私立グリモワール魔法学園SS【風飛の丘に花は散り 裏→表】 作:テンコ。
【風飛の丘に花は散り】の妄想エピローグです。
どうしても自身の理想を形にしたく、書かせて頂きます。
イベント期間は終了していますが、ネタバレを多く含む為
ネタバレが嫌な方は戻るボタンを押してください。
ゲームをプレイしていないと分からない人物・単語については
作者の解釈+攻略wiki等より抜粋させて頂きます。
警戒警報を告げる鐘が鳴る。
霧の魔物による第8次侵攻が始まったのだ。
「私立グリモワール魔法学園」(通称:グリモア)
ここは、霧の魔物と呼ばれる人類を襲う未知の敵に対し抵抗する為に設立された「魔法使い」の育成機関である。・・・・・・いや、「あった」と言うべきだろうか。少なくとも「僕の居た世界」のグリモアとは事実も経緯も違い過ぎていた。
ちょうど半日前、僕は「表世界」に居た。同じ学園生であるメアリーさんと一緒に、宍戸さんの居るラボに向かう所だったのだが・・・・・・突如発生した「霧の嵐」に巻きこまれ、目を開けるとそこは別の運命と辿ったもう一つの僕達の世界・・・・・・通称「裏世界」の、それも魔物達により、ほぼ壊滅状態のグリモアに飛ばされてしまっていたのだ。始めは突然現れた僕に警戒を持たれてしまったものの、僕はそこで偶然出会ったグリモア生達の力を借りる事に成功し、いざ元の世界へ戻る方法を探し出す・・・・・・筈であった。
第8次侵攻・・・・・・魔物の襲撃を告げる鐘の音が聞こえる。この直前までは。
ザワザワザワ、と慌しくグリモア学園に存在する生徒達が集結し、霧の魔物に対しての戦闘準備を始める。僕を元の世界へ戻すべく行動を共にしていた、こちらの世界のメアリーさん、月宮沙那さん、冬樹ノエルも僕と里中花梨さんをこの場に残し、去って行く。
各々、「表世界」にいる彼女らへの・・・・・・「遺言」を残して。
「僕の力を使えば・・・・・・もしかしたら・・・・・・」
僕は自分の両手を握り締める。魔法使いに覚醒した僕の得た力。僕自身魔法は何一つ使う事は出来ないけど、他に類を見ない能力がある。
一つ、その身に宿す「無尽蔵の魔力」
二つ、その無尽蔵の魔力を「他人に譲渡する力」
「表世界」では希望とまで言われたこの力、ここで使わないで・・・・・・いつ使うッ!?
去って行ったメアリーさん達の後姿がまだ見える。僕はその後を追おうとするが・・・・・・
追いかける事は許さない、とばかりにまたしても、突如として発生した「霧の嵐」に巻き込まれ身動きが取れなくなってしまった。
「・・・・・・里中さん!」
霧の嵐を隔てて反対側、こちらの世界で僕を庇ってくれた少女の名を叫ぶ。
少女は笑顔で・・・・・・壊滅したグリモア学園、その校門前で僕に言った。
「・・・・・・あんたに会えて、よかった」
「霧の嵐」の勢いが増し、視界が支配され始める。まるで「この世界」と、異物である「僕」を引き剝がすかの様に。
「(ダメだ・・・・・・このままじゃ皆が・・・・・・!!!)」
逃げよう!僕と一緒に!「表世界へ」!!
そう叫ぼうと霧の嵐が吹き荒ぶ中、大きく口を開け━━━
「・・・・・・!」
声が、出ない。
わかっているからだ。彼女がここに残らなければならない理由を。
知っているからだ。僕と彼女は文字通り「住む世界」が違う事を。
そんな僕の心情を知ってか知らずか、彼女はまた僕にニコッと笑顔を向けて言った。
「んじゃ、な」
その瞬間、視界は暗転し僕は気を失った。
僕は・・・・・・何も・・・・・・出来なかった・・・・・・。
単語解説(作者解釈+攻略wikiより抜粋)
・霧の嵐:神隠しとも呼ばれ得る現象であり、巻き込まれてしまうと「裏の世界」へ飛ばされてしまう事も。一度飛ばされてしまうと元の世界に戻る事はとても困難。この嵐の影響で魔法使いとして覚醒する事もある。
・第7次侵攻:「表」「裏」の両世界で起こった霧の魔物による大規模侵攻である。「表の世界」では無事(奇跡的)に魔物に勝利する事が出来たが、「裏の世界」では数人の生徒が死亡・重体の怪我を負っており学園もほぼ壊滅状態にある。
・裏世界:主人公が居た世界を「表」とした時の「裏」となる世界。「表」「裏」ともに実在する生徒は同じだが一部「表にしか存在を確認出来ない生徒」や「表では死亡し裏では生存している人物」も存在する事から一種のパラレルワールドとも「別の運命を辿ったグリモア」とも呼べる。