暗殺教室 鶴久紅の事件ファイル   作:残月

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夏休みと決意の時間

 

 

島から帰ってから俺は随分と騒がしい夏休みを送っていた。

 

一つ目に俺が怪我をした事を知って優奈が泣いた。

何故バレたかと言うと俺が島に帰ると同じく親父も帰ってきたのだ。そして島で会ったことの一部始終(ただし殺せんせーやウイルス)を除く話をした為に『紅が島ではしゃいで怪我をした』と言う話になったのだ。

バーさんには叱られて、優奈には泣かれて、常連客には馬鹿にされてと、まぁ録な目に遭わなかった。

 

二つ目に姉さんが夏休みの間に家に転がりこんでる事だ。

学校もないし、姉さんは今は殺し屋を休業中。故に暇なのだろう、姉さんは夏休みに入ってから我が家に入り浸っている。実を言えば大和屋の手伝いもして貰ってるし、夏休みの宿題も教えて貰ってるから助かってはいるんだけどね。英語の課題は既に終わったし。

 

そして三つ目に………

 

 

「ふーん、矢田の所は旅行なんだ」

「うん。でも弟の事もあるから日帰りなんだけどね」

 

 

そう……速水と矢田が大和屋と言うか俺の家によく来ているのだ。

他愛のない話をして、夕飯を食べて帰る。それに優奈や姉さんが交ざるといった形が島から帰ってから多いのだ。

 

優奈や姉さんにこの話をしたら二人揃って『詮索は野暮』と言うのだ。解せぬ。

 

 

「あ、じゃあ私達帰るね鶴久君」

「それじゃ」

 

 

等と考えていたら矢田と速水が帰ると言い始めた。

 

 

「えーっ帰っちゃうの?」

「明日の夏祭りの事もあるし、今日は早めに帰るんだよ」

「浴衣とかの事もあるしね」

 

 

優奈は早くに帰る二人に不満そうにしていたが話を聞いて納得。

 

 

「んじゃ二人を送ってくわ」

「あ、今日はいいよ!」

 

 

俺は速水と矢田を送っていく為にエプロンを外すが矢田から止められた。はて、二人を途中まで送っていくのはいつもの事なんだが……隣で速水も驚いた顔してるし。

 

 

「ちょっと凛香と話したい事があるからさ。ゴメンね」

「あーあ、フラれた…なぐっ!?」

「そっか、なら仕方ないか。気を付けてな」

 

 

矢田の言葉にふざけた事を抜かした親父を裏拳で沈める。オメーは出てくんな。

 

 

「親に手を上げるな馬鹿息子!」

「余計な事を言うからだろクソ親父!」

 

 

俺は取り敢えずふざけた親父とケンカを始めるとバーさんが速水と矢田を送っている。優奈と姉さんも一緒だし大丈夫か。

 

 

「こうなったら暫くは収まらないから帰りなアンタ達。今日は紅が見送らないんだから気を付けて帰るんだよ」

「バイバーイ」

「あ、はい。じゃあね優奈ちゃん」

「失礼します。また明日ね」

「…………アンタ達、明日は頑張んなさいよ」

 

 

親父と殴り合いながら耳は速水達の方に向ける。気を付けて帰れよ?そんな事を思いながら俺はケンカに集中する事にした。

あ、忘れてたけど明日は夏祭りだったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆side速水凛香◇◆

 

 

 

鶴久に見送ってもらう事を拒否した矢田と一緒に帰路についていた。なんで矢田は鶴久の見送りを拒んだんだろう。そんな事を思っていたら矢田が話しかけてきた。

 

 

「ねえ、凛香」

「何?」

 

 

矢田の表情はいつになく真面目だ。私から目を逸らさずに真っ直ぐに私を見てる。

 

 

「私ね……明日の夏祭りで鶴久君に告白しようと思ってるの」

「っ!」

 

 

矢田の言葉に私は息を飲んだ。まさかこんなにハッキリと言うなんて。

 

 

「や、矢田……それは……」

「凛香の気持ちは解ってるつもりだよ……でも私は鶴久君と付き合いたい」

 

 

思わず否定の言葉を出そうとした私に矢田は有無を言わせてくれなかった。

 

 

「私は明日、鶴久君に告白する。凛香はどうするの?」

「わ、私は……」

 

 

矢田の言葉に私はなんて応えればいいんだろう……私が言葉を出せないまま黙っていると矢田は分かれ道で足を止めた。

 

 

「私……譲らないから」

「あ……」

 

 

矢田はそのまま行ってしまう。思わず呼び止めようとしたが、言葉が出せずそのまま見送ってしまった。

 

矢田が明日、鶴久に告白する。

 

私はどうしたら良いんだろう。

そんな事を思うと私の胸はチクリと痛んだ。

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