暗殺教室 鶴久紅の事件ファイル   作:残月

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転校生の時間・二時間目②

 

 

放課後を迎えると机で作った即席のリングの中に殺せんせーとイトナが立つ。

先程までは居なかったのだがシロと呼ばれるイトナの保護者も教室に来ていた。白装束の服だからシロ。分かり易いけど俺はコイツから嫌な感じの印象を感じていた。

 

 

 

「ただの暗殺は飽きてるでしょ殺せんせー、ひとつルールを決めないかい?リングの外に足がついたら死刑、どうかな?」

「……いいでしょう。ただしイトナ君、観客に危害を与えた場合も負けですよ?」

 

 

シロの提案に殺せんせーは乗り、殺せんせーの言葉にイトナは無言で頷いた。

 

 

「結構。では合図で始めようか」

 

 

双方の合意を得たシロは開始の合図と手が上げる。

 

 

「暗殺……開始!」

 

 

シロの手が振り下ろされ、試合開始。その瞬間、殺せんせーの腕の触手が斬り落とされた。

 

目にも止まらぬ斬撃。俺を含めた全員が驚いていた。見えた訳じゃ無い。でも結果が残っていた。

ビチビチと震える殺せんせーの触手の先に有る物。

 

それはイトナの頭から伸びた触手。殺せんせーと同じ、触手を見て全員が言葉を失っていた。

 

 

「………こだ……」

 

 

殺せんせーから掠れるような声が聞こえる。

 

 

「何処で手に入れた!その触手を!」

 

 

今度は怒りと殺気を込めて言う。当然の様に殺せんせーの顔は真っ黒。声はビリビリと振動を発し、その殺気に全員が体を強ばらせていた。

その後、殺せんせーとシロは何かを話していた。その口振りからシロは殺せんせーの過去を知っている風だった。

そしてシロは右手を伸ばすと袖口から何らかの光を放つ。すると光を浴び、殺せんせーの体は硬直していた。

 

 

「全部知っているんだよ。キミの弱点は」

「死ね、兄さん」

 

 

着実に不利になりながらもイトナの触手を避ける殺せんせー。隠し技の脱皮を使い、致命傷には至ってないが俺達が暗殺する時より息が上がってる。

 

その後もシロは袖から光を発して殺せんせーの動きを止める。しかしまあ、さっきから次から次へと殺せんせーの弱点が出て来る。

俺達が知らない事をコイツ等は知っていた。

俺達が苦労してきた事がまるで無駄だと言わんばかりの状態に俺は苛立ちを感じていた。

 

 

イトナが殺せんせー目掛け触手で攻撃する。だが、その直後イトナの触手が崩れ落ちる。

 

 

「おやおや、落し物踏んでしまったようですね」

 

 

殺せんせーの言葉に視線はイトナの触手が壊した床に集まる。そこには対先生ナイフが転がっていた。

 

 

「同じ触手なら対先生ナイフが効くのも同じ。そして動揺するのもね。ですが、先生はちょっとだけ老獪です」

 

 

経験の差を見せ付けた殺せんせーは脱皮した皮でイトナを包み、窓から外へと放り投げた。

 

 

殺せんせーはイトナに学校に来るべき、一人では出来ないことの方が多いと告げるが途中でイトナの様子がどんどん変わる。あ、なんな嫌な予感がする。

 

 

「勝てない……俺が、弱い…?」

 

 

その瞬間、イトナの触手が真っ黒に染まり、暴れ出す。

ってヤバい!?

 

 

「黒い触手!?」

「やべぇキレてんぞ、アイツ!」

 

 

男子の誰かが叫び、女子が悲鳴を上げる。そして全員が一斉に窓際から離れる。そしてイトナは窓際に着地し、殺せんせーを睨む。

 

 

「俺は強い……この触手で、誰よりも強くなった、誰よりも!」

 

 

イトナは完全に我を忘れて、殺せんせーに飛びかかろうとした。俺はこの時、クラスの皆が下がったと感じていたが俺は前に踏み出していた。殺せんせーは無理だけどイトナなら止められる。

なんとなく、そう感じたからだ。

 

 

そして俺がイトナに向かおうと思ったその時、何処からかの攻撃でイトナは意識を失い倒れる。

振り返るとシロが袖に隠していた麻酔銃らしきものでイトナを撃ったみたいだ。

 

 

「すみませんね、殺せんせー。どうもこの子は…まだ登校出来る精神状態じゃなかったようだ。転校初日で何ですが……しばらく休学させてもらいます」

 

 

シロはイトナを肩に背負う。

 

 

「待ちなさい!担任としてその生徒を放っておけません。一度E組に入ったからには卒業するまで面倒を見ます。それにシロさん。貴方にも聞きたい事が山ほどある」

「いやだね、帰るよ。力尽くで止めてみるかい?」

 

 

シロの兆発に殺せんせーは触手を伸ばし、シロの服に触れる。だが触手がシロを掴んだ瞬間その触手はドロリと溶けた。

 

 

「対先生繊維、キミは私に触手一本触れられない心配せずとも、またすぐに復学させるよ殺せんせー。三月まで時間は無いからね。責任もって私が家庭教師を務めた上でね」

 

 

 

シロはそのままイトナを連れ、教室を去っていった。

教室にはなんとも微妙な空気が漂っていた。

理由は明白。なんとも一日で暗殺に差を見せ付けられれば当然か。

 

 

 

等と思っていた俺だが……なんで俺はイトナに向かって行ったんだろう。あの触手を見れば、人の手に余る代物だってのは目に見えている。だけど俺は迷わずに行こうとした。

 

 

なんでだったんだろう?

 

 

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