暗殺教室 鶴久紅の事件ファイル   作:残月

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手伝いと鬼の時間

 

 

祭りの日、当日。俺は屋台の手伝いのために既に祭り場に来ていた。

町内会のテントの設置や出店の場所の把握。

なんで俺がこんな事をしてるかと言えばバーさんが理由になる。バーさんは町内会でも結構な発言力があるらしく、町内会のボス的な位置に居る。

それ故に率先して色々とするのだが手が足りないと俺が手伝う事が多いのだ。ガキの頃から普通に手伝ってる事が多かったから疑問に持たなかったけど、コレは中学生の仕事か?

 

 

「紅ちゃん、手伝いありがとね。ここはもう大丈夫だから着替えてきなよ」

「え、いいの?」

 

 

テントの設置を八割ほど終えた辺りで町内会の方がもう手伝いは大丈夫と言ってきた。まだ完全には終わってないんだけど。

 

 

「手伝ってもらってばかりだし、それに約束があるんだろう?」

「ありがとうございます!」

 

 

一緒にテントの設置をしていた人は大和屋の常連で俺が今日、速水達と祭りに行く事を知ってる人だった。酔っぱらうとダメな人だけど素面ならいい人だ。

 

 

「んじゃ、お先です!」

「おーう、また後でな」

 

 

俺は着替えるために一旦家に帰る事にした。早く帰って浴衣に着替えなければ。

 

 

「お疲れ様です鶴久君!」

「おわぁっ!?」

 

 

家に帰っている途中で殺せんせーが上空から現れた。ビビらせるな!いや、それ以上に目立つな!

 

 

「夏祭りの会場設置お疲れ様です。これから一先ず帰ってからお祭りに参加ですか?」

「見てたのかよ。うん、これから帰って浴衣に着替えようかと思ってた」

 

 

どうやらテントの設置やらの手伝いを見ていた様だ。

 

 

「では今日のお祭りに鶴久君は参加ですね。よかった、今日急に思い立って皆さんを誘っているのですが思いの外、断られてしまっていたので」

「せめて事前連絡をしろよ。そら当日に誘っても集まりは悪いだろうよ」

 

 

半泣きになっている殺せんせー。話を急に持っていき過ぎだっての。

 

 

「では後程、夏祭りでお会いしましょう。他の生徒も誘わねば」

「ったく……何やってんだか」

 

 

100億のターゲットから夏祭りに誘われるって二度と無い経験だな。そんな事を思いながら俺は帰る事にした。

 

 

 

 

◆◇side矢田桃花◆◇

 

 

 

夜になり、私や他のE組の皆も夏祭りに参加していた。

少しずつ集まっていく中で私は優奈ちゃんと一緒にいた。

鶴久君は先に来て会場の設置の手伝いをしていたらしく、一度帰って着替えてくると優奈ちゃんが言っていた。

 

 

「お、可愛いーね」

「俺達と一緒に遊ばない?」

 

 

なんて思ってたら学ラン姿の高校生に絡まれ始めた。いかにもヤンキーな感じの二人組。

 

 

「優奈ちゃん、下がって」

「え、あ、うん」

 

 

私は優奈ちゃんを庇うように少し前に出る。優奈ちゃんは脅えた様子だったけど素直に従ってくれた。

 

 

「お、お姉ちゃんは妹が心配ってか?」

「大丈夫だよ、俺たちは巨乳好きだから」

 

 

不良二人はゲラゲラ笑ってる。どうにかしたいけど私だけじゃ何も出来ないし、どうしよう?

 

 

「何やってんだオメー等?」

「え……あ」

「鬼山さん!」

 

 

振り返ると其処には買い物袋を肩に担いだ鬼山さんが立っていた。優奈ちゃんが二パッと笑う。

 

 

「喧嘩か……いいねー青春だ」

 

 

徐に買い物袋からビール瓶を取り出して直接飲み始める鬼山さん。え、助けてくれるんじゃないの?

 

 

「なんだオッサン!」

「邪魔する気か!?」

 

 

不良二人は鬼山さんに喧嘩を売り始めた。最初に私と優奈ちゃんに絡んだ切っ掛けは既に忘れてるね、この二人。

 

 

「は……面白ぇ……フン!」

 

 

鬼山さんは笑うとビールを一気に飲み干した。そして空き缶を宙に投げると手刀で割ってしまう。

 

 

「凄い……」

「あ……アレをやる気だ……」

 

 

更に鬼山さんは上着を脱ぐと体にペンで何かを書き始める。優奈ちゃんは鬼山さんが何をするのか察した様だけど何する気なんだろう?

 

 

「俺は貴様ら悪党から優離亜(ユリア)を助けるためにやってきた……喧死狼だ!」

「は?」

「ケ、ケンシロウだぁ?」

 

 

 

体に北斗七星をペンで書いた鬼山さんはバキボキと拳を鳴らす。その姿に不良二人はポカーンとしていた。

優奈ちゃんは楽しそうにしてる。え、もしかしていつもの事なの?

 

 

「何訳わかんねーこと言ってんだよ!」

「テメーから始末してやろーか死ねや!」

「ホァタ!」

 

 

不良二人が鬼山さんに殴りかかろうとしたけど鬼山さんはカウンター気味に手前にいた不良を殴り飛ばす。……なんか殴るしぐさが鶴久君と被った気がした。

そしてあっという間に不良二人を倒しちゃった鬼山さんは不良を肩に担いでしまう。

 

 

「コイツ等にゃ世間の厳しさやルールって奴を教えてやる。後は任せな」

「え、あ……はい」

 

 

 

有無を言わせないといった感じで鬼山さんは行ってしまう。普段からヤンキーみたいな人だけど今日は特に怖かった。なんか怒り心頭って感じだったけど……

 

 

「ヨーッス。悪い遅れたな」

「鶴久君」

「お兄ちゃーん。あのね、あのね鬼山さんがさっきね……」

 

 

私が先程の事を思い出していると浴衣を着た鶴久君が他のE組の皆と一緒に来た。優奈ちゃんは真っ先に鶴久君に抱き付いて先程の事を鶴久君に話してる。

話を聞いた鶴久君は驚いた様子で私に詰め寄る。

 

 

「矢田、大丈夫だったのか!?」

「あ、うん……鬼山さんに助けてもらっちゃった」

 

 

心配そうに私に詰め寄る鶴久君……って近い近い!

 

 

「心配なのはわかるけど……詰め寄りすぎ」

「痛っ!?」

 

 

私に詰め寄った鶴久君の後頭部に凛香が射的の弾を当てた。狙いが正確なのが流石だと思う。

痛がって頭を押さえながら座り込む鶴久君。

 

 

その光景にE組の皆が、いつもの事だと笑う。私も釣られて笑ってしまう。

凛香も静かに笑っていた。

昨日はあんな話し方をしてしまったけど、やっぱり私達はこんな雰囲気が一番合ってるのかもと思ってしまう。

 

でも私は今日、鶴久君に告白する。頑張らなくっちゃ。

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