在りし日々の記憶   作:アリアンキング

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今回はにこと真姫の物語です。

青空をテーマに書き上げました。



青い空は心の中にも広がっている

ある晴れた日の放課後 アイドル研究部の部屋に9人の少女が集まっていた。その部屋は部長の矢澤にこが1人で使用していたが、現在ではμ'sの活動場所として使われている。そして、ラブライブの最終予選について話し合おうとした時に海未が申し訳ない表情を浮かべて言葉を紡いだ

 

「すみません!今日のレッスンは休みにしてください」

 

「はぁ!?何を言ってるのよ。一次予選を突破したからって、気を抜くのは禁物よ。最終予選がもっと厳しい事は海未も知ってるでしょ。」

 

アイドルに人並みならぬ情熱を持っているにこが海未に対して、厳しい言葉を投げつける。

 

「そういうわけではないんですが、今日中に終わらせないといけない生徒会の用事がありまして」

そう言葉を返しながら、海未は隣で机に頭をつけて項垂れている穂乃果に目を向けていた 

にこは呆れた表情を浮かべて穂乃果を見つめると「頼りない生徒会長もいたものね。」と吐き捨てる

その言葉を聞いた穂乃果は小さい声で「大変申し訳ございません!」と謝るだけで精一杯だった。

見かねた絵里が穂乃果を庇う為に口を開くと、穏やかな口調でにこに言葉をかけた

 

「少し落ち着いて、にこの言いたい事も解るわ だけど、生徒会の用事も疎かにするわけにもいかないでしょう?」

絵里に続いて、希も口を開く。

 

「それにUTX学院でのライブや一次予選の結果発表で皆も神経がピリピリしとったしなぁ。休息も必要だと思うんよ。」

 

「それもそうね!それじゃあ、今日はこのまま解散にしましょう。」

 

二人の言葉に思うところもあったのか、にこは素直に引き下がった。

 

「それなら、皆でカラオケに行こうよ!」

 

項垂れていた穂乃果が満面の笑顔で提案する。だが、それを聞いた海未の顔が怒りに染まり、容赦ない叱責が飛ぶ

 

「駄目です!!穂乃果には生徒会の仕事があるでしょう。それと遊ぶ為に今日のレッスンを休むわけではないんですよ。」

 

「む~ 海未ちゃんの鬼」

 

「何を言うんですか!第一、あなたが真面目にやっていれば、どれも3日前には終わってるものばかりなんですよ。本来なら今日のレッスンだって、休み必要なんてなかったんです。あなたはμ'sのリーダーであると同時に生徒会長なんですよ。もっと、自覚を持って行動してください。」

 

穂乃果の言葉に火がついた海未の説教が始まった。

 

「もう 言われなくても解ってるよぉ 海未ちゃんの意地悪」

 

「意地悪ではありません!解ってるなら、何で仕事が溜まるんですか。大体、あなたは昔から」

 

周りを忘れて、完全に火がついた二人は言い争っている。

二人の傍ではその様子を笑顔で見つめることりの姿があった。どうやら、いつもの事らしく止める気が全くないようだ 周りのメンバーも傍観の姿勢を貫き、二人の争いを見つめている。にこは眉間に皺を寄せて、大きな声で「とにかく 今日は解散して各自しっかり休息を取る事」と部屋中に聞こえるように言い放った。

その言葉を聞いた穂乃果と海未も口論を止めて、にこを見た。にこも二人を見つめ返すと続けて、言葉を紡いだ

 

「穂乃果達も生徒会の用事が終わったら、すぐに帰ってちゃんと身体を休めなさいよ。」

 

真剣な表情で言うにこに穂乃果達も真剣な表情で頷くと、3人揃って部屋をあとにした

 

「それじゃあ、私も帰るわね。」

 

そう言って、部屋を出ようとする絵里に希が話しかけた。

 

「どうせ、穂乃果ちゃんの所に顔を出すんやろ?うちも一緒にいくで」

 

希の言葉に絵里は悪戯がばれた子供の様な表情を浮かべる

 

「何で解ったの?」

 

「エリチの事は何でもお見通しや カードもそう告げとる」

 

「希に隠し事は出来ないわね。」

 

観念したように絵里は言葉をもらした。

 

「それじゃあ、一緒に行きましょう。穂乃果と海未がまた言い争ってるかもしれないし、ことりは止めないで見てるだろうから心配だわ」

 

「そうやな~ことりちゃんは笑顔で見てるだけやろうね」

 

二人はその場面を想像しながら、苦笑いを浮かべる。そんな二人に向かって、にこはぶっきらぼうに言葉をかける。

 

「穂乃果達にも言ったけど、あんた達も生徒会の仕事が終わったら、すぐ帰りなさいよ。」

 

「分かったわ! それじゃあ、また明日ね」

 

「ほな~」

 

そうして、二人は穂乃果達の助太刀をする為、生徒会室へ向かっていった。

 

「かよちーん 真姫ちゃん 凛達も今日は帰ろうにゃ」

 

「帰りにCDショップに寄ってもいい?どうしても欲しいCDがあるから」

 

「いいわよ。今日はレッスンがないから暇だし」

 

「凛も付き合うにゃ」

 

部屋に残ってる1年生3人組も帰り支度をしながら、今日の予定について話をしている。

にこはそんな三人を静かに見つめていると、その視線に気づいた真姫が話しかけてきた。

 

「どうしたの?心配しなくても遅くならないうちに帰るわよ。にこちゃんはこの後はどうするの?」

 

「それならいいけど それに私はここでやる事があるから、それを済ませたら帰るつもりよ」

 

「分かった。それじゃあ、私たちはもう行くわね」

 

「それじゃあ、明日またね」

 

「にこちゃん バイバイにゃ」

 

部室に残るにこに挨拶をして、三人も退室していく。

 

「そういえば、花陽が買いたいCDは誰の曲なの?」

 

廊下を歩きながら、真姫は花陽に尋ねる。

 

「A-RISEの限定版のCDだよ!以前、UTXで披露したあの新曲も収録されてるんだ。」

 

「ふーん だけど、限定版だとしたらもう売り切れてるんじゃないの?」

 

A-RISEは全国でも有名なスクールアイドルである。その人気ゆえ、A-RISE関連のグッズは発売してもすぐに売り切れてしまう

 

「大丈夫だよ。発売が決定した日に予約してるから!それにしても、にこちゃんも一緒に来なかったのが不思議だなぁ。にこちゃんも知ってるはずなのに」

 

「そういえば、今日のにこちゃんはいつものにこちゃんらしくなかったにゃ」

 

花陽と凛の言葉を聞いた真姫の脳裏に自分達を見つめていたにこの姿が浮かんだ。

 

「真姫ちゃん どうしたの? ぼーっとしてるけど、具合でも悪いの?」

 

「別に何ともないわよ。ただ、自分はどのCDを買おうか悩んでただけよ。」

 

心配した様子で話しかけてきた花陽に真姫は慌てて言葉を返した。

 

「真姫ちゃんはどんなCDを買うの?気になるにゃ」

 

凛が興味津々な様子で聞いてくる。

 

「私はクラシックを買うつもりよ。クラシックをピアノで弾くのが楽しいのよ。暇があれば、学校でもピアノを弾くから、クラシックのCDを持って来てるからね。」

 

それを見せる為、鞄を開くと真姫はある事に気が付いた。

 

「いけない 部室に楽譜ノートを忘れてきたわ。」

 

「真姫ちゃん ドジっ子だにゃ」

 

「うるさいわね。私はちょっと、ノートを取って来るから、二人は先に行っててちょうだい。」

 

そう言い残すと、真姫は来た道を戻って、部室へと引き返した。

 

部室へ向かいながら、真姫はにこが部室に残ってることを祈っていた。部室の戸締りは部長であるにこがやっている為、にこが用事を済ませて帰っていたら、職員室まで足を運んで鍵を借りる必要があるからだ。そんな事を考えているうちに部室に到着した真姫はドアに手を回すと、ドアは静かに開いた。

 

にこが残ってることにほっとしながら、真姫が部屋に入ると、にこは棚の前に立っていた。その手には数枚の封筒を持っていて、それを何処か寂しそうな顔で見つめている。いつもと違う様子のにこの姿を見て、真姫は戸惑いながら言葉を発した。

 

「にこちゃん 何を見てるの?それにその封筒は何?」

 

本来ならば、踏み込んで聞くことではないが、真姫は感情を抑えきれなかった。何故ならば、今のにこは留学する事を話せなかったことりと雰囲気が似ていたのだ。

 

その言葉を聞いて、真姫の存在に気づいたにこがびっくりした表情を浮かべ、手に持っていた封筒を後ろに隠して、真姫の方を向く。

 

「何よ!びっくりしたじゃない。というより、花陽達と一緒に帰ったんじゃなかったの?」

 

「楽譜ノートを部室に忘れたから取りに戻って来たのよ。それより、後ろに隠した封筒は何?」

 

驚かせた真姫に文句を言い、話を逸らそうとするにこを真姫は追及した。さすがに誤魔化せないと、悟ったにこは後ろに隠していた封筒を真姫に見せた。その封筒には退部届けの文字が大きく書かれている

 

「退部届け!?まさか、にこちゃん・・」

 

真姫は驚いた表情でにこを見つめる。明らかに勘違いをしている真姫に向かって、にこは口を開く

 

「違うわよ!私のじゃなくて、前の部員のものよ。」

 

まだ1年生だったにこが設立したアイドル研究部には、数人の部員がいた。だが、にこの厳しい練習について行けなくなり、にこと部員達の間に溝が出来てしまう。数日後、部員達は手にした退部届けをにこへ突き付けると去っていった。それは理想を求めるにこが部員達の気持ちに気づいていなかった為に起きた悲しい出来事だった。

 

「そう。だけど、その退部届けは2年前のものでしょ?何故、今も持っているの?」

 

真姫の疑問は当然の事だった。本来ならとうの昔に処理されて、存在しないものだからだ。にこは真姫の疑問に答える為に重い口を開いた。

 

「その日の放課後に退部届けを持って生徒会室に行ったの。そこで絵里達に言われたのよ。もしかしたら、戻って来るかもしれないから保管しておくようにってね。」

 

普通に考えれば、部員が戻って来るなどありえない。だけど、同情や気休めではなく、にこの事を心から心配してる二人の提案を突っぱねる事が出来なかった。そういった経緯があって、部室の棚に保管されていたのだった。

 

「そんな事があったのね。それじゃあ、にこちゃんが今日やる事っていうのは」

 

「そう。この退部届けの処分の事よ。」

 

にこは手にしている退部届けの封筒を細かく破ると、窓を開けて青空に向けて放った。それを待っていたかのように風が吹き、バラバラになった紙は空高く舞い上がって遠くに運ばれていく。

 

それを見届けたにこの心は青空のよう晴れやかな気分だった。

そして、真姫に振り返り、笑顔を浮かべてにこは言った。

 

「さあ、やる事は終わったし、私たちも帰りましょ。今日はA-RISEの限定版のCDを買わなきゃいけないし」

 

「やっと、元のにこちゃんらしくなったわね。それじゃあ、行きましょうか。」

 

そう言って、机に置いてある楽譜ノートを鞄にしまう真姫へにこは小さな声で呟いた。

 

「ありがとう μ'sに出会えてよかった。」

 

「何か言った?」

 

「何でもないわよ。それより、早く行くわよ。ほらほら」

 

そんなやり取りして、二人は部屋を出て行った。

これは青空が綺麗な在りし日々に起きた放課後の出来事

 

 

 

 




設定としては、アニメ2期をベースに書いています。時間軸としては、前回が1話の後

今回は3話の後に起きた話という事にしています。
読んだ人が青空のようにスッキリした気分になったら、嬉しいなぁ

7/19 少し、修正しました。

サブタイトルを変更しました。
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