暗殺教室 鶴久紅の事件ファイル   作:残月

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水泳の時間

 

 

 

 

 

 

殺せんせーの企画した計画は中々に凄い計画だった。

例の片岡の友達『多川心菜』を家からベットごと連れ出し、校舎裏のプールまで運ぶ。

 

全員で魚の恰好をし、多川には夢だと思い込ませ、泳ぎを教える。渚や茅野はノリノリで魚ってか魚人の恰好をしていた。面白そうなので俺も参加。

 

多川をバレないようにプールにまでの移動は完了した。移動の最中に起きはしなかったが、暫くした後にベッドで寝ていた多川が目を覚まし、俺達に気付く。

ボンヤリと此方を見ている辺り、夢だと思っているのだろう。

 

 

「目覚めたみたいだね……ここは魚の国。さぁ、私たちと一緒に泳ごうよ!」

「……めぐめぐ?」

 

 

魚の恰好をした片岡が恥ずかしそうに言うが友人に似ていると多川は疑惑の視線だ。因みに『めぐめぐ』とは片岡のニックネームらしい。

 

 

「……違うし、めぐめぐとか知らないし。魚魚だし」

「何その居酒屋みたいな名前!?」

 

 

居酒屋は『魚』の付く名前多いからなぁ。

 

 

「僕の名前は魚太」

「私は魚子だよ」

「魚子は魚なのに浮き輪なの!?」

 

 

渚が自己紹介し、浮き輪を着けた茅野もそれに続く。多川はもっともなツッコミを入れた。

 

 

「俺は村長。この魚の国の村長だ」

「河童じゃん!?」

 

 

俺はプールサイドで寝転びながら新聞を読んでいた。俺の恰好は全身タイツで頭には皿を乗っけて背中には甲羅を背負った河童スタイル。え、魚じゃないって?それは次の人も同じだろう。

 

 

「私は魚キング。川を海を自在に撥ねる水世界最強のタコです」

「タコかよ!」

 

 

一つ一つに上手いツッコミを入れる多川。殺せんせーの姿にタコなのかよと俺もツッコミを入れたいが俺も河童なのでツッコミづらい。

 

 

 

「素晴らしいツッコミです。良い準備運動になってますね。では、入念なストレッチ、早着替え…………そして、入水!」

「ぎゃあ!?」

 

 

魚キングは多川の身体を触手でストレッチさせると素早く着替えさせ、プールの中に投げ込んだ。

突然の事に慌てる多川。魚魚は慌てる多川を落ち着かせるが、多川はそれを拒んだ

 

 

「今更泳げなくていいわよ!……泳げない方が楽できる……アンタに似た友達が助けてくれるから!」

「……」

 

 

魚魚は多川の言葉に何も言えなくなっている。俺は水の中に入ると、背泳ぎの体勢で水の上にプカプカと浮かびながら新聞を読みつつ二人の近くまで移動した。

 

 

「お嬢ちゃん、そいつぁ、甘えってもんさ。その友達も充分に謝罪したしアンタも面倒見て貰ったんだろ。オジサンそう言うのは関心しないな」

「河童に言われたくないんだけどっ!?」

 

 

俺は水の流れに身を任せつつ二人の側を新聞を読みながら通過する。多川からツッコミが入るが泳ぎながらツッコミが出来る辺り、普通に泳げるんじゃ無いか?

 

 

「と言うか……器用だね村長」

「ああ、河童だからな」

 

 

魚太のツッコミも、もっともだが実は俺が背負った甲羅は浮き輪みたいな構造になっていて、俺は浮き輪に乗りながら水の上を漂っていたに過ぎないのだ。仰向けだからバランスは必要だけどね。

 

 

「ヌルフフフ……では、そろそろ魚キングの指導と参りますか!」

 

 

そう言って魚キングは水の中に入った。

遂に水の中に入った魚キングを見れるのかと思えば、其処には完全防水先生用水着を着た魚キング。

見た目は怪しげな魚としか言いようがない。

 

その光景に呆気に取られ、ツッコミを躊躇ったのがマズかった。魚キングは素早い泳ぎでプールの中を泳ぎまくり、プールは渦潮が巻くほど荒れていた。

そんな状態のプールに多川はあっという間に流され慌てふためくが隣で魚魚が冷静に指導していた。

 

 

「危ねぇ危ねぇ、俺も流される所だった」

 

 

俺は流れが激しくなる前にどうにかプールから脱出を果たしていた。

 

 

「水着とかズルいよ魚キング!」

「そーだよ!生身で水に入れるかどうか見たかったのに!」

 

 

魚太と魚子の発言に魚キングは生身でも入れますよ?と言って水着を脱ぎ捨てた。え、マジで入れんの?

 

 

「水に……生身で入ってる?」

「……いや違う。アレは……マッハで周りの水掻き出してる!」

「ホントに出鱈目だな、あのタコ!?」

 

 

生身で水に入る魚キングに驚く魚子。しかし魚キングは水に入った訳では無く魚太の言う通り、桶で水が身体に触れない様に水を掻き出していた。

なんでもありすぎるぞ魚キング。

 

そして当然の事ながら、プールの中心で渦が起きれば周囲の水は中心に向かって流れていく。

 

 

「な、何これ!?波はこっち来てんのに引きずり込まれる!?」

「そいつぁな、離岸流って言ってな。岸に反射して沖に出て行く流れの事だ。水の事は河童が詳しいのさ」

「河童なら海じゃ無くて川だけどね……」

 

 

慌てる多川に俺は豆知識を披露するが魚太のツッコミが俺に来た。確かに河童なら川だけどさ。

 

 

「そういう時は岸と平行に泳いで流れから抜ける。兎に角、絶対パニックにならない事!」

「知識だけ身につけてもダメですよ?朝まで死ぬほど泳いで、魚の様な泳ぎを身につけましょう」

 

 

その後も魚魚と魚キングのスパルタ指導は続いた。

 

 

「下手すりゃ俺等もあの教え方された訳だ」

「やっぱり体育には向かないね魚キング」

「マッハの授業とか……」

 

 

俺達はプールサイドから荒れ狂うプールを見ながらそう思い、俺の呟きに魚太と魚子も同意した。

殺せんせーは人間に体育を教えるのは向いてないと俺達は思った。

 

 

 

特訓の次の日、俺と片岡は本校舎のプールに来ていた。見てみれば多川は水を克服し自分でも泳げるようになっている。泳げる様になった自分に酔ってる様にも見えるがこれなら問題なかろう。

片岡は多川に声を掛けると晴々とした表情で戻ってきた。

 

 

「これで自由の身ってか」

「アハハ……でも心配事は無くなったよ」

 

 

共にE組校舎を目指す。

 

 

その途中で殺せんせーとも合流して裏山の校舎に集まっていた。

 

 

「これで彼女に責任は感じませんね片岡さん。時にはあえて厳しく手を離すことも大切だと覚えておいて下さい」

「はい!」

 

 

殺せんせーの言葉に元気よく返事をする片岡。

 

 

「ああそれと、お察しの通り先生は泳げません。水を含むと、ほとんど身動きがとれなくなります」

 

 

そう言うと殺せんせーは触手を一本プールに入れる。すると次第に触手は膨れ上がっていた。

前に湿気で水膨れしたのと同じ様な感じだ。

 

 

「弱点としては最大級ですが先生は落ちない自信もあります…それに水中でも片岡さん1人なら相手できるでしょう。ですから皆の自力も信じて皆で泳ぎを鍛えてください。そのためにプールを作ったんですから。」

 

 

殺せんせーの告白に色々と驚いた。本当に色々と先読みしまくる先生だよな。

 

 

 

 

 

その後、E組校舎に戻った俺達。教室に戻るとなんか疲れがドッと押し寄せた感じた。

 

 

「お疲れ様、村長」

「え?」

 

 

片岡が俺を村長と呼んだことにクラス中が頭に?マークを浮かべた。振り返ると片岡は口元に手を押さえ「しまった」と言う表情になっている。

 

 

「く、くくっ……水殺の時は頼りにするよ魚魚」

 

 

笑いを堪えながら片岡にそう言うと渚と茅野もプルプル震えながら笑いに耐えていた。片岡は俺の返答に恥ずかしさから顔を赤くしていた。クラスの皆は小首を傾げるが当然だ。

今回の事は俺、渚、茅野、片岡、殺せんせーのみで行われた事だった。

 

たまにはこんなのも悪くない……ってか本当に面白かったな今回は。




今回の紅の河童は『荒川アンダーザブリッジ』の村長を思い浮かべて下さい。
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