アトゥム・シラク准尉
第1MS小隊
主人公 近接戦闘を得意とする
ジョシュア・ニグニット曹長
アトゥムの親友 論理的な戦法を好む
ハウシャール・カルム大尉
第1MS小隊隊長 近中距離の戦闘を得意とする
エリー・トロイア曹長
大富豪の一人娘 肝が座っており思いきった戦闘を好む
レイラ・コーガン伍長
第1MS小隊最年少 部隊1とも言っていいほどの射撃センスをもつ
シグ・ワット少尉
第1MS小隊副隊長 状況把握に優れ重機の操縦を得意とする
「カイトさん、機体どうですか?」
第1MS小隊の初出撃があった夜、昼間の戦闘で機体が突然オーバーヒートを起こした原因が気になりアトゥムは格納庫へやって来た。
「あ、アトゥムさんちょうどいいところに。ジムがオーバーヒート起こした理由わかりましたよ」
カイトは陸戦型ジムのスラスターの整備を続けながらそのことを話した。
「良かった~何だったんですか原因?」
アトゥムは陸戦型ジムの脚部に手を当てながらカイトを見上げた。
「アトゥムさん、左奥にある砂山見えます?」
カイトが指を指した吹き抜けになっている出口の外に大量の砂が積もっていた。
「うあ!凄い量ですね。これどうしたんですか?」
「どうしたってアトゥムさん~この機体に詰まっていたんですよ。これがスラスターに詰まって冷却装置が作動しなかったんです。」
感の鈍いアトゥムに少々呆れながらもカイトはせっせっと作業を続けながら事情を詳しく話した。
「あー…あの戦法かな…」
アトゥムは小声で呟き、昼間にやった砂の中から奇襲する戦法を思い出した。
「報告書読ませて頂いたので何をしたのかはわかりました。だけど機体は大事にしてくださいね。」
「了解しました。極力努力します」
アトゥムとカイトはお互いの顔を見て笑顔を浮かべた。
そして、しばらく他愛ない会話で盛り上がっていた時だった
「おーい!アトゥム!」
格納庫入り口からアトゥムを呼ぶ声が聞こえてきた。
「アトゥムさん、呼ばれてますよ」
目を凝らして声の方向を見たアトゥムは見馴れた金髪の青年を視認した。
「誰だ?あージョシュか。ジョシュ!どーした!」
アトゥムも叫び返す。そこまで大規模の格納庫ではないが、整備班が作業をしているせいもあって声が通りづらいのだ。
声を張るのが面倒になったのかジョシュアは無言で手招きした。
「来いってことか。カイトさんありがとうね。」
カイトに手を振りアトゥムは格納庫をあとにした。
「機体の方は大丈夫だったのか?」
ハウシャールからの呼び出しがあったらしく二人はブリーフィングルームに向かっていた。
「まあね。使い方が少し荒っぽいってさ」
ハハハ、と冗談混じりに話すアトゥムに不安の気持ちを隠せないジョシュア。
「まったく…こっちは見てて冷や汗もんだったよ。トロイア曹長たちが助けに来なかったらどうしてたんだ?」
「隊長がババっと倒してくれるって信じてたよ俺は」
「他人任せかよ。まああの人ならやりかねなそうだな」
冗談にも聞こえるが、二人は隊長を信頼してるようだ。
「でも意外だなー。ジョシュが俺の心配するなんて」
にやけてるアトゥムを見てジョシュアは赤面した。
「話し始めにも言ったが俺は機体の心配をしてるんだ!誰がいつお前の心配をしてると言った!」
「わ、分かったって。でも一応ありがとな」
アトゥムの笑みに照れてしまったのかジョシュアは足早にブリーフィングルームへ向かった。
ウィーン
「急に呼び出してすまないな。ちょいと急ぎの用があってな」
アトゥムたちがブリーフィングルームに着いた時、部屋にはすでに第1MS部隊のメンバーが揃っていた。
アトゥムたちが急いで席についたところでシグが切り出した。
「隊長、急ぎの用って…もしかして夜間任務とかですか?」
昼間の初出撃もあり、部屋中が緊張感に包まれた。が………
「ハッハッハッ!そう固くなるな。悪い話じゃないから気楽に聞いてくれ。」
ハウシャールの甲高い笑い声に唖然した。
「はあ…どうしてこのような方が隊長ですの…」
「俺にも分からん」
「じゃあ早く用を言ってくだいな…」
ハウシャールのしれっとした態度にエリーは投げやりになってしまった。
「それで本題なんだが、今回の出撃で期待以上の戦果を挙げることが出来たそうだ。それで俺たちに補給と称した休暇が与えられることになった」
「補給?」
各員が声を揃えた。それもそのはず、弾薬や食料などの補給物資は第1補給部隊が調達しているからだ。
「言い方が悪かったな。補給というよりは買い出しだ。ここの近くに街があるだろ?そこに補給物資じゃ手に入らない日用品とかを中隊を代表して買いに行くんだ。」
「買い出し…休暇…買い出しのついでに遊んでもいい、てことですね?」
「そういうことになるな。まあ遊ぶって言っても何か食べるか買い物するぐらいしかないけどな」
ハウシャールは退屈そうだった。買い物が好きそうには見えない彼にとっては当然の反応だとアトゥムは思った。
そんな彼とは裏腹に女性陣からは歓喜の声が挙がっていた。
「買い物!?新しい化粧品欲しいな~」
「日焼け止め買いたさないといけないわね」
いつも以上にテンションが高まるレイラと先ほどまでの態度と一変してまんざらでもなさそうなエリー。
「女性って買い物好きですよね。お二人はどうです?」
目の前の光景に微笑みながらシグはアトゥムとジョシュアに問いかける。
「俺ですか?街に行けるなら買い物よりなんか美味しい物食べたいですね。」
「俺はあんまり好きじゃないですね買い物。そんなん行く暇があるならもっと有意義なことしますよ」
食べ歩きが趣味のアトゥム、インドア派のジョシュア、二人の答えは対照的だった。
そんなジョシュアの話しを聞いていたのかハウシャールがある提案をした。
「今回の買い出しなんだが、休暇に出掛けたくない奴もいると思うから強制はしない。行きたい奴だけついてこい。てよりは使える大型トラックが4人乗りなんだ。二人ほど留守番を頼みたい」
「それなら自分はパスでお願いします」
即座にジョシュアが手を挙げた。
「おう、じゃあもう一人なんだが」
その言葉を最後に部屋の中が異様な空気になる。
アトゥムとシグに冷たい視線が突き刺さる。もちろんレイラとエリーからのだ。
「自分残りますよ」
アトゥムが口を開いた。女性二人の顔が自然と明るくなる。これで決まった、とハウシャールがまとめに入ろうとした時だった。
「いえ、やっぱり僕が残ります。シラク准尉行ってください」
「えっ、何でですか、自分のことなんて気にしなくていいんですよ」
さっき何か食べたいと言ったことに気を遣わせたと思い込んでいたアトゥムだったがシグに耳打ちされる。
「よくよく考えたんですけど…あの3人についていける自信ないです…」
「なんか分かる気が…分かりました!自分が行きます」
勢いに任せてシグの嘆きに答えるアトゥム。しばらくして彼は気づくであろう、面倒事を押し付けられたことに。
「買い出しに同行するのはトロイア曹長、コーガン伍長、あとは…シラク准尉で間違いないか」
呼ばれた3人の返事を確認し、ハウシャールは少し真面目な表情になる。
「最後になるが1つだけ注意してほしいことがある。買い物を楽しむのはいいのだが、街では誰が何を企んでいるのか分からん。どんなことがあろうとも俺たちが連邦兵であることを明かしてはならん。いいな」
「了解!」
敵基地にシャトルが着陸した光景がアトゥムの脳裏によぎり、ふと全員を見渡す。それぞれが思いを秘めて緊張を深める中、ただ一人レイラ・コーガンのみ素っ気ない表情を浮かべていた。
ミーティングが終わり、気持ちを切り替え休暇の楽しみ方を考えながらブリーフィングルームを出た時だった。
「あっ…そのっ…」
先頭で出てきたシグが思わずたじろぐ。
何事かと思い第1MS小隊の面々が背の高いシグの背後から顔をひょっこり出すと、そこには野戦服を着崩した一見だらしなそうに見える男性が立っていた。
「すまない、待ち伏せしていたわけじゃないんだ」
シグの怯えっぷりに少し焦る男。その行動から警戒心を解いたシグだったが、いきなりのことで言葉を返すことが出来ず間が空いてしまった。
「誰!?」
「タバコくさっ!」
「下品ですわ」
沈黙の末、ハッとした第1MSの面々が素直すぎる感想を男に浴びせた。
「俺も俺だがもうちょい礼儀ってものをな…まあいい、俺はハルグント・コロサス、第1防衛小隊の隊長だ」
ハルグントはそう名乗るとハウシャールの前で手を差し出しす。
「第1MS小隊及び第1強襲小隊隊長ハウシャール・カルムだ。よろしく頼む」
ハルグントの手を強く握るハウシャール。お互いに笑顔で握手を交わすがハルグントの顔が真っ赤になっていた。
「で、その隊長さんがわざわざ待ち伏せまでして何のようですの?」
二人の挨拶に釘を刺すようにエリーが敵対心丸出しでそう言った。
「おっかないお嬢さんだな。まあ、そう思われても仕方ないか…」
ハウシャールに握られてた右手を左手で押さえながら溜め息をつくハルグント。
しかし、先ほどまでのだらけた態度から一変、真面目な表情でハウシャールたちに頭を下げる。
「この間の部下の無礼を許して欲しい」
「無礼?」
心当たりがないのか頭に?を浮かべるハウシャールたち。だが一番根に持っていたであろう彼女は思い出した。
「ああ、なるほど。そういえば同じ小隊でしたわね。別に気にしてませんわよ、あんな負け犬の遠吠えなんて聞くに耐えませんですし」
エリーが嫌みをMAXにして中傷する。それを聞き、何の事だか思い出す面々。
「ナクル軍曹のことか。別に謝ることはないさ、我々だけが何の理由も知らされずにMSのパイロットに選ばれたらああなるのが普通だ」
ハルグントを慰めるというよりはどこか思い更けるハウシャール。
「そう言ってくれて助かるよ。ありがとう」
「貴方見た目よりはまともですわね」
少し気の毒に感じたエリーは心を許したような発言をする。
「お嬢さんもしかして俺の魅力に気づいちゃった感じ」
「タバコを吸う人は遠慮しますわ」
「厳しいねぇ~」
ハルグントのお茶らけた発言を淡々と流すエリー。エリーの敵対心も解けほっとするアトゥムたちであった。
「ここの奴らは気難しい連中ばかりだが根っからの悪人はいない。分かってくれるか?」
最後に、という感じでハルグントの表情がまた真面目になった。
「まあな、上層部には分からないことが沢山見えてきそうだ」
ハウシャールがニッっと笑う。しかしまた、反面の意見もある。
「確かに悪い奴らではないことは分かってます。だからと言ってここに来てしまった以上俺たちを含め戦力外どうぜんの端くれですよ」
ジョシュアは拳を握りうつ向く。
「端くれ…ね…1つだけ否定させてくれ。俺には第1MSだけは何か理由があってここに配属されたと思っている。だからお前は少なくとも戦力外ではない」
「確かに僕たちは優先的にMSの手配されますけど、でもなぜそこまで言い切れるのですか」
シグにはジョシュアのような劣等感はない。興味本意で自分たちが特別扱いされる理由が知りたかったのだ。
「面子かな、じゃあ俺はこの辺で失礼しますよっ。」
「面子か…」
ハウシャールは今にも消えてしまうような声で呟いた。しかしその言葉は非常に重いものだった。
アフリカ基地廊下
「んー」
第1MS小隊の面々と別れたハルグントが冴えない表情で歩いていた。
「アトゥム・シラク曹長、間違いないあんときの少年だ。でも俺の事忘れられてたのはショックだな。彼には借りもあるしMS小隊には期待してるぜ」
そんなことを呟きながら歩いていると目の前に一人の少女を発見した。
「何で子供がこんな所に…しかも軍服着てるし…」
少女は見た感じ迷っているようだった。
「お嬢ちゃん、どうしたこんなところで」
ハルグントは少女の目線まで屈み、子供をあやすように問いかけた。
「何あんた、馬鹿にしてんの」
振り返った少女は白々しい視線を容赦なくハルグントに送りつけた。
「えっ!?俺何か変なこと、って少尉!?」
ふと少女の首元を見るとそこには少尉の階級章が、そう彼女はオペレーターのアリス・コットンである。
「そうよ。私はアリス・コットン少尉、オペレーターよ。貴方ハルグント・コロサス中尉ね。まさか見ず知らずの子供が基地に迷いこんじゃいました、とか思ってないよね?」
「おっ、思ってませんっ!」
アリスの笑みにゾッとするハルグント。なんか今日はついてないと思う彼だがさらなる恐怖が彼を襲う。
「嘘おっしゃい!貴方の小隊とは私も面識ないのよ!」ゴスッ
「ぐふっ!」
アリスの拳がハルグントの腹部を襲う。華奢で小柄な彼女だがハルグントは警戒心ゼロだったためもろに拳が腹にめり込んだ。
「すっ…すいません、嘘つきました…でも、なんで少尉は俺のこと知ってんすか。転属が特殊だから名簿が配られるはずもないですし」
お腹をさするハルグント。しかし彼も漢だ。喋っているうちに腹から手を下ろした。
「ふふっ、覚えたのよチャール隊長が挨拶してる時に。もちろん全員ね」
「あの短時間に!?」
「そうよ。なんなら今ここで言ってあげようか?まあ貴方はチャール隊長に質問してたしすぐに覚えられたけど」
ただただ唖然とするハルグントと何故か勝ち誇るアリス。しかしまだ、重要な問題が残っている。
「てことはその記憶力を買われて幼いながら少尉の座につけたのですね」
ハルグントはまたしても地雷を踏んだ。彼に悪気はない。でもデリカシーのない彼も彼だ。
このあと股間に強烈な蹴りをもらい医務室利用者記念すべき第一号となる。
モビルスーツ解説
先行量産型陸戦型ジム(アトゥム機)
武装
・ビームサーベル
・100mmマシンガン
先行量産型の最先行だけあって武装が非常に少ない。だが他の連邦の装備にほとんど対応しているためそこまで不自由はしないだろう。また、性能も他の陸戦型ジムより少し劣るためパイロットの技量が必要になるだろう。
宇宙用ジム
武装
・ビームサーベル
・100mmマシンガン×2
・グレネード×4
宇宙用に開発されたジム。地上での運用は困難だと言われていたが宇宙戦を想定されて開発されただけで地上用のチューンが施されている。だが、やはり宇宙戦を想定していたこともあって地上では少し運用しにくい。そのため多くの射撃武装に対応している。