グリップのおじさんを人から見えない位置に移動させてから俺達は上の階を目指した。
到着したのは6階のテラス・ラウンジ。
ここでは非合法のドラッグや酒で盛り上がる場所らしい。
この階から上はVIPフロアの為、警備員やフロアの従業員のチェックを受けなければならない。
「ふーむ……少々危険ですが、女子の皆さんは店の中に入り、階段前の警備の注意を引いてください。その間に、階段近くの裏口を開けて下さい。男子の皆さんはそこから侵入しましょう」
「待て!女子だけで行かせるのは危険だ!」
殺せんせーの提案に反対する烏間先生。確かに、いくらなんでもこれは危険だ。
「ですが、女子なら警備のチェックも甘くなるでしょう」
「とは言っても男手は必要になる筈だ」
殺せんせーと烏間先生の意見が平行線になりかけた際に不和が何かを思い付いた様に声を上げた。
「ならさ、男子が女装すればいいんじゃない?」
その発言に皆がピタリと動きを止めた。
「本気かよ不和?」
「マジもマジ。男手は増えるし、中にも違和感無く入れるよ」
木村が呆れた様子で訪ねるが不和はフフンと自慢げに鼻を鳴らした。
「よし、わかった。ならテキーラを用意しろ。『アタシはテキーラ酒を持ってまいりましたの~通ってもよろしいかしら~?』って言ってやる」
「いや、テキーラ娘は止めようよ……」
俺の言葉に不破も引き気味。アレはリアルだとアカンわな。
「テキーラ娘は兎も角としても女装か……」
そんな言葉を呟く、カルマ。
あ、なんか悪魔の角や尻尾が見えた。
「じゃあさ女装しても大丈夫そうなチョイスで行こうか」
カルマの一言に皆の視線は渚に集中された。うん、頑張れ男の娘。
この後に拒否権など認められなかった渚は女装をする事になる。一先ず先に女子の半分がテラスに侵入する。渚はそれに紛れて入り、中で女装をする事が決定された。
一先ず女装の為に渚を引き連れて片岡、茅野、速水がテラスに入っていく。
残りの半分の女子は渚の着替えが終わってから侵入となった。
「これで男手は足りるな」
「うーん……でもまだ不安だね」
磯貝の言葉に後半合流組の矢田が呟く。
「確かに何かあった時に強い人が居ると心強いかも」
「となると……?」
岡野と不和も矢田の話にのって来る。皆の視線が俺にって……いや、ちょっと待て。
「俺に女装しろってか?」
「いや、それは流石に。でもカルマはさっき戦ったし……でカルマを除いた最大戦力は鶴久だからな」
俺の睨みに吉田が答える。流石に女装は勘弁よ?
「ふむ……女子ばかりでは却って疑われるかもしれませんね。鶴久君も一緒に行きましょう」
「マジかよ、殺せんせー……」
殺せんせーの発言に俺はため息を吐く。
「鶴久君、私ビッチ先生からコレ借りたんだけど……」
「姉さん……こんなもんまで……」
矢田の手の中にはヤクザの皆さんが着けてるバッチが。姉さん、こんなもんを気軽に貸すなよ。
「んじゃ、どうせなら有効活用するか。菅谷、メイク頼みたいんだけど」
「ん、ああ。どんなメイクにするんだ?」
メイクっても大袈裟なもんじゃない。少しばかり箔を着けるだけだ。
メイクの内容を告げると菅谷は苦笑いになったがすぐにメイクをしてくれた。
そして持ってきたサングラスを装着すると後半合流組と一緒にテラスへと向かった。
「じゃ、行こっか鶴久君♪」
「ちょっ!?や、矢田!?」
矢田が俺の腕に抱きついてきた。そのまま俺の腕に自身の腕を絡ませてくる。こ、これはヤバい!
「此処から先では鶴久君は私のボディーガードだよ」
「……わかったよ。お嬢様」
チョンと俺の鼻を押す矢田。うん、密着して歩くと矢田のツインボムが俺の理性の壁を破壊していく気がする。
『テキーラ娘』
『ジョジョの奇妙な冒険』の第2部で主人公のジョセフ・ジョースターが 女装した姿
ジョセフがメキシコにあるナチスドイツ軍基地に連れ去られたスピードワゴンを救出すべく潜入しようとした時、衛兵が地元の女性にセクハラ同然の検問をしていた。
これを見たジョセフは、それを利用しようと女装をして検問を突破しようとした。
当然、即座にバレて軍人とバトルになり、ジョセフは倒した衛兵の服を服を剥ぎ取って潜入を果たした。バレないと思って女装をしたジョセフは大物。
この時、衛兵がジョセフに蹴られて上げた悲鳴が『タコス!』なのは有名。
『ツインボム』
「スーパーロボット大戦OGサーガ 無限のフロンティア」の主人公ハーケン・ブロウニングがヒロインの楠舞神夜に付けたニックネームの一つ。由来はヒロインの巨乳から来ている。