雪穂メインで話が進みます。
姉が大好きな妹の想いを存分に堪能してください。
高坂穂乃果誕生日記念 私の大好きな最高の姉
季節は夏となり、日光が容赦なく照り付ける街の中を二人の少女は歩いていた。
金色のロングヘアーが特徴の絢瀬亜里沙と赤色のショートが特徴の高坂雪穂の二人は親友であり、μ'sとして活躍する絢瀬絵里と高坂穂乃果の妹である。
陽射しで熱くなった道を歩きながら、雪穂は汗を拭くと言葉を漏らす。
「それにしても、暑いなぁ~ 大人しく家にいれば良かったよ」
「え~ 買いたい物があるから、一緒に行こうと言ったのは雪穂でしょ」
肌を突き刺す陽射しに愚痴を吐く雪穂に亜里沙は少し困った表情を浮べて言葉を返す。
「そうだけどさ~ まさか、今日がこんなに暑くなるなんて思ってなかったんだよ。」
「もう~ 暑い 暑いと言ってるから余計に暑く感じるんだよ。そういえば、今日、買いたい物って何なの?」
暑いとぼやく雪穂の言葉を受け流して、亜里沙は自分を誘った理由を尋ねた。
「今日はお姉ちゃんの誕生日だから、何かプレゼントをしようと思ってね。一人で行こうと考えてたけど、亜里沙にも協力して欲しかったんだ。」
「穂乃果さんにプレゼントを? だけど、協力と言っても私に出来る事は無いように思えるけどなぁ。穂乃果さんの好きそうなものは雪穂の方が知ってるんじゃないの?」
「お姉ちゃんは私が贈ったプレゼントはどんな物でも喜んでくれるんだ。それは勿論 嬉しいことだよ。けど、私としてはお姉ちゃんが本当に欲しいものを贈れた気にはどうしてもなれないんだよ。頼れるのは亜里沙しか、いないんだ。お願い 私に力を貸して」
雪穂は両手を合わせて、亜里沙へ頼み込む。
真剣な面持ちで言う親友の頼みを亜里沙は快く協力をすることにした。
「そういう事だったんだね。うん 解った。私でよければ力を貸すよ。それにしても、穂乃果さんが欲しがりそうな物かぁ~ いざ、考えてみると浮かばないね。穂乃果さんは何か言ってたりしないの?」
「お姉ちゃんは自分から何かを強請った事は無いんだよ。お母さんに聞いてみても、小さい頃からお転婆だけど、物を強請るような我儘を言う子じゃなかったから、誕生日プレゼントに何を贈ればいいのか、いつも悩んでたってお母さんも言ってた。」
穂乃果に贈るプレゼントの助言を母親に求めたが、期待は外れて返ってきた返答は雪穂をさらに悩ませる形となってしまった。
「そうなんだ。そういえば、お姉ちゃんが言ってたんだけど、練習中に穂乃果さんが暑い 暑いと言ってて、海未さんに怒られてたみたいだよ。」
雪穂との会話中に亜里沙は姉の絵里から聞いた話を思い出して、その話を雪穂に教えた。
「はぁ~ 全く、お姉ちゃんが怒られるのはいつもの事だけど、それを聞くと恥ずかしいよ。」
その光景が鮮明に頭の中に浮かんだのか、雪穂は呆れた表情で言葉を吐く。
「そんな事を言ったら、穂乃果さんが可哀想だよ。そうじゃなくて、穂乃果さんは暑いと言ってるんだし、誕生日プレゼントは夏物を贈ったらどうかな?」
「夏物かぁ~ でも、浴衣なんて私のお小遣いで買えるのかなぁ?サイズの問題だってあるからなぁ。」
亜里沙の提案に頷くが、自分の財布の中を気にしながら雪穂は呟く。その様子を見た亜里沙はもう一つの提案を雪穂に言った。
「それなら、帽子ならどうかな?浴衣よりも安いし、それにサイズだって気にする必要は無いよ。」
「その手があったか。それじゃあ、そうしようかな。善は急げだし、早速、買いに行こう。」
亜里沙の言葉で迷いが無くなったのか 雪穂は元気な様子でそう言うと、亜里沙の手を引っ張って走りだした。
「わっ、ちょっと、雪穂ってば~ そんなに引っ張らないでよ~」
亜里沙の叫ぶ声が響くが、雪穂は知らんぷりをしていた。
街を歩くこと数十分 二人は6階建ての大型デパートに来ていた。亜里沙はあまりの大きさに感嘆の声を漏らす。
「ハラショー 大きいデパートだね。それに人もいっぱいだよ。」
「今日は特売セールをやってるみたいだからね。割引の商品目当ての客が来てるんだよ。」
雪穂は壁に貼ってある『本日限り!特売セール祭り!!』の張り紙を見て、亜里沙に言葉を返した。
「時間が経てば、もっと人が増えるだろうから私たちも買うものを買って、早く帰ろうよ。」
現在の時刻は11時を過ぎており さらに人が増える事を予想した雪穂は周りを楽しそうに見ている亜里沙へ向けて言葉をかける。
「そうだね。えっと、夏物が置いてある場所はどこかな?」
「案内板に書いてるはずだから、ちょっと見てくるよ。」
「私も行く この店は初めてだから迷いそうだもん」
「そうなんだ それじゃあ、一緒に行こう。人が多いから逸れないように気を付けてね。」
雪穂の言葉に頷き、亜里沙は置いて行かれない様に雪穂の後をついて行く 二人は人でごった返す店内を歩いていると、階段の近くの壁に取り付けられている案内板を見つけた。それに目を向けると目的の場所は3階エリアにあることを知る。
「えーと 夏物が置いてある場所は3階エリアみたい。」
「3階かぁ~ 穂乃果さんに似合う物が見つかるといいね。」
「うん ありがとう。」
自分の事のように張り切る亜里沙に雪穂は照れた表情を浮べてお礼を言う。
「お礼を言うのは早いよ。ほら 行こう。」
そう言って、今度は亜里沙が雪穂の手を引いて階段を駆け上っていく。そんな亜里沙に雪穂は叫んだ。
「ちょ、ちょっと、危ないってば~ 引っ張らないでよ~」
だが、亜里沙は聞く耳を持たず、雪穂の叫びは空しく響いた。
「ぜぇ、ぜぇ、全く 亜里沙ってば、人の話を聞かないんだから~」
亜里沙に引きずられ、階段を駆け上る羽目になった雪穂は息をきらせて、時折暴走する友人をジト目で見ながら文句を言う。
「ご、ごめんね。それに雪穂だって話を聞いてくれなかったでしょ。」
焦った様子で雪穂に謝ると、自分に向けられる視線を誤魔化すように亜里沙は言葉を吐く。
「うっ 私の方も悪かったよ。そういえば、亜里沙は何を買う物はあるの?折角、デパートに来たんだから、何か欲しい物とかないの?」
息を整えた雪穂は亜里沙にそう提案した。
「欲しい物かぁ~ そうだ 折角だから、私はハンドタオルを買って、穂乃果さんの誕生日プレゼントにしようかな。」
「え?亜里沙もお姉ちゃんに誕生日プレゼントを?そんな気を使わなくていいよ。」
「ううん 気なんか使ってないよ。穂乃果さんには意気地になってたお姉ちゃんを救ってくれたお礼がしたいんだ。」
亜里沙は穏やかな表情でそう言った。
「そっか お姉ちゃんもきっと喜ぶよ。」
「うん 私も穂乃果さんが喜んでくれると嬉しい。」
「そうだね。私も同じ気持ちだよ。」
そうして、二人は姉に贈るプレゼントを選ぶ為、あとで階段で落ち合う事を決めてから別行動を取る事にした。
亜里沙と別れた雪穂は目的の帽子が陳列している場所で頭を悩ませていた。
「う~ん 帽子といっても色々あるなぁ~」
麦わら帽子や涼しさを感じさせる白い布に青いリボンが付いた帽子等を見ながら、雪穂はぼやいていた。
そして、そんな雪穂をある人物がじっと見つめていた。
「これなんか、穂乃果さんに似合いそうだと私は思うよ。」
悩んでいる雪穂に静かに近寄って来たその人物は麦わら帽子を指さして言った。
唐突に話かけてきた人に驚き、振り返ると雪穂の目に映ったのはA-RISEのリーダーを務める綺羅ツバサだった。
「え?あ、貴女はまさか A-RISEの」
「シ~ 今日はオフだから、大声出さないで~」
雪穂の言葉を慌てた様子のツバサが止めると、周りをキョロキョロと見渡して自分の正体がばれてない事にホッと一息を吐く。
「ご、ごめんなさい。」
「ああ いいのよ。いきなり話しかけた私が悪いんだから。そうそう 穂乃果さんに贈る帽子だけど、私はこれがいいと思う。」
謝る雪穂にツバサは笑顔で言葉を返し、改めて自分が選んだ帽子を指さした。
「これですか?確かにお姉ちゃんには似合いそうな気がします。」
雪穂はツバサが選んだ麦わら帽子を手に取り、そう言った。
「雪穂ちゃんもそう思うでしょ?穂乃果さんは太陽みたいな人だもの。麦わら帽子を被った穂乃果さんも素敵でしょうね。」
ツバサはネットに投稿された動画の中で踊る穂乃果の姿を思い浮かべる。その姿に自分には無い魅力がある事をツバサは感じていたのだ。
そして、雪穂は自然な雰囲気の中で会話をしている最中 ある疑問が頭に浮かんだ。
「あの~ 所で何で私がお姉ちゃんの妹だって、分かったんですか?ツバサさんに会ったのは今日が初めての筈ですけど。それに名前も・・・」
おずおずと疑問に思った事を尋ねる雪穂にツバサはあっけらかんとした様子で答える。
「ああ さっき、階段の傍で穂乃果さんという言葉を聞いたのよ。それで気付かれないようにあとを付けてたからね。貴女の名前を知ってるのは、貴女のお友達が雪穂ちゃんと呼んでいたからよ。失礼な真似してごめんなさい。」
そう言って、ツバサは自分の非を詫びた。
「そうだったんですね。私の方は気にしてないので大丈夫ですよ。それと帽子はこれに決めようと思います。ツバサさん 選んでくれてありがとうございます。」
「いいのよ。私の方もお節介が過ぎたかもしれないわね。」
「そんなことないですよ。自分だけじゃ決められなかったですから」
「そう お役に立てたなら、良かったわ。それじゃあ、私はもう行くわね。そうそう、穂乃果さんに一つ伝言をお願いして良いかしら?」
「はい 構いませんけど、どんな伝言ですか?」
「ラブライブの決勝戦では、一切の手加減はなし 本気で行くから覚悟しておいてとね。それじゃあ、よろしく頼むわね。」
先程とは違って、A-RISEのリーダーとしての顔を見せたツバサはそう言い残し、去っていく。その雰囲気に飲まれた雪穂は言葉もなく、ツバサを見送る事しか出来なかった。そして深く息を吐き、体に纏わりつく緊張感を吹き飛ばすと雪穂はレジへ向かった。
「あの すみません。この麦わら帽子をプレゼント用に包装してください。」
雪穂はレジカウンターに着くと、手にした麦わらを渡しながらカウンターにいる女性店員にそう告げる。
「かしこまりました。このプレゼントは気になる男の子への贈り物ですか?」
「い、いえ 違います。これは姉への誕生日に贈ろうと思って」
女性店員の言葉を焦った様子で否定すると、雪穂は贈る相手を教えた。
「あら そうだったの?変な事を聞いてごめんなさいね。それにしてもお嬢さんはお姉ちゃんが大好きなのね。こうして誕生日プレゼントを買いに来るんですもの」
「はい 普段はのほほんとしてるけど、やる時にはやる人なんです。つい最近の事なんですけど、廃校が決まっていた学校を救った事もあるんですよ。」
女性店員の優しい言葉に雪穂も、この時は自分の思っている事が自然と言えた。
「それは音ノ木坂学院の事かしら?」
雪穂の言葉を聞いて、女性店員が尋ねる。
「知ってるんですか?もしかして、音ノ木坂の卒業生だったとか・・・」
「いいえ 娘が音ノ木坂に通っていて、その事を言ってたのよ。お姉さんが学校を救ったと言ってたわね?もしかして、スクールアイドルμ'sのメンバーをやってるのかしら?」
「いえ メンバーというより、私の姉はμ'sのリーダーとして活動してます。」
女性店員の疑問に雪穂は小さい声で答える。
「あらあら 貴女のお姉さんはすごい人なのねぇ~ はい プレゼントの包装が出来たわよ。」
女性店員から綺麗に包装された麦わら帽子を受け取ると、雪穂はカバンから財布を取り出して値段を聞いた。
「あの お幾らですか?」
「そうね。合計で3500円だけど、半額の1500円でいいわ。お嬢さんにはいい話を聞かせてもらったから」
女性店員は穏やかな笑顔でそう言った。いきなりの半額宣言に雪穂は戸惑いながらも女性店員に言葉を返す。
「え?そんなに値下げしても大丈夫なんですか?安くしてもらえるのは嬉しいんですけど。」
「いいのよ。私はここのエリアの担当者だし、多少の融通が効くのよ。それに娘のお礼でもあるの 娘は音ノ木坂が廃校になると知って、ひどく落ち込んでいたのだけど、ある日 娘が興奮しながら言ってきたのよ。μ'sのおかげで音ノ木坂の廃校が無くなったってね。」
女性店員は優しい表情でそう告げた。
「そうだったんですか。それならお言葉に甘えさせてもらいます。」
女性店員が半額にしてくれた理由を知り、雪穂はその好意に素直に甘える事にした。
「ふふ お姉さんといつまでも仲良くね。」
「はい それじゃあ、どうもありがとうございます。」
帽子代を支払うと、雪穂は改めて礼を言い、亜里沙と待ち合わせている場所へ駆けていく。そんな雪穂を女性店員は温かい目で見つめていた。
待ち合わせ場所に来た雪穂は、既に来ていた亜里沙の姿を見つけると駆け寄って声をかけた。
「亜里沙 もう来てたんだね。待たせてごめんね。」
「ううん 私も今、来たばかりだから気にしないで」
「そっか それじゃあ、お腹も空いたし、お昼を食べてから帰ろうよ。」
「そうだね。もう12時も過ぎてるし、私もお腹空いたよ。」
買い物を済ませた二人は昼食を食べる為に地下へ向かって、階段を下りていった。
地下へ降りてきた二人だが、時間は12時を回っていた事もあり、フードエリアは人ごみで溢れていた。
「うひゃ~ お昼時だけあって、すごい混んでるなぁ。」
「この様子だと、座れる場所は無さそうだね。」
「う~ん だけど、お腹は空いてるからなぁ そうだ、亜里沙はハンバーガーでもいい?テイクアウトすれば、何処でも食べれるから」
「うん 私はそれでもいいよ。」
雪穂の案に亜里沙は首を縦に振る。
「それならパパッと、行ってくるよ。亜里沙は何が食べたい?それと飲み物はどうする?付き合ってくれたお礼に奢るよ。」
「え?そんなの悪いよ。」
「気にしなくていいよ。感謝の気持ちなんだからさ。」
「そうなの?それじゃあ、私はチーズバーガーがいいな。飲み物はオレンジジュースでお願い。」
「解った。それじゃあ、ここで待ってて」
亜里沙に一言告げ、雪穂は人ごみを掻き分けて、ファーストフード店へ進んでいく。
人ごみに揉まれながら、目的の場所へたどり着いた雪穂は自分と友人の注文を店員に言う。
数分後 会計を済ませると出来立てのハンバーガーが入った袋を手にして、雪穂は再び人ごみを掻き分けて友人が待つ場所へ向かって行った。
「はぁ~ やっと、買えたよ。はい これ、亜里沙が頼んだやつだよ。」
「ありがとう 大変だったんだね。」
亜里沙は雪穂からチーズバーガーとオレンジジュースを受け取りながら、労いの言葉をかけた。
「まあ、これでやっとご飯が食べれるからいいけどね。そういえば、亜里沙はどんな物を買ったの?」
「私はうさぎのキャラクターが刺繍されたタオルかな。雪穂が選んだ帽子はどんな感じ?」
ハンバーガーを食べながら聞いてくる雪穂の質問に答えると、亜里沙も聞き返した。
「私のは麦わら帽子だよ。中々決められずに悩んでいたら、意外な人がこれを選んでくれたんだ。かなり驚いたよ~」
「誰が選んでくれたの?気になるから、早く教えてよ。」
勿体つけるように話す雪穂に亜里沙は急かすように尋ねた。
「A-RISEの綺羅ツバサさんだよ。どうやら、階段の所で私たちの会話を聞いてたみたい。いきなり、話かけられた時はびっくりしたよ。」
「ええ~ 綺羅ツバサって、あの綺羅ツバサさん?それで雪穂はどうしたの?サイン貰った?それと握手してもらったとか?」
雪穂の言葉を聞いた亜里沙は興奮して、詰め寄ると機関銃のように言葉を投げかける。
「ちょっと、亜里沙ってば、声が大きい~ 少し落ち着いてよ。ツバサさんには帽子を選んでくれただけだよ。」
「あ ご、ごめんね。それにしてもすごい人に選んでもらったんだね。ちょっと、羨ましいかも」
「私としては、そんな気持ちになれなかったよ。すごい迫力でお姉ちゃんへの伝言も頼まれた時は心臓が止まるかと思った。」
雪穂はその時の場面を思い出して、身震いした。日本の頂点に立つ者の迫力はそれ程に凄まじいものだった。
「そんな事があったんだ。伝言って、どんな内容だったの?」
「ええと 確か、ラブライブの決勝戦では、一切の手加減はなし 本気で行くから 覚悟しておいてだったかな。」
「うわぁ~ A-RISEがそんな事を言うなんて、μ'sの皆は勝てるのかな?」
「それは解らない。だけど、お姉ちゃんだったら、勝ち負けを気にしないでライブに臨むだろうね。μ'sの皆も同じように」
「うん 私もそう思う。」
雪穂の言葉に亜里沙も頷いた。
二人は食べ終わったハンバーガーの紙等をゴミ箱に捨てると、帰る為に出口へ向かう。
地下エリアから1階に戻り、二人が外に出ると、空はどんよりと曇り、大粒の雨が降っていた。
「すごい雨だね。午前中はあんなに晴れてたのに」
「仕方ないなぁ。傘を買ってくるしかないか。」
「その必要はないよ。」
雪穂が傘を買いにデパートに戻ろうとした時、聞きなれた声が雪穂を制止した。雪穂が振り返ると、そこには傘を持った穂乃果と絵里の姿があった。
「お姉ちゃん それに絵里先輩も・・・ 何で此処に?」
「何でって、空が曇って、雨が降りそうだから傘を持って来たんだよ。そうしたら、途中で絵里ちゃんと会ってね。理由も目的地も同じみたいだから、一緒に来たんだ。」
「そういう事なの。そうしたら、入り口で二人の姿を見つけたのよ。すれ違いにならなくて良かったわ。」
穂乃果と絵里は自分が持ってきた傘を雪穂と亜里沙に手渡した。
「ありがとう お姉ちゃん。それと、今日は穂乃果さんの誕生日プレゼントを買ったんだ。」
「あら?そうだったの?私も何か贈らないといけないわね。」
「それなら、このプレゼントを私とお姉ちゃんからの贈り物にしようよ。お姉ちゃんが素直になれたお礼がまだだったでしょ?」
「そうね。それじゃあ、そうしましょう。亜里沙にも助けられてばかりね。」
「そんな事ないよ。それに私はお姉ちゃんが大好きだもん。助けるのは当然だよ。」
仲睦まじい姉妹の後ろでは、似た者同士の姉妹が言い争っていた。
「全く、雪穂ってば、あんまり面倒を掻けないでよね。」
「お姉ちゃんには言われたくないよ。この前にも暑い 暑いと愚痴をこぼして海未さんに怒られたって、亜里沙に聞いたよ。面倒を掻けてるのはお姉ちゃんの方じゃない。」
「だって、暑いものは暑いんだから、しょうがないじゃん。」
「お姉ちゃんはμ'sのリーダーでしょ。もっと、しっかりしなよ。」
「む~ 雪穂も海未ちゃんに似てきたね。ガミガミ言う所とか、そっくりだよ。」
「お姉ちゃんがだらしないだけでしょ。そんな事を言ったら、海未さんに失礼だよ。」
「二人とも、そこまでにしなさい。周りの人も見てるし、店の迷惑になるわよ。」
見かねた絵里が言い争う二人を厳しい口調で止めた。
「ご、ごめんね。絵里ちゃん」
「す、すみません。絵里先輩」
息をピッタリと合わせて、同時に謝るその姿を見た亜里沙は笑顔を浮かべて、言葉を吐く。
「穂乃果さんと雪穂は仲が良いですよね。遠慮なく、言い合えるのは素敵だと思います。」
「あら 亜里沙は私と言い合いがしたいのかしら?」
「もう~ そういう意味で言ったんじゃないよ。」
悪戯な表情を浮べてからかう絵里に、亜里沙は少し怒ったような顔で姉に言葉を返す。
「私も絵里ちゃんと亜里沙ちゃんも仲の良い姉妹だと思うよ。」
穂乃果は優しい表情で素直な気持ちを二人に言った。
「そうだ!穂乃果さん、お誕生日おめでとうございます。これは私とお姉ちゃんから穂乃果さんのプレゼントです。」
「お誕生日おめでとう。それと、あの時はありがとう。穂乃果には感謝してるわ。」
「亜里沙ちゃんも絵里ちゃんもありがとう。それにあの時の事は気にしなくていいよ。お互い、やりたい事をしただけだから」
そう言葉を交わすと、絵里と穂乃果は穏やかな笑みを浮かべる。
「そう言ってくれると嬉しいわ。それじゃあ、私たちはそろそろ行くわね。」
「亜里沙 今日はありがとう。」
「うん 雪穂も今日は頑張るんだよ。」
そう言って、綾瀬姉妹は二人並ぶと、傘を差して雨が降る街の中へ消えていった。
「今日は頑張る?あっ、もしかして、雪穂も私の誕生日プレゼントを用意してるの?」
穂乃果は子供の様に嬉しさが溢れた顔で雪穂へ詰め寄った。そんな姉に雪穂は綺麗に包装された誕生日プレゼントを照れた様子で穂乃果へ差し出した。
「うん これは私からのプレゼントだよ。お誕生日おめでとう!!中身は家に帰ってから開けてね。」
雪穂からの誕生日プレゼントを受け取ると、穂乃果は満面の笑顔で雪穂を強く抱きしめた。
「ありがとう。雪穂は私の最高の妹だよ。」
「もう お姉ちゃんってば、恥ずかしいよ。それに暑苦しい~」
「えへへ~ ごめんね。それじゃあ、私たちも帰ろうか。」
二人が帰ろうとした時 大粒の雨が止み、空には青空と太陽が姿を覗かせていた。
「持って来てもらった傘が無駄になっちゃったね。ごめんね お姉ちゃん。」
「気にしなくていいよ。それにしても、晴れた空は気持ちいいね。」
穂乃果は空を見上げて呟く。雪穂も空を見上げると、燦々と輝く太陽が目に映った。
雲の端から差し込む陽射しを眩しそうに見つめて、雪穂は自慢の姉に改めて祝いの言葉をかける。
「お誕生日おめでとう。お姉ちゃんは私にとって最高の姉だよ。お姉ちゃんの妹に生まれて良かった。」
その言葉を聞いた穂乃果は柔らかい笑みを浮かべて、雪穂の手を優しく握った。
雪穂もその手を握り返すと、二人は仲良く街の中を歩いていった。
雪穂がいろんな人に知り合って、姉に対して本当に贈りたい物・・・
それは自分の正直な気持ちと気付く。
そんな展開を書きたい為に穂乃果の出番が少なくなってしまいました。
それでも自分の穂乃果の誕生日を祝う気持ちは本物です。
穂乃果ちゃん お誕生日おめでとう!
もし、誤字、脱字等がありましたら、ご報告をお願いします!
それと、感想もお待ちしています。
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