暗殺教室 鶴久紅の事件ファイル   作:残月

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居酒屋の時間

 

 

◆◇side千葉◆◇

 

 

 

思えば変わった奴だった

 

E組に編入してきた時は緩い奴だと思っていたが体育の授業では烏間先生相手に押しの一手。

その割には射撃下手。

ビッチ先生と姉弟みたいな関係を持ち。

クラスメイトの村松とも知り合いだったみたいだ。

俺が射撃練習をすると言えば着いてきて何もして無くても楽しそうに見ていた。

 

そして何故か今

 

俺は鶴久の家の店『大和屋』で飯を食っていた。つうか出された料理が凄く美味い。

 

 

「ウチの料理は口に合ったかい?」

 

 

店のカウンターで飯を食っていた俺に話し掛けたのは鶴久の婆さん。

名は『海女』さんらしい。

 

 

「あ、はい。美味いです」

「そうかい。紅が友達連れてきたのにも驚いたけどイリーナまで一緒とはねぇ」

 

 

海女さんはタバコに火を付けながら呟く

 

 

「あのビッチ先生はこの店に良く来るんですか?」

 

 

ビッチ先生の名を出したら海女さんは咥えていたタバコを落としそうになる程に笑っていた

 

 

「あの子、そんなあだ名付けられてるのかい?」

 

 

クラス全員が呼ぶ名は大和屋では浸透していないようだ。

 

 

「イリーナはあまり、来ないね。前に来てのだってアタシの知り合いと一緒に来たのさ」

 

 

鶴久とビッチ先生の関係はどうやら海女さん繋がりみたいだ。

そんな事を思いながら店の中を眺めるとビッチ先生は他のお客と酒を飲んで盛り上がっている。

鶴久は料理を作ったり、接客をしたりと大変そうだ。

 

 

「紅がE組行きになったと聞いたときは心配したがこれで良かったみたいだね」

 

 

海女さんはタバコの煙をフゥーと吐きながら呟いた。

 

 

「なんでですかE組はエンドのE組って呼ばれてて……」

「そんなのは関係無いんだよ」

 

 

おれがE組の事を説明しようとしたが海女さんは俺の言葉を遮った

 

 

「どんな場所だろうがね笑って過ごせなけりゃ意味は無いんだよ。実際、紅がA組に居たときは楽しく無さそうにしてたけどE組に行った今日だけで随分柔らかい表情になってるじゃないか」

 

 

海女さんはそう言いながらタバコの火を消した

 

 

「それにアンタみたいな友達を連れてくるなんてね」

「あ、いや。俺は……」

 

 

海女さんの言葉に何とも言えなくなる俺だが海女さんは微笑んだ

 

 

 

「紅はアレで周りを見る癖がある。居酒屋で働いてついた習慣みたいなもんだけど……アンタ見て思うところが有ったんじゃないかい?」

 

 

そう言って海女さんの視線は鶴久に向いていた。

鶴久は丁度ビッチ先生にお酌をしており、ビッチ先生はE組の不満を漏らしていたみたいだが鶴久はフォローを入れながら周囲を笑わせていた。

ビッチ先生の不満を解消させながら周りにも気を配る姿勢は俺には真似できない。

 

 

「アンタも何かを抱えてるみたいだけど、そんな時は頼れる奴を頼りな」

「え?」

 

 

考え事をしていた俺だが海女さんの言葉に思考を戻される。

 

 

 

「アタシはアンタの親じゃないからこれ以上は言えないけどね。でもアンタらしさを見てくれる奴も居ることを忘れるんじゃないよ」

 

 

そう言った海女さんは鶴久が笑わせた客を見て微笑んでいた。

鶴久はビッチ先生に引き摺られたんじゃなくて俺を気に掛けてくれていたのか。

 

 

 

 

 

 

 

今日会ったばかりの奴だが。

 

 

仲良くなれるかな。

 

 

俺はそんな事を思いながらビッチ先生やお客さんと笑う鶴久を見ていた。

 

 

◆◇千葉side end◆◇

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