暗殺教室 鶴久紅の事件ファイル   作:残月

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まだE組には行きません


説明の時間

 

 

 

 

椚ヶ丘中学校から帰路に着いた俺は家の前で立ち止まる

 

 

「まだ店が開くには時間があるか」

 

 

時計を見た後にまだ暖簾が上がってない玄関を見る。

俺の家は祖母が経営してる居酒屋『大和屋』

俺の両親は基本的に仕事で家に居ないので俺と妹は祖母の家に移り住んでいた。

その後、誰も居ない家に意味は無いと実家を売り払い両親も祖母の家に帰るようになった

バーさんは「いい迷惑だよ」と言いながらも偶に帰ってくる両親を喜んでいたようだった。

滅多に帰ってこない両親の代わりにバーさんが俺や妹の保護者となっていた。

俺は両親に会えなくても店のバイトや店に来るお客さん達が騒がしいので寂しいとは思わなかった。

妹も最初の頃は泣いていたが店に来るお客さんには面白い人達も多く、最近では笑うことも多くなった。

俺はE組に落ちたが、その日々は変わらないだろう。

そう思いながら俺は玄関を開け、家に入る。

 

 

「ただいまー」

「この糞ガキャア!」

「へぶっ!?」

 

 

店の玄関を開けたと同時にバーさんが俺の顔面にドロップキックを決めていた。

扉を吹き飛ばしながら倒れた俺は鼻を押さえながら立ち上がる。

 

 

「帰ってきた孫をドロップキックで迎えるな糞ババァ!」

「やかましいこの糞ガキ!聞いたぞE組行きなんだって!」

 

 

ドロップキックを抗議した俺だが何故かバーさんが俺がE組編入の件を知っていた。

俺でさえ今朝知った事をなんで把握してるんだよ。

 

 

 

「あー済まない。我々が話したんだ」

 

 

バーさんの背後から声が掛かる。

まだ店が開く時間では無いし、店の常連の声でも無かったので俺は首を傾げた。

 

 

「俺は烏間惟臣。E組の担任だ」

 

 

軽く頭を下げたその人は鋭い目付きで黒いスーツを着た男性だった。

 

 

「あー……俺がバーさんに言う前にバレてたのそーいう事ですか」

「済まない。担任として、挨拶と説明をしなければならなかったんだ。キミにも説明する事があるから来てくれるか?」

 

 

そう言って烏間さん、もとい烏間先生は店の外へ出て行った。

説明だけなら店の中でも良いのにと思ったが俺は烏間先生の後を追った。

店を出る際に「店が開く頃には帰ってくるんだよ」とバーさんから声が掛かる。

りょーかい、と軽く返事を返した俺は烏間先生を追って小走りになった。

 

 

 

烏間先生に追い着いた先で俺は絶句した。

烏間先生が待っていた場所には黒塗りのリムジンが待ち構えていたのだから。

 

 

 

「さ、乗ってくれ」

「烏間先生、何者?」

「それも説明するから乗ってくれ」

 

 

俺の問いはリムジンに乗ってから行われる事になった

 

 

 

「まず改めて自己紹介させてもらう。俺は防衛省の烏間惟臣だ」

 

 

そう言って烏間先生は懐から名刺を取り出して俺に渡す。

確かに防衛省と書いてはあるが……

 

 

「なんで防衛省の人がE組の担任してんスか?」

「事情があってね。その事情にはキミもこれから関わってくるんだが」

 

 

どんな話が来るのだろう。

そう思った紅は俺を聞くべく身構えた。

 

 

 

話の内容は俺の予想を右斜め遥か上空を行く物だった

 

 

 

先日、月を七割消した犯人がなんとE組担任なのだと言う。

しかも月を破壊した犯人は来年の三月には地球をも消すと宣言したらしく懸賞金が掛けられた。

犯人は殺されるのは嫌だが椚ヶ丘中学校3年E組の担任ならしても良いと言ったらしい。

なんでやねんと思ったが烏間曰くコレは犯人を殺すチャンスらしく3年E組に犯人の暗殺を頼んだというのだ。

それ故にE組に編入が決まった紅にも暗殺の参加を頼みたいとの事だった。

しかも成功報酬は100億。

マジかよ……と思った紅だったが烏間先生から、暗殺の事と犯人の事は伏せる様にと釘を刺された。

犯人の事自体が国家機密らしく烏間先生はそれを守るためと犯人の監視のためにE組担任(表向き)になったらしい。

だから実質の担任は月を消した100億の賞金首で烏間先生は副担任なのだと言う。

もう一人、英語の教師が居るらしいのだが其方は俺がE組に来たときに挨拶するとの事だった。

全ての説明を聞き終えた俺は烏間先生から貰った資料を片手にボーッとしながら家に向かっていた。

 

A組からE組に編入になっただけで此処まで状況が変わるとは思わなかった

 

 

しかも担任は月を消した犯人

 

 

 

 

 

資料に付属された写真を見ると其処には明らかに人外な生物が写っていた。

名前の欄には『殺せんせー』と書かれており謎に拍車を掛けていた。

悩んでもしょうが無いか。

そんな事を思った俺は店に帰ると頭にタオルを巻いて、エプロンを付けて店に立つ。

 

 

店の準備を進める俺にバーさんが話し掛けてきた

 

 

「なんの話だったんだい?」

「んー……E組だと本校舎と違って大変って説明かな」

 

 

一度悩んだ仕草を見せてからバーさんの問いに答える。

まさか担任の暗殺を頼まれたとは言えないっての。

 

 

 

 

 

 

「おーい、ビール頼むわ」

「うぃーす」

 

 

 

そんな時、丁度常連さんが来たので俺はビール片手にお客さんに向かう。

 

さて、明日からどうなるかね。

 

 

俺は苦笑いを浮かべながら店の手伝いに没頭した。

 

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