あの神を薙ぎはらうは貴方   作:黒兎可

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そろそろ何かに感付くヒトが増えそうな今回

※ソングバードの機能について、諸事情あり弦ソードを弦強化に変更しました。


Episode 7. 信じろ

 

 

  

 

 

 

「こちらリンドウ。司令部、応答しろ。……あー、聞こえてるか?

 ああ。報告だけだから通話できてりゃ構わん。

 新型二人の無事を確認した。……ああ、アリサもユウも無事だ。だが、救助ポイントまでは戻らない。……周囲のアラガミの数が多い。二人とも手傷を負ってるし、安全を確認し次第、そちらまで向かう」

 

 リンドウさんが通信機を使って、極東支部と通話していた。所々漏れる音からして、相手はヒバリさんか。

 

「位置の特定は困難かもしれないが、地方またぐくらいには流されてない。

 心配すんな。また連絡……、あ、姉上? あ、ああ。わかった」

 

 通信機を置きながら、リンドウさんは頭を左右に振る。

 

「スミマセン。ユウ……、私、貴方に――」

「……あんまり抱え込まないようにね」

 

 自分の体を抱き、震えるアリサ。その姿はどこか見覚えがあるもので、見ているこっちも上手く笑えてる自信はない。

 

 たぶん――この子も、大事な人が目の前で殺される瞬間を見ている。

 今までの言動から考えて、あの、黒いヴァジュラが関わっているんだろう。

 

 そうした彼女に、かける言葉が何かあれば良いんだろうけど、こっちだってコミュ障なのだ。あまり自分の力を高望みしてはいけない。

 

 せめて、こう、考えてることとか感情だけでも、ダイレクトに伝えられる方法があったらいいのに――。

 謝り続ける彼女に、僕は言葉が続かない。どうにかしたいと思いはするけど、僕だって現状、戦力的には彼女と大差ない。

 

 武器がないことと、武器を手に取れないこと。

 前者だからといって、僕は彼女に何も言えない。

 

 ちょっと前まで、僕だって「そっち」だったのだから――。 

 

「おい。移動するぞ」

「……救助ポイントじゃないんですよね」

「お? 耳良いな。結構小声で話してたつもりだったんだが……」

 

 にやりと笑い、リンドウさんは続けた。

 

「その通りだ。でも、ま、ここよりかは安全かもな」

 

 彼の言わんとしていることが理解できず、僕とアリサは顔を合わせあった。

 

 

 

 

 

 

 霧が止まないのは、ちょっと前まで雨が降っていたからか。

 山岳地帯と言ったらいいか。極東支部から街跡をいくつか踏んで離れた位置。

 

「少しあっちに行けば寺があんだが、まーここまで歩くってのは遠いな。

 ……聞かないのか? どこに行くのか」

「……」

「……重症だな、こりゃ」

 

 僕の顔を見て、どうしたもんかとリンドウさんが頭を傾げた。

 すみません、と言うと、額をデコピンで小突かれた。

 

 以前、リンドウさんからも言われたことだけど、笑っている方がいくらか健康的なんだろう。今の僕の、とても笑えるような心境からして、いつもみたいに無理やり笑顔を浮かべられない現状からして、まさにそんな感じだ。

 

 一度は死を覚悟した。

 

 せんせいが子供達を逃がして、震える僕の手をアキちゃんが引いて。

 あの時の彼女の心境に、ダブるようなことをした僕だったけど、最期の最期で僕は彼女のようにはなれなかった。

 

 誰よりも笑わなきゃ、今までの全てが嘘のようになる僕だっていうのに。ギリギリのところで、僕は笑うことを止めてしまった。

 

 アキちゃんはどうしてあの時、笑っていられたのか。

 今でも思う。いや、今だからこそ、なおその思いが強い。

 

 結局、いつまで経っても僕は怖がりで。

 

 逃げ出してしまいたいっていう、その感情が強いだけの、頼りない子供なんだろう。

 

「――あそこの向こうだ」

 

 更に霧深く、そびえる山のシルエットすら怪しい。

 でも、この山だけは何かが違った。

 

 明らかに――遠目でもわかるくらい、明らかに周囲のような、土がむき出しの山ではなかったのだ。

 

「木……?」

 

 アリサの驚いたようなつぶやき。僕もそれには同意見だ。

 山の中に入り、足を進めて見てもまだ信じられない。

 

「アラガミに捕喰されないで、どうしてこんなに――」

 

 既に地表の植物に、光合成をするアラガミが取って代わって久しい今。これだけの自然が、無傷で残っていること事態既におかしかった。

 

 ただ、手を伸ばそうとするとリンドウさんの神機がそれを妨げる。

 

「ここの木には触るな」

「……はい」

 

 怖い顔だ。ただ、ツバキさんのそれと同じで何かを押し殺してるようなものだ。

 その顔をされると、僕は何も言えない。記憶にあるゴッドイーターのお姉さんがしていた目と一緒なのだから。

 

 ただ、そんな鬱屈とした感情は、思わず一瞬吹きとばされた。

 

 森を抜けて崖の上。近くにスロープのようなものもあるけど、その位置から見下ろした光景に僕は目を疑った。

 

 ダム近くにある、居住区。一言で言えばまさにそんな場所。

 家がいくつか連なり、絵本で見たことのある畑があるような。

 

「なんで、こんな場所が――」

「元、フェンリルの実験施設だな。色々あって、今じゃ放棄されてる。

 ちなみにダムは自家発電だ」

 

 肩をすくめてリンドウさんが言うが、その言葉さえ耳に入らない。

 

 

 じっと目を凝らす。ピントがぼけているけど、その視線の先には人影があった。

 

 そこで「彼女」は双眼鏡を外し――僕の顔を見て、目を見開いた。

 

 

 忘れもしない、あの時、受け入れる事の出来なかった一団に居た子だった。

 

 

 

 

 

 

   ※

 

 

 

 

 

 

 建物のスケールが狂っていてよくわからなかったけど、人の数は想像以上に多かった。

 物資を運搬している人。何かをチェックして回ってる人。

 健康状態を確認している、医者のような人まで居たのには心底驚かされた。

 

 リンドウさんの後に続いて、移動中に横に見つけたビニールハウスに足が止まる。

 

「――ここで食べ物を作ってるんだよ?」

「!」

 

 振り返れば、あの女の子が居た。ピンクのパーカーも洗濯されたのか、あの時より小奇麗に見える。

 女の子はにっと笑った。

 

「やっぱり。あの時のお兄ちゃんだよね?」

「う、ん。……無事で良かった」

 

 ごめん、という言葉が口から出かかったけど、女の子は首を左右に振った。

 

「リンドウさんに連れてきて貰ったの。ここに」

「リンドウ、さんが……? あっ」

「こっちこっち!」

 

 僕の手を掴み、彼女は僕を引っ張る。

 

 全力疾走するそれは、どこか記憶の奥底から郷愁みたいなものを引っ張り出してくる。

 

「んー、美味いな。極東でやってるクローニングとは大違いだな」

 

 ビールねーかな、と呟くリンドウさんの隣まで引っ張られ、「待ってて」と言って走り出す女の子。

 

 リンドウさんと、彼に小さい方のトウモロコシの粒の感想を聞いていた女の人。そろって何とも言えない笑顔を浮かべてくるのが、ちょっと反応に困った。

 

「結構、懐かれるじゃねーか」

「……うん。あの、ここって……?」

「予想は付くんじゃないのか?

 全員ではないが――極東支部に入れなかった人達だ」

 

 リンドウさんは、笑うこともなく自然に言った。

 彼が主導したのかと聞けば、それは違うと返される。

 

「俺は、手伝ってるだけだ。他にも支援者は居ないでもない。

 たまたま施設が放棄されてたってのもあるが、みんな自分の力で生きてる」

「……」

 

 言葉が続かない僕に、女の人はにこりと微笑む。

 

「――はい、これ。水のお礼」

「水? ……ああ、あの時のか」

 

 走ってきた女の子が、袋に入ったトウモロコシの粒をいくつか僕に手渡してくれた。

 笑いを返そうとして、でも、どうしても僕の頬は強張ったまま。

 

「お兄ちゃんたち、大丈夫? 顔、怖いままだよ?」

「……ごめん、ちょっとだけ。

 でも、ありがとう」

 

 きっと僕の表情は、滑稽なくらい上手く笑えていなはずだけど。

 でも、それでも彼女はふふっと楽しそうに笑った。

 

 

 彼女たちと分かれて、役所というか、メイン研究施設だったらしい大型の建物の中。

 僕等やリンドウさんを含めて、ここの場所の主要な人達が集って、現状の報告などをしていた。

 

「どうさー? 最近」

「またアラガミの侵入があって、何人か……。川に落ちて、流れはしたんですけど」

「そうか。……分かった。様子を見てくる。

 ユウ。神機持ってけ」

「あ、うん、はい」

 

 話しかけられると思ってなかったので、反応が完全にコミュ障モードだった。

 と、僕の顔をびっくりしたように見て、アリサはリンドウさんに聞いた。

 

「あ、あの、私は――」

「お前はここで、空でも見てろ」

「……はい?」

 

 きょとんと、可愛らしく呆けた顔をするアリサ。

 

 少しだけ笑いながら、リンドウさんは続けた。

 

「混乱しちまった時は空を見ろ。そんで動物に似た形の雲を探して数えんだ。落ち着くぞ?」

「なっ――」

「今、お前は、神機を握れるか?」

 

 リンドウさんに、アリサは言葉を返せない。震える手を見て、思うことは何か。

 薬もなく、暴走する感情はきっと辛いものだろう。

 

 そう考えれば、僕はどうなんだろう。

 

 アリサのようなそれは、引篭もった最初の一年でいくらか似たようなことは起こった。

 でも数えて半年を過ぎる頃。飢餓感が脳みそを埋め尽くした時点で、全部そういうのは吹き飛んだ。

 

 後はただ、配給や小さい生き物に頼って生きるだけで。

 

 トイレとかは仮設や公衆のものを借りていたけど、そのまま膨大な、死にそうなくらい長い間何もしないで過ごして。

 

「お、お風呂入りますか? 疲れているみたいだし、元気になりますよ?

 やっぱり女の子ですから」

 

 空気を変えるように、女の人がアリサに近寄る。

 それでも表情は、強張ったまま。

 

 それを見て、反射的に僕は口走った。一切オブラートに包まないで。

 

「……せめて、ゲロくらいは洗い流して来た方が良いんじゃないかな?」

「…………は、はい? へ?」

 

 僕の言ってる意味がわかっていなかったらしいけど、少しの間上を向いて何かを思い出し、合点がいったらしい。僕に背を向けて、ジッパーの音を鳴らす。

 

 簡単に言うと、心配蘇生の時に胸骨を強く圧迫する関係上、胃袋とか消化器にもダメージは入るわけで。

 そんなこと身体は想定していないから、まず何が起こるか。

 

 説明するまでもなく、水同様「色々と」噴き出すわけだけど、あの時はアラガミもいてそこまで洗ったりする余裕があるわけでもなかったので。

 

 ジッパーを下ろして顔を多少赤くしながら、アリサは振り返り僕に怒鳴った。

 

「は、入って来ますよ! 入れば良いんでしょう!?」

 

 なんだか大分混乱していた。

 女の人はいまいち理解していないらしかったけど、うん、やっぱり強気の方がアリサらしいと言えばアリサらしい。見てて安心できる。

 

 建物を出てから、リンドウさんが「お前何やったんだ?」と聞いてきたので、こちらはオブラートに包んで伝えておいた。

 

「……なんていうか、デリカシーって言葉知ってるか?」

「幼馴染の女の子いわく、優先順位次第ではそんなものクソくらえ、だそうです」

「随分口の悪い女の子だったこと……」

 

 ただ真顔で言ってると、ジョークだって分かり辛いぞとは言われた。

 こっちだってそうしたいのは山々なんだけど、強張った笑顔と果たしてどちらがマシなのか。

 

 呆れながらもそれ以上言ってこなかったのは、リンドウさんも多少元気に反論したアリサを見て安心したからだろうか。

 

 建物の裏に回ると、ガレージの扉を開く。

 温度がちょっと冷たい。一定の室温に保たれているそれは、どこか倉庫のようでもあった。

 

 リンドウさんは箱をいくつか手に取って、何かを探し始めた。

 

「えっと、Pの73……? 違うな。こっちか」

 

 そんな彼の声を聞きながら、僕は棚の上に置かれてる物資に目がいった。

 フェンリルのマークが描かれている、あるいは掠れたそれらを。

 

「……誰にも言うなよ?」

「……この配給物資、もしかして――」

 

 振り返ると、彼は背を向けたまま答える。

 

「そりゃお前、ここら辺で極東支部(あそこ)以外、手に入らないだろ。

 ……おいユウ、これ運べ」

 

 開いた口が塞がらなかった。

 

 リンドウさんと言えば、周囲の噂やヒバリさんから色々と凄い人だと聞いている。

 曰く、所属部隊の死者ゼロ。新人が実戦訓練として最初に合同で任務に向かうのが第一部隊なのは、主にそこに由来してるとか何とか。

 

 おまけに戦績は、ニュースを見るべくも無くあの戦闘能力だ。

 

 僕に何も出来ないと諭したあの時の立ち姿も含めて、もっとこう、ツバキさん並でなくても厳しい人だと思ってたけど――。

 

 山の中に入りながら、僕等は歩く。

 

「リンドウさん、これって……」

「偏食因子って、知ってるだろ? 俺達や神機にもあるアレだ」

 

 教本にも書かれてるし、メンタルチェックの時にメガネのお医者さん(?)からも軽く説明を受けた。

 偏食は要するに、好き嫌いする傾向ということだ。建物を中心に食べるアラガミも居れば、植物を中心に食べるアラガミも居て。

 

 その中には、人間の骨とか、もっとピンポイントで食べる奴らだって――。

 

 そんなことを考えてると、大きな物音。振り返れば、その先にはゆっくりと足を進めるオウガテイルの姿が。

 

「――!」

「見てろよ」

 

 歩いていたオウガテイルが、いくつかの木に接触する。

 すると突然、木の幹が裂け――黒と橙色の光を放つ「中身」を露出させた。

 

 まるで捕喰形態の神機のような色合いのそれに、僕は呆気に取られる。

 

 そしてそのまま、まるで槍か何かのように中のそれが伸びて、オウガテイルの体を貫通した。

 

「戦力的には大したことないが、まー、オウガテイルくらいなら勝手に捕喰してくれる。

 で、まあこのアンプルは『俺等』含めて、こいつらの大好物って訳だ。逆もまたしかりって訳だが」

 

 しゃがみこんで持ってきた箱を空け、リンドウさんは筒状のそれを木に刺す。

 いや、もはや木とは呼べないかもしれない――形状こそほとんど普通の自然と大差ないけど、これは、間違いなくアラガミだ。

 

 いや、ひょっとしたら「木に寄生する」アラガミか何かなのかもしれない。じゃなきゃ、ここまで原型を留めはしないだろうから。

 でも。

 

「……アラガミを育ててるっていうのは、分かりました。でも……」

「……心配か? いつ、また何が起こるか」

 

 リッカさんは言っていた。オラクル細胞由来のものはブラックボックスが大きいと。

 ここにある木々だって、いつまた突然変異でも起こすかわかったものではないという、不信感が僕の中にはあった。

 

 リンドウさんは深く息を吐いて立ち上がる。

 

「コイツの最初の奴を見つけたのは偶然だったが、神機も、俺等だってある意味アラガミだってのは分かってるな」

「……」

「生き残るためなら、アラガミだろうが何だろうが、使えるものは何でも使う。縋れるものなら何でも縋る。

 俺もサクヤも姉上も、そうやって、外を這って生きてきた」

 

 リンドウさんはタバコに火を付け、僕の目を見ないで続ける。

 

「お前も、そういうことを理解してゴッドイーターになったんだろ」

「……覚悟は、ありますけど、簡単にそんなこと言えません」

 

 気持ちだけ固まっていても、力が追いついていなければ何の意味もない。

 引篭もる直前のことから、今日に至るまでずっと思い知らされて来た現実だ。

 

 だから、リンドウさんが続けて言った一言に、僕は呆気にとられた。

 

 

 

 

 

「――もう誰からも失わせないっていうのは、『自分自身すら』既に、自分から失われた奴の言葉だ」

 

 

 

 

 何で、そんなことをこの人が言うんだと。

 何も知らない筈なのに。僕以外誰も知り得ない筈なのに、どうしてそんなことを――。

 

「僕は……ッ」

 

 煙を吐き、リンドウさんは目を閉じて、開く。

 

「自分が無くなっちまったんなら、もう一度、自分を持て。何でもいい、新しい自分を探せ。

 そして考えろ。自分が、どうして戦うのか。

 忘れるな。自分が――何のために戦うのか」

 

 繰り返すように、リンドウさんは同じ事を言う。

 

 少しの間の沈黙。

 そして、僕は口を開こうとして――木々が薙ぎ払われる音が聞こえた。

 

 舌打ちをして、リンドウさんは僕に行くぞと指示を飛ばす。

 崖の下、現れたのはヴァジュラ。まるでローラー車のように、地面を整地していく様は、いっそ酷いものだった。

 

「……?」

 

 と同時に、サイレンの音が響く。また舌打ちをするリンドウさん。

 

「……木を超えて来たアラガミが居るなぁ。たぶん、デカイぞ」

「ッ!」

「ユウ。ミッションだ」

 

 ヴァジュラを見下ろしながら、リンドウさんは言う。

 

「お前はあっちに戻って、皆を守れ」

「っ! で、でも――」

「それから、誰一人死ぬ事は許さん。お前もだ」

 

 あの時みたいな真似はするなと、リンドウさんは再度釘を刺す。

 対する僕は、どうしようもない。

 

「そんなの、どうやって……。神機も動かないのに――」

「これは命令だ」

 

 僕の目を見て、リンドウさんはいっそ凄む。

 

「お前が死ねば、きっと皆死ぬ。

 誰も助かりはしない」

 

 いっそ脅迫じみた言葉であったけど、でも、事実だ。

 アリサが回復してることに望みをたくせるほど、僕は精神的なダメージを甘く見て居ない。他ならぬ僕自身が、五年近くそうだったのだから。

 

 リンドウさんは、でも、少しだけ微笑んだ。

 

「……あんまり人には言うなよ?

 俺も、実は何度かコイツをぶっ壊しかけてる」

 

 自分の神機を見下ろして、彼はどこか、それを慈しむように続ける。

 

「でも、それでもコイツは、俺の相棒(レングル)は立ち上がってきた。何度動かなくなっても、いつだって俺に力をくれた」

 

 その言葉は、実際無理だろうという僕の心境こそあれど、でもそれ以上に間違いなく僕の体に染み渡っていき。

 

「だから信じろ。自分の相棒を――神機を。

 走れ、神薙ユウ!」

「――ッ、行って来ます」

 

 頭を深く下げて、僕はソングバードを握って、ダムの方へ向けて走り出した。

 

 

 

 

 

   ※

 

 

 

 

 

「……Genau(アタリだ)

 

 家々から上がる煙に紛れてはいるけど、見え隠れするシルエットは大きい。ヴァジュラ並かそれ以上。

 リンドウさんが言った通りだが、それでもその姿は、見たことのないものだった。

 

 らしくもなく舌打ちをしながら走る。

 

 僕よりは年上だろう、でもまだ若い男の人。見覚えのある彼は、ボウガンを構えて狙撃して足止めをしていた。でも案の定と言うべきか、ダメージは対して通ってない。

 

 腕の刃が振り下ろされる瞬間、僕は走って彼と一緒に転がった。

 

「あ、アンタ――」

「久しぶりですけど、まずは逃げて」

「~~~~逃げられるか、攻撃だって怯まないんだぞ!」

 

 武器の関係上仕方ないのだけれど、それでも背後から聞こえるアラガミの叫びに、僕は彼を抱えて走る。

 

 すぐさま僕等が居た場所に振り下ろされる。その鉄槌が肉体を砕いた瞬間を連想でき、とてもじゃないけど周囲に目を配れない。

 

 アラガミは、かなり特徴的な姿をしていた。上半身は鎧のようなもので覆われていて、人間でいう胸の部分に口がある。頭は胴体とほぼ一体化していて、両腕はオウガテイルの顔を左右に分割したようなそれ。

 下半身はサソリのようなそれで、ご丁寧にランスのような尻尾までついていた。

 

「アリサ!」

 

 何度か声をかけても、反応はない。

 予想通りとは言え、これはなかなか痛手だった。

 

 僕の背後にも人は数人。抱えている人は一人。おまけにソングバードは使い物にならないと来てる。

 

 このままじゃ皆死んじまう、という当たり前の叫びに、僕の頭は逆に冴えた。

 

「……目くらましになるようなもの、ありますか?」

「あ、ああ。旧式の手榴弾くらいなら――」

「下さい!

 みんな、合図をしたら走って! 建物の影に隠れて下さい!」

 

 手渡された手榴弾の詮を噛んで引き抜き、合図を叫び、僕はアラガミの胴体目掛けて投げた。

 

 本当は口を狙ったんだけど、コントロールは射撃ほど上手じゃない。でもゴッドイーターの身体能力によるごり押しか、上手く敵の視界を封じることは出来たらしい。

 

 建物の影で、僕等は肩で息をする。

 がしゃりという音からして、ひょっとしたらあの大きな両腕で爆撃は防がれたかもしれない。

 

 最初からダメージを狙ってやったことでないとは言え、これは今後の状況に不安が残る。

 

「他のみんなは大丈夫ですか?」

「多分、避難所に隠れてるはずだ」

「他に居るかもしれないけれど、現状外に出てるのは皆さんだけってことですか」

 

 数を数える。子供を連れた母親まで居る現状、今の僕で守りきるには多すぎる人数だ。

 こんな、こんなところでも自分の力不足を痛感させられる。

 

「……せっかく、フェンリルに見捨てられてから少しずつやって来たのにッ」

 

 小さい頃の僕が、せんせいに拾われなかったら、きっとここは希望の場所だったことだろう。終わりだと嘆く彼の心境が、所詮他人事と言われても僕には痛いほどわかった。

 

「リンドウさんは?」

「……山の方でヴァジュラに当ってます。数人ならともかく、一対一だと時間が掛る」

「ッ!

 ……アンタ、ゴッドイーターだろ!? 何とかしてくれよ!」

 

 この状況でも、この人達はきっと幸運なのだと、心のどこかで冷めた目で思ってしまう僕が居る。

 目の前で、いとも簡単にゴッドイーターの身体が弾ける瞬間を見て居ないのだから、と。

 

「また見捨てるのか!」

「……アキちゃん、せんせい」

 

 不思議とこの状況でも、僕の脳裏に惨劇のフラッシュバックは訪れなかった。

 その代わり――リンドウさんの言葉が脳裏を過ぎった。

 

 ――考えろ。自分がどうして戦うのか。

 ――忘れるな。自分が何のために戦うのか。

 

「……僕は」

 

 今こそ、考えなきゃならない。

 止まっていた時計を動かすのは、まだ先で構わない。

 

 でも、ここで足踏みする時間は――僕にはない。

 

 いつか言ったじゃないか。立ち止まる事は出来ないのだと。

 

 なら考えろ――どうすれば、「みんな」助けられるのかを。

 

――耳に聞こえる、水の音。

 

「――ッ! 

 お風呂があるってことは、電気……、ダム、動かせますよね!」

「あ、ああ……」

「……周りの地図、簡単なので良いから描いてもらえますか?」

 

 描かれた地図は、ここに来た時に俯瞰した通り。

 より細かくに見えた範囲は、ダムの管理所とかだ。

 

 何をするつもりかと問われて、僕は、強張ったまま苦笑いを浮かべた。

 

「僕の神機は、今、とてもじゃないけど使えません。

 だから――あのアラガミを、ここから追い出します」

 

 驚く彼等に、プランを話す。酷く単純なこととしては、湖に誘導して落すだけ。その後にダムを放水すれば、そのまま流されるだろう。

 あの巨体に加えて足の構造。水流に足を取られれば、上流たるここに帰ってくることはあるまい。

 

「で、でも、あんなのどうやって落すんだよ」

 

――使えるものは何でも使う。

――こいつらの大好物って訳だ。逆もまたしかりって訳だが

 

「……筒の、アンプル。

 あれがあれば、たぶん怯ませられる!」

 

 オウガテイル相手では倒すことが出来ても、あのサイズ相手には大してダメージにはならなかったろう。

 でもその代わり、体内に直接注入すれば?

 きっと毒物のごとく、あれにダメージを与えられるはずだ。

 

 倉庫の場所は、反対側。

 しばらく沈黙した後、僕は、唾を飲んで言った。

 

「……僕が囮になります。その間に誰か、アンプルを取ってきて下さい」

 

 三人が息を呑む。

 

 腕時計を握りながら、僕は、彼等に言う。

 

「僕だけじゃ無理です。さっきも言った通り、今、アラガミに立ち向かうための武器が使えない状態にあります。

 でも、だから――助けて下さい」

 

 頭を下げる。そこに、他の感情は一切含め無い。

 ただただ思うことは、一つ。

 

 せんせいや、アキちゃんのように。

 

 僕の目の前で、誰も、誰も失わせたくないという、その感情。

 

「……みんなでやれば、きっと、この状況、覆せます」

 

 顔を上げて、再度、僕は彼等の目を見て、頼む。

 何を思ってくれててもいい。恨んでいたっていい。殺したいくらい憎くたって構わない。

 

 でも、だからこそ。

 

「僕に――力を貸して(アンプルを繋いで)下さいッ!」

 

 それをしてなお、優先順位だけはどうか、間違えないでくれ。

 

 それが伝わったのか、彼等は驚いたように押し黙る。

 

「……私、やる!」

 

 ややしばらくして、聞こえてきた声。

 振り返った先には、あの女の子が立っていた。

 

「必ず繋ぎます。だから――みんなを守って、ゴッドイーター!」

「……ありがとう」

 

 この子は知ってるはずだ。僕等だって万能じゃ無い事を、目の前で見せつけられてる。

 それでもなお、希望を持って僕に笑いかけてくれるそれが、とても眩しくて、同時に怖くて――。

 

 それでも、今はその顔が、何より嬉しかった。

 

「……よし、じゃあ俺はダムに行って、放水の準備を。お前、付いて来てくれ。

 アンタはこの子と一緒に」

ライト(わかった)!」

「行こうッ」

 

「みんな……」

 

 自然と、目頭が熱くなる。でもそれは後回しだ。

 ボウガンを持っていた彼が、僕を見てふっと微笑む。

 

「名前、教えてもらってもいいか?」

「……ユウです。神薙、ユウ」

「じゃ、頼んだぞ――ユウ!」

 

 立ち上がり、僕はボウガンを受け取る。

 

 

「――さあ、行こうか!」

 

 

 僕の掛け声に頷いて、全員、それぞれが走り出した。

 

 

 

 

 

   ※

 

 

 

 

 避難所に向かおうとしている相手の、頭部に向けてボウガンを狙撃。

 ダメージが通らなくても、気が散る程度の攻撃にはなるだろう。人間だろうが動物だろうが、頭部付近への攻撃はそれなりに神経質になるものだ。

 それを体感したのが、廃墟で寝てた時に耳元でネズミの声が五月蝿かったからっていうのもアレなんだけど。

 

「こっちだ!」

 

 誘導は、最低限居住区からベクトルを剃らせれば良し。

 矢を射る動作に慣れて無いけど、ソングバードの狙撃の反動に比べれば全然簡単だ。

 

 幸い風は出て無い。ニ、三発撃った分で要領を得て、僕は狙撃を続ける。

 

 今頃ダムと倉庫は大丈夫だろうか。準備ができたら、場合によっては合図を送らないといけないのだろうし、最低限ボウガンを残しておく必要はありそうだ。

 

 射撃をしながら、何箇所か別な場所にも当てる。

 

 音を聞く限り、盾と尻尾の部分の音が違った響に聞こえるけど、構造が何か違うのかな?

 

「――ッ」

 

 そんなことを考えてると、尻尾がこちらに振り下ろされる。

 それを交わしたまでは良かったけど、続けざまに回転されて、弾き飛ばされた。

 

 ソングバードが盾代わりになって直撃のダメージはなかった代わりに。

 

「矢のストックが……ッ」

 

 弾き飛ばされた衝撃のせいか、残り数本のうちほとんどが抜け落ち、残った三本も柄が折れていた。

 

 体を前傾姿勢に倒すアラガミ。その背で脈動する音が、明らかに平時のそれではない。

 案の定、まるでミサイルか何かのように放たれる突起物。

 

 交わすほか無い僕だけど、背後で施設が一つ爆発する。

 

「ッ、このッ」

 

 子供の悲鳴が聞こえた。たぶんあの子のものだろう。

 

 位置関係からいえば、ガレキに巻き込まれているかどうか、というところか。

 

 接近してくるアラガミは、こうして見るとサリエルの時とはまた別の威圧感を与えて来て。

 でも、そのサリエルすら喰らった巨大なあのアラガミほどではない。

 

「あ――ッ!」

「ッ! 大丈夫!?」

 

 手押し車に振り回されながら、女の子がアンプルを運んできた。とするとさっきのアレで、庇われたかたまたま避けることが出来たか。

 どちらにしても、後で助けにいかなきゃならないだろう。

 

「と――」

 

 女の子は、アンプルを手にとり。

 僕は、何をするか察して手を伸ばし。

 

「「――届けええええええええええええッ!」」

 

 唱和する僕等の声。間で投げ渡されるアンプル。

 攻撃をかわし、走りながらそれを掴み取り、僕はボウガンに乗せて前足に狙撃した。

 

 結果は、案の定か。予想してた通り、毒物として一定のダメージがあったらしい。

 

 アラガミは、逃げるように数歩後退。

 

 アンプルを取りに駆け寄り、僕は女の子の頭をなでた。

 

「ありがとう。もう大丈夫。

 隠れてて?」

「う、うん!」

 

 少し照れたように笑ってから、女の子は走る。

 

 アンプルを矢筒につめて、僕は再び構え。 

 

「あああああああああああッ!」

 

 走る。走りながら、胴体と、頭を、前足に打ち込む。

 前足の音が尻尾のように響きが違う。ひょっとすると、これは何か共通点でもあるのかもしれない。

 

 そんなことを思いながら、徐々に、徐々に距離を詰める。

 

 後少し。あと数発。

 

「これで――ッ!」

 

 ボウガンに詰めたそれを、僕は最後の一撃とばかりに狙いを定め撃ち出し――。

 

 弾かれた金属のような音に、衝撃を受ける。

 

 

「……盾ッ」

 

 

 いや、当たり前ではあった。両腕のそれを合わせて、仮面を思わせる盾をこちらに向け接近してくるアラガミ。

 数発アンプルを狙撃するも、やっぱり貫通はしない。

 

 徐々に位置関係が代わり始める。横にずれて回りこむその動きは、逆に僕をダムに向けて追い落そうとしているかのようで――。

 

 舌打ちが出そうになるのをこらえて、矢筒を探る。

 

 残りのアンプルは、一つ。

 

「……何か、ないのかッ」

 

 ちくしょう、と。拳を地面に叩き付けたい衝動を胸に、目の前で叫び声を上げるアラガミをにらむ。

 

 

――だから信じろ。自分の相棒を――神機を。

 

 

 どうしようもないこの状況で、アンプルに印字されていた「それ」が僕の目に入った。

 

 

「……P、64?」

 

 

 脳裏に、まだゴッドイーターになる直前の、ある会話が再生された。

 

――これから君に埋め込まれるオラクル細胞。P53偏食因子についてだけれどね。これこそ、私達研究者が、半世紀すらかける余裕もなく打ち出した苦肉の策の、一つの完成形だ。

 

――ゴッドイーターは、己の武器にある因子と、自分の体内との因子を同調させて戦うのだがね。

 

 

 異なる番号。だけれど、不意に脳裏に映ったのはあの黒いヴァジュラが捕食する光景で。

 気付けば、僕はボウガンを落し。

 

 

「――あああああああああああああああああッ!」

 

 アンプルを、ソングバードの抜いた止め具の箇所に、刺した。

 

 

 

 

 

 鼓動が、聞こえた気がした。

 

 

 

 

 コアが爛々と輝き、まるで、何かをしろと言わんばかりに僕に何かを訴えかけてくるような。

 

 脳裏に映し出されるのは、黒いヴァジュラに砕かれたソングバード。

 剣は折られ血を吹き、銃は千切られ微動だにできず。

 

 でも――ソングバードの柄を、殴るように押し込む。

 

 

 

 そこには、今までがまるで嘘のように、元気に蠢く「黒い顎」があった。

 

 

 

「まだ――、まだ残ってた!」

 

 ソングバードの装備で、唯一まだ破損していなかった武装。

 

 思わず泣きそうになりながら、それをアラガミに向けて伸ばし、前足を含めた胴体に噛みつかせる。

 まだだ。大きさが足りない。

 

 このままでは押し負ける――。 

 

 

 そう思った瞬間、ふと、僕の両腕の重さが軽くなる。

 

 また幻覚でも見てるのか――僕の左側から、緑色の制服をした彼女の腕が、そっと一緒に、ソングバードの持ち手を握り、堪えていた。

 

 視界の端で、赤毛がゆらめく。

 

 

 僕は――僕と彼女(アキちゃん)は、吼える。

 

 

「『ああああああああああああああああああああ――ッ!』」

 

 

 まるで獣のようなその、僕と、彼女の声が重なる。

 咄嗟に僕は、ソングバードに刺さった五本あるうちの一つを抜き取った。

 

 

 捕喰形態の顎の中から、弦が、猛烈な勢いで噴き出す。

 

 

 顎の上下を被い、更に大きな形へ捕喰形態の顎を拡張。

 でも、まだ足りない。まだコイツを押さえ込むには――。

 

 残りの止め具は、四つ。

 

 躊躇わず、僕は二本抜き取った。

 

 

 

「『――ああああああああああああああああああああッ!』」

 

 

 全身に、今まで以上の力がみなぎるのを感じる。黒いヴァジュラと戦っていた時、一瞬感じたアレと同じだ。

 でも、今度はあの時とは違う。明確に、その脈動は「僕」のそれと重なり、蠢く。

 

 爆発するように、一度形成されていた巨大な弦の顎が、更に強化。

 爆発するように、真っ黒な顎がどんどん巨大なものになっていく。物理法則も何もあったものではない。

 

 そしてむしろ、それは勢いを増して、アラガミを後ずさりさせていた。

 

 

『押し込むよ、ユウ!』

「ああああああああああああああああ――ッ!」

 

 

 

 そのまま、力任せに僕はソングバードを持ち上げ、アラガミを人工湖に落した!

 

 

 

 一瞬這いあがろうとしたそれに向けて、アキちゃんが柄を引く。

 

 次の瞬間、巨大化した顎が閉じ、アラガミの片腕の盾を破壊した。

 

 

 ソングバードを横に、僕はその場で倒れ込む。

 腰を抜かしたように起き上がり、隣に立つ彼女(ヽヽ)の気配を感じながら、流れて行く尻尾を見る。

 

「……アキちゃん?」

 

 左を見れば、そこには誰も居ない。

 ただ、剣形態に戻って破損したままの半身があるだけ。

 

 彼女の影はどこにもなく。居た形跡すら見当たらない。

 

 ただ僕は、ソングバードに手を伸ばし、撫でて。

 どうしてか、思わず笑ってしまって。

 

「おかえり」

 

 僕のその言葉に、ぎらりと、コアの部分が一瞬だけ光を返した。

 

 

 

 

 

 

 

Episode 7. 信じろ

 

 

 

 

 

 

「ユウ」

「! リンドウ、さん」

 

 ここの皆に囲まれて、感謝されていて対応に困って居ると、リンドウさんがやって来た。

 タバコを咥える顔は、力を抜いて笑っていた。

 

「よくやったな」

「……リンドウさんの、お陰です」

 

 ソングバードを握りながら、僕は彼に言う。

 

「こいつも、まだ死んでなかった。ちゃんと、力を貸してくれました」

「そいつは良かったな」

 

 にっと笑うその表情が、でも、どうしてかいつもの笑いとは少し違うような気がして、僕は聞いて見る。

 

「いやー、気付いてないのか? ユウ」

「はい?」

「お前――今、ちゃんと笑えてるぞ?」

 

 言われて、初めて気付いた。

 力が抜けて、自然な形で、僕の頬は軽く釣り上がっていた。

 

「答えは見つかったか?」

「……まだまだ、先だと思います。

 でも、少しずつ考えていこうかと思います」

「そうかい」

 

 リンドウさんは、それ以上何も言わなかった。

 

 僕も、そのことについてはそれ以上は言わなかった。

 

 

 少し顔を洗ってくると言って、その場を後にする。

 

 

 

「僕は――神薙ユウ」

 

 

 確認するように、ソングバードを見ながら言う。

 

「……『この名前でいられる事』を、もう少しだけ、もっと、喜んでもいいのかな」

 

 その言葉に答えてくれるヒトは誰もいなかったけど。

 でも、少しだけ僕は、自然と前を向いて歩いていた。

 

 

 

 




「……あ? そういえばアリサの奴は……」


 ――きゃあああああああああああああああッ!


「ゆ、ユウお兄ちゃん!?」
「……何があった、会館の方」


※本編11話に合わせて一部変更
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