在りし日々の記憶   作:アリアンキング

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今回は9人全員の回想回となっています。

ラブライブ! アニメ2期 11話のあるシーンから始まります。

それぞれの思い出に浸る少女達をご覧あれ!


それぞれの想いを海は受け止める

真冬のある日 9人の少女達は夕日が沈みゆく海を静かに見つめている。

μ'sのリーダーである高坂穂乃果は決意の表情を浮べると、静かな声である言葉を呟いた。

 

「今回の大会が終わったら、μ'sはお終いにします。」

 

μ'sの解散を告げた穂乃果とその宣言を聞いたメンバーの脳裏では、今までの出来事を思い出す。

 

高坂穂乃果はμ'sが三人だった頃を思い返していた。

 

自分達の原点である あの頃を

 

「よーい スタート」

 

階段の上にいる海未ちゃんの声を聞いて、私は全速力で階段を登った。

 

数十秒後 全速力で階段を駆け上がった私が海未ちゃんの横を通りすぎると、海未ちゃんは手に持っているストップウォッチのボタンを押すと表示されたタイムを見て、息を整えている私にその結果を教えてくれた。

 

「穂乃果のタイムは少し早くなりましたね。それに体力もついて来たのか、余裕が出てきました。」

 

「本当?そっか、練習の効果が出てるんだね。よーし 燃えてきたよ~ もう一回やってみよう。」

 

「穂乃果ちゃんはすごいね。私も頑張って、二人の足を引っ張らないようにしないと・・・」

 

「そんな事はないよ。ことりちゃんだって、練習の成果は出てるよ。だから、もっと自信を持とうよ。」

 

自分を叱咤することりちゃんに私は詰め寄って、私の気持ちを素直に言ったんだよね。

私とことりちゃんの様子を見ていた海未ちゃんも自分の気持ちを言ってたなぁ。

 

「私も穂乃果の言う通りだと思いますよ。ことりはもっと、自分に自信を持つべきです。それと穂乃果は少し落ち着きなさい。やる気があるのは結構ですが、無理をして怪我をしたら元も子もないでしょう。」

 

海未ちゃんは自信が無さそうにしていたことりちゃんを優しく励ますと、今度は私に真剣な表情で言葉をかけてくれた事を覚えているよ。

 

その言葉を聞いた私は素直に頷いて、心配させた海未ちゃんに謝ったんだよね。

 

「海未ちゃんの言う通りだね。確かに怪我したら、意味がないもんね。心配をかけてごめんね。」

 

「い、いえ 私も少しきつく言い過ぎました。私の方こそって、穂乃果!?」

 

「穂乃果ちゃん!?ど、どうしたの?」

私は海未ちゃんの言葉を遮るように手を握って、次にことりちゃんの手を握ると、珍しく真剣な顔で私はある言葉を言った。

 

「今度のファーストライブ・・・頑張ろうね。そして、音ノ木坂の廃校を阻止しよう。」

 

「穂乃果・・・はい 頑張りましょう。」

 

「穂乃果ちゃん・・・うん 絶対に学校を救おうね。」

 

「それと、最後までやり遂げよう。何があっても、絶対に」

 

希望に燃えていた私達は、自分たちの想いを声に出して誓った。

 

初めてのライブでは、見に来てくれる人が誰もいなくて、すごいショックを受けたなぁ。

「そうだよね。現実はそんなに甘くない。」

 

「穂乃果」

 

「穂乃果ちゃん」

 

一生懸命、練習しても見てくれる人がいなければ意味がない。

そんな私達に救いの手が差し伸べられた。

 

「あれ?ライブは?もう、終わっちゃったの?」

 

「やろう!海未ちゃん、ことりちゃん 一人でも見に来てくれる人がいる限り、そして、私たちのライブを楽しんで欲しい。」

あの時、花陽ちゃんが来てくれたから、私達はライブをやる事が出来たんだ。

そうでなければ、私達は挫けて潰れていたと思う。

 

あの日から、もう数ヶ月が経つんだね。ほんの数ヶ月しか、経ってないのにすごく遠い日の出来事みたい。

そして、私たちがμ'sでいられる時間に終わりがやって来た。だけど、悔いなんて残したくない。

 

その為に、私は・・・

 

「最後までやり遂げる」

 

穂乃果は心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

 

園田海未は自分が穂乃果と仲違いをしていた時の事を思い返していた。

 

「私、スクールアイドルを辞めます。」

 

あの日、穂乃果がスクールアイドルを辞めると宣言した日から、μ'sとアイドル研究部の活動は一時的に停止したんでしたね。

 

皆がバラバラになって、顔を合わせる事がなくなり、私は寂しい気持ちでいたのを覚えています。

 

本来の部活である弓道部の練習が終わって、夕方の街を歩いていると見知った姿が私の目に映りました。

 

「あれは・・・ 穂乃果?それにヒデコ達も・・・ 一体、何をしてるんでしょう?」

 

目の前で笑いながら、ヒデコ達と話している穂乃果に私は苛立ちを覚えましたね。

 

「私の気も知らないで・・・」

そして、ゲームセンターに入っていく4人を見て、私も店内に足を踏み入れたんでしたね。

 

「こんな所に来るなんて、穂乃果は何を考えてるんでしょう?」

 

そんな言葉をぼやきながら、私は穂乃果達の姿を探しているとダンスゲームの傍にいる4人の姿を見つけたんです。

 

私は物陰に隠れて覗くと、私の視線の先ではダンスを踊っている穂乃果が満面の笑顔を浮かべていました。

その姿を見て私は確信したんです。やはり、穂乃果は自分の気持ちに嘘を吐いている。

 

「そして、私も自分の気持ちに嘘を吐いている。」

 

廃校を阻止するという目的は達成した。

だが、ラブライブ出場の辞退やことりの留学の件で、μ'sがバラバラになってしまった事を私は穂乃果の所為にして、目を逸らしている。

辛いのは自分だけだと、そう思いながら穂乃果の気持ちを見ていなかった。

 

「私の気持ちを穂乃果に伝えなくては・・・ 私も嘘を吐かずに」

 

嘘偽りない自分の気持ちを伝えよう。

 

翌日 講堂にいた穂乃果に私は自分の気持ちを伝える事にしたんです。

 

「穂乃果には迷惑を掛けられっ放しですよ。それは今に始まった事ではありません。ですが、穂乃果は連れていってくれるんです。私達が知らない世界へ」

 

「海未ちゃん・・・」

 

「さぁ、行ってあげて下さい。ことりが貴女を待っています。そして、連れ戻して来てください。私は貴女ならそれが出来ると、信じています。」

 

そうして、私は穂乃果の背中を押したんでしたね。今思えば、少し強引だったかもしれません。

 

その後、穂乃果のおかげでバラバラになっていた9人は揃う事が出来たんでしたね。

 

初めのうちは、恥ずかしい思いや緊張だけをしていました。

だけど、時間が経つにつれて心から楽しんでいる自分がいた。

 

今なら胸を張って言えるだろう。

 

もう、私は・・・

 

「自分の気持ちに嘘は吐かない」

 

海未は心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

南ことりは自分が留学する時とその切欠となった出来事を思い返していた。

 

講堂で新入生歓迎ライブをやる事になり、私は自室に籠もって、ひたすら衣装の作成に夢中になっていた。元より、裁縫が好きな私は時間を忘れて作業に没頭する癖があったからね。

 

そんな時、部屋のドアをノックする音が聞こえて、自分の世界に浸ってた私は慌てて返事をしたんだよね。

 

「入っていいよ。」

 

その言葉を聞いたお母さんが部屋に入ると、私を厳しい口調で叱ってきたんだ。

 

「まだ起きていたの?もう、0時を過ぎてるわよ。明日も学校なんだから、早く寝なさい。」

 

作業に没頭していた私は、時計の針が深夜0時を回っていることに気づいていなかった。

 

「ごめんなさい。だけど、完成まであと少しだから・・・」

 

小さい声で反論する私に、お母さんは溜息を吐くと諦めた表情で私にこう言った。

 

「貴女は小さい頃から、自分が決めた事を譲らないものね。分かったわ。ただし、遅くても0時半には寝なさいね。それ以上は私も譲らないわよ。」

「うん ありがとう。お母さん。」

その時は、私の意思を組んでくれて、お母さんは条件をつけて引き下がってくれたんだよね。

 

そして、お母さんは穏やかな表情で私が作ってる衣装に目を向けると、優しい言葉で聞いてきたんだ。

 

「その衣装は、今度の新入生歓迎式のライブで着るものかしら?」

 

「そうだよ。赤が穂乃果ちゃんで青が海未ちゃん そして、今作ってるのが私の衣装なんだ。」

 

「どれも可愛い衣装ね。私は仕事があるからライブは見れないけど、頑張ってね。」

 

そう言うと、お母さんは部屋を出ていった。

 

結局、新入生歓迎ライブは失敗という形で終わってしまったけど、私たちはめげずにスクールアイドルを続けた。

 

「まだ、続けるの?無駄かもしれないのに」

 

「それは、私がやりたいからです。」

 

厳しい言葉をかける絵里ちゃんに穂乃果ちゃんが返した言葉を聞いて、私は服飾をもっと学びたいと感じるようになった。

 

私のやりたい事が決まった瞬間だった。

 

そんな私の想いを知ってか、お母さんの口添えで有名なデザイナーの下への留学の話が来た時は嬉しかった反面、皆と別れてしまう事を意味していた。

悩んだ私は穂乃果ちゃんに相談しようとしたけど、文化祭のライブに向けて頑張っている穂乃果ちゃんを見たら、この話を言う事がどうしても出来なかった。

 

そんな私の弱さがあの出来事を引き起してしまったんだよね。

皆には嫌な思いをさせちゃったなぁ。

 

廃校を阻止に成功したお祝いの場で、私が留学する事を私に変わって海未ちゃんが皆に言ったんだ。

その事を黙っていた私に、穂乃果ちゃんは怒って詰め寄って来たんだよね。

 

思えば、穂乃果ちゃんと喧嘩したのは、あれが初めてだったなぁ。

 

「どうして、言ってくれなかったの?そんな大事な事を何で黙ってたの?」

 

「私だって、言おうとしたよ。穂乃果ちゃんには一番に聞いて欲しかったよ。」

 

あの時は、私も余裕が無くて穂乃果ちゃんを責めてしまった事を後悔したなぁ。

 

その日を境に私は皆から避けるように学校を休み、留学の準備を着々と進めていた。

 

留学する当日 私は皆に別れを言えず、日本を離れようとした時に穂乃果ちゃんは来てくれたね。

そして、行かないでと私の手を掴んでくれた時、私の中で答えは決まっていた。

 

自分の夢は少し遠くなってしまったけど、私のこの気持ちだけは絶対に譲れない。

ずっと、一緒にいるのは無理だと、私も解っている。だけど、今だけはそれが出来るから

 

だからこそ、私は・・・

 

「皆と一緒に過ごしたい」

 

ことりは心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

 

小泉花陽はμ'sのメンバーになった出来事を思い返していた。

 

あの日 私は凛ちゃんと真姫ちゃんの二人に背中を押されて、自分の気持ちを穂乃果ちゃん達に伝えた。

 

「私をμ'sのメンバーにしてください。」

 

その言葉を告げた私を穂乃果ちゃんが優しく迎えてくれた時の事は、今でも昨日の様に思い出せる。

 

そういえば、私と凛ちゃんが真姫ちゃんと一緒に帰るようになったのはこの時からだった。

三人で帰宅中にこんな会話をした事もあったなぁ。

 

「μ'sのメンバーになれてよかったね。かよちんのアイドル姿を見るのは楽しみにゃ」

 

「ありがとう。というより、凛ちゃんもメンバーの一員なんだけどね。」

 

「そうよ。明日の朝6時から練習なんだから、寝坊して遅刻するんじゃないわよ。」

 

「西木野さんは厳しいにゃ~ そんなツンツンしてたら、ファンがつかないよ。」

 

「そういう貴女こそ、いい加減にやってると、失敗して恥を掻くわよ。」

 

「余計なお世話だにゃ~」

 

「それはこっちの台詞よ。」

 

「二人共~ 喧嘩したら、駄目だよ。 明日から一緒に練習するんだから仲良くしようよ。」

喧嘩するほど、仲が良いと聞くけど、二人の喧嘩を止める私の身にもなって欲しいと思ってたなぁ。

 

別れ際、真姫ちゃんが私に眼鏡を止めた方がいいと言われた事が切欠となって、私はコンタクトレンズを使うようになったんだよね。

 

「今日からコンタクトレンズにしてみたんだ。どうかな?」

 

その時の私を見た、二人の驚いた顔は面白かったなぁ。

そして、可愛いと言ってくれた事も嬉しかった。

 

その後、私と凛ちゃんは真姫ちゃんを名前で呼ぶようになって、私たちは本当の意味で友達になれた気がした。

 

凛ちゃんに名前を呼ばれた時の真姫ちゃんはとても可愛いかった。

 

本人に言ったら、「もう、二人して私をからかわないで」と怒るだろうか?

 

それとも、頬を少し染めて「あ、ありがとう」と言うのかな?

 

そんな事を考えている自分が少し可笑しかった。

 

μ'sに入ってからは私は自分の気持ちに素直になった。

それ以降、周りからは花陽ちゃんは変わった、強くなったねとかよく言われる。

だけど、私は変わってもないし、強くなってもいない。

 

そう、自分の気持ちに素直になっただけ。

 

だから、私は・・・

 

「自分の気持ちに素直でいたい」

 

花陽は心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

 

星空凛は自分がスカート姿で練習に参加した時の事を思い返していた。

 

その時、皆が言ってくれた言葉を私は今でも覚えている。

 

「あれ?凛ちゃん・・・ 今日は可愛い服を着てるね。」

 

「ああ、これ?偶には凜も女の子らしくと思って、着てみたんだにゃ~ 似合う?」

 

「うん 似合ってるよ。凛ちゃんのスカート姿は見た事ないから新鮮だよ~」

 

「そうですね。今日の凜は女の私から見て、魅力的ですよ。」

 

「そうだよ。今日の凛ちゃんはすごく可愛いよ。」

 

「そうね。確かによく似合ってるわよ。」

 

「アイドルなんだから、スカートも穿かないとね。可愛いんだから、もっと自信を持ちなさい。」

 

「スカートを穿いてる凛ちゃん とってもかわいいやん。」

 

「ハラショー 貴女の可愛い姿が見れて、良かったわ。」

 

「もう 恥ずかしいからこれ以上はやめてほしいにゃあああああ」

 

あの時は、すごく恥ずかしい思いをしたよ。だけど、嬉しかった気持ちの方が強かったのは凛だけの秘密。

皆の言葉は、凜に勇気をくれたにゃ。

 

 

凛がスカートを穿くようになれたのは、私を可愛いと言ってくれたかよちんのおかげにゃ。

 

「あの日、私の背中を押してくれた凛ちゃんには、感謝してるんだ。だから、今度は私が凛ちゃんの背中を押す番だよ。ドレスを着た凛ちゃん、とっても可愛いよ。」

あの言葉が無ければ、私に女の子らしい服は似合わないと殻に閉じこもっていたと思う。

 

 

あの日のかよちんの厳しくも温かい言葉も私が殻を破る手助けをしてくれた。

 

「私は凛ちゃんにもっと、可愛い服を着てほしいよ。一緒の服を着て、遊んだりもしたい。本当にそう思ってるんだよ。」

 

あの言葉で、私は本当の意味で自分の殻を破る事が出来たんだ。

自分がかよちんを助けていると思っていたけど、助けられてるのは凜の方だった。

 

 

その日の午後 練習が終わって、部室で凜のプチファッションショーをやる事になったんだよね。

 

「ええ~ まだ、やるの?凛はもう疲れたにゃ。」

 

「駄目だよ。まだ、凛ちゃんに着て欲しい衣装が沢山あるんだから。」

 

何度も凜を着せ替え人形にすることりちゃんには、困ったもんだにゃ。

 

だけど、真剣になって衣装を作ってくれることりちゃんが凛は大好きにゃ。

 

そして、楽しい時間はあと少しで終わってしまう。

それは仕方のない事だと思っている。だからこそ、今を思う存分に楽しもう。

あの日の事はもう恐れない。

 

これから、私は・・・

 

「ありのままの自分でいる」

 

凛は心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

 

西木野真姫はμ'sの曲を作曲した時の事を思い返していた。

 

あの日の放課後 穂乃果に渡された一枚の紙から止まっていた私の時間が動きだした。

 

「これを読んでみてよ。もし、これを見ても駄目だったら、その時は諦める。」

 

その時は曲を作るつもりはなかった。読んで駄目だったと言えば、本人も諦めるだろうという気持ちでいたのよね。

だけど、その考えはすぐに変わることになった。

 

自室で渡された紙を開くとある単語が私の目に映り、それを口に出して呟いた。

 

「START DASH・・・ 全力で走り抜けるかぁ。あの人達は本気でスクールアイドルとして、廃校を阻止する気なんだ。」

 

この歌に込められた想いを感じて、私は作曲を始めた。

私の曲でこの歌がどうなるのかを見てみたいと、私はそう思ったから。

作曲をしていたその時は、すごく楽しかった気持ちがあった事を覚えている。

 

それでも私は、まだ迷っていた。

親の稼業である医者を継ぐためには音楽を終わりにしないといけない思う反面、音楽をやめたくないという気持ちが徐々に強くなっていった。

そして、頼まれてた曲が完成して、私はそれをCDに録音すると誰にも会わない様に穂乃果の家に届けたのよね。

 

これで私の音楽は終わり、この時はそう思っていた。

 

それから数日後 新入生歓迎会が終わり、家路に着こうとした時に2年生の先輩たちが新入生歓迎ライブのチラシを配っている姿が目に留まった。

 

「そういえば、ライブは今日だったわね。」

私には関係ない、それに私の音楽はもう終わっている。そんな考えが浮かんだが、気が付くと、私の足は講堂へ向かって進んでいた。

 

講堂に着いて、中を覗いて見ると講堂内には数人しかおらず、がらんとしていた。

それでも、私の作った曲で楽しく歌い踊る三人を見て、私は思った。

 

「ああ 私の音楽はまだ終わっていない。これからも私の音楽を皆に聞いて欲しい。」

 

観客が少ないライブでも、私の曲は誰かを楽しませる事が出来る。

 

そんな気持ちが自分の心の中に生まれて、私の迷いは無くなった。あの時、穂乃果に出会っていなかったら、今の私はいないだろう。私の迷いを晴らしてくれた太陽の様な少女に心から感謝をしている。

 

そして、私は・・・

 

「私は音楽で誰かを楽しませたい」

 

真姫は心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

 

矢澤にこは穂乃果達が部員になった時の事を思い返していた。

 

あの日 確か、私は新しい仲間と屋上でアイドルの個性を身に着ける為の練習をやったのよ。

戸惑いながらも最後まで付き合ってくれた事に嬉しくて、泣きそうになったわね。

今となっては、いい思い出だわ。

 

「ほら もう一度やるわよ。にっこにっこにー」

 

「「「「「「にっこにっこにー」」」」」」

あの時の真姫と海未の表情を見た時は、笑いを堪えるのに必死だったのを覚えているわ。

 

 

そういえば、練習が終わった後にこんな会話した事もあったわね。

 

「よし、今日はここまでよ。各自、練習を怠るんじゃないわよ。」

 

「はい 部長。でも、アイドルはやっぱり大変だね。もっと、頑張らないとね。」

 

「しかし、個性を出す為とはいえ、これをやるのは恥ずかしいですね。」

 

「そうかな?私は楽しいよ~ ポーズも可愛いからことりは好きだよ。」

 

「そう?これがアイドルに必要というのが、私には解らないんだけど。」

 

「そんな事はありません。型に囚われない個性もアイドルには必要不可欠なんだよ。真姫ちゃんは解ってないよ。」

 

「ヴェエエ ちょっと、落ち着きなさいよ。私が悪かったわ。」

 

「凛はこっちのかよちんも好きだにゃ~」

 

「騒ぐのはいいけど、明日も練習があるんだから、しっかりと休息を取りなさいよね。」

 

「まさか、明日もこの練習をやるのですか?」

 

「そんなわけないでしょ。明日は歌とダンスの練習をみっちりとやるわよ。覚悟しておきなさい。」

 

「「「「「「はい」」」」」」

厳しく言う私に嫌な顔を浮かべずに、ついて来てくれた皆には感謝してもしきれないわね。

 

2年前のあの日、私の元を去っていく部員達に心の底から行かないでと言えていたら、あの子達は残ってくれたのかもしれない。だけど、そうしたら、私は皆と会うことは無かったんだろうなぁ。

あの時の事は悲しいけど、辛い過去があったから、私は素敵な仲間とアイドルをやる事が出来たのよね。

皆と過ごした時間は私の大切な宝物だわ。

 

思えば、人が少なくても楽しく踊るあの三人に私は魅了されていたのね。

それなのに私は意地を張って、嫌がらせをした私を迎えてくれた穂乃果達に言わないといけない事がある。

恥ずかしくて声に出しては言えないけど、心の中でなら言える。

 

私は・・・

 

「皆に出会えて、本当に良かった」

 

にこは心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

 

東條希は皆と合宿に来た日の事を思い返していた。

 

あの時は確か、練習の為だけでなく、エリチが皆の蟠りを解消する為に海へ来たんやったなぁ。

 

それで先輩禁止と敬語はなしという決め事をエリチが電話で提案したんよね。

 

「先輩禁止?」

 

「そうよ。皆との距離を埋めないと、ライブの時も先輩後輩を意識して自然体になれないもの。」

 

「そうやね。それに面白い事になりそうやしな。」

 

「もう、面白半分で言ってるんじゃないのよ。皆をからかうのも程々にね。」

 

「解ってるよ。やり過ぎたら、うちが嫌われてまうからなぁ。」

 

当日、先輩禁止を言い渡された皆はいい顔しとったなぁ。

 

 

それでも真姫ちゃんだけは、素直になれず手を焼いたっけなぁ。

 

「どうして、私に構うの?」

 

「ほっとけないんよ。真姫ちゃんみたいに不器用な子を見るとね。」

 

あの時の真姫ちゃんは、廃校を阻止しようと余裕が無いエリチと重なって見えたからなぁ。

どうしても、放っておけなかった。

だから、少し強引に色々と手を尽くしたんよね。

 

そんで枕投げをした時、寝起きが悪い海未ちゃんを真姫ちゃんとうちの二人で止めたんやったな。

 

「どういうつもりよ。希」

 

「自然に名前を呼べるようになったやん。真姫ちゃんは面倒やね。」

 

「そんな事、頼んでなんかいないわよ。」

その後、真姫ちゃんにうちの名前を読んでもらった時はすごく嬉しかった。

照れ隠しでうちに投げられた枕は、すごく痛かったけどね。

 

友達や仲間と一緒に過ごす事が少ないうちには、あの合宿が何よりも楽しくて、そして嬉しかった。境内でダンスの練習をしてる穂乃果ちゃん達に会ってなかったら、うちの望みと願いは叶うことは無かったと思う。だからこそ、μ'sという名前をつけたのかもしれへんな。

 

うち・・いや、私がμ'sのメンバーになれたのも、私の願いが叶ったのも穂乃果ちゃん達のおかげやね。

そして、私が欲しかったものを沢山くれたね。

いくら感謝しても足りないよ。

 

私は忘れない・・・

 

「私の願いを叶えてくれてありがとう。皆との思い出を大事にするね。」

 

希は心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

 

絢瀬絵里はオープンキャンパスに向けて練習していた時の事を思い返していた。

 

私が穂乃果達に誘われてμ'sになってから、皆でやった練習はとても充実していたわね。

 

「今日は此処までにしましょう。皆、お疲れ様。」

 

「うう~ 今日も転んちゃったな。これじゃあ、皆の足を引張っちゃうよ。」

 

「そんな事はないわよ。小泉さんはバランスをしっかり取れてたし、もう少し体の力を抜けば転ぶ事もなくなるわ。」

 

「本当ですか?ありがとうございます。」

 

私は自信を無くしていた花陽にそう言ったのよね。

私のアドバイスに照れながらお礼を言う花陽はとても可愛かったわね。

それに花陽は飲み込みが早いから、数日後には転ばずに出来るようになっていたのよね。

 

私の助言を求めた人は、もう一人いたのよね

「凛は柔軟が上手く出来ないんです。絵里先輩、凛にもアドバイスして欲しいにゃ」

 

「そうね。星空さんの場合も体に力が入りすぎてるのよ。息を大きく吸って、吸った息を吐きながらやるといいわ。」

 

「息を吸って、吐きながらですね。絵里先輩 ありがとうございます。」

「いいのよ。困ってる時は助け合うのが、仲間だからね。」

 

私はそう言ったけど、凛からアドバイスを求められた時は驚いたわ。

あの子は好き嫌いがはっきりしてるし、自分から話しかけてくるとは、思っていなかったから。

それで、練習中に暗い事を考えたこともあったわね。

 

「どうしたん?ぼーっとして、エリチらしくないで。」

 

「少し、解らないのよ。冷たい態度を取ったり、酷い事を言ったのに何で皆は私を嫌ったりしないんだろうってね。」

 

「そんな事を考えてたん?確かにエリチはμ'sに対して、酷い事をしたのかもしれないけど、あの子達はそんな事を気にするような子達やないで。あの日、エリチを誘いに来た皆の顔を見たら、解るやろ?」

 

「そうだったわね。私がこんな事じゃあ、誘ってくれた皆に申し訳ないわね。」

 

廃校を阻止しようとする想いは同じなのに私は意地を張って、μ'sの活動を認めようとしなかった。

 

私は生徒会長である自分が音ノ木坂を救うという義務感に囚われて、自分がやりたい事という大事な部分を見落としていた。

それを親友である希が教えてくれたのよね。

勿論、その事を教えてくれたのは皆もそうだった。私は独りだと思っていたけど、沢山の人に支えてもらっていた。

 

だから、今度は私が誰かを支えれるようになりたい。

 

皆、今まで・・・

 

「私を支えてくれてありがとう」

 

絵里は心の中でその言葉を呟き、海を見つめていた。

 

 

 

 

その後、9人はそれぞれの想いを胸に海を立ち去っていく。

始まりには終わりがある。その現実からは誰も避ける事は出来ない。

だからこそ、過ごした日々や時間は大切な思い出として、心の中にいつまでも残るのだろう。

 

そして、少女達は最後のライブへ臨む。

 

これは一つの青春が終わりを告げた在りし日の冬の出来事。

 

 




アニメであのシーンを見た時、皆は何を思っていたんだろう?

きっと、こんな事を思い出していたのかな?と想像して書きました。

9人の過ぎていく時間は戻せないけど、思い出は心の中に永遠に残る事でしょうね。

誤字脱字やおかしな文面がありましたら、ご報告お願いします。

勿論、感想も首を長くしてお待ちしています。

8/10 誤字を修正しました。
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