―――“カッコいい”って何なんだろう。
好きな女の子の前で自分を強く見せる事?
他の誰かの為に全力を尽くせる事?
不幸に見舞われても挫けない強さを持つ事?
どんなに辛くても真っすぐ前を向ける事?
自分の譲れない物の為に命を懸けて戦える事?
そのどれもが正解でいて―――そして正しい。
きっと俺は、その数多ある“答え”の中で、たった一つの何かを探し求めているんだろう。
―――そうそれは、小学生の頃から何年も経った今だって同じ。
―――俺は、真の“カッコよさ”とは何かを探し、
【プロローグ】
◇ ――
「『――ファイトだぞ、俺っ!』 かぁ……懐かしいなぁ、そういや昔こんな事書いてたっけ」
そう言うと、赤と黒のストライプ調のタキシード姿に身を包んだ一人の、高校生ぐらいの男は、まるで昔を懐かしむかのように目を瞑り、今まで読んでいた一冊の日記帳をそっと閉じた。
「わざわざ家を出る前に父さんが俺に渡すもんだから、どんな内容書かれてるかと思ってドキドキしたけど―――まさか、自分の小学生の頃の日記なんてね。
つまり、父さんは俺“初心を振り返れ”って言いたかったのかな?
全く……父さんは息子にどんなアドバイスしてんだよ。こんな事――勿論覚えてるに決まってるだろ?」
そんな事を言いながら“彼”は、その日記帳を持ってきていた小物入れの中にしまい込み、そして、代わりに黒いギターケースから彼自身の分身にも等しい
「ふぅ、意外だな……もっと緊張すると思ってたけど、いざ直前になってみると案外緊張してない。 よし、これなら――思いっきりやれそうだ」
ニヤリと笑ってそう言う彼の表情には、まるでこれから自分がする“挑戦”に対するプレッシャーなどは微塵も感じさせない程の、大胆不敵な余裕の色があった。
そんな気合に満ち溢れる表情の彼を、相応の舞台に――“決戦の場”に向かわせる、異様なほどにハイテンションなアナウンスが鳴り響く。
『いぇーーーーーい!! 会場のみんなぁ! そして、テレビ画面の前のみんなぁ!
全員、はっちゃけてるかぁーーーい!!??』
ピンク色のハート形のフレームの眼鏡という、奇抜なデザインの眼鏡をかけた女性のハイテンションなアナウンスに応じるかように、会場に集まった観客の方からは、まるで地鳴りのように感じるほどの大歓声が上がる。
その歓声はまるで、これより始まる祭典の開幕を待ちきれないかのような、そんな熱狂の色を帯びていた。
『ところで聞いておくけど、みんなはもちろん知ってるよね!?
“スクールアイドル”っていう存在を……ってか、この場にいるみんなは知らないって言わせないぞーーーー!!!
だって、この大会はそう! その“スクールアイドル”の中の頂点を決める大会なんだからぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!』
司会のハイテンションな実況につられ、大舞台の前に集まった観客の熱狂はさらに高まる。
『そう、普通の
芸能プロダクションを通さず、ただの一般の高校生の生徒が集まって結成されたアイドル―――それが“スクールアイドル”!
今までこの、スクールアイドルという文化の火種は、静かにブームを巻き起こしつつ全国の高校に燃え広がっていました……。
そして、ついに――そのスクールアイドルの中で一番を決める大会が、今日ッッ!!
――――開催されることになったのですッッ!!!
第一回全国アイドルクラブコンテスト――――その名もッッ―――
―――――『ラブライブ!』ッッッ!!!」
その司会者が、この“大会”の名称を高らかにそう叫んだ時、会場の熱気が一気にピークに到達する。
その熱気を、ステージの裏でほぼ直接に受けた“彼”は、参ったような微笑みを見せる。
「――ふぅ、やれやれ……まさかここまでとは。
今まで“会場の雰囲気に飲まれる”って経験は全く無かったんだけど、もしかしたらこれがその感覚なのかもな……」
そう呟いて、彼は身体を震わせた。
――怯え? いや、そうではない。
身体を震わせながらも、彼の口元は挑戦的な笑みを浮かべていたからだ。
紛れもなく彼はこの瞬間、ステージに立つ前の一人のスクールアイドルとして武者震いをしていた。
ちなみに語っておくが、彼にはダンスの特別な才能はない。
そして――昔に名を馳せたプロのアイドルや音楽家などの血を引く息子で、その才能が遺伝しているという設定がある訳でもない。
今この場に立つ為に必要な、才も、実力も、時の運も……その全てを“努力”のみでねじ伏せ、全くの無名の男子高校生が一人、ラブライブのステージに立つ。
「さぁ……そんな名誉ある大会の司会者を務めさせて頂きますのはこの私!
――
――では、このまま私が話し続けるのもあれなので、さっそく最初の高校を代表するスクールアイドルの方に来ていただきましょう!
この大会の今後の流れを決めると言っても過言では無い、トップバッターのスクールアイドル――」
そんな彼の名を、ステージの上に立つ司会者の
「――廃校寸前の学校から、まさかまさかのラブライブの本選出場!
ほんの一か月前にスクールアイドルのランキングに彗星のように現れ、ランキングを怒涛のように駆けあがり、本選出場条件である二十位に滑り込んだ
さぁ……お前はこの大会に参戦する唯一の男性アイドルとして何をもたらすのか……それを私たちに見せて見ろ~~~~!!!
さぁ、カモ~~ン! 『国立音ノ木坂学院』代表のスクールアイドル――
――その名も、
「オーケ……さぁ――派手に“カッコよく”決めてやろうか」
司会の宣言と同時に、ステージの入り口からスモークが勢いよく焚かれ、その白い煙の中から一人の少年がステージの中央まで走り出ながら、周りの観客に手を振った。
そんな彼を見守る存在は、ステージ上に居る彼を見ながら呟く
「今闘っているあなたの隣に在れない自分が情けないです。
――でも、ここで応援する事で、少しでもあなたの力になれるのなら私は……!」
海未は一人、本選会場の観客席で固唾をのんで正也の姿を見守る。
「正ちゃん……ことりには、もうそこに行く資格は無いけど……せめてここから、正ちゃんの事を見守ってるから」
ことりは、引っ越し用の段ボール箱に私物を全て詰めてしまった後の殺風景な自室で一人、ノートパソコンを開いてラブライブのネット生放送配信の動画を見つめる。
「何で、正ちゃんはそこに立ってるの?
もう、穂乃果達の“スクールアイドル”は終っちゃったのに……なのに、何で正ちゃんは歌うの? ――ねぇ、どうして?」
そして――かつてその瞳に輝く意志を宿し、輝ける可能性を持つ八人の女神を束ねた
そして、彼の事を見つめるはこの三人だけではない。
彼女たちの他にも六人の少女が彼の事を特別な感情を持って見つめていた――つまり三人と合わせて九人の目が彼に注がれていた。
その九人の少女らは、本当ならもしかしたら、彼の代わりにその場に立てていたかもしれない――輝ける資格を持ち得た存在だった。
そんな想いの籠った目線を知って知らずか――正也はニヤッと不敵に笑う。
そして、自分を見ろと言わんばかりにギターを速弾きでかき鳴らす。
正確かつ速発、そんな彼の演奏技術は何度も何度も繰り返された反復練習によってもたらされたもの。
そんなギターの迫力に思わず、観客は彼の姿に目を引き込まれた。
そして、正也は叫ぶ。
「オープニングトークなんて要らねぇ、そんな御託よりも聞いてけ魂の俺のライブを!!
曲名は――――
――――『Beginning the“LEGEND”』!!」
さぁ―――これより“伝説”を語ろうか。
明日を紡ぐ未来を繋ぎとめた男が居た。
この物語は、やがて『伝説』のスクールアイドルとまで呼ばれた、九人の女神を名を冠する事になる少女達と――
――そして、スクールアイドル初の男性アイドルとして、スクールアイドルの歴史の中でその名を残すことになる、1人の少年が――――『伝説』に至るまでの物語。
その物語の始まりと、そして物語の終わりとして記す文言は、こう綴るべきだろう――
『それは、やがて伝説に繋がる物語』 と
皆さまお久しぶりです。そしてすみませんでした。
色々仕事や対人関係などの精神的な問題で作品の更新が出来ず、大分放置してしまって気づけば何年もたってしまっていました。
もうこのシリーズ自体を消して、全部なかった事にしようと思った事も一度や二度じゃありません。
ですが、こんな作品にまだ「待ってるよ」というお声を時折頂き、更新する気力は無くなってしまったとしても、せめてこの作品は残しておこうと思いました。
だからこそ、色々ご意見あると思いますが、私はせめて一度初めたからには最低限、この作品だけは最終回としての区切りをつけようと、今回の話を投稿しました。
色々投げっぱなしで本当に申し訳ございません。
また、機会があれば頭の中でこの後どうするつもりだったかのプロットみたいなのを投げると思いますので、その時は興味ある方で構いませんので見て頂ければ幸いです。
では、またお会いする日があればその時は是非よろしくお願いいたします……