姉さんの残留が決まってから数日後、俺はまた病院へ来ていた。以前、赤岩のおっさんにやられた肋の検診である。今日は授業も半日休んで来てる。いっその事、休みたかったけどそれは許されなかった。
「ふむ……もう大丈夫のようだな。骨も治ってるし、これなら問題ないだろう」
「どーもッス」
診察が終わると俺は脱いでいたシャツを着る。
「しかし、キミも懲りないね。いい怪訝、赤岩さんと喧嘩するのは止めたらどうだい?」
「俺からケンカを売りに行ってる訳じゃ無いんですけどね」
医者の先生はそんな事を言うが言って止まる赤岩のおっさんではない。寧ろ背中を見せたら「隙有り!」と言って蹴りを見舞うタイプだ。間違いなく。
「それじゃ、お大事に」
「ありがとうございましたー」
俺は病院を後にするとE組校舎を目指す。
肋も治ったから少しこの山道が楽に思えるから不思議だ。
なんて思ったら、校舎の一部が修理中になっていた。
業者の方が後で直すと張り紙までしてあるけど何事コレ?
「よーっす、何事コレ?」
「ん、鶴久。怪我はもう大丈夫なのか?」
適当な挨拶をした俺を千葉が心配してくる。
「俺はもう大丈夫なんだけど、何事」
「なんか、殺せんせーの弟が来てな……」
…………………はい?
千葉の説明に俺は混乱した。
事の経緯を聞いたけど中々凄い展開になったもんだ……
・律以上の殺し屋転校生が来ると言う話になった。
・しかし実際に来たのは転校生の保護者のシロ。
・転校生の名はイトナ。何故か、壁から教室に入ってきた。
・実は殺せんせーとイトナは兄弟。
・放課後に対決。
どっからツッコミを入れるべきか……。そんでもって校舎の壁を破壊した馬鹿はコイツか。
そんな事を思いながら俺はイトナを見る。
イトナは教室大量のお菓子を食べていた。食べてる種類や量を見ると好みが殺せんせーと同じだ。
甘い物が好きだったり、仕草が妙に似ている。マジで兄弟なのか?
「兄弟疑惑で皆やたら私と彼を比較しますね……。ムズムズします」
お菓子を食べながら、殺せんせーが言う。見た目は兎も角、行動は似通ってるからそんな視線を受けるんだよ殺せんせー。
「気分直しにグラビアでも見ますか。これぞ大人の嗜み」
そう言ってグラビア誌を取り出す殺せんせー。いや、仮にも教師が教室でそんなもん読むなよ。
なんて思いつつ視線をイトナに向けると、殺せんせーと同じグラビア誌を読んで同じページを見ていた。巨乳好きまで同じかよ。
「これは………俄然信憑性が増してきたな」
「そうなの、岡島君?」
妙に真剣な面持ちで語る岡島に渚が疑問を投げかける。
「当たり前だ!巨乳好きは皆兄弟だ!」
「三兄弟!?」
そう言って同じグラビアを取り出す岡島。渚のツッコミも的確だった。
「岡島、論法だと……人類の男半分くらいが殺せんせーと兄弟だぞ」
タラリと汗を流しながら岡島にツッコむ俺。そこでふと、殺気を感じた。その殺気の発生源は茅野。見てみれば茅野は殺せんせーとイトナの雑誌を睨んでいる。
どんだけ巨乳が憎いんだよ。