初めまして、私は豚汁と申します。
この度、ラブライブの二次創作を始めさせて頂きました。
読む方に少しでも楽しんで頂ければ……という想いで頑張って書かせて頂いていますので、是非読んでくださると嬉しいです。
では、どうぞ――――
1話 僕のスゴイ友達
突然だけど……僕の目指す“目標”の話を聞いてほしいんだ。
――あっ、やっちゃった。『初めて会う人には、まずは礼儀正しく』って、お母さんが言ってたのに……いきなりこんな事言っちゃって、ごめんなさい。
じゃあ、気を取りなおして……まずは
初めまして、僕の名前は
今は近所の
特徴は……ええっと……勉強が得意ってわけでもなくて……。
背も、クラスの他の男の子と比べても、自分は真ん中よりひくいぐらいで……。
こんな感じで、全然ほかのみんなと比べても、なにも特徴がないのが特徴……みたいな、そんな男の子です。
あっ、そう言えば同じクラスの男の子から――
『何かあったら、すぐに泣くのがお前の特技だ! やーい、泣き虫!』
――って、いつも言われてるから、それが特徴って言えば特徴なのかも……です。
……あは……あはははは……はぁ……いやになっちゃうなぁ、こんな僕。
でも、そんな泣き虫な僕にも、自慢出来るものがあるんです。
それは―――僕の3人の友達の事っ!
こんな僕に優しくて、一緒に遊んでてとっても楽しい……僕の大の自慢の友達っ!
あっ……急に大声出しちゃってごめんなさい。
で、でも、それぐらい僕の自慢で、大好きな友達なんです。
それで、三人とも僕の大切な友達なんだけど……その中の一人が、スゴいんです。
――――ひとりで、なにやってるの?
その子は、泣き虫で気弱な僕とは違って、元気があって、公園で遊ぶみんなの人気者で……初対面の子でも、すぐに仲良くなれます。
―――そうだっ! よかったらいっしょにあそぼうよ! いまからみんなとおにごっこするんだ!
だから、僕が幼稚園の頃に公園で初めて会ったその子は……僕にとってまるで、お母さんがよく読んでくれた絵本に出てくる、“主人公”みたいな存在に見えて……。
―――あ、まだ、なまえきいてなかった……わたし、ほのか! きみのなまえは?
―――ぼ、ぼく……? ぼくのなまえは……おりべ、しょうや……
―――しょうやくんだね! じゃあ、こっちきていっしょにあそぼ! はやくはやく~!
―――わわっ……! ま、まってよぉーー!
だから僕は……決めたんだ。
僕が幼稚園の頃、引っ込み思案で、公園で遊ぶみんなの輪の中に入れなかった僕の手を、思いっきり引っ張っていってくれた、
そんな、“主人公”みたいな女の子の友達に見合うような男の子になろうって――
そう―――『カッコいい男』になりたい。
それが……幼稚園の頃から僕の心に強く残る、大切な“目標”なんです。
……僕がこれから話すのは、そんな僕と、僕の大切な友達の思い出。
そして―――弱い自分が、ほんの少しだけ強くなれた日の思い出話です。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「―――わわわわわわっ! 急がなきゃ! お母さん、行ってきまーす!」
僕はそう言うと、ランドセルを急いで背負って家から慌ててとび出した。
今の時間は朝の8時10分。
僕は今、人生で初めて小学校に遅刻をしそうになっていた。
「ちょっと待って体操服忘れてるわよー! 小学校に行くのに寝坊したからって、慌てすぎよ!
そんな僕に向かって、お母さんが体操服を手に持ちながら大声でそう言う。
僕は慌ててお母さんの元にもどって、お母さんから体操服をもらった。
「ごめんお母さんありがとう! お母さんも昨日夜勤だったんだから早く寝てね!」
「はい、ありがとうね。いってらっしゃい……って、寝癖ついてるわよ!? 待ちなさい正也ーーー!!」
遅刻しそうだけど、僕はしっかりとお母さんに休んでと言っておく。
――そうしなければ、
もちろん、そんなことはお父さんだって僕だって望まない。
だからこそ、ここでそう言っておくのが息子としての使命というものだろう。
僕はそう思いながら、お母さんが何か言ってるのを全く気にせずに、学校に向かって猛ダッシュで走る。
「ううっ……もっと早く走らないと遅刻しそうだよ……!」
僕は走りながら、珍しく寝坊してしまったことを後悔する。
そうして、急いで登校班の集合場所に着いたけど、班のみんなは先に学校に行ってしまっているみたいで、だれも居なかった。
「ああ~~~!!! みんなもう行っちゃってる! ううっ……ひどいよ、僕がまだなのに置いて行っちゃうなんて……」
もちろん、僕が悪いって事はわかってる。
でも登校班から置いていかれて、どうしたらいいか分からない僕は、僕を置いて行った血も涙もない班長に、そう言って文句を言う事しかできなかったのだった。
ああ……これからどうしよう……!?
どうすればいいんだろう……!?
このままじゃ遅刻しちゃう……とにかく急がないと! でも、今からだったらもう間に合わないかも……どうしよう……!?
僕はそんな不安で頭がぐちゃぐちゃになってしまって、その場から動くことが出来なくなってしまう。
――すると、そんな時だった。
「うわぁーーー! 遅刻だよーー!」
走る足音と、慌てたような女の子の声が聞こえてくる。
こ、この声はもしかして……!
「はぁ……はぁ……あれ
オレンジ色に近い髪をサイドポニーにした女の子が、ここまで急いで走ってきて、そして息を切らせた様子で僕にそう言ったのだった。
や、やったぁ!
僕はそう思って、さっきまでの混乱から嘘みたいに立ち直った。
――僕の事を“正ちゃん”って呼ぶこの子の名前は、
同じ小学校に通う二年生で同じクラス。そして、幼稚園の時からの僕の友達。
あっ……ちなみに、穂乃果ちゃん以外にも僕にはあと二人の友達が居るんだけど、今この場にはいないから、その説明はまた僕たちが学校に着いてからにしようと思う。
「穂乃果ちゃんは、今日“も”寝坊……?」
僕は安心している気持ちを隠しながら、穂乃果ちゃんにそう言った。
普段は寝坊しがちで、先生に怒られてしまうことが多い穂乃果ちゃん。
それでも、穂乃果ちゃんが居るならきっと何とかなると、不思議にそう思えてしまう僕だった。
「え? あ……その様子だと正ちゃんも寝坊? ……やった! 寝坊仲間だよ!」
僕の髪の状態を見て察したのか、穂乃果ちゃんは嬉しそうに僕の手を握って、その手をブンブン振った。
「穂乃果ちゃん!? 手痛い! 痛いって!」
「良かった~! これで先生に怒られて廊下で立たされちゃっても寂しくないよ~!」
「穂乃果ちゃん!? それってもう諦めてない!? 遅刻しないためにがんばろうよ!?」
あれ? 大丈夫……だよね?
前言撤回、少しだけ不安です。
「大丈夫、先生のお説教も慣れればへーきだよ!」
そう言って穂乃果ちゃんは僕を励ました。
それは穂乃果ちゃんが起こられるの慣れてるだけで、僕は全然平気じゃないのに……。
僕はそう思いながら、よく遅刻する穂乃果ちゃんを叱る担任の先生の鬼の形相を思い浮かべる――
『こらぁぁぁぁ!!
先生が良いって言うまで、廊下に立ってなさーーーい!!!』
……こ、こわい、怖すぎる!
き、きっと沢山怒られて、そして重いバケツを持たされて廊下に立たされちゃうんだぁ……いやだ、そんなのいやだよぉ………!
「ううっ……うわぁぁ~~~ん!! 先生に怒られるの嫌だよぉ! 怖いよぉ~~~!!!」
僕はそのあまりの怖さにとうとう抑えきれず、穂乃果ちゃんの前なのに思いっきり泣いてしまった。
「あわわわっ! 正ちゃん泣いちゃった……!
―――ようし、まかせて! 正ちゃんが怒られないために、穂乃果がんばるよ!」
泣いている僕を見て、穂乃果ちゃんはいきなりそう言って走り出した。
「ううっ……ひっく……え? 穂乃果ちゃん……?」
「正ちゃーん! 何やってるのこっちこっちー!」
「う……うん! わかった穂乃果ちゃん!」
――いつだってそうだ。僕が泣いてる時は必ず穂乃果ちゃんが助けてくれる。
そう思い、僕は穂乃果ちゃんのいう事を信じて、穂乃果ちゃんの後に続いて走り出した。
また前言撤回、やっぱり穂乃果ちゃんは頼りになります。
■ ■ ■ ■ ■
「「はぁ……はぁ……ギリギリセーフ!」」
僕達は教室に同時に入ってそう叫ぶ。どうやら間に合ったみたいだ。
しかし、間に合ったはいいものの、土埃やススなどで僕たちの姿はボロボロな有様だった。
「……すごいね穂乃果ちゃん、まさかあんな抜け道を知ってるなんて……」
そう言いながら、僕は穂乃果ちゃんの教えてくれた道を思い返す。
その道は、家と家の間や路地裏などを利用して、学校までほぼ一直線で駆け抜けることができる道だった。
「ふふーん! すごいでしょー、もっとほめていいんだよ?」
「ありがとう! 穂乃果ちゃんのおかげで遅刻しなかったよ! 穂乃果ちゃん天才!」
……やっぱり穂乃果ちゃんはすごい。
遅刻決定とも言えるあの状況から、結果ボロボロになってしまったけども、見事に学校まで間に合ってみせたのだから。
「えへへ…ありがとう……穂乃果はあの道大変だからあんまり使わないんだけど、今日は正ちゃんが遅刻しそうだったから特別に使ったんだー」
僕の褒め言葉に、照れたようにしてそう言う穂乃果ちゃん。
「特別って……もしかして僕の為にあんな無茶な道を?」
「うん! だって正ちゃん遅刻したくなかったんでしょ?
――だったら頑張るのは当然だよ! だって穂乃果たちは友達だからね!」
穂乃果ちゃんは僕にそう言うと、はじける笑顔でVサインをした。
「……ありがとう穂乃果ちゃん」
やっぱり穂乃果ちゃんはカッコいいなぁ……
――それに比べて、僕は穂乃果ちゃんに頼りっぱなし……カッコ悪い。
僕はそう思って唇をぎゅっと噛みしめる。
確かに穂乃果ちゃんはすごいし頼りになる。
でも、いつまでもそれに甘えてばかりというのは、男の子としてどうなのだろうと感じてしまう。
そう……だからこそ、いつか『カッコいい男』になって、穂乃果ちゃんの友達でいて恥ずかしくない自分になってやるんだ!
うん、自分の大切な目標……ちゃんと僕は覚えてる。
絶対僕は『カッコいい男』になるぞ! 頑張るぞ!
僕はそう思って自分に気合をいれる。
……あっ、そう言えば寝癖ついたままなの忘れてた……気分台無し。
今の自分のカッコ悪さを思い出し、さっきまでの勇気が全部しぼんでしまったような気持ちになる。
自分の心の中だけでもカッコつけれないなんて……やっぱり僕はカッコ悪いなぁ……。
「正ちゃん、穂乃果ちゃん……大丈夫?」
と、僕が落ち込んでいる時に、僕たちを心配する声がした。
僕はその声の方に目を向けると、ベージュ色の髪で頭にトサカっぽいクセっ毛が特徴的な女の子の姿があった。
――この子の名前は、
穂乃果ちゃんと同じく、幼稚園の時からの僕の友達だ。
「ことりちゃん……大丈夫、大丈夫。ちょっと無茶な道通っただけだから……」
僕は心配いらないという風に、僕の事を見つめることりちゃんに向かってそう言った。
……すると、ことりちゃんは突然僕の髪に手を伸ばして、僕の髪の寝癖を軽く整えると僕に笑顔でこう言う。
「はい、これでいつものカッコいい正ちゃんだよっ」
「あ……ありがとう、ことりちゃん……」
その言葉と行動に、僕は思わず心がほんわかしてしまった。
こういう細かい気遣いをしてくれるところが、ことりちゃんの良いところなんだと僕は改めてそう思う。
「ああ~ズルい正ちゃん~!ことりちゃん、穂乃果もそれやって!」
「うーん……穂乃果ちゃんは大丈夫みたい、いつものかわいい穂乃果ちゃんだよ」
「う~!嬉しいけどなんかずるい~!」
穂乃果ちゃんは不満そうにそう言う。
すると、ことりちゃんの後に続いて、もう一人の女の子が現れた。
「穂乃果、正也、ごめんなさい……私は、もう少し待とうって言ったんですけど、班長さんに遅刻するからダメだって言われてしまって……」
そう言って、丁寧な言葉使いで、申し訳無さそうに声をかけてくる女の子。
この子の名前は、
長い髪をしていて、髪色は少し青みがかった黒色。
そして少しおどおどしている印象がある子だ。
この子も、穂乃果ちゃんとことりちゃんに同じく、僕の幼稚園からの友達である。
「海未ちゃん大丈夫だよ……遅刻しちゃったら大変だから仕方ないし、それに寝坊してきた僕たちが悪いんだから」
「そうだよ海未ちゃん! それに穂乃果たちは遅刻しなかったから問題なしだよ!」
「なら良いんですけど……でも二人とも……あんまり遅刻したら……その……ダメなんですよ?」
そう言って海未ちゃんは、少し遠慮気味に僕たちを注意する。
「……うん、わかった。次から気をつけるよ、海未ちゃんありがとう」
いつも海未ちゃんはあまり自分に自信が無いようなのか、自分から発言することは少ない。
でも、こうやって僕達をしっかり注意してくれる所は良い所なんだから、もっと自分に自信を持って欲しいと僕はいつも思っているのだった。
――こうして、いつもの四人組が全員揃う。
近所に男の子が少ないせいか、僕には男の子の友達が一人も居なかったりする。
しかし僕はそれを不満に思ったことはなく、むしろこの三人と遊んでいる時が一番楽しいと言っても良かった。
僕にとって穂乃果ちゃんは、幼稚園の頃に出会って僕の世界を広げてくれた恩人であり大切な友達だけど、ことりちゃんと海未ちゃんも、僕にっては穂乃果ちゃんに負けないぐらい大切な友達だ。
「みんな席に着いてー、出席を取るわよー」
先生が入ってきて出席を取り始める。
それに気づいた僕たちは、慌てて自分の席に着いた。
今日も、学校が始まる。
今日はみんなと放課後何して遊ぼうかな……そうだ、穂乃果ちゃんが今日はドッチボールしようとか言ってたっけ、楽しみだな……
僕はそう思って、今日の学校が終わった後の事をのんきに考えていた。
この後――自分の目標そのものを揺るがすような、とんでもない“大事件”が起こることも知らずに。
ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。
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