暗殺教室 鶴久紅の事件ファイル   作:残月

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決行の時間

 

 

 

 

一先ず暗殺前に遊ぶ事になった。修学旅行の時の様に各班に別れて遊びの中に暗殺を含め、他の班の準備に殺せんせーの目が行かないようにする為だ。

 

磯貝達1班がグライダーで先生と遊ぶ中、渚達は海へ潜り暗殺の準備をしていた。

しかし遠目で見る限り殺せんせーが倉橋のグライダーに張り付いて妙に早い速度で旋回している。

 

 

「遊んでるなぁ……殺せんせー」

「倉橋も楽しそうだけどな」

 

 

俺と千葉は遊ぶ1班と殺せんせーを見ながら呟いていた。

その後、殺せんせーが4班の寺坂達の海底洞窟巡りをしてる頃、3班の俺達も暗殺の準備をしていた。

 

千葉と速水の二人はそれぞれ射撃スポットを探して山に入っていった。

仕事人の風格を出す千葉と速水に俺は何も言えずに見送る事しか出来なかった。

 

 

「あの二人、既にプロの風格だね」

「絵になるわー」

 

 

中村と不破がニヤニヤしながら俺を見ている。

俺は不破から借りたジャンプをベンチで座りながら読んでいた。

内心、二人を気にしながら。

 

 

 

◆◇side速水凜香◆◇

 

 

 

私は鶴久と碌に話をしないまま殺せんせー暗殺ポイント決めを千葉としていた。

 

 

「………なぁ、速水」

「……どうしたの?」

 

 

ライフルを組み立てていると千葉が話し掛けてきた。

 

 

「鶴久と何かあったのか?」

「………別に……何も……」

 

 

千葉から鶴久の話題を振られて私は少しドキッとした。

 

 

「………そうか」

「………うん」

 

 

 

会話が終わるとカチャカチャとライフルを組み立てる音だけが響く。

 

 

「………俺は口下手だし鶴久みたいに上手く気を使う事も出来ないけど……」

「………千葉」

 

 

私は思わず作業を止めて千葉に振り返ってしまう。

 

 

「俺は……鶴久や速水の苦しそうな顔は見たくないかな」

「うん……ごめん」

 

 

千葉の言葉に私はつい謝ってしまう。

今日の殺せんせー暗殺が終わったら私は鶴久と話をするつもりだったから……

 

 

 

◆◇side速水凜香out◆◇

 

 

 

 

 

時刻は夕方になり、夕食は貸切の船上レストランで摂ることになってる。でもまあ一言、言いたい……昼間からずっと言いたかった……。

 

 

「なるほど、船で先生をたっぷり酔わせて戦力を削ぐ。実に正しい。ですが、そううまく行きますでしょうか?暗殺を前に気合の乗った先生にとって船酔いなど恐れるに」

「「黒いわ!」」

 

 

クラス全員でツッコミを入れた。殺せんせーは真っ黒に日焼けして、表情が読めないぐらいに真黒だ。因みに昼間からグライダー状に日焼けして更にその後は丸型に変化したと思えば最終的に真っ黒になるとかどんだけ日に弱いんだよ。

 

 

「そんなに黒いですか?」

「表情どころか裏表すら分からないわ」

「ややこしいからなんとかしてよ」

 

 

殺せんせーの言葉に中村と片岡が答える。

すると殺せんせーは笑い出すと同時に触手の先がピリッと割れた。

 

 

「お忘れですか?先生には………脱皮があることを!」

 

 

そう言うと、殺せんせーは黒い皮を脱ぎ捨て元の色に戻る。いや、いいの殺せんせー?

 

 

「脱皮にはこんな使い方もできるんですよ」

「殺せんせー、それってヤバい時の奥の手なんじゃ………」

「………あっ」

 

 

ドヤ顔の殺せんせーにツッコミを入れると俺のツッコミに殺せんせーはハッと己の失敗に気付いた。

 

 

「バッカでー。自分から戦力減らしてやんの」

「なんでこのドジに未だに勝てないんだろう」

 

 

前原と岡野がヘコんでる殺せんせーに追い打ちの言葉を放つ。全く以て本当にその通りだ………。

 

そして夕食が終わり、岸に戻ると案の定殺せんせーは船で酔った。

フラフラと杖をついて歩く姿にこの場でトドメを刺してやろうかと思ったがそれでは計画とズレる為にNG。

 

 

「お次は、この水上パーティールーム」

「ここなら、逃げ場はありません」

 

 

暗殺が行われる水上チャペルへ向かっていた。此処なら殺せんせーの逃げ場は無いしかも船酔いでマトモな行動が出来ないはず。

 

 

「さ……席につけよ殺せんせー」

 

 

そう言う岡島の隣にはテレビが置いてあった。

 

 

「楽しい暗殺」

「まずは映画鑑賞から始めようぜ」

 

 

三村と岡島が編集した動画が流される予定だ。編集作業を覗きに行ったのだが……アレは正直エグい。殺せんせー耐えきれるかな?

 

 

「ヌルフフフ……全力の暗殺を期待してます…君達の知恵と工夫と本気の努力を見せてください。遠慮は無用です、ドンと来なさい」

 

 

「言われなくても殺すぜ、殺せんせー」

 

 

殺せんせーの言葉に岡島は照明を消し、映像が流れ始めた。それと同時に生徒達は暗がりで水上チャペルを出入りしていた。

 

コレは何度も水上チャペルを出入りして殺せんせーに位置と人数を明確にしない為。

この計画の一番の肝はE組のスナイパーコンビの千葉と速水の位置をバレない様にする為だ。

因みに千葉と速水はこの場には居ない。殺せんせーには囮として山の上の狙撃しやすいポイントに二人の臭いが染みついた服と銃を置いたらしい。俺達に臭いは分からないが殺せんせーなら察知するだろうと置いてきたのだ。

 

等とそんな風に今回の計画を思い出していたら動画はチェックポイントに差し掛かっていた。この動画、スタートまでは良い音楽にコマ割りで引き込まれる内容なのだがここからがキツい。

 

 

『……先ずはご覧頂こう。我等が担任の姿を』

 

 

そのナレーションと同時に映像では、エロ本を読みふけっている殺せんせーの姿が映っていた。

 

 

『最近のマイブームは熟女OL、全てこのタコが一人で集めたエロ本である』

「違っ…ちょっ岡島君達皆に言うなとあれほど…」

 

 

買収に失敗した殺せんせーはエロ本集めをバラされて慌てているが動画は止まらない。

 

 

『それだけでは無い、これは女子限定のケーキバイキングに並ぶ奴の姿である。女装以前に人間じゃないとバレなかったことが奇跡だ。更に…こちらの映像は分身でティッシュ配りに行列を作る奴の姿。そんなにもらってどうするのかと思いきや……唐揚げにして食べだした』

「あーあ、こんな事まで」

「恥ずかしくないのかしらね」

 

 

周囲から地味に非難の声を身に浴びながら殺せんせーは悶えていた。

 

 

『この教師の行動は留まる事を知らない。仲むつまじい姉弟を見てニヤニヤしながらメモを取る様子はゲスそのもの』

「にゅやっ!?ベストショット捉えたと思ったらベストショットを撮られてた!?」

 

 

動画には俺と姉さんがアイスを食べている所が映されている。しかも丁度俺が食べていたアイスを姉さんが食べたいと言うので俺の食べかけのアイスを食べさせたシーンだった。

三村と岡島の野郎……コレは使うなって言っといたのに。

 

 

その後、1時間に渡る動画が流される。当然、殺せんせーは羞恥で顔が真っ赤になり、精神的にもダメージはハンパない筈だ。

俺にも若干のダメージが有ったが……

 

 

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