先日の野球大会から時間が経ち、現在は通常授業に戻ったのだが季節は初夏。
E組の校舎はボロい。とにかくボロい。
クーラー?そんなハイテクな者は存在しません。って言うか扇風機すら無いんだから。
あまりの暑さに全員がだらけてる。え、俺?今の所は『仕込み』があるから平気です。
「だらしない、夏が暑いのは当然の事です!ちなみに、先生は放課後、寒帯に逃げます」
「「ズルいっ!」」
クラス全員の声が重なる。気持ちは解るが……
「鶴久君、暑くないの?平気な顔してるけど……」
「ん、ああ……割と平気」
俺がこの暑さに平然としているのに違和感を感じた倉橋が俺に問う。
「つーか、この暑い中なんで頭にタオル巻いてんだ?」
「………そんな気分だから」
前原が俺の姿に疑問を抱き始めた。ヤバいバレるかも……
「って言うか、タオルが妙にデコボコしてる様な……」
「気のせい、気のせい」
中村の一言に俺は冷や汗が出る気持ちになっていた。
これは時間の問題か?
「妙にタオルが冷たいな……まさか、お前!?」
「あ、こら!止めろ」
杉野が俺が頭に巻いていたタオルを触って違和感の正体を突き止めた。無理矢理タオルを引き剥がす杉野と前原。ああ、バレちまった。
「タオルの下にアイスノン!?」
「卑怯を通り越して、セコい!」
皆の声が教室に響く。そう俺はタオルとアイスノンで頭を冷やしていたのだ。
用意する物
タオル×2・薄型アイスノン
先ずはタオルを1枚をターバン状に頭に巻く。その上にアイスノンを乗せる。更にその上にタオルを巻く。
これで頭は常に冷える即席冷房装置となるのだ。
「そのアイスノン寄越せ!」
「アホか!これは俺が用意したんだっての!」
即座にクラス内でアイスノン争奪戦が始まった。俺の準備したアイスノンなのに。
「手間掛かってるけど、効果的だなコレ」
「そもそもの発想が凄いよね」
千葉と矢田は俺の発想に驚いている様だ。
「あ、でも今日からプール開きだから楽しみだね!」
騒動の原因を作ってしまった倉橋が話題を変える為にミズギノハイッタ袋を取り出して話す。
「へぇ、プールか。そりゃ涼めるかもな」
幾つか強奪されてしまったアイスノンを回収しながら呟いた俺だが速水が溜息を吐きながら俺を見た。
「言っとくけどプールは本校舎にしかないから、本校舎まで歩かないといけないの」
「人呼んで、E組死のプール行軍。特にプール疲れした帰りの山登りは力尽きてカラスの餌になりかねねー」
速水の説明と何故か毎度の如く天然トラップに引っかかる岡島の話を聞いてプール所の話じゃなくなってきた。プールには行きたいがマジで力尽きかねないな。
「仕方がありません。全員、水着に着替えて付いてきてください。そばの裏山に小さな沢があったでしょう。そこで涼みましょう」
殺せんせーの号令でクラス全員で裏山に移動となった。
向かう途中で聞いてみると裏山には沢があるらしく涼む程度なら充分なのだと言う。
ま、無いよりマシか。
しかし、俺達は殺せんせーのスペックを甘く見すぎていた。
沢が流れていた場所には沢でなくプールが出来上がっていた。
「小さな沢を止めたので水が溜まるのに一晩。コースも作りましたし、安全対策はバッチリです。シーズンオフには水を抜けば元通り。製作に一日、移動に一分。後は一秒で飛び込めますよ」
殺せんせーの超ドヤ顔。だが誰もそれにはツッコミを入れなかった。何故なら、その瞬間、全員一斉にプールへと飛び込んでいたからだ。