。

 

「....え?」

 

状況がつかめない。

 

「冗談だよっ。さっきの仕返しっ」

 

と、言うや否や、座り込んでいる俺に満点の笑みを浮かべ、いきなり飛びついてきた。

ここ、公道なんですがそれは......。

 

そして、二人して清々しいまでに大きな声をあげ笑った。

俺はこれまでで、こんなにも大きな声で、心の底から笑ったことがあっただろうか。少なくとも、覚えているうちでは、一度もないな。

周りからは拍手や指笛が聞こえてきた。「青春してるねー!」といった声も聞こえる。

っておい!今『リア充爆ぜろ』っつったやつ誰だ!?

 

「ねえ、これ、開けていい?」

 

ふと、先輩は未だに俺が握りしめていたままだった箱を指差した。

 

「あっ、はい、どうぞ」

 

そして俺はそれをまた差し出す。

 

「よっぽど緊張してたのね。包装紙、湿ってる」

 

ニコッ。そう言って笑った。

 

「わぁ....、飾っとくタイプのリンクだ....!綺麗....。って....ん?」

 

リングを手に取りたいようにかざしてみた後、箱の中に何かを見つけたようだ。不備でもあったか?ちゃんと確認したし、汚れもないはずだが....

 

「え、何か、変なところありました....?って....あぁっ!?」

「なんだろ、これ?手紙?」

 

やばい、すっかり忘れてた。

 

「先輩!待って!それは!!」

「ん〜?なになに?俺は――」

 

***

 

「――俺は、先輩のことを愛してます。直接言うのは恥ずかしいので、手紙という形で告白させていただきます。あ、それと、この誕生日プレゼント、気に入っていただけたでしょうか?それなら嬉しいです。本題に戻ります。えっと、俺は先輩に会ったとき、一目でこの人が運命のひt」

「うわぁぁぁあ!!」

 

恥ずかしさに顔を朱く染めながら、大きな奇声をあげ手紙を口に出して読み上げる彼女を制した。

 

「やめっ!やめて!それもうやめて!誕生日の度に掘り返してくるのやめて!」

「はーっははっ!!ガキかよ〜」

 

品のない笑方をする妻。おい、女だろ?女だよな!?そんな笑いかたしていいのか....?

 

「いやー、あの時は傑作だったね!本当最高!」

「だから....もうやめてくれよ....『先輩』....」

「え?先輩?あれー?」

 

先輩という言葉に反応し、含みのある笑顔をこちらに向けながら指の関節を鳴らす。

 

「あっ!違う!先輩じゃない先輩じゃない!ごめん!」

「わかればよろしい!」

 

ドスッ

 

「ゔっ”....」

よろしいとか言っておきながら俺の脇腹にグーをかましドヤ顔をする。

そう、あの時の先輩は、今はもう先輩ではない。

 

 

俺の妻になった。

 

 

毎年誕生日兼、告白記念日であるこの日に、俺はあの時箱から抜き忘れた手紙、いわゆるラブレターを読み上げられてしまう。

そして5年経った今も笑い話にされてしまうのである。本当、悲しいわ....。はぁ。

 

「でも、そのガキとお前は結婚したんだぞー?」

「ははっ!そうだね!確かにそうだ!」

 

笑い上戸なのは相変わらずだ。

 

「あの時は、本当に次の年の俺の誕生日を祝われるとは思わなかったな〜」

「ええっ!?信じてくれてなかったの!?酷ォ!!って、そういえばなんで私の誕生日知ってたの?私誰にも誕生日とか教えない人なんだけど?それに、メアドにもいれないし」

 

......あっ。

 

「なにその顔」

 

......いっ。

 

「うっ」

「!?なぜわかった!?」

「いや、だって、バカな顔してたから」

「酷い!?」

「で、なんで?」

 

......あっ。

 

「やらせねえよ!?」

 

さすがのツッコミだ。ってか、エスパーかよっ!

 

「えっと、それは、学校のパソコンいじってたらたまたま....生徒の個人情報のなんか見つけて、それで、ね」

「何やってんの!?犯罪かよ!怖いわ!」

 

心底驚いたような顔。可愛い。って、今考えると、いろいろとおかしいよなぁ、うちの学校....。セキュリティ以前の問題....だよな?

 

「まあ、それは置いといて、誕生日おめでと。それと、俺と結婚してくれて、ありがと、ね」

「....うん」

 

そっけない答え。でも、それが今は、妙に嬉しい。

 

「では、新婦様に、指輪をお願いします」

 

そう、告げられた。

 

「結婚式まで、私の誕生日でよかったの?」

「ああ。そんなの決まってんだろ?むしろ、それがよかった。お前の誕生日が、俺とお前の、出発地点だったんだ。だから、そうじゃなきゃ、だろ?」

 

僕はそう言い、彼女の白くて細い指に、結婚指輪をはめた。

 

その後、式ではいろいろなことかあったが、それはあえて割愛させてもらう。

式の最後、彼女は笑顔で一言、こう言った。

「やっぱり緊張してるの?あの時みたいに、私の手を握った君の手も、指輪も、湿ってた」

 

 

 

これは、俺が先輩に、あの日出会って恋をした。そんな甘酸っぱい青春の一ページから、俺が妻と過ごした。人生の最盛期の、そして最期の時の一ページの、物語。




楽しんでもらえましたか?楽しんでいただけたなら嬉しいです!

あえて二人の名前は出さないことにより、キャラを自分と重ね合わせることができるかな?って思ったんですけど、どうですかね....?もしできてたらよかったですw

いやー、なんか、純愛って....いいっすよね!(笑)
とかまあ、そんなこと思いながら書いてたから、あんまり面白くなかった、というか話がグダグダだったかもしれませんが、何卒お許しくださいw

私的に、泣いてる女の子っていうのが好きなんですよ。その中でも痛み、苦しみによって顔を歪めながら許しを乞っている泣き顔と、口元に手を当てながら嬉し泣きしてるのが本当やばいっすwってことで今回は後者を書いてみましたw今度前者も書いてみよーかなーw

読んでくれた方がいらっしゃるのなら、本当にありございますです!この場をかりて、本気で感謝の言葉を....!

ではまた、お会いできたらお会いしましょう!
до свидания!!

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