遅すぎるのは分かっていますが艦これとは違う史実寄りの世界観を分かって欲しかったと言いますか…。
あっ、そうだ(唐突)。前回の後書きが地味に増えてるのでよろしければ。二人の提督の概要です。
1926(大正15)年 京都・舞鶴工作部
秋も深まり愛宕山も真っ赤に染まる11月、舞鶴のドックで一人の艦娘が誕生しようとしていた。
軍楽隊による軍艦マーチの中、幕から出てきた艦娘はとても小柄な少女だった。黒いセーラー服を着て白い髪を背中まで伸ばしている。手には12cm単装砲、三日月の飾りがついたベルトには爆雷を装着している。
少女は岸壁に上がると、不敵な笑みを浮かべて言った。
「私が第三十一号駆逐艦だ…共にゆこう」
初老の男が声をかけた。
「工作部長の黒田琢磨少将だ。第十九号型駆逐艦8番艦だな」
「うむ…そうだ。でも…姉さんと13も番号が空いてるが…」
「ああ、そのことか。命名に色々あってな。ちゃんと8番目だから安心してくれ」
「そうか…」
「私の隣が斎藤中佐だ。君の責任者となる。諸々の事は彼に聞いてくれ」
「んっ…了解した」
「私が斎藤二朗中佐だ、よろしくな。最新最強の十九号型の艦長になれてうれしいよ」
「んっ…褒めても何も出ないぞ」
お披露目が終わり、関係者が解散していく。工廠作業者が幕の骨組みの解体を始めた。
海軍の造船所としては小さいが駆逐艦建造の最先端をゆく工廠が舞鶴工作部である。その責任者、黒田はドックを眺めながら一人煙草に火をつけて瞑想する。今日でまた一隻、いや一人の艦娘が生まれた。
「最新最強の駆逐艦か…」
確かに第十九号型は最新最強である。12cm砲が4門、61cm魚雷が6射線は欧米と比較してもかなり強い方になる。むしろ彼女らを超えているのは
その軍艦は船台を一杯に使って建造されていた。まだ船体が完成した程度で艦橋や煙突は未完成だ。主砲が乗るべき場所も丸い穴が開いているに過ぎない。
今日の関係者も小型の軽巡とでも思ったのか注目しなかった。天龍や夕張という前例もあるので仕方ない。
だが、それこそが最新鋭の大型駆逐艦の一番艦なのだった。
その年の晩年、西洋諸国ではクリスマスイブで賑わっている12月25日の未明、日本の頂点に位置する天皇が崩御。摂政だった長男が皇位を継承した。その朝、国民がラヂオや新聞でその事を知り国全体が喪に服す中、年号は「昭和」と改められた。国民の平和、世界の共存繁栄を願うという意味を込められたこの新しい時代はどうなって行くのだろうか。
1927(昭和2)年 京都・舞鶴工作部
月日は流れ、第十九号駆逐艦が就役したのと同じ11月。ついに完成した大型駆逐艦は進水した。
後ろ向きにゆっくりと舞鶴湾へ入っていく姿に作業者達は安堵と喜びで一杯になった。この年の春に起きた北丹後地震で工廠も多少の被害を受けて工事がストップしていたので尚更である。
「第三十五号駆逐艦」と命名された駆逐艦は進水式を終えると曳船に引っ張られて岸壁に接岸する。各種試験が終わると再びドックへ入れられた。
枠に幕を張ると神官の出番である。
神官が祈祷をすれば天女に作業は任せられるのでどう艦娘に変わるのかは分からない。
1928(昭和3)年6月 神奈川・浦賀船渠
半年後の6月。張作霖が爆殺され、支那の北京が北平と改称されるなど支那での事柄に新聞が夢中になっている頃、とある艦娘が誕生する。
浦賀は横須賀に次いで神奈川で有名な造船所がある。浦賀船渠は民間でありながら西の藤永田、東の浦賀として駆逐艦の建造で有名だ。
そのドックの一つから現れた艦娘はとてもスマートで洗練されており、見に来た士官達が驚きの声をあげる。
セーラー服に艤装を身につけた三つ編みの少女はたくさんの人の出迎えに驚き目を白黒させながら言った。
「あ、あの…第四十三号駆逐艦と申します。よろしくお願いいたします」
おお、と再びどよめきが走る。第四十三号はどうして良いか分からず辺りを見渡している。
「第四十三号!本職が艦長の有馬直中佐だ。よろしく」
「は、はい。あの、がんばります」
「実は君が一番先に竣工したんだ」
「えぇ!?第三十五号お姉さんは?確かに進水は二番目だけど…」
「造船所によって工程管理が違うからね」
「さよう。私達は藤永田に負けないように頑張らせて頂いた。だが一番になるとは思って無かったな」
浦賀船渠の社長の男性は胸を張る。
「ここは帝都にも近い。その上新型が一番先に完成すると聞いて海軍さんも大勢駆けつけたようだね」
「ほ、本当ですか?嬉しいです」
艦娘が微笑みながら軍人の方を見ると報道部の記者達は盛んにフラッシュを焚いた。
こうして新型駆逐艦の歴史は始まったのである。
1928(昭和3)年8月 京都・舞鶴工作部
そして夏が深まる8月。世間は相変わらずの不景気で苦しみながらもアムステルダムオリンピックで日本人が三段跳と競泳で勝ち取った始めての金メダルに熱狂していた。
そんな中、舞鶴では一人の艦娘がようやく完成を迎えようとしていた。
軍艦建造にお馴染みの幕が張られたドックに私は赴いた。先任から仕事を引き継いでから巨大空母から駆逐艦まで様々な水上艦の竣工に立ち会ったが、目の前にいるはずの艦娘こそ私が一から設計した初めての艦娘である。その感動もひとしおだろう。順番こそ浦賀の磯波が先になってしまったが、この艦娘こそ特型駆逐艦一番艦である。
軍艦マーチの演奏が始まり、職員によって幕が取り払われた。
ドックの中心にいた少女は紺と白というよくみるセーラー服であった。最近ようやく世間に定着し始めたスカートを履いた女学生の制服のようである。もみあげを伸ばしたおかっぱ頭なのも人間と変わらない。しかし、背中に煙突とマストを背負い、ももには三連装魚雷発射管。そして手には新開発の12.7mm連装砲を持っており、艦娘らしい格好をしている。
「はじめまして、第三十五号駆逐艦です。よろしくお願いします」
少女は岸に上がると元気よく言った。私は胸が一杯になりながら答えた。
「待っていたよ。特型駆逐艦」
「あなたは?」
「君の設計者、藤本喜久雄造船大佐だ」
「設計者…私のお父様ですね」
「そうなるな。後、第三十五号ではなく吹雪だ」
「吹雪?」
「うむ。4月に三等駆逐艦が現役を退いたから大量に名前が浮いてね。8月1日に一斉に命名されたんだ。だから君は特型駆逐艦一番艦吹雪だ」
「吹雪か。いい名前です。ありがとございます」
「で、彼が艦長の横山得治郎中佐だ」
「横山です。よろしく」
「はい。よろしくお願いします」
「今後は彼の言う事を聞くんだぞ」
「はいお父様!」
「では今夜は宿舎に泊まろうか。これからの事は明日言うよ」
「了解です。艦長」
横山と宿舎へ向かう吹雪の背中を私は見続けていた。
「藤本君」
「え?。ああ黒田工作部長ですか。今まで娘がお世話になりました」
「吹雪は素直そうな艦娘だな」
「はい。そのようです」
「また菊月みたいな勝ち気で無口な艦娘だったらどうしようかと思ったよ」
「個性はバラバラですからね。いくら軍隊とは言え全く同じよりは良いと思いますが」
「そうだな。特型は素晴らしい性能だと聞く」
「ええ。磯波で実験しましたが凌波性も計算通りです。これなら外洋でも縦横無尽に駆け巡れます」
「そんな駆逐艦は世界でも特型だけだろうな」
「私が一から設計した艦娘の第一号としては十分過ぎる結果ですよ」
私は会心の笑みを浮かべて胸を張った。
特型駆逐艦は日本の造船技術が欧米に並んだだけではなく追い抜いたという証となり、昭和海軍を支えていくことになる。だが、その存在によって後輩達が苦しめられる事は誰も予想できなかったのである。
吹雪って一番艦なのに竣工は6番なんですよね。
宮津という舞鶴の隣の湾(天橋立が有名)で発生した北丹後地震は進水前に発生していますし、進水は姉妹で一番早いです。それなのに就役が6番なのはなんでですかね。やっぱり主人公として影が…。
まあ一番早く完成した磯波(第四十三号)が長女と言うのもそれはそれでまた影が…。
いえ、僕はしばふ艦や吹雪が好きですからね?初期艦でも真っ先に気に入って、選択しましたし。
編成のNEWソートで一番最後に表示されるのが吹雪改二です。その次が天龍になってるのはお察し。白雪は別に沈めた訳じゃないですけど。
ちなみに、僕はゲームで主人公とか王道キャラを選びます。(意味深な発言)