「まったく。なんで警視総監の名前を知らないのよ、あんたは」
「うん興味がないとすぐに忘れるからな。私の中では興味がなかったんだろう」
トライドロンの車内。遠坂は私に文句ばっかり言ってくる。やれなんで警視総監の名前を知らない、なんで私のおやつを食べたなど。ぶっちゃけ警視総監の名前は覚えていたつもりだった。だがその覚えていた名前が別人だっただけなのだ。つまり警視総監の名前は知らなかったのだ。
「でも加賀美さんも知らなかったのは意外だったわ。真面目そうなのにそういうところ抜けてるのよね。もしかしてドジッ子?」
三十路目前の加賀美刑事にドジッ子はないだろ。しかし本当に意外だったのだ。今の警視総監になる前は加賀美刑事のお父さんが警視総監だったらしい。
『それ全部聞こえてるからな!てか三十路目前のおっさんにドジッ子はないんじゃないかなぁ?』
無線から加賀美刑事の嘆きが聞こえてくる。加賀美刑事は後ろからガタックエクステンダーというバイクで付いてきている。どうやら無線を通して全部聞こえていたみたいだ。まあ言ったの私じゃないし?遠坂が全部言ったんだし?私悪くねーし。
「加賀美刑事、そろそろつきますから遠坂とのお喋りもそこまでにしてください。舌噛みますよ?」
『お、おう、そうだな』
ところで私達は何処へ向かっているのか?それは今回の事件に関わりがあるであろう沙条愛歌の家に向かっているからである。実は沙条愛歌は警視総監の一人娘だったのだ。え?いきなりすぎるって?何故ここに繋がったかを簡潔に纏めると。
千冬「この事件 沙条愛歌 という人が絡んでるかも」
遠坂「へぇー。ん?沙条って警視総監と同じ名字ね」
千冬「え?そうなの?なら調べてみよう」
遠坂「なんで警視総監の名前知らないのよ・・・・」
千冬「どうやら一人娘が沙条愛歌って名前らしい。よし確かめに行こう!加賀美刑事行くぞ!」
新「わかったー」
大雑把に纏めるとこんな感じだ。そして今沙条愛歌が暮らしているマンションに到着した。珍しい形のマンションだ。遠坂をトライドロンに残し加賀美刑事とマンションに向かう。
「しっかし円柱形のマンションなんて珍しいな。こんなの日本中探しても滅多にないぞ」
「本当は半月形のマンションが向かい合って立ってるんですよ。だから円柱形のマンションに見えるんです。沙条愛歌の部屋はここの最上階、909号室です」
「ん?でもここのマンション10階まであるだろ?なんで最上階が9なんだ?」
「1階は普通ロビーです。1階から部屋があるのは私の知るかぎりアパートぐらいですね」
そうなのか、なんて呟きながら加賀美刑事は後ろをついてくる。先輩なんだから出来れば前を歩いてほしいものだ。部屋は東館と西館に別れており沙条愛歌の部屋は西館にある。エレベーターで最上階まであがり909号室を目指す。
「ここだな」
909号室にたどり着き呼び鈴をならす。返事が聞こえたあとドアが開く。出てきたのは金髪の女。恐らく沙条愛歌本人だろう。
「沙条愛歌さんですね。特状課の織斑と言います」
「同じく加賀美です」
「ああ刑事さんですね?いつも父がお世話になってます。どうぞ中へ」
いや世話になっているのはどちらかというとこっちなんだが。まあ特状課でそんなお偉いさんと関わりを持つとなると課長位しかいないが。
「沙条さん。単刀直入に聞きますがこの方々を知っていますか?」
沙条愛歌に今回の事件の被害者の写真を見せる。じっくり一枚一枚見ているようだが。
「はい知ってます。皆さん私の高校のOBの方々ですよ」
母校だと?つまり穂群原のOBか?なら私も知っていてもおかしくないが・・・・まあそこは偶々知らない人だということだろう。
「高校のOB?君の母校は?」
「県外の学校です。盆矢利高校って知りませんか?」
「聞いたことはある高校だ。珍しい名前の高校だから覚えている」
どうやら穂群原の生徒ではないみたいだ。つまり穂群原の沙条愛歌はこの沙条愛歌とは別人らしいが・・・・
「あのこの方々がどうかしたんですか?」
「ええ、今回の事件の被害者でして。全員貴女のことを覚えてないみたいなんですよ」
「え!?そうなんですか・・・・皆さんには本当によくしてもらって、高校時代グレてた私を叱ってくれましたし。今もこんな身形ですがそれなりに真面目に頑張ってますし。今の私があるのも皆さんのお陰なんです」
どうやら昔はグレてたという沙条愛歌。そんな彼女を更生させたのがOBの人らしい。いい話じゃないか。
「そうですか・・・・沙条さんの為にも迅速に事件を解決します。今回はご協力ありがとうございます。また何かありましたら特状課までお願いします」
「こちらこそお願いします。私もできるかぎりご協力します!」
礼を言い部屋をでる。そしてマンションを出た瞬間、
「「黒だな」」
二人の声がかぶる。どうやら加賀美刑事も黒だと思ったらしい。人を疑うことをやめない二人。元々人を疑い、人を信じるこの仕事上それは仕方ないことだが、今回は怪しさMAXだ。
だいたいこの事件こそがおかしい。何故沙条愛歌に関する記憶だけがピンポイントで欠落しているのか。他の記憶にも欠落があってもおかしくないのに。ロイミュードは何を企んでいるのか?考えられるのは3つ。
まぐれ:可能性中
沙条愛歌がロイミュードに狙われている:可能性大
まさかの沙条愛歌がロイミュードのボスで何かを企てている:可能性低
この3つだが・・・・どれも信憑性がないな。『まぐれ』はまぐれとして、『沙条愛歌が狙われる』は何故ロイミュードが直接狙わずに他の人の記憶を消していったのか。『ロイミュードのボス』というのは問題外だがな。ああ頭が痛くなる。特状課に戻って調べなきゃいけない、が
「取り合えず特状課に戻ろうか」
「あ、すいません。先に戻ってもらっていいですか?このあと遠坂と寄るとこあるんで」
「ん?おう分かった。なるべく早く戻ってこいよ」
分かりました、とつげトライドロンを走らせる。向かう先は篠ノ之神社だ。
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「なんで平然とメシ食ってんだお前は?」
「空腹だから食べるんだ。お前も食べろ」
昼の1時過ぎ、昨日の6時から寝て約19時間。こんなに寝たのは初めてだ。ぶっちゃけ死んでたな。んで居間にいくと箒とハートが昼飯食ってた。うまそうだな。
「おはようございます兄さん。と言ってももうお昼ですけど。冷めないうちに食べてくださいね。では出掛けますので」
「おう行ってらっしゃい」
箒は昼飯を食べるとそそくさに家を出ていった。俺のために待っててくれたのか・・・・泣けるでぇ!!
「昨日は助かった、ありがとう」
「ああ?ああそうだったな。箒にも礼言っとけよ?手当てしたの殆ど箒なんだから」
「それにしても旨いな」
「だろぉ!!やっぱ箒のご飯が一番旨いんだよな!姉ちゃんは料理は苦手な方だったからさ、っておい!」
変なノリツッコミをしてしまった。でも美味しいのは事実だし。旨いんだし。是非もないよね!!
「ああそういえばお前に聞きたいことがあるんだよ。昨日姐さんが自分そっくりのやつと戦ったって。しかもドライブに変身したって言ってたぞ」
「織斑千冬の姿をしているのはメディックだけかと思ったが、他にもいたみたいだな。悪いが俺は知らんぞ」
「あと自分はチェイスと同じ存在だ、って言ってたらしいぞ」
「チェイスと同じ存在・・・・ああそういうことか」
「なんだよ、やっぱり知ってんじゃねぇか。教えろ」
「魂が1つか2つかの問題だ。俺たちは1つ、チェイスたちは2つだ。ヒントはここまでだな」
知りたいのはヒントじゃなくて答えなんだが。もうメシに集中しているこいつには聞けそうにないな。俺も大人しくメシを食おうとすると、
「なら俺からも一つ聞いていいか?」
「あ?なんだよ」
「何故俺を助けた?あのまま俺を殺しておけば戦力を大分削れたと思うが?」
「・・・・さあな。気まぐれだよ」
「剛は傷ついているものはなんでも拾ってくるからな」
声がした。振り向くと襖をあけて姐さんと凛が立っていた。
「たこ焼き、食べるか?」
「「・・・・・・・・昨日食べた」」
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たこ焼きを食べる三人。ん?私はすぐに食べたぞ。ハートが篠ノ之神社にいるのはチェイスからの連絡で知っていた。仮面ライダーイージスとやらに敗けて剛共々篠ノ之神社で治療していると。その時マッドドクターがいないとみるとドクターで治療したのだろう。南無。
「しかし不思議なものだな。ロイミュードの俺が敵である仮面ライダーたちとたこ焼きを食べているとは」
「私は別に誘われればいつでも一緒に食べるぞ?」
「いや普通誘わないでしょ」「それ姐さんだけだよ」
「そうか?ハートは私が誘えば一緒に食べるか?」
「どうだろうな、その時の機嫌によるか」
つまり機嫌が悪かったら死んでいたのか私は。だが今は殺されていないから機嫌は良いみたいだ。
「そういや姐さん。ドライブの偽者についてはハートもあんま知らねぇみたい」
「そうか。ハートなら知ってると思ったが」
「役に立てなくて悪かったな」
「あと魂が1つか2つかの違いらしい」
「何よそれ?」
まあ敵のハートがそこまで情報を解禁してくれるとは思っていなかったからな。想定ないだ。魂が1つか2つか云々の問題はチェイスに聞こう。
「そういえばチェイスは何処だ?昨日からあってないが」
「なんでもアイツ車の免許獲ろうとしてるらしいよ。バイクの免許あるんだから別に要らねぇだろアイツ」
「ライドクロッサーを車と認識するならお前は無免許になるぞ」
「・・・・・・・・考えとくよ」
「しかしお前たちはチェイスと仲がいいな。俺達ロイミュードももっと仲良くできればいいのだが」
「チェイスとダチになれたんだ、お前たちともダチになれると思うがな」
私の一言にハートはひどく驚いていた。お前からそんな言葉がでるのか?俺の友を倒してきたお前が。その表情からはそうとらえられる。
確かに最初はロイミュードは倒すべき存在だと思っていた。でもそれはチェイスが仲間になってから変わった。アイツを含めた日常はいつもより楽しかった。その中で考えた。チェイスと友達になれたのだからロイミュードとも仲良くできるんじゃないかと。そんな考えに至れたことに関してチェイスには感謝している。
「人間とダチか・・・・」
「どうだろうか?」
「無理だろそんな「剛は黙ってなさい」
「確かに人間の中で暮らしていくのは辛いと思う。でもお前とダチになってうれしい人間は必ずいる。私も剛もうれしいぞ!それに遠坂だってな!」
「俺は・・・・・・・・」
「何話って?」
ハートから答えを聞いたあと剛を呼び出し沙条愛歌について聞き出す。
「ああお前の彼女についてな。沙条愛歌って名前だろ?」
「そうだけど?」
「金髪の?」
「そうだよ。高校の時は黒だったけど俺がアメリカから帰ってきたら金髪になってたよ」
「高校は何処だ?」
「何処って、穂群原じゃん。てか姐さんたちとよくつるんでたじゃん」
「そう・・だったな。すまん変なことを聞いたな」
はいもう決定だ。沙条愛歌、お前はいったい何者なんだ?
チェイス「沙条愛歌・・・・いったい何者なんだ?このとき俺は車の免許取得のために教習所にいる。そこにかんして語ることはない。興味があるなら作者に俺から頼もう
次回からは3日目だ。ロイミュードVS特状課の全面戦争・・・・の始まる前の話だ。俺の出番はあるのだろうか。では次回もひとっ走り付き合ってくれ」