忘れ物をして少し遅くまで校舎に残っていた俺は帰り際にワイヤーに吊されている姉さんを見た。それを見た俺は走り出す。
どうやらワイヤートラップを仕掛けられたらしいのだが、その仕掛けた張本人は俺も見覚えがある。
大和屋にもよく来てたロヴロさんだ。
何の理由あってかは知らないけど姉さんを苦しめんな!
「フッ!」
「ほぅ?」
俺は飛び蹴りをロヴロさんに見舞うが余裕で避けられてしまうが、それでいい。
その隙を見て俺は姉さんが吊られているワイヤーを刃物で切り落とす。
咳き込みながら廊下に座り込む姉さんに俺は安堵したが背後から殺気が迫る。
「奇襲は見事だが少々、油断が過ぎるな」
「っ痛!?」
ロヴロさんから後ろから足払いを掛けられ、前のめりになる。それと同時に右腕は背中にねじ上げられ、左腕はロヴロさんの左脚で踏み固められる。
俺の動きは完全に封じられていた。
「痛てて……かはっ!?」
「暗殺とは非情にならねばならない。紅、根本が優しいお前には務まらない仕事だな」
ロヴロさんは空いていた左手の親指を俺の喉に突き刺しながら語る。
つーか、ヤベぇ……息が出来ない……
「そこまでにしてもらおうか。女や中学生にする事じゃないだろう」
「これは失礼をした。だが不出来な弟子と知り合いの孫を気遣っての行動なのでね」
烏間先生の制止が入った。ロヴロさんも何か言ってるけど……こうして居る間にもロヴロさんの指は俺の喉を突いている訳で……
「先程の授業も……見さ……まるで……コン……」
「先生、私を……じて……!」
なんか話が進んでるっポイけど……
あ、もう駄目……
俺の意識は其処で途絶えた。
「………っは」
「大丈夫、紅?」
目が覚めると姉さんが俺の事を覗き込んでいた。
いや、正しくは姉さんの顔が俺の上にある。
「これって膝枕?」
「そうよ、アンタはロヴロ先生に落とされたのよ。後は私が見てたわ」
どうやら姉さんは気絶した俺を見ていてくれたらしい。
ご丁寧に膝枕で。
「あれからどーなったの?」
「……私と先生で烏間の模擬暗殺勝負になったわ」
いや、あの展開から何故に?
「私が勝てばE組に残れるけど先生が勝ったら……私は他の暗殺をしに行かなきゃならないの」
「つまり……それって……」
俺の言葉に姉さんはコクリと頷いた。
姉さんは負けたら此処から居なくなってしまう。
「なんで……こんな事態になったんだよ……」
「あのタコよ」
あ、殺せんせーが決めたのね。
だったら何か考えがあるのか……
「一対一だから他の手助けは期待できないし……」
「完全に実力勝負って事か」
不安そうにしている姉さん。ずっと頭を悩ませるが答えは出る筈も無い。
でも姉さんなら大丈夫な気がする。俺はそんな事を思いながら目を閉じた
この後、足が痺れたと言い出すまで俺は姉さんの膝枕を堪能していた。
これは後から知ったのだが俺が膝枕をされていたのを殺せんせーは写真に収めていたらしい。
ピンクのニヤニヤ顔で写真を見せられて俺と姉さんは二人して顔を赤くする羽目になった。