スパロボ帰りの一夏くん   作:Fade

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勝利条件
3ターン以内に宇宙怪獣を撃破

敗北条件
一夏の撃墜




第1話 故郷への帰還

次元と次元の狭間、そう呼称するしかない空間を俺たちは進んでいく。

この空間の先にある世界がどういった世界なのか、俺たちは感覚で理解していた。だから、先を行く奴をこれ以上進ませるわけにはいかない。

そしてようやく、俺の愛機――白雪・月狼のハイパーセンサーが奴を捉えた。

スラスターを吹かせばすぐにでも接近可能な距離だと視界に示される。

 

『残りエネルギーが心もとないので、一回で決めましょう』

 

白雪のコア人格、通称「雪」が声を掛けてくる。

その相手を鋭く見据える視線は雪の気合いの入りようが伺える。

俺は一度深呼吸をし、叫んだ。

 

「出し惜しみはなしだ。全力で行く!」

『了解です。ODS起動!』

 

白雪の機体が白い輝きを放つ。有り余るエネルギーを粒子として周囲に放出するこの姿は白雪という機体の全力の姿だ。ただ、依然として未完成であるが。

出力の増したスラスターを吹かし、一気に目標である敵――宇宙怪獣へと接近する。

相手もこちらに気付いたらしく、赤い複眼を煌めかせ始めた。

胴体から伸ばした脚部で薙ぎ払ってきた。

大振りの攻撃を避け、俺は右手に多目的特式剣「淡雪」、左手に同型の剣である「雪乱」を構え、宇宙怪獣へと斬りつける。

個体としてはそれほど強度がないのか、刃があっさりと肉を斬り裂いた。

 

「追撃!」

『ビット操作はお任せください』

 

俺の声に応え、雪が支援特殊射撃武装「雪風」を全機発射させる。

「雪風」は宇宙怪獣を囲い、絶え間ないレーザーの雨で撃ち抜いていく。さらには何機か銃口の部分からレーザー刃を発生させ、切り刻んでいった。

その間に距離をとった俺は「淡雪」と「雪乱」を銃形態へ変形させ、連射する。

思う存分撃ち込んだ頃には宇宙怪獣の身体はボロボロになっており、動きも相当に鈍くなっていた。

トドメのチャンスだ。

 

「最後だ、決める!」

『雪たちの本気をお見せします!』

 

一気に宇宙怪獣へと接近しつつ「淡雪」と「雪乱」を剣形態へと戻して連結。さらに戻って来た「雪風」を全て合体させて完成する複合極式大剣「雪崩」を両手で握る。

ODSのエネルギーを充填した「雪崩」が雪華と同じく輝きだす。

そして高速という表現では足りない速度で絶え間ない斬撃を繰り返した。塵一片たりとも残す気はない。

締めに「雪崩」の刀身部分を展開して膨大なエネルギーを刃として放出し――横薙ぎ一閃。

断末魔の声を上げる暇もなく、宇宙怪獣は俺の眼前から消え去った。

 

『システム通常モードに移行します。お疲れ様でした』

「おう、お疲れ」

 

武装を「淡雪」以外量子変換して収納する。

ODSも解除され、白雪の機体も元の状態に戻った。

俺は息を大きく吐いて昂ぶった心を落ち着かせようとする。

まだ息が荒い。

そんな折に、機体のチェックをしていた雪がふと気づいたのか大声で言ってきた。

 

『一夏、もうすぐ切れ目に着きそうです。たぶん出口です』

「そりゃありがたい」

 

ホントの出口なら。という余計なひと言は言わない。おそらく、出口なのだと直感が囁いているから。

それよりも本当にギリギリだったようだ。もう少し倒すのが遅れていたら、宇宙怪獣があの世界にこんにちはしていたことだっただろう。

俺が安堵していると雪の楽しげな声が響いた。

 

『間もなく出口です!やっと帰ってこれました!』

 

次の瞬間、まばゆい光が俺たちを包み込んだ。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

まず俺たちの視界に映ったのは一面青い海だった。

周囲に俺たち以外いないため、風が起こす僅かな音が耳に届いてくる。

 

『コアネットワーク接続確認。間違いなく雪たちの世界です』

「ああ」

 

感無量。今の俺を表すならその言葉に限った。この世界からあの世界に渡ってしまってから、時間のズレがなければもうすぐ三年になる。

千冬姉に箒、束さん、鈴、弾、蘭やみんなは元気だろうか。早く会いたい。それに束さんには見せたいものもあるしな。

思いを張り巡らせていた俺の耳に突然、雪の必死な声が刺さった。

 

『一夏!コアネットワークから数十の救援要請!』

「え!?場所は?」

『ここから近い。場所の名前はIS学園。今からマップに表示する。お願い一夏!』

 

コアネットワークからということは、雪以外のISからということなのだろう。

それにIS学園というのは俺も聞いたことがある。

それ以上に、仲間の危機に懇願してくる雪の願いを聞き入れないわけがない。

 

「残りエネルギーを効率的に回してくれ。戦闘できる分は残すように調整。飛ばすぞ!」

「了解!」

 

ゆっくりと思いに浸る暇もなく、俺たちは空を翔ける。

幸い、ほんとうに近かったようで数分で到着することが出来た。

IS学園の上空近くに来た俺たちは騒動が起きている場所を探す。

どこからか雪が引っ張って来たマップと合わせてみれば、現場は第三アリーナ。

移動しつつ探ってみると、センサーが俺の目に届けたのは戦場だった。

アリーナの周囲に張り巡らされてたらしきバリアは破られていて、中央で黒いISらしき機体が暴れている。

それに対応しているのは二機の青と赤桃色のIS。だが状況は芳しくないようだった。決定打を与えることが出来ていない。

急がないと。焦るばかりで速度が中々上がらない。

どうやら今まで残していたツケが今になって支払いを求めて来たらしい。

だんだんと白雪の反応も悪くなってきた。

 

『出力低下。一回正規メンテナンスしないといけません』

「弱気になるな。あともう少しなんだそれまでなんとか」

 

言い合っていると、黒い機体が二機を制圧していた。どうやら二機ともエネルギーが切れてしまったらしい。

黒いISが腕に装着された銃口を二機へ向ける。

俺の頭に最悪の光景が走る。

 

「やらせねえよっ」

『承認。ODSスタート』

 

ODSを起動。無理矢理に出力を上げて黒い機体へ突っ込む。

とにかく、この場で戦闘するのはマズイ。何かの行事だったのか、まだ避難している人たちが見える。

俺たちの接近を察知できていなかったのか、反応出来ていない黒い機体の腕を鷲掴みにして俺たちは再び空へと飛翔する。そして今来た経路を逆走し海上へと連れていく。

ここなら被害を気にする必要はない。いまだ反応を見せない機体を上に放り投げる。

そして空いている左手、正しくは左腕にエネルギー砲「喰雪断砲」を拡張領域から取り出して装備する。敵機体に照準を合わせた。

 

「本当なら停止させて調査とかすんのが普通なんだろうけど、そんな余裕はないからな!」

『発射』

 

ビームの独特な発射音がすると、瞬く間に敵機体へと着弾して消し飛ばした。

直後、一息つく暇もないままに白雪が解除されてしまった。

無防備になった俺は海へと落ちる。

 

「ぷはっ!…はあ、うう。雪、調子は?」

 

慌てず騒がず、溺れないようにしつつ雪へと尋ねる。

返って来たのは困惑した様子だった。

 

『システムエラー多数確認しました。機体展開不可能です。幸い、ISコア本体の損傷は見受けられません。雪は大丈夫です』

 

とりあえず雪は無事みたいだ。雪が無事なら白雪の機体も修理すれば大丈夫だろう。

さて、これからどうするか。

さっきまではすっかり忘れていたが、ISは女性しか扱えないというのが世界の主流になっている。

俺はその常識の柱に真っ向からケンカを売っている存在だ。

どう転んでも厄介ごとの臭いしかしない。

思案していると、一瞬目の前が暗くなった。あれ、今のは…。

段々と暗くなる間隔が短くなっていく。

 

『そんな、急にバイタルが!一夏!一夏!』

 

雪の必死に俺を呼ぶ声が聞こえたのを最後に、何も聞こえなくなった。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「うん、そう。ありがと。おねがい。じゃああとで」

 

私はまーちゃんとの通信を終えると、大きく息を吐いた。

今日の昼間。IS学園近くの海上で突然発生した裂け目。他に言い様が無いから裂け目と言っておく。

原因不明の裂け目からISが出現した。

すぐに私はそのISのコアを検索した。そしたら、あのコアは数年前に彼と一緒に行方不明になったものということが分かった。

そしてその搭乗者が彼、いっくんだということも。

それが分かった瞬間、泣きたくなった。生きていてくれたことが本当に嬉しかった。

死んだという証拠がなかったから生きていると思ってはいた。でも、生きている証拠は私にも見つけられなかった。いっくんとコアの存在がぱったりと途切れてしまっていたから。

 

「本当に、本当によかった」

 

でも、私が先に泣くことは許されない。私以上にいっくんがいなくなって悲しんでいる人がいるから。

ホントならIS学園を襲撃した兵器について調べなきゃいけない。

でも今だけは身勝手だが、それを後回しにする。

私は端末からちーちゃんの端末にコールした。

程なくして、ちーちゃんの声が返ってくる。

 

『もしもし。どうした?』

 

忙しいだろうに、いつもと変わらぬ口調でちーちゃんは言ってくる。

私に気を使ってくれているんだ。数年前からそうだった。

でも、もう私に気を配ることはないんだよ。ちーちゃん。自分を責める必要もないんだよ。

生きていてくれたから。けれどちーちゃんはいっくんに謝りたいんだよね。私もたくさん、いっくんに言わなきゃいけないことがあるんだ。

だから、今だけは。今だけは。

 

「もしもしちーちゃん。あ、あ、あのね、さっきIS学園を襲撃した兵器を連れ去った白いISのことなんだけど」

 

ダメだ。どうしても声が震えちゃう。

 

『…束?どうした、何かあったのか?』

 

優しい声音でちーちゃんが声を掛けてくれる。もう限界だった。先に泣きたくはなかったのに。ごめん。ちーちゃん。

 

「生きててくれた」

『…え?』

 

聞こえなかったのかな。でもこの言葉が使われるのは一人しかいないんだから。

私は流れる涙で服を濡らしつつ。一字一句しっかり声にだした。自分でも再確認するために。

 

「いっくんが、生きててくれた。あの白いISに乗ってるのはいっくんだよ」

 

私の言葉を認識したちーちゃんは、間もなく大きな声で泣き始めた。

 

 

 




織斑一夏:根性 閃き+ 必中 気合い 魂
エースボーナス:精神使用時の消費SP半減
雪:偵察 加速 努力 愛


僕の妄想ではこんな感じ。
序盤でメンバー入り→終盤に離脱→この小説冒頭。

では、次回の更新で。
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