ポケットモンスターNecessitudiness 作:ハンバート二世
「いやーリウスさん流石ですよ! あれだけの数のロケット団すぐに倒せるなんて!」
「いや……まあ……」
「あ、リウスさんお酒飲めますか、ああまだ未成年でしたかこれは失礼しました」
「ほらリウス、もっと食べなよ。まだまだ一杯あるからね!」
「まだ十七歳なのにあれだけの強さだもの、きっとポケモンリーグにだって出れるわ!」
「……おう、なんだこれ」
どうも俺はお祭り騒ぎは好きではないらしい。
昔から、とは言えども物心ついた頃からロケット団員だったのだ、アイツ等は普段アホだから中々どうしてうるさくて、楽しいのは分かるのだがある意味控えめな性格の俺がその中に入っていく事など到底できようもない。
とにかく、俺がロケット団を撃退した事で、俺ことリウスはトキワの人達に一時のヒーローとして扱われてしまい、大宴会となったていたのだった。
と、抜け出した俺に気が付いたのかエルルが外に出て俺の下へと寄ってきた。
「あの人達は?」
「どうやらリウスが抜けた事に気付いてないみたい。まあ、楽しい事はいい事だよ」
「それはそうと、ここのジムリーダーは何をやってんだ? どうせまたアイツ等来るだろうから早く帰って来ないと俺じゃ止めきれないぞ」
「ああ、それは大丈夫だよ。もうすぐ帰ってくるらしいし」
そうか……もうすぐ帰って、来たらヤバいじゃないか。相手はあのジムリーダーだ。トキワのジムリーダーって誰だっけか……さっきから考えているのだが思い出せない。
「なあ、トキワの人に訊くのも失礼かもしれんけど、ここのジムリーダーって誰だっけか」
「グリーンさんだよ、有名な人なのに知らないなんてリウスって変な所抜けてるね」
「うむ……反論はしない」
しかし、グリーン……グリーンとは確か、あのオーキドの孫とか言っていたか。かつて、今のロケット団の前身であるロケット団を壊滅させたトレーナーの一人であり、トキワのジムリーダーだった元ロケット団頭首サカキに変わってグリーンが……だったような気がする。だとしたら確証はなくとも何となく俺がロケット団っぽい雰囲気を出していたりするかもしれない。どうせ洞察力もずば抜けてるんだろうから感付かれてしまう事も考慮しなければ。
つまり、今すぐにでもここを去りたいのだが……
「そう言えば、リウスのケーシィって変わった技覚えてるよね。普通ケーシィってエスパー技で戦うものでしょ? なのに物理的に攻撃するなんてさ」
「あ、ああ、このケーシィはちょっと特別でな。別の地方から来た親父から貰った幼い頃からの俺の相棒だ」
ほぼ嘘ではない。支給品の中に紛れ込んではいたものの、実際に俺の幼い頃から俺はこのケーシィと共に生きてきた、と言っても過言ではない。とは言えやはり、それでもコイツの考えている事は分からなかったが。そして俺のクソ親父が俺にこのケーシィを渡したのだ、が、そう言えばそれはいつの話しだったろうか……? 思い出せない。
「ねえ、リウス!」
「ん、おお、どうした」
「グリーンさん帰って帰って来たよ」
「へぇー……は!?」
ぐずぐずしている内に時間が過ぎてしまっていたようだ。
リザードンが降り立った。その背に乗っていたのが、灰色のコートに身を包み、ツンツンした髪形の、目つきの悪い男。
トキワシティジムリーダー、グリーンだった。
「すまない、俺とした事が、街を開けている間に奴等の襲撃があったようだな。街の皆にも謝らなくてはならない」
「大丈夫ですよ、この人が守ってくれましたから!!」
やけに持ち上げられながら紹介されて少しばかり恥ずかしい。
「君は……」
「り、リウスです。しがないポケモントレーナーです」
「……そうか、分かった。君が話しに聞いていたリウスか。礼を言う、君が街を救ってくれたようで」
「い、いえ、なんつーか、気に入らなかったんで、こう、はい……」
「ふ……下っ端と言えど凶暴性を増している今日のロケット団を倒せるほどの腕なんだ。誇っても罰は当たらないだろう」
ほらもー絶対この人なんか感付いてるじゃないすかーやだー。
どうしよう絶対この後呼び出されたりとかするパターンじゃないすかー。
「ところで、後で話したい事があるのだが――
ほらもー、と思った所で、グリーンの言葉は途切れていた。
リザードンが何かを警戒するかのように、トキワの森を強く睨みつけていた。
そして、爆発。トキワの森よりも更に向こうから黒煙が立ち上り、トキワの森からは幾度となく何かと何かがぶつかり合う音が響き渡った。
誰かが戦っているのか、いやまずそもそも、あの不穏な黒煙と爆発は……あの方角は。
「ニビで爆発……戦っているのはタケシか。行くぞエルル、リウス君も一緒に来てくれ」
「は、はい!」
「了解だよ!!」
なんだかよからぬ事が起こり始めているようで頭が痛い。
当分平穏はこの身に訪れそうもない。