牛乳ビンを片手に全く同じタイミングで俺と速水は目が合った。
つうか一日話す機会が無かったのに不意うち見たく起きた事態に頭がついてこない。
速水も同様なのか驚いた表情のまま、動かない。
とりあえずなんか話さないと……
「「あの……」」
またもや同じタイミングで互いに声を掛けた。狙ったわけじゃないよ?
「ゴメン」
「ん?」
何故か速水に謝られた。
「ここ暫くずっと……睨んでたから……」
「……ああ」
速水は申し訳なさそうに俺に頭を下げた。
「矢田や倉橋にも言われたんだ……あんまり気負いすぎるといけないって……」
「あの二人か……」
フォローするとは言ってたけど、ちゃんとしてくれたんだな。イマイチ不安だったが大丈夫みたいだ。
「ん、まあ……」
「……っ」
俺が不意に腕を上げると速水の体がビクッとする。ビビり過ぎだっての。
「今後ともヨロシク……かな?」
「……あ、うん」
速水の額をトンと指で突く。速水は呆気に取られながらも返事を返してくれた。
「ほいじゃーまた明日な」
「え、あ……おやすみ」
額を抑えながら速水は、おやすみと言ってくれる。これがデレか?しかし口に出せば間違いなく撃たれるから黙ってよう。
部屋に戻ると前原達が何やら騒いでいた。
「何やってんだ?」
「お、鶴久。良いところに来た!お前も投票しろよ!」
前原が俺の肩を抱いて引き寄せる。そして差し出された紙には何かの投票結果が
「『気になる女子ランキング』……?」
「修学旅行の醍醐味だな」
俺の言葉に村松が話し掛けてくる。確かに修学旅行なら定番の話題か。
「んで、名前を書けば良いのか?」
「鶴久の好きな子か、気になるなぁ!」
俺が書き始めると周りがニヤニヤしながら気にしている。結果が解ってるなら書かせんなよ。と思いつつ俺は速水に1票投じた。
「皆、この投票結果は男子の秘密な、知られたくない奴が大半だろうし」
「そうそう女子とか先生に知られたら大変だから……」
磯貝がこの結果は秘密と言い、前原が合意の発言をしようとしたが言葉が失われる。その視線の先には、殺せんせーがいて、メモを取った殺せんせーはヌルフフフッと笑い、マッハでどこかへ行ってしまった。
「アイツ、メモって逃げたぞ!」
「逃がすな、絶対殺せ!」
「いつから見てやがった、あのタコ!」
男子総出で殺せんせーを追いかける。俺も行くか、バレたら色々とヤバいし!
俺達、男子が殺せんせーを追い掛ける少し前、女子部屋でも同じ様な事が起きてい
◇◆side速水◇◆
「「「ビッチ先生まだ20歳!?」」」
気になる男子ランキングの結果を話し合っていたら部屋に来たビッチ先生。倉橋がビッチ先生を中に引き込むとなんと ビッチ先生の年齢が20歳と意外だった。
「経験豊富だからもっと上だと思ってた」
「毒蛾みたいなキャラのくせに」
片岡に続いて岡野がボソッと呟いた。
「それはね濃い人生が作る色気が……誰だ今毒蛾つったの!」
「ツッコミが遅いよ」
ビッチ先生のノリツッコミに中村がは少し真面目な顔つきで、言い続ける。
「女の賞味期限は短いの、あんた達は私と違って……危険とは縁遠い国に生まれたのよ。感謝して全力で女を磨きなさい」
「ビッチ先生がまともな事言ってる」
「なんか生意気〜」
「なめるな、ガキ共!」
岡野、中村の発言にビッチ先生が怒鳴る。
「まったく……ま、女を磨く第一歩は果たしてるみたいだけどね」
そう言うビッチ先生の手には、さっき集計した気になる男子ランキングの集計が。
「ふーん……へぇ……」
集計を眺めながら感心した風なリアクション。
「紅にも2票入ってるのね」
ビッチ先生の発言に、その場に居た全員がピタリと止まる。2票って私以外にも鶴久に入れた子が居る!?
「そ、それにしてもビッチ先生と鶴久君って本当の姉弟みたいですね!?」
「あ、うんうん!そうそう!」
場の空気に耐えられなかったのか奥田が話題を変えて、茅野が同意する。
話題は変わり、鶴久の話になりそうだが私の心は穏やかにはなりそうにない。
私の他に鶴久に1票投じたのは誰だったんだろう……