目が覚めた時、視界に写ったのは真っ白な天井だった。
「………知らない天井だ」
「目が覚めての開口一番がボケなら大丈夫そうだね」
俺の独り言に返事が返ってきた。顔を動かせば其処にはバーさんが居た。
「痛たたたっ……此処は?」
「病院だよ。アンタが学校で倒れたって聞いて態々店を開けないで来たんだ」
バーさんの言葉に俺は段々、記憶が戻ってきていた。
「バーさん!あれから何日経過した?俺はどれぐらい寝てたんだ!?」
「何処ぞの怪盗三世かテメーは!紅が倒れてからまだ一日も経っちゃいないよ!」
バーさんの言葉に少し落ち着いた俺はバーさんとは反対側の窓を見る。既に日は落ちて暗くなっていた。
更に時計の日付を見ればプールの日、当日と直ぐに理解できた。
「紅はE組の特設プールのプールサイドで足を滑らせて打ち所が悪くて血を流して気絶した……と聞いてるよ」
「足を……滑らせて……?」
俺のこの怪我はプール爆破の……あ、もしかして。
「鶴久君、目を覚ましたか」
「もう紅!心配したわよ!」
そんな俺の考えの答えを出してくれる烏間先生と姉さんが来た。
「鶴久君スマない……もう少し周囲に気を配っていれば君がプールサイドで足を滑らせて転ぶこともなかっただろうに……」
「烏間先生の責任じゃないですよ。むしろ俺がマヌケだったんだ……」
烏間先生の『話を合わせてくれ』って視線に俺は小さく頷くと『プールサイドで転けて怪我をした馬鹿』を演じた。
「出血が酷かったから心配したが傷は浅いらしい。検査入院も含めて暫く学校は欠席になるぞ」
「あー……やっぱりですか」
俺の怪我は見た目ほど重くなかったらしい。だが大事を取り、俺は少し入院となったのだった。
「それよりも紅。こっち来てみなさい」
「……?」
姉さんが病室の扉を少し開けた状態で俺を手招きする。
なんだろうと思い俺はベッドから出ると病室の戸に近付いた。
「あ……コイツ等……」
「ずっと心配してたのよ?病院のお見舞い時間を無理して伸ばして居座ってたんだから」
病室の扉を開けると其処にはE組の皆が居た。病院のベンチに座ったり、床に直接座ったまま皆が眠ってる。
渚と茅野は寄り添うように眠ってる。カルマは奥田に体を預ける様にして寝てる。
磯貝は壁に寄り掛かって眠り、片岡が磯貝の肩に頭を乗せて眠ってる。
速水と矢田は並んで眠っており、優奈が矢田に抱かれて寝てた。
他の面々も形はどうであれ眠ってる。
天井にピンクの生物が居るがゴシップ誌の記者のように写真を撮ったりメモを書いてる。これは後々追及しとくべきだな。
この後、状況を見かねた烏間先生が手を叩き皆を起こす。それと同時に俺はE組の皆にもみくちゃにされそうになったが優奈が、いの一番に俺に抱き付いてそれを阻止してくれた。
しかし今度は優奈がワンワンと泣き始めたから収集が付かなくなった。しかも速水や矢田がそれに便乗して俺を責め始めた。目に涙が堪ってる辺り心配してくれてたからこそ怒ってる。
フォロー入れてくれるかと思った残りのE組の皆も俺を責めた。
もう少し自分を大事にしろと。
俺は幸せ者だよな。こんなに心配してくれてる奴等が沢山居るんだから。
因みにこの後、俺達は『病院で騒ぐな!』と烏間先生とバーさんに叱られたのだった。
姉さん?俺が目を覚ましたので気が抜けたのか俺のベッドで寝てたよ。