ラウラが夫!俺が嫁!?   作:柘榴

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あれから数日立ちまして。

 「ふぁああああああ……」

 

 

 いつも通りの時間に、いつも通りの自室(一人部屋)で目覚める。

 よく一夏に『起きる時間が早すぎる』とは言われるが…洗濯とかは朝のうちにしなきゃいけないし。干したりしてると朝食の時間だったりして、そこまで考えると結局この時間になってしまう。

 だが、今日に限ってはそれとは別の問題があった。

 

 

 「……んむ?」

 

 

 布団に潜る自分の右腕の辺りに、違和感。もっと詳しく言うなら、いつもとは違う感触と温かさがそこにあった。

 

 なんか、とてつもなく嫌な予感しかしないんだが……。

 とはいえ、その違和感を確認しないことには俺の一日は永遠に始まることはない。そんな気がするんだ。そんな気が。

 数度の深呼吸のあと、ついに覚悟を決めて、勢いよく毛布を引き剥がす。

 

 

「っ!?!?」

 

 

『竜也は 混乱 した!!』

混乱のあまり、引き剥がした毛布を再び被せてしまった。

え、まさか昨日の夜に入る部屋を間違えたわけではない……よね。俺の部屋だよね? ここ。うん。そうだね、内装も何もかも俺の部屋で間違いはない。

 いや、合ってるなら、何で……

 

 

「ん……なんだ、もう朝か…?」

 

 

 ラウラさんがいるのよ!?

しかも全r……げふんげふん!

 

 

「な、ななななな」

「?どうした…?」

 

 

 

 口をパクパクさせたまま、俺は硬直してしまう。

 いやね、ツッコミどころは多々あるが……俺は昨日戸締りをしっかりしたはず。

 いやいやいやいや、そんなことはどうでもいい!!

 

 

「なんで部屋にいるんだとか入ったんならどうやって入ったとか聞きたいことは山ほどあるが、とりあえず『服を着ろ』!!」

 

「なんだ、夫婦は包み隠さぬモノだと聞いたが……違うのか?」

 

「そういうもんかもしれないけど俺たちにはまだ早い! そして誰だそんなデマ吹き込んだ奴は!! いい加減シバくぞオラァ!!」

 

「……朝から何をわめき散らしているんだお前は」

 

 

 誰のせいだと思ってらっしゃるのか、ラウラさんは目をこすりこすり言ってくる。

 ……俺じゃなかったら襲われてるぞ。

 

 

「あーもう、いいから一旦ベッドから降りてくr……」

 

 

 言葉通りにラウラをベッドから降ろそうとその腕を取った、

 瞬間。

 

 

「っどぁあ!? 痛たたたたたたたたたた!!!」

 

「ふん。お前はもう少し寝技を練習すべきだな」

 

 

 逆に腕をとられ、ベッドの上に組み伏せられてしまった。

ギリギリギリギリと、身体の全てがなんかワケ分からん音を出して悲鳴を上げている。

 

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!! ヘルプ!! ヘルプミー!!」

 

「おい、金沢。 朝から失礼するぞ、少し聞きたいことが…………あ」

 

「へ」

 

 

 ナイス……過ぎるほどのバッドタイミングで、箒さんが入って来た。それはとても珍しい事なんですが。

 そして瞬時に(間違った)状況判断をして、来た道を引き返そうとする。

 

 

「す、すまない……邪魔したな!!!」

 

「ちょっと待ってーーー! 多分勘違いしてるよ! つーか絶対! 間違ってるから! 説明するから行かないd痛たたたたたた!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、やっと朝食にありつける。

 

 

 

「……ハァ」

 

「大丈夫か? 竜也。あさから大分疲れてんな」

 

「まあね……」

 

 

 まったく疲れてないと言えば、当然嘘になる。あの後、箒さんの誤解を解くのにどれだけ苦労したか…。

 まぁ、その努力のおかげで変な噂が広まるのを防げたけど。

 

 因みに現在、朝食のお相手は一夏。メニューは日替わり定食のようです。

 え? ラウラ? ……まいちゃった☆

 

 

「……うん、ごちそうさまー」

 

「げっ、早いな! 元気なかったんじゃ」

 

「元気は無くてもご飯は食べる。これ重要よ。」

 

 

 朝ご飯は大事だよ。一日の始まりとも言うし。食べないと太るとも言う。

 と、そこで一夏が思い出したように声をあげた。

 

 

「ところで、今日はどうするんだ?」

 

「え? なんで? 普通に授業を受けるのではないだろうか」

 

「……今日、休日だぞ?」

 

「あべし」

 

 

 そうだ、すっかり忘れていた。こういうことってたまにあるよねー。

 でも困ったな、忘れてたがゆえにノープラン。俺は休日を無駄に怠惰にすごすつもりは毛頭ないタイプの人間なのだが。

 

 

「どーしよー。」

 

「俺は弾のところに行こうかと思ってるけど。」

 

「えっ。あいつのところは……俺はやめとく。」

 

 

 蘭ちゃん居るし、邪魔しちゃいかんな(あの子怖いんだよね)。

 うむ、本当にどうしよう。考えているところで、一夏の向こうのほうからあの子の気配を感じて身震いした。

 

 

「はっ!! ヤバイヤバイ……!! 一夏、かくまってくれ!」

 

「え? は?」

 

 

 言いながら、お盆を持って食堂のテーブルの下に隠れる。

 一夏は意味不明と言った表情だが、説明している暇は無い!!

 

 

「おい。私の嫁を知らないか?」

 

「え? あ、ラウラ?」

 

『ダメダメダメダメ!!』

 

 

 俺の気持ちを汲み取ってくれと言わんばかりに必死に腕でバツを作る。

 なんとか分かってくれたようで、挙動不審気味に一夏なりの演技をしてくれた。

 

 

「み、見てないぞ。なんか用があったのか?」

 

「あぁ。寝技の特訓をしてやろうかと思ったんだが……見ていないなら、いい。済まなかったな」

 

「お、おう」

 

 

 ラウラの後ろ姿が消えて行くのを確認して、テーブルからでる。

 

 

「ふぅ、助かったぜ。さんきゅー」

 

「なんで逃げてるんだ?」

 

「寝技の特訓がイヤだから? とかどうよ?」

 

 

 ラウラ、力の加減しらなそうだしな……。普通に痛いの嫌いなんだよね。スポーツだってのはわかってるんだけどさ。

 

 

「まあいいけどよ。俺は行って来るぜ」

 

「行ってらっしゃーい」

 

 

 さっさと盆を片付ける一夏の背を見届ける。あ、セシリアだ。と思ったら箒さんも。あいつは本当によく絡まれるなあ。

 ニコニコと人間観察するのもいいが、さて。本気でどうしようか。無趣味な男ってのはやっぱり暇なもんだなぁ。

 

 そうだ、シャンプーが切れてたっけ。買い物に行こう。

 そして、再びの気配。今度は近い…え?

 

 

「ひっ!?」

 

「ふむ。やはりな」

 

「ら、ラウラ……どっか行ったんじゃなかったの?」

 

「ふん、あいつが一人で朝食を取るはずがないだろう。……まぁあの程度で気配を消せていたと思うのだから不注意だったな」

 

 

 ああ、ぬかった…。確かに、一夏が一人で朝飯を食べることもほとんどないだろう。気配消えてなかったか…まいったなぁ。

 で、ラウラさんめっちゃこっち睨んで来てるし。ジト目って怖いよね。うん。冷や汗止まんねえ。

 

 

「あー…えっとその…」

 

「……」

 

 

 うぐ……どうしよう。完全に機嫌損ねたな……。まあ俺のせいではあるんだが、可愛い女の子を怒らせたままにするのは男としても許されないだろう。

 何かいい手はないだろうか、自分に好意を寄せてくれる女の子を喜ばせる方法……あ、そうだ。

 

 

「あ、あのさラウラ!」

 

「……なんだ?」

 

 冷たい声が鋭く届く。冷や汗が凍りつき始めたような錯覚を覚えながら、俺は何とか次の言葉をひねり出した。

 

「一緒に買い物に行こう!」

 

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