恥ずかしい間違えだ。これはもうVita片手に書くしかないな(
というわけで前回の最後に書いた妄想の正しくは
序盤加入→中盤離脱→この小説冒頭
となります。
あと、前回の文章をほんの一部変えさせていただきました。ご了承ください。
くわえて、遅ればせながらタグを追加します。ご確認ください。
目を覚ますと、俺は見渡すかぎり海が広がる海岸にいた。
いや訂正。まだ覚めてなかった。ここは雪の世界だ。
正しくは雪の大元である白雪のISコア内部、雪のプライベート空間。
どういうことかと言うと、俺の精神がこの世界に降りている状態だ。…て、説明になってないか。
「おはようございます。一夏」
声がした方へ向けば、白いスーツを来た白髪の少女がそこに。雪だ。
いつもながら、周囲の景色とスーツのアンバランスさが気になる。
「水着になりましょうか?」
「そういう気遣いはいらないから」
ウソか本気か分からない雪の提案はさておいて、俺たちは近くの木陰で互いに向き合って座る。
スーツが汚れないのかと前に聞いてみたが、そこらへんは気にする必要が無いと言っていた。洗濯する必要がないとは便利な事だ。
雪が口を開く。
「まず現状の説明をいたします。一夏が気を失ったあと、私たちは回収されました。現在お母様――束様のラボにいます」
「気を失った?」
…ああ、そうだった。海でそのまま溺れなくてよかった。
束さんの事だから、この世界に戻ってきたときにはすでに俺たちの事を把握してたかもしれない。
雪の生みの親の特権とか何かで。
「それでですね一夏。ここからが本題なのですが…」
雪が目を伏せる。何か言いづらいことでもあるのだろうか。大抵の事では驚かない自身があるんだけど。
自分でも困惑しているのか、雪は落ち着かない様子で身体を揺らしたりしてから口を開いた。
「例のエラーのせいか、その、私の本体の三次移行が解除されてしまいまして…。現在、一次移行の白雪となっています」
「…ちょっとタンマ」
驚かないと言いましたが前言撤回させてほしい。俺は思わず頭を抱えた。
いや待て。そんなことになって一番ショックを受けるのは誰だろうか。考える必要はない。雪だ。
この少女はすごく真面目だ。この問題も自分のせいだと責めているに違いない。
「なっちゃったもんはしょうがない。どうにかなるさ」
そうですね。雪は曖昧な笑顔で返事をした。
在り来たりなことしか言えない自分が情けなく思える。
雪は続ける。
「そのような状態なので、私の武装は淡雪と鈴雪のみとなっています。ODSは現在使用不可。単一仕様と騎士形態は使用可能ですが、単一仕様に関してはまだ全貌が不明な能力ですし。幸い成長過程が記録されたフラグメントマップに問題がないので、いえこの場合フラグメントマップが健在にも限らず問題が起きているのが問題なのですが。それにエラー原因を私が分からないのもおかしいですし…。ただ内部にガタがきてはいますが、にしてもガタがエラーの理由じゃないというのも変……」
まだ自分の中でも整理がついていないのだろう。あれこれと言葉を続けて思考模索に没入しようとしている。
デコピンでもしてこちらに意識を向けさせるかと考えていると、段々と眠くなってきた。
これは俺が起きようとしている前兆だ。
「一先ず続きは起きてからだ。もう束さんにその辺は相談してるんだろ?」
「そもそもエラーが起きていながら私になんの障害も起きていないのはなぜ?いやだからコアには何も起きていなくて」
完全に聞いてない…だと。俺の意識が徐々に暗転していく。
「最後に一つ。お母様はあの時、一夏と雪がいなくなった時の事を気になされています。フォローをお願いいたします」
☆☆☆
『おはようございます。一夏』
雪の挨拶が耳に届いた。なるべく平坦な声で言おうとしてきているのは、さっき考えに浸っていたことをなかったかのようにしたいのかもしれない。
だが声が上ずっているのは隠せていないぞ。恥ずかしがってるのか?
それはそうと。体を起こして随所を伸ばしつつ、寝ていた場所を見てみると周囲には何かの機械とかパーツとかドラマとかでよく見る手術器具とか…。
俺改造されてないよね?不安になるよ。
そんな馬鹿げたことを考えていると、ドアが開いた。
現れたのはうさ耳をつけたエプロンドレスの女性。束さんだった。数年経っても変わってないなあ。
記憶の中の束さんと比べていると、束さんは無言無表情で俺に近付いてくる。あのニコニコと自由奔放にしていた束さんには似つかわしくない様子。
俺の前に立つと、有無を言わさずに抱きしめられた。束さんの胸に顔が埋まる状態になる。
思考が停止しかけたが、聞こえてくる束さんの言葉が沁みて来た。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」
何事かと驚いてしまったが、あの世界で雪が最後に言っていた事を思い出した。
あの時。俺と雪が次元を超えてしまった時。そもそも俺がISである白雪――その時は別の名前だったが――の近くにいたのは俺が誘拐され、連れてかれた場所白雪があったためだった。まあ、その話は置いといて。
俺たちがこの世界からいなくなったのは根本から言うとISが原因で、その彼女たちを生み出した束さんは責任を感じてしまっているということでいいのだろうか。
俺からしたらIS、ましてや束さんが悪いとは一度も考えたことがなかったので寝耳に水な話だ。
束さんの背中に両手を回して抱きしめ返す。
「束さんたちは何も悪くありませんよ。気にしないでください。こうして無事に帰ってこれましたし、向こうでも良いことがたくさんありましたから」
本心からの言葉なのだが、束さんは抱きしめるのを止めない。それからしばらく、俺は束さんが落ち着くまでされるがままだった。
☆☆☆
今、俺の前で展開された白雪が束さんによって診断されている。
一先ず落ち着いた束さんに、話を聞くとパートナーである俺が心配で外部からの調査を後回しにしていたという雪(白雪)のメンテをお願いした。
俺の頼みを快く聞き入れてくれた束さんはキーを叩く手を止めずに俺の話を聞いてくれている。
「ふむふむ、次元を超えて違う地球にいたってすごいね~。束さんでもまだ届かない段階の話だよ」
束さんの仕草や表情はさっきと違い、俺の記憶の中の束さんのようだ。なんだか逆に違和感がある。
話の合間に探りを入れてみるものの、のらりくらりと躱されて成果は芳しくない。
強引に迫るのなら答えてくれるかもしれないが、そんな感じがするだけで確証はないしな…。
「それにしてもこんなに明確に自我を持った子は君が初めてだよ。白雪だったよね?」
『はい、お母様。それと私のことは雪とお呼びください。一夏がつけてくれた名前ですので』
「いいよいいよ。我が娘の言うことは何でも聞いちゃうさ。雪はいっくんが大好きなんだね!」
『当然です』
「本人の前でリアクションしづらい話をするのは止めて下さい!」
束さんが雪にあれこれ質問や雑談をし続け、三十分が経過した。
空中に投影していたスクリーンを閉じ、束さんは俺へと向く。
「あれだね。装甲とか武装とかの外側の方はいっくんの言うあっち側の人たちでも十分以上に整備は出来てたみたいだね。ただ内側。内部機器の方は手を回らなかった、というよりは回せなかったみたい。合ってる?」
『肯定します。内部を変えたりしようとすると動作に不具合が見られました。なので私による簡易チェックしかできなかったので…』
「俺も雪から少しづつ教わってましたけど、役に立てなくて」
「まあISコアが関わってくるし、系列が違う機器は組み込めないからね。そういった意味でもノウハウが無いとおいそれとは触れない。二人が凄いって言う人たちにも分からないのを作っちゃうなんてさすが私!」
そうそう。あの凄腕の人たちも、分からないことの方が多いって言ってたんだよな。特にISコアの事を不思議がってた。何人か徹底的に解析したいとか言ってたけど、さすがにどうにかなったら大変だからと断ってた。
ただISというパワードスーツは戦闘以外の方が幅が広がりそうだって言われた時は嬉しかったな。
それから束さんは結論と書かれた大きなフリップを出した。
「白雪について説明するね。残されてるフラグメントマップから推察するに処理能力がいっくんの動きや戦闘時の負荷に追いつけなくなってたみたい。元が第二世代なうえに三次移行が重なっちゃったからね。にしてもやたらと内部が古いけど……。これに関しては束さんが最新に変えとくから安心してね。ただ確かにエラーは起きてたけど、一次移行に戻っちゃったのとそのエラーは関係ないかな」
『お待ちくださいお母様。私のチェックではエラーによってという結果が出ていました』
…?この場合どっちが正しいんだろうか。
別に雪が嘘言う必要はないし、だからといって束さんがISに関して間違ったこと言うとは思えないしなあ。
雪の反論に束さんは嬉しそうに頷いている。
「雪ちゃんのその言葉は完璧を求める研究者的観点からみたら0点なんだけど、束さんから見たら120点をあげたい結果だよ。というわけで雪ちゃんに宿題です。なぜ雪ちゃん、白雪は一次移行に戻ってしまったのでしょうか?答えは後々聞くから考えといてね」
『は、はい』
困った様子の返事を雪は返した。
束さんの視点で考えると120点。いったいどういうことだろ。
その後に束さんから言われた、いっくんは雪ちゃんを信じてくれれば大丈夫。という言葉がやけに頭に残った。
あと気を失ったのは疲労のせいだと思うから、今日はちゃんと休むようにと釘を刺された。
☆☆☆
作業のために雪と束さんはその場に残ると言い、俺はとある女の子に連れられて束さん製のラボ兼自宅を案内されていた。
その女の子の名前はクロエ・クロニクル。束さん曰く自分の娘。銀髪の人形のような美しさを持つ女の子。
初対面の俺にもとても親切な対応をしてくれている。
「こちらが個室になります。向かって左が私、真ん中がマドカ、上が束様となっています。先ほど束様が増築いたしました、一夏さんは右の部屋をお使いください」
「…先ほど?なあ今先ほどって言ったか?というか上って?」
俺が疑問の声を上げると、何か変なことでも?という風にクロエ(呼び捨てで良いと言われた)は首を傾げる。
ああ、この娘は束さんの関係者だなあと変な納得したのは言わないでおこう。
そして聞きなれない名前が挙がったことに気付いた俺がクロエに聞こうとしたその時、真ん中の部屋の扉が開いた。そこに居たのは、なんだか見覚えのある顔立ちをした女の子。
女の子はクロエを目線を送ってから、後は俺をジッと見つめてくる。
「一夏さん、こちらがあなたを回収しましたマドカです。彼女はあなたの――」
「おい、お前」
クロエの言葉を遮り、女の子は見定める目から一転して俺を睨みつけてくる。
彼女が俺に何を言おうとしているのか。そんな事を疑問に思うよりも、彼女が見覚えある理由に気付いた俺は茫然としていた。偶然では片付けられないと俺は本能か何かで理解していた。だって目の前の女の子は――
「私と勝負しろ」
――俺の記憶の中の千冬姉と似た顔立ちなのだから。
SRポイント取得に失敗すると、やたらと喪失感に駆られるこの頃。
おのれギュネイ、容易く撃墜されおって(HP調整ミス
では、また次回。